garb of love.
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きっかけはほんの些細なことだった。
garb of love
言葉少なな会話
「悪いが、つまらんぞ。」
「!!」
youの話に開口一番そう言ってのけたカルナ。
楽し気に話し掛けたyouの顔が見るみるうちに表情を失くしていった。
確かに、ほんとうにつまらないことでカルナに呼び掛けたとは思う。
彼女にしてみれば、ただ単に自分が抱いた楽しい気持ちを
共有したいと思っただけのことだったのだが、どうもカルナのツボにはハマらなかったようで…。
(そもそも笑いのツボが彼にあるのかも謎なのだが…。)
それにしても、もう少しオブラートに包んだ言い回しをしてもらいたいものだと思う前に、
じわりと…youの目頭が熱くなってしまった。
不本意ながら泣きそうになってしまったyouを見て、
ぎょっと目を丸くして申し開きを行うべく、カルナが口を開く。
「いや、すまん。俺が悪いのであってお前が悪いわけではない…。」
「い、いいんです!実際本当につまらない話だったですし!」
「傷付けるつもりではなかったし、一蹴したワケではないんだ…。」
「分かってます分かってます!こう、なんていうか……カルナの「面白い」のストライクゾーンにヒットしなかったっていうか…つまりそういうことだって、ちゃんと分かってますよ!だから大丈夫!」
「だが…。」
「ごめんなさい、ただ、切り返しがあまりにストレート過ぎて、ドッヂボールの最中に不意打ちで顔面にボール喰らった的な感じだったんです!」
「なるほど、具体的で分かりやすい。」
「だからカルナが悪いワケでは…っ!」
「いや、全面的に俺が悪い。すまなかった…you。」
「っ…!」
きちんと素直に謝罪をされて、思う事…。
自分はカルナの切り返しや反応にまだまだ慣れていなかったのだと思い知って余計に辛くなっていく。
居た堪れなくなり、それ以上彼の傍にいることが耐えがたく、
涙が一つ零れたのを皮切りに、踵を返して立ち去ろうと試みた。
が、それは掴まれた右腕によって阻止されてしまう…。
「は…離してください…ぃ…!」
「悪いがそれはできない。」
「な、んで…。」
「youが泣いているからだ。」
「でもそれは…自分の所為で…。」
「違う。言葉の言い回しに乏しい、俺の所為だ。」
「・・・。」
「だが、決して悪辣な言葉を投げているつもりはない……許してほしい。」
要約すると「ボキャブラリーが乏しすぎて、辛辣な言葉を放っているように思えるかもしれないが、そんなつもりは無いので許してね」といったところ…。
言われてみればそのままの話で…。
事実、youが最初に抱いた「オブラートに包んでほしい」という要望がどうして叶わなかったのか、という答えでもあった。
なんだが真に受けた自分が急に馬鹿々々しく思えて、
youは目尻に涙を溜めたまま、思わず吹き出してしまった。
「プッ…ハハ!ああ、うん……そっか…。」
「you…?」
「カルナ、わたしも謝りたい。」
「謝りたい?何に?」
「貴方に。」
「…俺に?何故?」
「ちょっとばかし己惚れていたから。」
「・・・?」
「カルナのこと、大分分かったつもりでいちゃってた。でも、まだまだだって…思い知って、それが何だか悲しかったり悔しかったりで居た堪れなくなって…。」
「俺を理解しようとしてくれている…その事実だけでも俺には十分有り難いことだ。」
「でも、分かり合うって難しいね。」
「そうだな…しかし…俺は君とは分かり合える気がする。勿論、今のようにすれ違いそうになることもあるかもしれないが……それでも、俺は。」
「わたしも、カルナと分かり合いたい。」
お互い向かい合い、自然と笑みが浮かんだ。
そうして自分の考えが伝わったと安堵したカルナは、
ほっと小さな息を吐き、未だyouの目尻に溜まる雫の欠片を指で掬い取ってやった。
「じゃぁ、これからすれ違わないようにどうしたらいいか考えないとね…。」
「それは…難しいな…俺がもう少しこの環境に慣れる必要もあるだろう。」
「そうですな、確かに。」
「だが、それまでにまた君を泣かせてしまうことは避けたい。正直、とても困った。」
「ご、ごめんなさい……泣き顔汚いよね。今度は耐えます…!」
「いや、そうではない。少し気分が昂ってしまったからな。なるべくなら避けたいのはその所為なのだが、俺の事情はこの際どうでもいい。つまらん些細な事だ。」
