garb of love. 番外編
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小指と小指
運命の
赤い糸
garb of love
愛してるの理由を知る
「お菓子をいただきました。」
「よかったな。」
「ちょうど良いので今からティータイムにしましょう!」
特に何の予定もない午後。
人からもらったという菓子折りでお茶をすることにしたyouとカルナ。
可愛らしい洋風のパッケージを開封すると、
箱の中には、色んな種類の焼き菓子が敷き詰められていた。
「わぁっ!おいしそう!」
「ああ、そうだな。」
「どれにしよう、迷っちゃうね…カルナはどれにする?」
「オレは何でもいい。」
「もー、あんまり「何でもいい」を多用する男性はモテないですよ、たまにはカルナからどうぞ!」
「…遠慮ではなく、実際余り物でも何でも良いからそう言っているのだが…そうか、youはこの返答があまり好きではないのだな…今後はなるべく自分の意見を言うよう善処しよう。」
「ん、よろしくお願いします。」
「では……オレはこれをもらおう。」
「じゃぁわたしはこれー。」
そんなやり取りで始まった何でもないいつもの寛ぎの風景。
お互いどんな食べ物が好きかなどのありふれた話題で情報を交換し、
youはカルナへの理解を深め、カルナもまた彼女への理解を深めていく。
「好きといえば、カルナの好みのタイプってどんな人なの?」
「好みの異性、という意味か?」
「うん。」
「特に求めるところは無い。」
「無いんだ…何か予想通りではある。」
「ただ、耐え難いとは言わないものの、例えば、好いた相手がのんべんだらりと不摂生な生活を送っている場合は些か注意をしたくなるかもしれんな。」
「家から出ずにゴロゴロしてたり、惰眠を貪ったり、変な時間にご飯食べたり、間食したり、部屋を散らかして片付けなかったり?」
「ああ、正に。だがまぁ、youに限ってはそのようなことは無いし、仮にもしyouがそのような人種であっても、それもまた人としての個性。オレがお前を嫌悪することは皆無だ。」
「うーん、カルナの場合はそこ…「嫌いになる」というより「心配になる」って感じなのかな?」
「そうだな…そういうことになるのかもしれん。」
「成程ねぇ…。」
何個目かの焼き菓子を口にし、ふーん…と納得したような声を出すyou。
そんな彼女に、今度はカルナが「お前はどうなんだ」と問い掛ける。
「youは、あるのか?」
「え、好みのタイプですか?」
「ああ。」
「割と健康的で筋肉がある感じの人かなぁ…細マッチョ体型というんでしょうか…素敵です。」
「・・・。」
「あと、最近は「ドSだけどいざという時にデレてくれる理系の先輩」みたいな感じの人とか…会ってみたいな~って思います。」
「そうか…。何かよく分からないが、心底悪寒がする…。」
「でも、やっぱり一番はカルナみたいに思いやりのある、あったかい人が好き。」
「そう、か……そうか…。」
欲目というか、何と言うか…と、自分で感じながらもエヘヘ、と綻んだ笑みを浮かべるyou。
彼女としては最終的に「貴方が好みのタイプです」と伝えたかったのだが、
当の本人はそうは思えなかったようで、ポツリと不満を零すように彼の口からは言葉が漏れた。
「しかし、最後の部分以外、オレはお前の好みのタイプには見事に当てはまっていないようだったな。」
「え、んー、まぁあくまでも好みの問題ですし、実際に好きになることが大事ですから…。」
「そういうものだろうか……。」
「そういうものです。だって、わたし、カルナの傍にいると、それだけで幸せになれるの……それって、すごいよね。」
「you…。」
「好みだから、とかじゃないでしょ?」
「…そうだな。」
「やっぱり、カルナが凄い存在だからかなぁ…。」
「いや、それは違う。」
「?」
肩書きの通り、太陽神の子だから、寛大な逸話があるから、特別な存在だから…と言う彼女に彼は間髪入れずに否定の言葉を返した。
「それは、youがオレを幸せにしたいと想っていて、オレもyouを幸せにしたいと想っているからだろう。」
