my moderate brown
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あなたに抱いた
この感情は
my moderate brown
静かな敬愛
「ほほう?マスターは、私に興味があると?」
部屋で2人、お茶をしながら寛いでいる時間。
とりとめもない話題の中で、youがアルジュナに「聞きたいことがある」と尋ねたところ、この台詞だ…。
「うん、あのね。アルジュナの宝具のことなんだけど…。」
「・・・。」
身長、体重、特技、好みのタイプ…貴女が知りたいというのなら、何でもお答えしましょう!とばかりに構えていたアルジュナだったが、
全く見当違いの質問を投げられ、一瞬ピシリと固まった。
「アルジュナ…?」
「『破壊神の手翳(パーシュパタ)』ランクA+の対人宝具です。破壊神シヴァより授かった鏃であり、伝承によればシヴァが使えば宇宙が消滅するほどの力を持っているそうなので、云々…。」
「わわわ、ちょ、ちょっと待って!待ってアルジュナ!」
「他に炎の神アグニから賜った神の弓である『炎神の咆哮(アグニ・ガーンディーヴァ)』を使用します。こちらは…。」
「アルジュナってばぁ……!」
「っ!!!」
「どうして?何か怒ってる…?」
「お、怒ってはいません…。」
「本当に…?」
「す、少し……見当違いをしていたもので。肩透かしを喰らったようで悔しく思ったのかもしれません……。」
「見当違い…???」
コテン、とテーブル越しに正面で彼を見つめて首を傾げるyou。
アルジュナはコホン、とひとつ咳払いをすると、
微かに恥ずかしげな表情をして、その内容を話し出す…。
「あ…貴女の質問というのが宝具のことだと思わなかったので…//」
「えーっと…?」
「私はてっきり……youは私自身の事を知りたいのかと…。」
「アルジュナの…こと?」
「何ですか、その……プロフィールというんでしょうか…その…どういう人物像なのか、という……。」
「あっ、そういう…!」
「くっ……何故自分で申告しなければいけないんだッツ!//」
自分で言っておいて後悔をするアルジュナであった。
しかし、youはそれもまた嬉しいことだったようで、
「本当?!」と身を乗り出さんばかりに目を輝かせてアルジュナを見つめてきた。
「アルジュナが教えてくれるなら、そういうの沢山知りたいな、わたし。」
「まっ、マスター……//」
「背高いよね、身長知りたいな。特技とか沢山ありそう、どんな事するの?」
「身長はyouの分かりやすい単位で言うと177cm程でしょうか。 特技は色々ありますが…特筆するならやはり弓術かと。」
「ふむふむ。ありがとー。身長差どれくらいかな、わたし最近測ってないから…。」
「そんなもので良いんですか?!好みの女性のタイプなどはいいのですか?!」
「え?」
「あ…………っ…!//」
それはもう盛大に、自分で言っておいて後悔をするアルジュナであった(2回目)。
youはというと、今度は少し戸惑うような表情をしており、
今までの流れから「聞かせてほしい」と軽く乗ってくると思っていたアルジュナを余計に羞恥へと追い込んだ。
「……教えてくれるの?」
「いえ…何でもありません。忘れてください。本当に。」
「う、うん……それはいいかな…うん…。」
「え?あ、はい……。」
「・・・。」
「・・・。」
何故か急に気まずくなってしまったこの空間…。
一気に気落ちしたように見えるyouの様子に、
墓穴を掘った羞恥は何処(いずこ)へか消え失せてしまったアルジュナ。
目の前のお茶を2人して無言で啜る事数分…。
恐る恐るアルジュナがyouに声を掛けた。
「あの……マ、いえ、you。」
「はい…?」
「私も…貴女のことを知りたいと、思っているのですが……少し、お尋ねしても?」
「えっ、このような凡夫のことを?!」
「凡夫とは…マスター…それはあまりに自分を卑下し過ぎかと。」
「あはは、まぁ凡夫は冗談としても……わたしって、そんなに面白みのある人間じゃないから、アルジュナの期待に応えられるか…。」
「いいえ、そのようなことは。何せ私を召喚したマスターですからね。」
「(うわぁ…そう思って下げたハードルを、この英霊また上げてきたよぉ…。)」
「召喚された時、貴女は私に尋ねられました。万能の願望機…即ち聖杯に懸ける願いは何か…と。」
「えっ、あ、ああ、そうだったね。」
「貴女は…?貴女なら、聖杯に何を望まれますか?」
「んー……んーんんんん…。」
長い唸り声を上げたあと、youは「ごめんなさい」と一言謝った。
「聖杯に叶えてもらうような大層な願い、まだ思いついてないです。」
「そうですか。」
「願ってることなら、結構沢山あるんだけどね。聖杯に叶えてもらうようなことじゃないなーって。」
「ほう、それはどのような?」
「えっ……うん……い、言わなきゃだめ…?」
「ダメということはありませんが……言い辛いことなのですか?」
「ちょっとだけ…。」
「では無理にとは言いません。話題を変えましょう。」
「うう、ごめんね。」
何となく気恥ずかしそうな顔で小さく謝る。
さて次は何を聞いたものか、と思案し、
アルジュナは、ふっと思いついた質問を投げ掛けてみた。
「好きなものや好きなこと、嫌いなものや嫌いなこと……を、貴女が私に聞いたように、私にもそれを教えてくれませんか?」
「えっと、好きな事は誰かとこういう風に話しながらお茶をしたり、ご飯や甘いものを食べることかな。あともう1つあるけど、それは内緒〜。」
