my moderate brown
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「うわぁ…凄い人だね。」
近くで祭りがあると聞いて
やってきてみれば人、人、人。
my moderate brown
最後の時間ほど少ないね
「そうですね。ですがこの喧騒、故郷に似ていて私には少し懐かしく感じます。」
「アルジュナの時代からインドは人口が多かったのね。」
「ええ。ですが、今ではもっと多いのでしょうね。」
「だねー。」
2人並んでてくてくと歩けば、
道幅は変わらないはずなのに、どんどん人が増えていき、間隔と視野が狭まる。
「うーん、凄いなぁ。」
「you、余所見をするとはぐれますよ。」
「ごめんなさい。」
「ひとまず手を。」
「うん。」
差し伸べられた手を掴み、手を繋いで人ごみの中を通り抜ける…。
途中、出店で少し買い物をして食べ歩いたり、
祭りの場で催される出し物を見て回ったりして過ごせば、あっという間に黄昏時を過ぎてしまった。
「日が暮れるね。」
「ええ。もうじき花火が上がるようです。祭りも終わりに近付きました。」
「寂しいなぁ。最後の時間ほど少ないね。」
「ええ、ですから良い思い出になるよう、印象深いものが最後に取り置かれているのでしょう。」
「成程…。」
「人の記憶に残るものというのは、大抵そのようなものです。」
「そう?」
「華やかな刻を過ごそうとも、これ以上ないくらい栄華を極めようとも……咲き誇るその瞬間に燃え尽きねば、万人の心には残らない。何とも……残酷なものです。」
「アルジュナ…?」
「申し訳ありません、少し昔を思い返してしまいました。」
「昔のこと…?」
「お気になさらず。さぁ、向こうによく見えそうな場所がありそうです、行きましょう。」
「う、うん…!」
アルジュナが自分の元へやってきてしばらく、
慇懃無礼な不遜な態度もそこそこに、かなり心を開いてくれるようになった。
だからこそ、ふいに見せる険しい表情が気になりはじめたのだが…。
ただ、それは自分の立ち入ってはいけないエリアであることも、今だからこそ分かるようになった。
だが、アルジュナにとっては、今は大変穏やかで甘やかな日々を過ごしているワケで…。
何も自ら苦しむような選択をせずとも良いだろうと思っていることも確かだった。
「わぁ…まっくら。」
「祭りの会場からは少し離れていますからね…怖いですか?」
「うん、ちょっと。でも、一人じゃないから。」
「そこはアルジュナがいるから大丈夫だと言ってほしいものです。」
「う、うん……ごめんね。」
「まぁ、良いです。もうすぐ始まりますし、急いで行きましょう。」
「うん!」
かろうじて道のある、小規模な雑木林を抜けると、
小高い山の頂上に出たようで、祭りの喧騒も届かず、遮るものも無い場所から花火を見る事ができた。
何発も何発も打ち上がる花火を感嘆の声を上げて観覧する。
クライマックスには夜空に金色のカーテンが掛かったように華やかで美しい光景が広がった。
「きれーい……本当に綺麗。」
「・・・。」
「凄い場所発見できてよかったね、アルジュナ!」
「・・・。」
「アルジュナ…?」
「you……そろそろ、清廉で、非の打ち所のない大英雄も疲れました。」
「えっ!ごめんね……人が多いのに連れ出しちゃって…今度はもっと静かなとこに誘うね。もし気分が悪いなら少し休んで……っ?!」
ザッと、草の絨毯が耳元で音を立てた。
気付けば先程までの花火の名残で煙が流れる夜闇を背景に、アルジュナの顔が目の前にあり、
押し倒されているのだと気付いた時にはもう唇が塞がれていた。
初めてキスをされた時のように、蹂躙されるかと思いきや、
すぐに唇は離され、アルジュナが言葉を零す…。
「あの時のお答えをいただきたい、マスター。」
「ッ…//」
「貴方は…このアルジュナを……どう思われていますか?」
「ち……ちょ…!」
「ちょっと待って?いえ、待ちません。待てません。あれからもう1ツキですよ??同じ空間で共に過ごして良好な関係を築いていますが、いえ、良好な関係を築いているからこその生き地獄!!いっそ突き放してくれれば衝動も抑えられるというのに!!」
「あ、アルジュナさ、ん…!?」
「お 答 え く だ さ い。」
「うわぁー…。」
いつの間にやら両手首を地面に縫い付けられ、
最早その場所からも逃げることは許されない状況。
youは観念したように、口を開いた。
「あの……アルジュナのこと…どう思ってるか、なんだけど…。」