いや、大分大きな事で全然些細じゃないんですが…。
と、まさかのカルナのトンデモ発言に目を丸くするyouだったが、
当の発言者本人は全く何処吹く風とばかりに自分の心の内をサラリと吐き出してそのまま流してスルーを決め込んでいる。
それ以上深く突っ込むのも怖く思えて、
その件に関しては口を噤むことにしたyouであった…。
「じゃぁ、今度からお互いに気になることがあったら合図を送ってみる、とか…?」
「言葉で伝えればいいのではないか?」
「それじゃまたこじれませんか?」
「そう…だな……そうだな。では、どうする?」
「んー……手を握…」
「肩を組むのはどうだろうか。」
「は?」
「変か…そうだな…確かにおかしいな……では、抱擁はどうだろうか?」
「ちょ、ちょっと待ってカルナ…!近ッ!距離近ッ!!//」
話しているうちに、何故かカルナはズンズンと距離を詰めてきて、
気付けば15cm定規程の距離で顔を覗き込まれていた。
「カルナ…顔…近いです…//」
「そうか?では離れるか……ところで顔が少し赤いようだが、熱でもあるのか?体調が優れないのに無理して俺との話に付き合うことはないぞ…?」
「誰の所為だと……いや、もういいですそれは!体調が悪いわけではないので心配しないで…。」
「そうか、ならばよかった。」
「ええと、それで……。」
「合図は抱擁でいいか?」
「ダメです、よくない。」
性質なのか、人種の違いなのか…。
距離の近さにしても、肩を組んだり、抱擁することも
カルナ本人は全く意に介さないようだ。
youとしては、カルナに対して未だその存在に対して緊張している部分と、
更にそれが異性であるというところで照れ臭さから享受できないのだが…。
「…では、どうする。」
「う〜ん……あ!じゃぁ、そういう時はカルナのこの宝石触ってもいいかな?」
「・・・。」
「あれ…だ、ダメでした?胸のそれって触ると痛いの?」
「いや、そんなことはないが…。」
「??」
「見掛けによらず大胆なのだな、youは…。」
「え、ちょっと待って何でそうなった。」
「ああ、だが…それでも構わない。好きにしてくれ。」
「そして急に投げやりに!!」
「だが、俺はお前の胸に触れるわけにもいかないだろう?さて、どうしたものか…。」
「(成程、それで大胆という事か…言われてみると確かに…そう、なんだけど……だがしかし、だったら何故!もっと胸元を隠す服を着ないんだこのサーバントは!!)」
心の中で盛大にカルナにツッコミを入れ、
言いたいことをぐっと我慢するyou。
運が良いのか悪いのか、その様子はカルナの視界には入っていなかったようで、
彼は瞑想の如く、未だに目を閉じて考えを模索している。
そんなカルナの目を開かせたのはyouの閃きの声だった。
「あ!」
「何かいい案を?」
「髪に触れるのはどうでしょう?嫌かな…?」
「お前の髪に?」
「うん。あ、別に触れたくないならカルナ自身のでも…。」
「こうか?」
言うが早いか、先程離していた2人の距離が再び近付く。
至近距離でyouの髪をひと掬いし、
カルナはじっと彼女の瞳を見つめた。
「っ……!//」
「・・・。」
形容し難い程神秘的な淡い翡翠の眼があまりに綺麗で、
視線を外したいのに外すことができず、youはコクリと小さく息を呑む。
抜けるような白い肌は彼が凡そ人とはかけ離れた存在であることを主張しているようで、それがまた緊張を誘う…。
これからどう反応すればいいのかさえ思考できずにyouが固まっていると、
カルナは徐にその手に掴んだ一房にそっと口付けた。
「かっ……カル…な…さん?//」
「どうした、you……また、顔が赤いようだが。」
「近い……から…!//」
「近いと……赤くなるのか?」
「こ、困る…から…//」
「何故困る…??」
「それは……その…い、色々です…ッツ!//」
「・・・色々…。」
コクコクと頷き、youはゆっくりと後ずさりし、
カルナとの距離を徐々に離していく…。
彼の手中にあった彼女の髪はするりと重力に従った。
「you…。」
「は、はい…?」
1m程だろうか…遠くもなく、適度な間隔を取ったところで、
急にカルナがyouの腕を引いた。
本日何度目かの近距離対面となり、
つい先程と同じように、髪を一房掬い取られた。
それはつまり、早速カルナにとって何かしら気になる事が起きたからということで…。
「っ……か、カルナ……何か…ある、の?」
