garb of love. 番外編
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あなたの上に
星が降りますように
garb of love
Die Sterntaler
ある日、部屋に戻ってきたカルナの目に、ベッドサイドに腰を下ろして何かを読んでいるyouの姿が映った。
「you、何を読んでいるんだ?」
「ん?これ?童話集だよ。」
近付きながら問いかければ、童話を読んでいるという彼女。
「昔話か…。」
「ハッピーエンドもバッドエンドも沢山あるから、意外と読むの楽しいよ。」
「そうか…心を休める為にも童心に返るのは悪くないだろう。」
「童心に返るっていうか……カルナに似た物語があった気がしたから…探してたの。」
「オレに似た物語…?」
「うん。」
自分を物語る話というのは、とどのつまり『マハーバーラタ』になるのでは?
それは童話というには些か無理がある…と、カルナが言葉を詰まらせていると、
youが童話集のページをペラペラと捲り「これなんだけど」とページを開いてカルナを見上げた。
「『星の銀貨』というお話です。」
「星の…銀貨。」
「他にも『幸福な王子』とか、似てる話がありますけど…。」
「どういう話なんだ?」
「じゃぁ、折角だから、読もうか。」
「ああ、そうしてくれ。」
「じゃぁ、隣に座って。」
ポンポンと、ベッドサイドの自分の隣を手で叩くyou。
促され、ぴったりと寄り添うくらい近くに着席したカルナに、思わず笑みが零れた。
「むかしむかし、あるところに、とても心の素直な優しい女の子がいました…。」
その女の子には もう、お父さんもお母さんもいなかったので、とても貧乏でした。
その境遇のせいで世の中からまるで見捨てられてしまって、
住む家はなく、身に纏う服のほかは、親切な人が恵んでくれた、パンのひと欠片だけ…。
だから、この子は、今、ひとりぼっちで、野原の上を歩いているのです。
すると、そこへ、貧しい身なりの男が出て来て、言いました。
「お嬢ちゃん、何か食べるものを恵んでくれないか。お腹が空いてたまらないんだ。」
女の子は、持っていたパンを全て、その男にあげると、
「どうぞ神さまのお恵みのありますように。」
と、祈ってあげ、また歩き出しました。
すると、今度は子どもが一人、泣きながらやって来て、言いました。
「頭が寒くて、凍ってしまいそう。何か被るものをくれませんか。」
女の子は、被っていた頭巾を脱いで、子どもに与えてやりました。
それから、また少し歩くと、着物一枚着ずに震えている小さな子に出会いました。
そこで、女の子は自分の上着を脱いで着せてやりました。
それから、また少し歩くと、今度出てきた子どもは、スカートが欲しいと言うので、
女の子はそれも脱いで、子どもに与えてやりました。
色んなものを渡してしまい、下着だけになってしまった女の子は、
さすがに恥ずかしくなり、森へ向かいました。
もう暗くなっていましたが、
また、もう一人、子どもが出て来て、下着が欲しいと言いました。
「(どうしましょう、これをあげてしまっては、わたしも困ってしまうわ。)」
女の子は少し迷いましたが、とても素直な優しい子でしたので、
とうとう下着まで脱いで、その子供にあげてしまいました。
「(だけれど、もう真っ暗になっているから誰にも見られやしないでしょう。)どうぞ神さまのお恵みのありますように。」
さて、女の子の着ているものが、きれいさっぱりなくなってしまい、
街に戻る事も、先へ進むこともできずに立ち尽くしていると、
高い空の上から、お星さまがばらばら落ちてきました。
「わあ、きれいね。お星様だわ。」
しかしよく見てみると、星だと思っていたものは、チカチカと白銀色をした銀貨だったのです。
さらに、さっきまで服も下着も身に着けていなかった女の子は、いつのまにか新しい肌着を身に着けていました。
「女の子は、その服に銀貨を拾い集めて、それで一生幸せに暮らしました。……めでたし、めでたし。」
「……良い話だな。」
「うん、最後がハッピーエンドなのがいいよね。」
「そうだな……オレもその子のように報われる最期なら笑って逝けたのかもしれないな。」
「カルナ…。」
「だが、オレは誰のことも恨んではいないし、後悔もしていない。あれはあれで、良かったのだと思っている。」
「じゃぁ、今度は「幸せ」になってね。」
「!」
コテンと、カルナの肩にyouが頭を乗せて寄りかかった。
「…求められれば、オレはオレの持つ全てを与えるのだろう。その子のように。」
「・・・うん。」
「だが、オレは知っている。たとえオレの持つ全てを誰かに与えて、失ってしまったとしても。」
「・・・。」
「何の価値も無い、ただの「カルナ」という存在、ただそれだけになってしまったとしても。」
「うん……。」
「それでも、今は、そんなオレ(カルナ)を愛おしんでくれるyouがいると知っている。」
「・・・。」
「だから、オレは何も怖くはない。」
「カルナ…。」
あまりにも心清く、素直なカルナに、思わず童話の女の子が重なる。
こんなに尊い人が自分の隣で座っていてくれることが
嬉しくて、有り難くて、youはぎゅっとカルナにしがみ付いた。
「あなたの上に、たくさんの星が降りますように。」
「オレに降る銀貨はたった1枚でいい。youだけでいいんだ。」
「カルナ…。」
「それだけでオレは十分、満たされる。」
そう言って、カルナはyouの頬に手を添えると
微笑みをひとつ零すと、愛おしそうに口付けを落とした。
それはまるで
白銀色をした
銀貨のようだった
words from:yu-a
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