Little Lark 〜君へ謳う〜 (アカギ)
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名前以外分からない
お前のすべては
どこにあるんだろうな
名前
鷲巣邸からyouを連れ出すことを決めたアカギ。
玄関までyouと手を繋いで歩いてきたが、そこで何故か彼女の手がゆるりと解かれた。
「you?」
「・・・。」
「どうした?」
「・・・いいの?」
「・・・何が?」
「・・・出ても・・いい?」
「変なヤツだな、出なきゃ何処にも行けないだろ?」
「・・・。」
外と中を隔てる位置に立つアカギとyou。
不安気にその境界線を見つめるyouを見て、アカギがそっと口を開いた。
「you。」
「・・・。」
「・・・おいで。」
「!」
呼びかける声に反応して顔を上げれば、陽の光の中でふっと微笑むアカギの姿がyouの目に映る。
白銀の髪が日差しでキラキラ輝いて見える。
それはまるで、youがあの日、平山幸雄を見たときに感じたような甘い感情…。
それがyouの身体中を駆け巡り、気付けばアカギと同じようにその身に陽を浴びていた。
「人に抱きつくのが好きなのか?」
「・・・かい…。」
「え?」
「あった、か、い。」
アカギの胸に頭を預け、youは涙を流していた。
少し驚いたような顔をしたが、すぐにアカギは微かな笑みを浮かべて言った…。
「そうだな……いい天気だ。」
とても、感慨深い何かがあって流れた涙なんだと、聡い彼が分からないはずはないのだ。
ただ、それを忘れて今を生きている彼女は、白…。
真っ白で…。
そこから、記憶が紡がれていくのであれば、間違いなく自分が今そのキャンバスの筆を握っている。
独占欲にも優越感にも似た、しかしながらその大半は善意で占められている自分の意外な感情に少し戸惑うが、
それでも先が楽しみに思えて、ただ、知りたくて、フフっと笑った。
「そろそろ行くか…。」
アカギの言葉にニコリと笑うyou。
笑顔は彼女の肯定の意味なのだと、勝手ながらもアカギはそう思うことにした。
*。゜.*。゜.*。゜.*
鷲巣邸から東京へ戻ったアカギは、鷲巣の件以前から知り合いだった刑事の安岡を訪ねた。
「この娘が鷲巣の屋敷に…?」
という安岡の質問に対し、アカギは彼女と出会った経緯を詳しく話し、
部屋で見つけた平山とyouとの筆談メモを渡す…。
「これは…!」
「そう、youは平山を知っていたんだ。」
「じゃぁ何故彼女は警察に連絡しなかった?対決した日に屋敷にいたってことじゃないか!」
「ああ…でも、話してみて分かったろ、安岡さん。」
「・・・。」
「アイツは言葉をなくしてる。」
「みたいだな…単語の意味や言葉は分かるが、それが口から出てこない、言葉を忘れてる…今の彼女はそんな感じだ。」
「筆談なら流暢にいくかと思ってここに来るまでに試してみたけど、ダメだった。」
「平山と出会った時には使えていた言葉が、ひと月足らずで急に使用できなくなった…ということか。」
「…鷲巣の家で何があったと思う、安岡さん…?」
「……調べてみるか。」
『一応な』と一言添えて、平山のメモをアカギの手から抜き取る安岡。
結果が分かるまで、連絡が取れるところにいるように指示され、
風来坊を決め込もうとしていたアカギは仕方なく、鷲巣との対決で世話になったスポンサー、
稲田組の若頭、仰木の元へと身を寄せることとなった。
「また、暫くお世話になりますよ、仰木さん。」
「いいや、どれだけいてもらっても構わん、お前にはいくら礼を言っても言い足りんくらいの恩がある。」
「ハハッ、そんなこと言って…また高レートの勝負持ちかけてくるんじゃないの?」
「そんな邪推はよしてくれ『アレ』以上に手強い相手は探そうったってもう早々には見つからん。」
「・・・それもそうですね。」
くくっと笑いながら廊下をあるくアカギ。
youはそれを見上げて不思議そうな表情を浮かべる。
しかしながら、アカギが笑っていることが嬉しかったようで、すぐにその表情は緩んだ。
仰木に客室まで案内され、アカギとyouが暫しの間滞在する場所が決まった。
「ここが客間だ…好きに使ってくれて構わない。えーと、彼女は隣の部屋でいいか?」
「いや…一緒でいい。」
「そうか…?」
「何時、何がきっかけで何が変わるか分からないから…。」
「なるほどな。」
「気遣いありがとう、仰木さん。」
「いや、何かあったら俺か下のモンに言ってくれ。」
そう言って仰木は部屋を去り、アカギとyou、2人の時間が訪れた。
綺麗に手入れされた庭を窓から眺めるyouに目を遣り、声を掛けるアカギ。
「出たいのか?」
「・・・いい、の?」
「いいんじゃないか?」
鍵を開けてガラス戸をスライドさせる。
備えられた草履を履いて外に出れば、広がる景色にyouの顔が眩しそうな笑顔に変わった。
「い…。」
「?」
「き、れ、い。」
「ああ、綺麗だな。」
「あり、がと、う。」
「・・・なにが?」
「外に・・・出て、うれ、しい。」
「・・・you。」
「ありがとう、ユキ。」
「・・・。」
未だ自分の事を平山だと思っている彼女に少しだけ苛立ちを覚える。
軽い火傷が治りかけているような、ヒリつく痛みを胸の奥に感じた…。
「you。」
「?」
「アカギ。」
「??」
「赤木しげる。」
「????」
「アカギ赤木あかぎあーかーぎー。」
「あ、か、ぎー。」
まるで小さな子どもに言葉を教えるように、youに自分の名前を覚えさせる。
自分を指差して「アカギ」と連呼する彼を見て、youもアカギを指差して言う…。
「ゆき?」
「違うよ、アカギ。」
「あかぎ。」
「しげるでもいいけど……。」
「し…げる!」
「ゲルって強調すんな…やっぱアカギだな。」
「あかぎ。」
「そうそう。」
「あかぎ!」
「覚えたか?」
にこり、微笑んで肯定の意を示すyou。
アカギもふっと満足そうに笑みを浮かべた…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
あの男の名前を消した
いつか憎まれる日がくるだろうか
ただ、今は
オレの名前を一番に
描きたかった
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*