garb of love. 番外編
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初めて
勝負をしてみた。
garb of love
器用な指先、不器用な言葉
「カルナ、何飲みますかー?」
「何でも構わない……youと同じもので良い。」
「んー、じゃぁ紅茶にしちゃうね。」
「ああ。」
とある昼下がり、休憩ということでお茶をすることになった2人。
茶葉を蒸らして開かせながら、待つ間に2人分のカップを用意する。
youは、どうせならインドのチャイを真似てミルクと砂糖を入れてしまおうかと考えるも、
そういえばカルナの生きていた時代にそれは存在しなかったのではないかと思い返し、結局別で添え付けて提供することにした。
「どうぞー。」
「ありがとう。」
「砂糖とミルクはお好みでどうぞ。」
「ああ、いや、このままでいい。」
「そう?そういえばカルナはコーヒーもブラックだよね……甘いの嫌い?」
「いや、嫌いというワケではないが……なかなか良い塩梅にできないから、面倒に思えてな…。」
「そうなの?意外な理由……カルナはちょっと不器用さんなんだね。」
「・・・そ、そういうワケでは…。」
「そういうことにしておこうよ、その方が何か小物感あって親近感湧く。」
「小物とは随分な言い方だ。」
「だって、普段は超人染みててちょっと遠い存在に思えちゃうから。」
「・・・・。」
「じゃぁ、器用不器用試してみましょうか?」
「分かった。だが、どうやって試す?」
「ちょっと待っててね。」
そう言って、席を立つと、
暫くして何かを抱えてyouが戻ってきた。
「これにしよう。」
「それは……?」
「これは「ジェンガ」というオモチャですよ〜。」
「ジェンガ…。」
「ジェンガとは、同サイズの直方体のパーツを組んで作ったタワーから崩さないように注意しながら片手で一片を抜き取り、最上段に積みあげる動作を交代で行うテーブルゲーム。おもにパーティーゲームとして利用されている。(Wikipedia参照)です。」
「…なるほど、理解した。抜き取って、上へ積めばいいのだな。」
「そういうことです。」
「器用さと集中力が試されるということか。」
「さっそくやりましょう!」
細長い、お菓子のようなそれをざっと組み上げて
同梱されたツールを使って綺麗なタワーを作り上げるyou。
初手はジャンケンで負けたカルナ。
「どこから抜いてもいいのか?」
「はい、どこを抜くかによって崩れるタイミングが遅くなったり早まったりしますよ!」
「そうか……集中して同じ場所を抜けば倒れるのが早くなり、バランスを考えて抜けば長持ちするということか……。」
「単純に相手を早めに負かせるのなら前者、長く楽しみたい場合は後者という遊び方もありますよ。」
「ほう…。」
「あと、積み上げ方も綺麗に積むか雑に積むかで崩れにくくなったり、崩れやすくなったりね。」
「成程、なかなか奥が深いな。」
「さぁ、カルナはどこを抜く?」
「ここは固く…端からいかせてもらう。」
「ふむふむ…。」
抜き取って、積む、抜き取って、積む…。
そんな行為を何度か繰り返したところで、はた…とyouが口を開いた。
「そういえば…。」
「ん?」
「ただ遊ぶだけじゃつまらない気がします。」
「そうか?オレは割と楽しんでいるが…。」
「ベタですけど、先に崩して負けた方が、勝った方のお願いを1こ聞いてあげるのはどうでしょう?」
「そんなことをせずとも、お前が望めばオレは何でも…。」
「ああ、カルナは元々だった!!」
「?」
「むむむ……。」
youの望むことを叶えることはカルナにとって全く全然苦ではなく、寧ろ当然の事なので、
彼に対してはこの罰ゲームの意味がないと悟ったyou。
うーんと、腕を組んで悩む…。
悩む…。
悩む…。
そして、思いついた。
「あ!そうだ、これも王道だけど、衣装替え!これでどう?!」
「衣装替え…?」
「うん!負けたらカルナは執事服、わたしはメイド服!これでどう?」
「・・・。」
「あれ、そっか…わたしにはメリットあるけどカルナには無いか…。」
「いや……俄然やる気が湧いた。」
「えっ、カルナ執事服着たいの?意外、じゃぁもっと前にお願いすればよかった。」
「どうしてそうなった……youが衣装を着たところが見たいという意味だ。オレが着たいワケではない…。」
「あっ、そっちか。」
「こうなったら、できる限り集中して勝ちをもらいにいかせてもらう。」