「!!」
「これからもずっと、そうして過ごしたいと思う。」
「…うん…//」
ふわ、と安心したような、満たされたような柔らかな笑みを浮かべて頷くyou。
カルナの言葉は良い言葉も良くない言葉もストレートなところが心に響く、と彼女は常に思う。
その言葉の本質…即ち、カルナの本当に伝えたいことを理解するまでに中々大いに時間を掛けたが、
理解できてしまえばその全てが有難く、為になり、そして何より愛しく思えるようになった。
「わたしこそ…カルナ、これからもずっと…隣にいてくれると嬉しいです。」
「勿論だ。オレの命ある限り、お前を傍で守ると誓う。」
「……ありがと。」
まるで騎士のようなカルナの台詞に、とろけるような表情を浮かべて微笑むyou。
互いに「この時間がずっと続けばいい」と感じているのは言わずもがな、といったところだろう。
「ああ、わたしの小指の赤い糸、カルナに繋がってたらいいな。」
「赤い糸…何だそれは?」
「そっか、カルナは生まれた場所も時代もわたしと違うから知らないのか…。」
「?」
「えっとね、『運命の赤い糸』っていう言葉があってね、わたしも曖昧にしか覚えてないんだけど…むか~~し昔の伝説があってね…。」
「ほう…。」
彼女はうろ覚えながらもその伝説を語り出す。
その昔、活玉依毘売(いくたまよりびめ)という姫がいました。
姫が美しい女性に成長した頃、彼女の元に毎晩通ってくる男性が現れたのです。
その男性はとても高貴で立派な男に見えましたが、いつも夜になってから姫の所に行き、夜が明ける前に帰ってしまうので、
彼女は明るい所でその男の姿を見た事がありませんでした。
どのくらいの逢瀬か分かりませんが、
姫はその男と夫婦の契りを結び、間もなく妊娠しました。
何も知らなかった両親は娘の妊娠に驚き、相手が誰なのか問いつめ、
娘もまた正直に、今までのことを両親に説明しました。
「名前も何も知らないけど、姿のたいへん立派な男の人が毎晩来て、夜明けになると、どこかに帰ってしまうのです。」
話を聞いた両親が不安になったのは言うまでもなく、
その男の正体を暴くべく、提案をしました。
「その男が来たら、寝床の前に赤土をまきなさい。そして麻糸(あさいと)を通した針を服に刺しておきなさい。
その糸を辿れば住んでいる場所がわかるでしょう。」
そしてその夜、姫はその通り実行しました。
男が帰ったあとにその糸を辿ると、三輪の神社に着いたので、
男が三輪の神様である大物主神(おおものぬしのかみ)であることを知ったのです。
その昔、赤土には、邪を防ぎ相手を特定してくれる力があるとされていました。
その赤土が付いた糸が『運命の赤い糸』を思わせ、大切な人を導いてくれると言われるようになったそうです。
「それから、その三輪山伝説によって赤い糸が広まり、結婚の際に契りを意味すると言われるお互いの小指に赤い糸を結ぶのが流行したことで、今でも『運命の赤い糸』なんて言葉が存在するんです。」
「そんな伝説があるのか。」
「名前とか、うろ覚えですけど、わたしの知ってる伝説は今のものです。ほかの国にも似たようなお話があるようですよ。」
「そういえば、我が故郷の一部の地域では、結婚式のときに赤い紐や布で花嫁と花婿を儀式的に結び夫婦円満を願う風習があると聞いたことがある。いつ頃はじまったものか、結婚もしていないオレはよく知らないが…。」
「おお、赤い糸ですねー。」
「それにしても、父といい、神も好いた女性に子を孕ませることができるのか…であればオレもいつかは……。」
「おーい、カルナさーん…また下心声に出てますよー。」
「心に秘めているワケではないから、率直な気持ちだと受け取ってくれ。」
「いっそ清々しいな!!」
「だが、今は英霊としての現界であるから、難しいところではあるな。」
「(どうしよう、まだ語ってる…。)」
「受肉すればyouとの子を授かるというのは、叶うものだろうか?」
「わ、わたしに聞かないで…//」
「すまない。少し気が昂った。」
「そのようですね。」
「youは…嫌…だろうか、オレとの子を成すというのは…。」