「ああ……少し、尋ねたいのだが…。」
「な、なに…?」
「youは……俺を嫌悪して避けているのか…?」
「何で?!そ、そんなことないよ!嫌いなんて、避けてなんて…!!」
「では何故、俺から離れようとする…?」
「だっ!だからそれは色々と…困るから…。」
「俺が近付くことが不快なら、ハッキリそう言ってくれて構わない。」
「そんなんじゃないです!寧ろ…!//」
「寧ろ…………?」
「うっ…!//」
「不快ではなく、寧ろどう思っているんだ?you?」
「〜〜〜ッツ!!//」
まるで尋問のように突き詰められ、顔を真っ赤に染め上げるyou。
それもお構い無しにズンズン距離を詰めてくるカルナは、
もしかすると確信犯なのではないかという疑念を抱いてしまうほど…。
「答えてくれ、you。」
「あーもう!言います!言うからそんなに近付かないでください…ぃ…//」
「…分かった。」
「あのね、つまりその……カルナの顔……凄く綺麗だから、近いと(いや、近くなくてもだけど)直視できなくて、困る、の…//」
「綺麗…なのか?」
「うん……凄くね。」
「賛辞の言葉、感謝する。」
「ドウイタシマシテ。」
「だが、何故そんなことで……離れずとも…。」
「だって恥ずかしいというか、緊張するというか、ドキドキしてしまうよ!」
「すまないが、俺にはその気持ちが分からない…。」
「おふっ!!」
喩えるなら、ガァン!と金ダライが頭上に落ちてきたような衝撃。
分かってはいたが、なかなかの辛さである…。
勿論、youとてカルナを恋愛の対象として見ているワケではないのだが、
カルナの言葉はつまるところ、全く持って「女」として見られていないと取れるワケで…。
これは自分も彼の宝石を触る機会が訪れたか…と思い、カルナの胸元に手を伸ばすも、
いやしかし、これはカルナの言い回しがどうという問題ではないので、
別の言葉に言い換えることもできないだろう…と、伸ばした手を制止させる。
そんな風に吐血しそうな勢いでショックを受けていると、
途中で制止させた手をパッと取られ、カルナの胸元へと押し付けられた。
「かっ、カルナ…??」
「何故、離れなければならない?」
「え、だからそれはさっき…」
「綺麗ならもっと見ればいい。俺はそうする。そうしている。」
「はい…?」
「俺はyouという存在がとても好ましい。纏う雰囲気も凪いでいて、顔も愛らしいと思う。触れて分かったが髪も好きだ。とても良い香りがする。」
「は、あ…。」
「好ましく思っているから……近付きたいのはそのためだ。だから、離れたいと言われ、嫌悪されているのかと思ったんだが…。」
「!!」
それは全く予想外の言葉と理由だった。
近付く理由と離れたい理由が真反対だったのだと、
そこでやっと互いに気が付くに至った。
生まれた環境の違いというべきか、在り方の違いというべきか…。
分かってしまえば、収束は簡単で…。
「まさか…わたしがカルナを嫌いになるなんてこと、絶対にありえないよ……。」
「そうか…それを聞いて安心した。」
「でも、やっぱり恥ずかしいから、わたしの顔が赤くなったら少し離れてね。」
「ああ……いや、そうだな……だが、照れている顔は一段と可愛らしいぞ……見つめるのはダメなのだろうか?」
「だっ、ダメですっ!!絶対ダメ!//」
「そうか……残念だが仕方ない。」
僅かに残念そうに呟くと、カルナは己が胸に押し付けていたyouの手をそっと解放してやった。
御互いに気持ちの整理がつき、カルナは少し苦笑しながら言葉を漏らす。
「しかしだ……合図というものは言葉少なな会話なはずなんだがな。」
「あはは、確かに。合図使っても、わたしたち、凄く多いですね。」
「ああ。だが、きっとこれで良い。会話が苦手な俺にとって、いい修行になるだろう。」
「…カルナはわたしとお話するの……苦痛だったり…?」
「しない。とても……幸福な時間だ。」
「っ……わたしもです!」
「これからも、懲りずに俺と沢山話しをしてくれるだろうか、you?」
「勿論ですっ!」
これ以降、合図と称して、全く関係ない時にも事ある毎にカルナが髪に触れてくるようになった為、
最終的に合図は棄却になってしまったのだが…それはまた別のハナシ…。
初めて得られた
とても とても
幸福な時間
words from:yu-a
title by:Kiss To Cry
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