Little Lark 〜君へ謳う〜 (アカギ)
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馬鹿げている
オレの考えていること
全てが 馬鹿げている
夢の飼い主
自分の腰にぎゅっと抱きついているyouに目を落とし、アカギは暫しフム…と思考を巡らせる…。
「なぁ、アンタ、名前は?」
「?」
「オレはアカギ…赤木しげる。」
「ゆき。」
「違う、赤木。」
首をゆっくり左右に振り、否定の意を彼女に示すと、
彼女はそれより早いスピードで首をブンブンと左右に振る…。
そして、言う…。
「ゆき。」
「・・・アカギ。」
「ゆき。」
「・・・まいったな…。」
外見は自分と変わらないくらいの年齢に見えるのに、中身は園児にも劣るよう。
そう判断したアカギは、大きな溜息を吐いて腰に巻きつく彼女の腕を解いた。
背の高いアカギは少し身体を屈めて、彼女と目線を合わせて話しかける…。
「なぁ、ここは鷲巣巌の屋敷だろう?アンタはココの関係者か?」
「?」
「主は少し前にここからいなくなったはずだ……その間アンタは何処にいたんだ?」
「・・・・・・!」
アカギの言葉を聞き、暫くそれについて考えていた様子のyou。
何か思いついたようで、にこりとアカギに微笑んだ後にアカギの手を引いて歩き出した。
雀卓の間を出て、光の差し込む廊下を歩く…。
真っ赤なカーペットに白いワンピースがよく映えると、アカギはぼんやり思った。
東の塔の二階に上がり、奥にある部屋でyouが立ち止まる。
「ここに…何かあるのか?」
そうyouに尋ねれば、彼女は何ともなしにその部屋の扉を開けてアカギを招き入れた。
youの部屋を目にしたアカギの反応は、奇しくも、あの日、平山がした反応と同じだった…。
目を大きく広げ、周囲をぐるりと見回す…。
「……ここは…。」
発した言葉も同じもので、youの目がほんの少し輝きを増した。
「お前の部屋…か?」
「・・・。」
アカギの質問に言葉ではないものの、ニコリと微笑み返すyou。
肯定なのだろう…、そうアカギは思った…。
youが自分のベッドに腰を下ろして寛ぎ始めたので、
アカギはその間に彼女の部屋を調べることにした。
引き出しの中や鏡台、洋服ダンスや本棚…。
ありとあらゆるところを漁ってみたが、彼女の名や鷲巣との関係性を示唆するような重要な手掛かりは得られなかった。
諦めかけたその時、ふと目に留まったのは鏡台の脚に挟まれた何か紙のようなもの。
綺麗に折りたたまれていたその一枚をアカギは丁寧に開いてみる…。
『こんにちは 私の名前はyou。あなたは?』
『人と話をしたくないの 歌、聞いたの?』
『聞いたのが貴方でよかった。あの人の前では歌わないし話さない、そう決めてるから。』
『だから今日みたいに雨の日で、あの人がいない時しか歌わないの。』
『ねぇ、それより名前!貴方の名前を教えて?』
一枚のメモに書かれた文字を上から順に読み上げていくアカギ。
その次に書かれた文字に、彼は大きく目を見開いた。
「『平山幸雄』」
ハッと顔を上げ、ベッドに座すyouと、メモを交互に見遣る。
「平山幸雄…ゆきお………ユキ。」
「?」
アカギの呟きにyouは不思議そうな顔で目を向ける。
一方のアカギは彼女の鍵を一つ見つけ、その内容を整理していた。
彼女の苗字は分からないが、名前はyou。
彼女は鷲巣邸に住んでいて、平山がここを訪れた際に彼と出会った。
では何故彼が死んだことを警察に報告しなかったのか…。
否、彼だけではなく、彼以前にも鷲巣の犠牲となった者はいたはず。
彼女は共犯者なのか、それとも他に理由があってこの家にいたのか…。
ミステリアスな存在であることに変わりは無く、アカギの好奇心は募るばかり…。
気付けばメモを握り締めたまま、彼女の前に立っていた。
「オレと一緒にくるか、you?」
「?」
「オレはお前の言う「ユキ」じゃないが、「ユキ」を知ってる人間だ。」
「ユキ…。」
「お前の話を詳しく聞きたい……いや…。」
いい噤んだアカギは言葉を探し、暫く黙る…。
暫しの後、しゃがみ込み、ベッドに座るyouと目線を合わせる。
「アンタのことが知りたい、you。」
アカギの強い眼差しにも怯まず、youは視線を逸らさずに見つめ返す。
一分程経過したところで、youの唇が微かに開き、綺麗な瞬きをした。
するり…と、しゃがみ込むアカギの首に腕を伸ばして、体重を預けるyou。
アカギはそれをしっかりと受け止め、抱きしめた。
*。゜.*。゜.*。゜.*
忘れ形見?
あの魔物の?
なんて言葉が脳裏を過り
思わず笑いそうになったけど
それもまた狂気染みていて
面白いじゃないか
だから そう
おれは夢の飼い主になることを
決めた
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*