「い、嫌なわけないです!!……カルナは……カルナはわたしの好きな人、ですから…//」
「ありがとう、you。」
「いえ…//」
「もし、オレが今生で受肉を果たすことがあれば……いや…。」
「?」
突如、予定していた言葉を言い噤み、カルナは暫し思考を巡らせる。
そこに、ふいに彼の視界に菓子折りの包装紙が視界に入ってきた。
カルナはそれに徐に手を伸ばすと、それらを纏めていた真っ赤なリボンを手に取り、youの小指に結び付けた。
綺麗な蝶々みたい、と微笑む彼女にカルナも優しく笑みを浮かべる。
「急にどうしたの、カルナ?」
「いや、ちょっと思うことがってな……反対側はオレの指に結んでくれないか?自分では結べないんだ。」
「これって……。」
カルナの意図に気付き、照れ臭そうにほんのり頬を赤らめながら、youは彼の小指に自分と同じ赤い蝶を結び留めた。
「ありがとう、you。」
「赤い糸、だね。」
「ああ、そうだな。」
「わたしの小指の赤い糸……カルナと繋がってるね。」
「オレはyouと繋がっているな。」
「カルナ…っ。」
「?!」
とても温かく、嬉しそうに微笑んだ後、どうしてか彼女は突然に顔をくしゃりと歪ませて、涙を零す。
カルナ自身も微笑み合った時に同じように「温かく嬉しい」気持ちを抱いたので、何故泣き出したのかが分からず、ギョッと目を開き、オロオロと動揺し始める。
「何故泣く?すまない、オレは何か余計なことを言っただろうか?」
そんなカルナの問いに、首を横に何度も横に振り、NOを示した後、youはガバッとカルナに抱き着いた。
「カルナ…わたしカルナが好き、大好き……ずっと傍にいたい、ずっとカルナの隣にいたい…。」
「you…。」
「だけど、叶わないことも知ってる……英霊の座に戻ったら、カルナがここでわたしを想ってくれた気持ちや想いは、残らないんだって。」
その言葉を聞いて、ようやっと急に彼女が泣き出した理由を全て把握する。
そして同時に、それが全くの杞憂であることを伝えるための言葉の用意をし始めた。
「you…それは…。」
「前に、ずっと覚えてるって言ってくれたこと、凄くすごく嬉しかった…。もしかしたらカルナならって……思った、だけど……やっぱり…。」
「…you、顔を上げてほしい。」
「…っ…。」
カルナの落ち着いた呼びかけに、youは抱き着いていた腕を緩めて、少し羞恥を抱きながらもグズグズの顔を上げて彼を見つめた…。
真に悲し気な表情をしているyouの手をそっと掬い取り、己が口元へと持っていくと、そのまま軽く紐の結ばれた小指に口づける。
「・・・。」
「you……もし、今生で受肉を果たすことができなくとも、オレはこの赤い糸を手繰って、いくつもの輪廻の果てにお前を探し、見つけよう。」
「カルナ…。」
「なに、そんなに難しい事ではないはずだ。何せオレはこんな性格だからな…誰かと契りを交わして、守り抜かねばならないと決めたならば、このレコードが英霊の座に戻ったところで、動き出すことは必然だろう。」
「だけど…。」
「オレがそう決めたことだ。お前が自分を卑下して嘆くことなど一切必要ない。」
「…っ…!」
「オレがyouの傍にいたいから、そうするんだ。」
「・・・。」
「たとえ世界との契約を解き、英霊の座から退くことになろうとも。」
「!!!」
「それでもオレは、オレを選んでくれたお前を望みたい。」
それはいつになく真剣な表情で、穏やかなのに胸がぎゅっと苦しくなるくらい優しい声だった。
一度止まったyouの涙が、再びぽろりと、水晶の欠片のように零れ落ち、それと共に抑えきれない疑問や不安の言葉が吐き出される…。
「わたしはただの人間です…ただ、カルナが好きというだけの、ただの人間。なのにどうして、カルナはそんなにもわたしを想ってくれるの?わたしが傍にいてほしいと望むから…?」
「オレが万人を愛おしむ事に理由は無い。ただ、一様に愛おしいと思うからだ。だが、youは違う。」
「…違う?」
「生まれた場所も、時代も、その存在ですら全てが異なるというのに、オレへの敬愛と畏怖と、混沌とした感情の中にちゃんと愛情を感じられる。それはyouが万人の英雄ではなく、ただただ言葉足らずで不器用な…一人の男である「カルナ」としてオレを見てくれているからだ。」
