my moderate brown
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「今」ここに在ることが
たまらなく幸せだと気付いたのは…
my moderate brown
すべてを捧げるとしたら
それは、もっとアルジュナのことを知ろうと、youが彼の人生そのものである『マハーバーラタ』を手に取った日…。
大まかなあらすじではなく、きちんと最初から最後まで、その物語に関して
あれやこれやと、その時の彼の心情を尋ねながら読み解いていたのだが…。
やはり、彼の禁域であるカルナとの対決のあたりから目に見えて顔色が悪くなっていった。
それまで、自慢気に自分の生い立ちや家族、親友の話を語っていたのだが、段々と口数が減っていったアルジュナ。
youは「もう話さなくていい」と告げたのだが、彼は頑なに目を閉じ、首を横に振り、心情の吐露を続けた…。
立ちはだかる最大の敵であり、生涯の好敵手でもあるカルナの首を射落とし、勝利したと言うアルジュナ。
弱った相手に情けを掛けず、倒すこと。それでも、敵を倒し武勇にせよと言う、友の言葉を信じて、討った…はずだった。
「だが、実際には…。」
「アルジュナ…。」
「あれは私の兄だったと……私は、それを知っていたらカルナを…いや、しかし奴はきっと……。」
「・・・。」
「…できることなら、二度と思い出したくない記憶だったのかもしれません。」
「ご、ごめんね……わたしの所為で…。」
「いいえ、向き合うことは必要でした。ただ……情けない。アレはあんなに、全てを享受して死んでいったというのに…私は…。」
それは、いつも威風堂々としているアルジュナの、心の底の底に仕舞っていた感情だったのだろう。
恐らく彼は無意識だろうが、彼は涙を流していた。
あまりにも横にいるyouにじっと見られているので、ハッとそれに気付いたらしく、
アルジュナはぐっと手で涙を拭うと、ぽつりと言葉を漏らした。
「あぁ……私の顔を……見てしまったのですね……悲しい、あまりに悲しい。どうか、マスター。このことはご内密に。」
アルジュナがそういい終えると、
youはそっと手にもっていたぶ厚い本を閉じ、横に置くと、
彼の手を片方掬い取り、ぴったりと彼に寄り添った…。
「ん……分かった。アルジュナとわたしだけの秘密ね。」
「・・・。」
「寧ろ、わたし以外に見せたらちょっと…怒るかも。」
「……それは……。」
はた…と、アルジュナの涙は完全停止し、呆けたようにyouを見つめる。
「……。」
「……。」
「………………。」
「……あの、マスター…。」
「ッ……!//」
「それは…つまり、やきも…」
「う、わああああん!!違うもん!そんなんじゃないですっ!///」
「・・・。」
あまりの分かりやすさに驚きさえ覚えてしまう。
だがしかし、今の彼にはそんな飾らず、素直な反応を返してくれることが有難かった。
羞恥心に苛まれ、バフ!と、音を立てて布団をすっぽりと被ってしまったyou。
クスリと一つ笑みを落とすと、アルジュナは今や布団の着ぐるみと化したそれに手を伸ばした。
「you。」
「ーー!!//」
盛大にめくるでも、揺さぶるでもなく、するりと器用に布団の中に入り込んだアルジュナ。
密閉された空間で真っ赤な顔のyouと視線をかち合わせた。
「ありがとうございます、心が荒んでしまっていたので、貴女の言葉が素直に嬉しかった。」
「…だから……ヤキモチじゃないもん……第一、そんな対象いないでしょ…!//」
「おや…そうきましたか……でも、生前は私にも…。」
「それは分かってるけどダメっ…!あ、えっと……ダメっていうのもおかしいんだけど…。」
「・・・。」
「い……今は……わたしだけの…あ……アルジュナで…しょ…う?//」
「!!」
「ぅううう!今のも無し!わ、忘れて!忘れてくださいッツ!!//」
「youッ!!」
「っひゃ?!」
ネコのような体勢で縮こまっていた身体が急に衝撃を受けて崩された。
横になり、御互いに同じ高さで見詰め合う。
「あ…アルジュナ…//」
「ええ、はい……そうです。今は私が、貴女だけのアルジュナです。」
「~~!!」
「勿論、私がそうであるように、貴女も……今は私だけのyou。そうでしょう?」
「…うん…。」
「これからは、私のどんな姿も、表情も、貴女だけになら見せましょう…。」
「アルジュナ…。」
「ですから、youも……私に見せてください。笑顔も泣き顔も、困った顔も怒った顔も……抱いた感情も、全て。」
「・・・はい。」