「えぇ〜!」
状況的に、カルナ本人としては、ニヤリと不敵に笑ったつもりなのかもしれないが、
徳の高い大英雄効果か、どうにも爽やかに「勝にいきます!」と笑ったようにしか見えないyouであった…。
だが、しかし…。
「えげつない……えげつない程にふつくしく積みあがっている…!!」
「態とずらしてはオレが器用だと証明できないからな……オレなりに慎重に積み上げたつもりなんだが、どうだろうか?」
「どうもこうも……。」
すごく……綺麗です…。
と、言わんばかりに重ねられていく木製のブロック…。
所々歪んでいるところは全てyouの置いたものだが、
彼女もそれなりに器用に積んでいったこともあり、ここまでなかなか崩れずにきちんとしたタワーができあがっているという状態だ。
「でも、もうそろそろ下の抜き取るブロックもカツカツですよ…。」
「フッ……あと2、3回が限度といったところか…。」
「ここまできたら絶対負けないからね!」
「それはこちらの台詞だ、you…!」
「さぁ、次はカルナの番だよ。」
「承知した。」
そっと手を伸ばして、ひとつのブロックを指で撮む。
押し出さずに抜き取る方法を使い、慎重にブロックを動かすカルナ…。
ここまでくると一手一手に時間も掛かるし、
どちらが負けるかも全く分からないため、2人してずっと真剣にジェンガタワーを見つめる。
「……!!」
「…取れたぞ…。」
「うわー!倒れなかった……悔しいけど凄い…。」
「次はyouの番だな。」
「よーし、わたしのターン!」
どこぞの決闘者のように意気込みを見せ、狙いを定めたブロックに勢いよく手を伸ばす…!
が、それに相反して大変丁寧に、静かに、ソフトに抜き取る作業を行うyou…。
顔を近付けて周囲のブロックまで一緒に動かないよう、
慎重に指を動かしていた…その時…。
何か、違和感を感じて頭上に一つ疑問符を浮かべたところ、それが誰かの視線だと気付く。
先程から、このタワーに2人の視線が集まることは全くおかしなことではないのだが、今はそうではない…。
その視線はタワーではなく、自分へ注がれているのだ。
しかし、今、youはタワーそのものに顔を近付けているので、
それに遮られ、誰かの視線を感じることなどできないはず…。
では、何故…と、思い、視線をブロックから離せば、
バチッとその根源であるだろう相手と視線がかち合った。
「!!!」
それは、全く予想外の場所からの視線だった。
穴だらけのジェンガタワー、その隙間からじっとカルナがyouに視線を注いでいたようだ。
「カルナ…!」
「…真剣なyouの顔もいいな。」
「〜〜ッ!?//」
ボソリと、呟くように放った言葉はしっかりyouの耳に届いており、
動揺を隠せなくなった彼女の指は途端に震えて、ついに積みあがったタワーを崩壊させた。
「あああああ!!!」
「オレの勝ちだな。」
「ちょっと、最後卑怯ですよぉお!//」
「悪く思うな、ここまでだ。」
「がんばって慎重につんでたのに……多分新記録だよ?悔しい…!」
「俺が上回っただけだ。youが気にすることではない。」
「うー。」
悔しそうに頬を膨らませながら、散らばったジェンガを片付けるyou。
再びタワーを作り、箱へと入れて、元あった場所へそれを片付けた。
「さて……約束を破るわけにはいかんしな……。」
「絶対、絶対愉しんでる!カルナ絶対愉しんでるでしょ!」
「そんなことは……ある、かもしれん。割と…。」
「あ、うん……素直だね…。」
「今は給仕係りの制服が無いだろう?いずれ披露してくれればそれでいい。」
「わぁ……ありがとう、お気遣いの紳士…。」
「丈は長いほうが似合う気がするが、折角なので短いものを着てもらってもいいだろうか。」
「カルナさん下心隠そうか。」
全然紳士じゃなかったです。どうもありがとうございません。
と、両手で顔を覆い、ワッと嘆くyou。
カルナの手先がとんでもなく器用なことは理解できたが、
言葉の選び方は不器用以外の何でもない…。
それでも、ある意味で彼なりに歩み寄ろうと、
自分を明け透けに表現しているのかもしれない、きっとそうなのだろう…と、
何とかポジティブシンキングへ移行しようと、頭を抱えるyouなのであった…。
思ったことを
そのまま
口にしてしまうタイプ
words from:yu-a
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