「それは…おかしなことなの?」
「ああ、大分奇矯だな。だからこそ今まで、オレは自分の性質を変えようと努めたこともなかったし、相手の反応に一喜一憂することに驚きや喜びも感じることはなかった。ただ、それも世の常、世の無常だと受け入れてきた。」
「でも、自分の思うようにいかなかったり、意見が合わなかったりすると、悔しくない…?悲しくない?意気投合できたら楽しいよね?」
「そうだな…その悲しみや辛さ、もどかしさ、楽しさ、喜び、オレはそれをyouと過ごして改めて気付かされた。ただ、流れていくだけのオレの心を掬い上げてくれたのはお前だ。」
「・・・カルナ。」
「感謝している。そして、ずっと傍でお前とその心を分かち合いたいと願っている。オレがお前を選ぶのはそういう理由だ。」
「カルナは……こんな、わたしでいいの…?」
「オレはお前以外を求めはしない。」
不安なら、不思議なら、恐れるなら、何度でもそう伝える…と、最後に付け加えて、カルナはフッと目を細める。
そして、握っていた手を解いて彼女の両頬へ添えると、そのままゆっくりと口付けた。
「・・・。」
「you、つまり、そういうことだ。オレの気持ちは変わらないし、運命の赤い糸もお前と繋がっている。」
此れ、このように…と。自分の小指の赤いリボンを見せつける。
「故に、お前の憂いは…そう、全くの杞憂、というやつだ。」
「ありがとう、カルナ…本当に、いつも特別な言葉をくれて。」
「どうということはない。それに…オレにとってはyouからもらえる言葉もきっと同じくらいの価値を見出している。」
フンス、と少し鼻息荒そうに圧を掛ける姿が、いつもの低血圧っぽい様子とかけ離れており、彼にしては珍しく自己主張強めに訴えている様子…。
それが何だかとても嬉しくて、有難くて、愛おしくて…。
youは笑い泣きしてしまうのだった。
「思ってること全部伝えて、想ってること全部言ってもらえたらすごくスッキリしたかも……カルナ、中断しちゃったお茶会の続きをしようか。」
「そのことなんだが、you…オレは今とても幸せで、できればこの赤い糸を解きたくない自分がいる。」
「ん、ああ……そうだね、勿体無いし……繋いでいたいよね。」
「そこで、少し提案がある。」
「提案?」
コテンと小首を傾げるyouの両手をガッシリと掴むと、カルナはじっと目を逸らさずに割と重めな提案を持ち掛ける。
「このままyouとまぐわいたい。」
「うん??」
「これは勿論、繋がる赤い糸が幸せだからという理由なのだが、疑われてしまった事に対してのほんの僅かな憤りも含まれている……気がする。器の小さな男ですまない。」
「えーっと…。」
「youがオレの気持ちを疑ったわけではなく、英霊(サーヴァント)としての在り方を考えて不安になってしまったのだと頭では理解している……だからこそ申し訳なくも思うが。」
「ちょ、ちょっと…。」
「なので、できればyouが僅かな不安も抱かない程に身も心も愛したいと思ったんだ、ああ、そうだ……つまりそういうことだな。」
「ひ、一人で完結している!!ちょ、ちょっと待ってカル…」
「受肉していればオレとの子を孕むくらい、愛させてほしい。」
「ストレートにセクハラ……え、こわ…。」
「オレが愛しさを伝えることはお前にとって不要なことだろうか?嫌なら別にそれでも…」
「そ、その言い方は卑怯だぁああ!!!」
他のサーヴァントならいざ知らず、ことカルナに於いてはほぼ全ての言葉が本心で…。
拒否することもできるが、拒否した理由を理解してもらうことでまた色々と思考の労力を駆使せねばならない…。
そして付け加えるのであれば、you自身がカルナの求愛に応えたいと思っている事が八割以上を占めているわけで…。
「全然必要……ですっ…//」
「承知した。」
結局、真っ赤な顔を両手で覆いながら、カルナに抱き上げられてしまうのであった。
直径1mの赤い糸
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*