「はい。」
「ち……チョコレートみたいだなって思ってた。」
「犯しますよ。」
「ぎゃぁ!ち、違うの、違わないけど、そういうことを伝えたいんじゃなくて!!」
「チョコレートから発展する説明などあるんですか?」
「うー…何ていうかその…まぁ、見た目の話なんだけど。」
「フッ……我がマスターは青姦がお好きだと見た。」
「ぎゃぁあ!アルジュナ、何処でそんな言葉覚えてきたの!?やめて!お願いやめて!違うから!違うから!最後まで聞いてぇえ!」
「チッ……仕方ありませんね。次はありませんよ。」
スカートの中に手を入れられ、絶体絶命の状態なのだが、
それでもちゃんと話を聞くまでは手を制止させているあたり、アルジュナの人柄が垣間見れる。
その最後の慈悲ともいえるチャンスを、
無駄にしないよう、youは言葉を選び始めた。
「出会った時、すごく素敵だなって思った。それに凄く強いし……こんな最高位の英霊がわたしのサーヴァントでいいのかなって…。」
「愚問ですね。私はもう、貴女以外のマスターなど、考えられませんので。」
「ん……それで、仲良くなっていって、ちょっと冷たかったり、正直、慇懃無礼に感じることもあったけど、でも、アルジュナ優しいし、ああ、好きだなって…ちゃんと思った。」
「…それは、恋い慕う意味で、でしょうか?」
「そこがね、ちょっと分からなくて……悩んでたの。ずっと。だって、まだわたしはアルジュナのこと全部知らない…。」
「そうですね、確かに。」
「でも、それって普通だよね……これから、知っていきたいなって、思った。辛いことも、楽しいことも、一緒に経験していきたいな。」
「マスター…。」
「あとね、チョコレートって言ったのは、チョコみたいに甘くて優しい人だったらいいのにって思ってた。ということなの。」
「申し訳ありませんね、中身がビターだったようで。」
「ううん、そんなことないよ。」
「…マスター、ありがとうございます。」
「いいえ〜。」
「しかしながら。」
「え?」
実のところ、これだけ色々と心の内を話せば、少し結論を先延ばしにしてくれるのではないかという淡い期待を抱いていたyou。
しかしながら、アルジュナはそれを許さなかった。
「それは私の求めている答えではありません。」
「だ、ダメか…。」
「ええ、私は答えをいただきたいのです。好きか嫌いかで答えろというつもりはありませんが、煮え切らない答えは不要です。」
「そう、ですよねー……ねー…。」
「先刻、貴女は私を好きだと仰いました。それが答えではいけないのですか?」
「それは……。」
「youは私に触れられることを嫌悪されますか?唇を重ねるのが嫌だとは?」
「お……思ってたら今だって全力で嫌がってるよ…?」
「では、これで問答は最後にしましょう。」
「う…。」
いよいよ逃げられないと、覚悟を決めたyou。
ぎゅっと目を瞑り、彼からの問い掛けを待つ。
「you……「チョコレート」はお好きですか?」
「・・・好き。」
「そうですか……では、お食べになりますか?」
「うん……ちょうだい。」
最後の問いは思わぬ形容だった。
しかし、それであったからこそ…躊躇い無く答えを選ぶ事ができたのかもしれない…。
結局のところ、選ぶと決めた選択肢は一つしかなかったのだから。
アルジュナからの口付けを受け入れ、
ひと月前、初めてされた時のように何度も角度を変えて唇が落とされる…。
「んっ…。」
「・・・ん。」
「ふぁ…//」
「………少し苦かったでしょうか?」
「ううん、あまい…。」
「そうですか、でも甘いのお好きでしょう?」
「すき……アルジュナ。」
「貴女それは……反則ですよ…//」
何か吹っ切れたのか、素直に「好き」と意思を伝えてくるyou。
不意打ちを喰らったように、頬を赤らめ(と言っても暗くて見えないのだが)、
アルジュナは彼女の額に自分のそれをコツンと合わせた。
「you、抱きしめてもよろしいでしょうか?」
「うん、ぎゅーって。」
「ああ……you、私だけの…私、だけのyou…。」
「うん……アルジュナだけの、わたしだね。」
「すみません……本当に……正直、取り乱すくらい、嬉しい。」
「そんなに?」
「ええ。」
「ありがとう。それって、しあわせ。」
「…私もです。」
そう言って、もう一度口付けを落とした。
あなたのすべて
わたしだけのものです
words from:yu-a
title by:Kiss To Cry
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