「今までもそのつもりでしたが、改めて言わせていただきます。」
「ん?」
「youを守るためなら、私はどのようなことでもします。そしてすべてを捧げましょう。」
「そんなの…わたしなんかには勿体無いよ…。」
「僅かでもそう思っていれば、こんなことは言いません。このアルジュナに愛されているのです。もっとその無い胸を張っていなさい。」
「酷い!!何その一言余計な喝は!!」
「真実を述べたまでです。」
「もうっ!まぁ、でも……うれしい。すごく、嬉しい。ありがとう、アルジュナ。」
「いいえ。」
「わたしもね、同じ。」
「・・・。」
「わたしがわたしのすべてを捧げるとしたら、それは……アルジュナの為だわ。」
「you…。」
そっと、アルジュナの手を包み込むように握って微笑むyou。
つい、先程まであんなにも心が乱れていたというのに、
ほんの数分、彼女とあたたかな言葉を交わすだけで、今は凪いだ海のように穏やかさを取り戻す…。
それはただ、彼女が自分を喚んだマスターだからではないことは、思い返すまでも無く明白だった。
今まで恵まれた立場でどんなに色んなものを授かってきても、得る事のできなかったもの…。
自らが切望して、自らの力で心を得たもの。その身を守り抜きたいと思ったもの。全てを捧げていいと確信したもの。それが彼女に他ならない。
恐らく、自分の記憶する中で初めて、誰にも譲る事のできない特別なものだと認識できるほどに。
そんな存在である彼女が、自分の為には全てを捧げてもいいと言っているのだ…。
内心、また涙が出そうな程嬉しかったのだが、アルジュナは軽く唇を噛んでそれを自制した。
そして、それならば折角なので欲張って言葉に甘えよう…と、
彼は心情の吐露にも等しい依頼を彼女に伝える事にする。
「ふたつ、私に捧げてほしいものがあるんですが……言ってもよろしいでしょうか?」
「うん?ふたつ?なに?」
「まず、言葉です。」
「言葉…。」
そう呟いたyouの唇を指でなぞるアルジュナ。
少しだけ顔を赤く染め、彼女が擽ったそうに笑みを零した。
「何て、言おうか?」
「「愛している」と、言ってくれますか?」
「わ……!何かドラマみたい。」
「ここまできて茶化さないでください。」
「うん……分かった。」
素直に頷き、すっと軽く息を吸い込む。
吐き出した音はアルジュナの耳を通し、最終的に心に届いた。
「愛してます。」
「足りません。」
「…愛してる、アルジュナ。」
「もっと。」
「愛してる。愛してる、愛してる!あいっ…」
何度言葉にして伝えればいいの?と、そんなことを考え至る前に、
愛しさに堪えられなくなったアルジュナによって口を塞がれた。
両頬を掴まれたまま、深く口付けられ、何度も舌を絡め取られる。
胸が熱く、息苦しくなったのは、その遣り取りが性急すぎる所為なのか、
はたまた単に布団の中の酸素が足りないだけなのか…。
長かったのか、短かったのか…どれくらいの時間か分からないが、
一呼吸のためにやっと離された御互いの唇からは、荒い呼吸音が幾度も繰り返されていた。
「ふぁ……アルジュナ…。」
「二つ目、ですが……。」
「ん…ぅ…。」
「貴女を、捧げてくれませんか?」
「なっ…なん…?!//」
「好きです、you。愛させてください。」
「あ、アルジュナ…ちょっと!//」
「すいません、もう有体な話、我慢できません。」
「もうっ!」
抑制できないと言い放ちながら、youの首筋に口を寄せ、その身体を弄り始めたアルジュナ。
真っ赤な顔で自分に覆いかぶさる男を押し返そうと頑張るが、筋力Aは伊達ではないようで、全く、本当に、ビクとも動かない。
最後に「うーん!」と唸ってみても状況は変わらず…。
とうとうyouはフゥっと諦めたような息を吐いたのち、笑みを零した。
「仕方ない……わたしも言っちゃったしね…アルジュナにすべて捧げるって…。」
その言葉に、ようやく首に埋めていた顔を上げ、アルジュナは彼女と視線を合わせた。
「you…。」
「けど……どうせなら、うんと甘くしてほしいな。」
全てを享受する笑みを浮かべ、youはアルジュナの頬にそっと手を伸ばす。
彼はその手に自分の手を重ねると、一度目を閉じ、
愛しさに満ちた声で「ええ、勿論です。」と、答えた…。
もし、わたしのすべてを
捧げるとしたら
(その代わり)
あなたのすべてが欲しい
words from:yu-a
title by:Kiss To Cry
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