Little Lark 〜君へ謳う〜 (アカギ)
name setting
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
鳴けないカナリアになど
生まれなければよかった
もしも変われるものならば
ヒバリ、あなたに。
朝に愛を歌う鳥に
なりたかった
恋
数時間の間、ずっとyouは平山のことを質問していた。
たまに平山から彼女に尋ねることもあったが、軽く答えてすぐに彼への質問に転化させた。
一つ話をする度に目を輝かせながら平山の話を…もっと聞かせてと笑う。
それはまるで、小さな子どもが世界中を旅する旅人に冒険の話をせがむかのよう。
自分の話だけでこんなに時間が過ぎると思っていなかった平山だが、
気付けば本当に色んなことを彼女に話していた…。
安岡という悪徳刑事と組んで裏世界の麻雀代打ちとして生きてきた期間のこと。
その途中で出会った勝負師たちの話…。
中でも自分と顔立ちが似ている「赤木しげる」という男の話は
己が歴史の中でも大きなターニングポイントだったため、特に盛り上がった。
そんな話をある程度終え、youが用意した紅茶を啜って一息入れた時
どうしようもなく気になって、平山はついに一つの疑問をyouにぶつけた…。
「……なぁ、お前何で…!?」
『こんなところにいるのか』という質問はyouの差し出した指によって塞がれた。
およそ2秒後、指をそっと離し……そっと口を紡いだ。
そして、youは再びペンを手に取り書き始めた。
『私がココにいる理由はヒミツ。ユキは知らないでほしい。』
「「知らないでほしい」?なんで?」
『上手く言えない』
『たぶん』
『ユキのことが好きだから』
ペンを机に置き、平山の顔色を伺うyou。
見上げた彼の顔は驚いたように目を丸くし、次第に頬が赤く染まっていく…。
そんな平山の顔を見てyouは嬉しそうに笑った。
「ユキ、凄い顔!」
「ばっ、バカか!からかうんじゃねぇよ!///」
「からかってないよ、少し本気なんだから!」
「な…なんだよ…少しって。」
「……もっと…いっしょにいたいね。近付きたかった。」
「………。」
「ユキの手に触れて、ユキの顔に手を伸ばして、ユキに抱きつくことができたなら……
それはとっても幸せで、それはとってもあたたかくて…
本当にあなたのことが好きなんだと、そう思えるんだろうね。」
そういい終えた後、youは平山に笑いかけた。
ただ、その微笑がとても痛くて、でも柔らかくて愛しくて…。
思わずガタっと椅子から立ち上がってしまった手前どうすることもできなくて、
平山はyouに歩み寄って彼女の腕を引く。
思いがけない勢いで腕を引かれたyouの身体は椅子から離れ、
気付けば平山の腕の中に全て納まっていた。
「ゆ、き…?」
「お前の好きなオレはココにいる、だからそんな……泣きそうに笑ってんじゃねぇよ!」
「……ありがとう。」
youはそっと目を閉じて、ずっと平山の心音を聞いていた。
それは永遠にも思える、でもほんの刹那の時間…。
確かに彼女は平山に恋をしていたのだろう。
そして彼もまたyouに惹かれ…
そして決してしまった。
『彼女を縛る何かを断ち切りたい』と。
そして、ちょうど平山の温度がyouの身体に浸透したくらいの時間に
youはそっと身体を離して、机の上に目を向けた。
沢山の会話が書き込まれた紙に、また言葉を追加する…。
『でも家に帰った方がいい。あの人が帰ってくる前に、早く。』
「あの人…?」
『この家の主。』
「鷲巣?」
『そう、ユキは彼と勝負しに来たんでしょう?最近のそれ、何か嫌な予感がするの。』
「嫌な…予感?」
『いつもココに来た人、隠れて窓から見てるんだけど……。』
「…うん?」
『最近……屋敷に来た人、ちゃんと出てく人がいたり………いなかったり、する…。』
「泊まってるとかyouが帰るトコを見逃してたり、屋敷で働くようになったとかじゃないのか?」
『そうかなぁ…?』
「いや、知らねぇけど…。」
『でも、もう帰った方がいい。』
「そういうワケにはいかねぇよ。」
勝負師として売られた喧嘩は買うという部分。
それに加え、ここまで来て「帰ります」といえるような世界ではない。
そして、平山は鷲巣に会いたいと思うようになっていた…。
そう、youのことを知りたいと思ったから。
しかし、そんなことお見通しとばかりに彼女の注意が飛んだ。
声色もそうだが、目つきも先ほどとは打って変わって厳しい瞳で平山を見つめる…。
「じゃぁ、私に会ったことは言わないで。」
「あぁ、何かワケありみたいだしな、youは。」
「言うときっと酷いことになる……私も、ユキも…。」
「………。」
「私、ユキには幸せになってほしい…。」
「…オレよりyouだろ。」
「え?」
「youの方がオレより随分不幸そうな顔してる。」
「なっ!何ですって!?」
「ははっ!冗談だよ、でも半分本当だ。オレもyouに幸せになってほしいと思うぜ?」
「…あ、ありがとう///」
素直に感謝の言葉を告げるyouにふっと微笑み、
平山が照れた顔の彼女に手を伸ばしたときだった…。
雨音に混じって車のエンジン音が響き、玄関がざわつき始めた。
「帰ってきたみたいだな、鷲巣巌…。」
「…ユキ…。」
「ん?」
「約束よ、言わないで…あの人に話さないで、私のこと……。」
「あ、あぁ……。でも大丈夫か、you…顔色悪いぞ…?」
「大丈夫、大丈夫だから行って…もう出て行って!!早く!!!」
最後、部屋いっぱいに大きく叫んだ彼女は平山の背をぐいぐいと押し始めた。
そのまま部屋の外に出され、内側から鍵を掛けられる。
彼女の取り乱しぶりに暫し動揺を隠せずにいた平山だったが、
自分も現在、立ち入り禁止の場所にいて、
このままでは厄介なことになるという事実を思い出し
仕方なく彼女の部屋に背を向けて歩き出した…。
鷲巣巌との対決に向かって…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
あなたに出会う前までの私
鳥は空を飛ぶものだということも
人は恋をするものだということも
知らなかった
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*