「また内緒ですか、分かりました。では、嫌いなものや苦手なもの、怖いものなどはありますか?」
「嫌いだったり苦手だったり……害虫は苦手かな。怖いもの……怖い、こと…は…。」
「・・・?」
「これも内緒……かなぁ……。」
「意外にも我がマスターは秘密主義のようですね。」
「だって…これは……うー…。」
ちゃんと答えてはいるが、1つの質問につき必ず1つは鍵付きの答えという…。
何とも煮え切らない…不完全燃焼といった感じの質疑応答となってしまった。
そのことに、流石のアルジュナも大きな溜息を吐く。
恐らくはサーヴァントとして信頼されていないとでも感じたのだろう。
穏やかだった眼差しが、途端に呆れるような、ガッカリしたようなものへと変化していく。
これ以上話しても気分は上がらず、下手をすれば彼女に冷たい言葉を放ってしまうかもしれないと思い、
アルジュナが席を立とうとした…その時。
バンッ!と音を立てて目の前のテーブルに突然彼女が突っ伏した。
「まっ、マスター?!!?」
「だってだって、だって!!//」
「you、急にどうしたんです!?」
「だって……全部……る、ジュナの……だから…。」
「え?」
突っ伏しているので、言葉がモゴモゴと篭っていて上手く聞き取れない。
顔を近付けてみようとしたところで、彼女が僅かに顔を上げた。
「you……貴女、今何と言ったんです?」
「だから……その……全部……アルジュナのことだから、言い辛くて…//」
「???」
ズズズ…と、伏せた体勢を後ろへ引いて、元の姿勢に戻すと、
真っ赤な顔を俯かせてyouは言葉を零す。
「だって、だって……わたしが願ってることはアルジュナともっと仲良くなりたいってことだし。」
「!」
「好きなことだって、アルジュナと一緒にいることだし、怖いことだって……あ、アルジュナに嫌われる…というか、マスターだから失望されるっていうのかな……それが怖い…のだから…。」
「っ…。」
「全部アルジュナのことばっかりで……別に依存してるつもりはないのだけど、凄く……信頼してもらいたいし、何と言うか…わたしも敬愛してる、から……。」
「では…先程、私の好みの女性のタイプを聞こうとしなかったのも?」
「そっ、それは!それは聞きたかったですけど、何となくダメな気がしまして!」
「嘘おっしゃい。」
「はうっ!」
「正直に仰ってください。私、アルジュナの「好みのタイプが自分とかけ離れているのが怖かった」のだと。」
ここまでくればもう掌の上で転がすようなものなのだが、
気付かぬは本人のみ…。
アルジュナに心の内をズバリ言い当てられ、
今度はyouの方が羞恥で顔を赤く染め、涙目でアルジュナに訴えた。
「あ……アルジュナの好きなタイプのひとが…わたしとかけ離れてるのが怖かった…です。」
「あぁ…これはいい……。」
「アル…!!」
名を呼び終わらぬうちに、youの唇はテーブル越しに大きく身を乗り出したアルジュナによって塞がれた。
まるで、長い間共にいた恋人のようにあまりに自然に、何度も唇を重ねる。
「ん…っ!」
「ふ…っ…。」
「ぁ……アルジュナ……!」
「…you……。」
「な、な……なん…?!//」
「安心なさい。私の好みの女性のタイプは貴女ですから。」
「?!?」
「いえ、正確に言えば違ったのですが……貴女に出会って、変わりました。」
「そ、それはどういう??」
「様々な女性と関わってきましたし、それなりに耐性があると自負していましたが、人種の違いか時代の違いか…他とは比較ができなかったのです。」
「アルジュナ…?」
「私のマスター……素直な貴女が可愛くて仕方が無い。」
「ッ〜〜…!//」
「何か、言いたげですね?」
「わ…わたし……アルジュナのこと……静かに敬愛すべき存在だと…思ってるの、ですよ?」
「どうしてです?」
「アルジュナはあらゆる面でまさに非の打ち所のない大英雄で、こんなわたしに対しても礼節を守ってくれて…。」
「私も穏やかで労りの心を持つ貴女を、常に静かに敬愛していますよ。」
「そう…なの…です…か?」
「ええ。」
先程までの支配欲に駆られた表情とは打って変わり、ニコリと微笑むアルジュナ。
「ただ、今はそうではなく……ただ、純粋に異性として好きというだけです。」
「ど……どうすればいいの…わたし…。」
「そうですね……もし私がお嫌いなら全力で拒否していただければ良いかと。」
「い…いやじゃ……なかったら…?」
「その場合はマスターとサーヴァント以上の関係になるだけです。」
「わ、わたし…。」
「you、どうします?」
「ど…………どうするかもうちょっと考えますッツ!!!」
「あっ!!!!」
身を乗り出しているとはいえ、テーブルという障害物があり、
脱兎の如くその場から逃げ出したyouを引き止めることは叶わず…。
アルジュナはyouが勢い良く飛び出して行った部屋のドアを見つめてチッと舌打ちをかました。
「…静かな敬愛、ですか………普段ならその賛辞、有難く受け取れるのでしょうが、こうなっては話は別ですよ、you。」
だから早く戻ってきなさい、と。
大人しく再度着席し、アルジュナはもう温くなった茶に口を付けた。
私こそが
あなたに相応しい
words from:yu-a
title by:Kiss To Cry
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