Little Lark 〜君へ謳う〜 (アカギ)
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道を歩き出した
野良猫と迷い猫
あの日の僕等はそんな2匹
ふたり
「こんなもんか?」
「!」
腰に腕を当てて、アカギはぐるりと部屋を見渡した。
youは横に並んで、アカギを笑顔で見上げる。
「ん、どうした?」
「!!」
「満面の笑み……そうかそうか、お前も嬉しいか。」
「!」
「何か大体分かってきた。」
表情で彼女の喜怒哀楽を読むことが容易くなってきたと…アカギは軽く笑う。
犬猫の類より反応が分かりやすいペットを飼っている気になるアカギなのであった…。
この日、アカギは仰木宅を少し離れた町に引っ越した。
勿論youと共に。
別に仰木の家に居られなかったわけでも居心地が悪かったわけでもない、
ただ、何となく2人で過ごしてみたいと思ったのだ。
「何となく、な。」
「?」
呟いた言葉に不思議そうな顔をしてアカギを見上げるyou。
くしゃっと頭を撫でて、アカギはもう一度家具類をきちんと整理し終えた新居を見回す。
「さて……これからの役割分担だ。」
「?」
「いいかyou、明日からオレは仕事(という名の博打)、そんでお前は勉強だ。」
「・・・。」
「嫌そうな顔すんな、文句があるならオレと口喧嘩できるくらいのレベルまで上がって来い。」
「〜〜!」
「いいな?」
顔は物凄く渋い顔をしていたが、確かに今の自分には記憶や言葉、自分自身のアイデンティティまでが定まっていない。
それはyou自身、よく分かっていたため、不満気ながらもコクリと頷いた。
「そういえばお前、出会った時はまるでダメだったが、記憶も少し思い出したし…もしかして今は少し読み書きできるんじゃないか?」
「・・・。」
youはゆっくり頷く。
それならば話が早いのでは?と、アカギはペンと紙を持ってきて自分の名前を書いて渡した。
「オレの名前は『赤木しげる』。」
「アカギ……。」
アカギに渡されたペンを持って、youもその下に自分の名を書いた。
「『私の名前はyouです。』か……知ってるけどな。」
「・・・。」
「『だから、オレの名前はユキじゃない、分かったか?』」
「…ユキ?」
「?」
メモに書いたメッセージを見せたyouの反応があまりに意外だった為、
アカギは咄嗟に顔を上げて彼女の顔色を伺ったのだが…。
次に書かれた文章を見てアカギの目は大きく見開いた。
「『ユキって、誰?』……誰って…お前…。」
「?」
きょとんと、不思議そうな顔をしてペンを握り、アカギを見上げているyou。
アカギは胸の内がざわりと鳴るのを感じた。
「オレと…よく似てる男……お前、初めて会った時にオレをそいつと間違っただろ?覚えてないのか?」
「・・・?」
「『知らない。』……っ…!」
「?」
更に書き足された一文を読み上げ、アカギの顔が歪にゆがむ。
普段感情を表に出さない彼の顔がそこまで変化するのは大変珍しいことで、
しかもそれは彼らしからぬ「罪悪感」という感情によって形成されていた。
何もかもが初めての、出来事、感情。
アカギはゆっくりyouに手を伸ばし、数回頭を撫でると突然その身体を抱きしめた。
「ごめんな…。」
「・・・。」
「オレもお前の記憶を消させたんだな…。」
「・・・。」
「ユキ」と平山に向けられた柔らかな笑顔を自分のものにしたくて、彼女の中から平山幸雄の存在を消してしまった。
何もかも失った彼女が唯一幸せを思い出せる記憶だったのに。
「オレも…結局鷲巣と変わらないじゃないか…。」
「・・・。」
ぎゅうっと抱きしめてくるアカギから離れたがった様子のyou。
もぞもぞと腕の中で動いたので、アカギはそっと身体を離したのだが…。
身体が離れた瞬間にyouの腕がアカギの頭に伸ばされ、その頭を撫でた。
「you…。」
「だいじょー…ぶ?」
「………ああ…大丈夫だ。」
軽くふっと笑い、心配そうな顔を向けてくるyouに「ありがとな」と告げた。
「you。」
「?」
「悪かったな…オレなんかと一緒で。」
「・・・。」
「でもな、本当にお前の自由な世界が始まれば、きっと平山も笑うと思う。」
「・・・?」
「今までお前が見れなかった世界を、オレがこれから見せてやるよ。」
「・・・。」
「だから……これから、よろしくな。」
「!」
微かに寂しそうな表情を浮かべながら、アカギは握手を求めてyouに右手を差し出した。
youはというと、アカギと…差し出された右手を交互に見遣りそっと両手でそれを包む。
「…you?」
「よろ、しく。」
「…ああ。」
柔らかな微笑を向けられ、アカギは戸惑いながらも一度頷いた…。
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何もかも
初めてを始めよう
ふたりで
words from:yu-a
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