Little Lark 〜君へ謳う〜 (アカギ)
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一つ思い出した記憶は
とてもあたたかで
思い出と涙が溢れて
おまけに詩まで零れ落ちた
笑顔
若い男に絡まれていたyouを助け、アカギは夕刻を過ぎるくらいになって彼女と2人で仰木宅まで帰ってきた。
随分遅かったですねと心配そうな顔を浮かべる仰木の部下に軽く侘びを入れ、用意された食事を食べる。
そんな折、玄関から「お疲れ様です!」と気合の入った男性の声が口々に飛び交い
暫しの後、アカギとyouの前に仰木が現れた。
「今帰ったのか、アカギ?」
「仰木さん…ええ、ついさっき。」
食事の場に顔を出した仰木と話すべく、アカギは箸を置く。
youは一瞬食事を止めて立ち上がったアカギを不思議そうに見たが、すぐにそのまま黙して食事を続けた。
そのままアカギは仰木と部屋を出て外で今日の事を話し出す…。
「それで…安岡の持ってきた情報は?何か重要なものだったか?」
「…ええ、まぁ…。」
「一体どんな…。」
言い渋るアカギを催促するように、仰木が尋ねる。
「youは……鷲巣の子どもでした。」
「なっ?!!」
「正確には養女……中学の時に施設から鷲巣に引き取られたそうです。」
「まさか……鷲巣と付き合いはそれなりにあったが、そんな話は一度も…。」
「そう、誰も知らない…youが引き取られた理由も、事実も。」
「事実も?」
「…中学、高校等…学歴が無いそうです。」
「抹消したのか、あの男が?」
「いえ、そんな面倒な真似すらしていませんよ、通わせてないんですから。」
「何だって?!それじゃぁ彼女は引き取られてからずっと鷲巣の家から出てないのか?!」
「・・・そうなりますね、情報が正しければ。」
「一体何のために」と呟く仰木だったが、それは彼だけでなく安岡も…そしてアカギさえもその疑問を抱いているのだ。
答えは返ってくるはずも無く、仰木はただ、扉の向こうで食事をしているであろうyouの方を向いて深刻な表情を浮かべた…。
「とりあえずはyouと2人で過ごしてみようと思います。」
「・・・そうか。」
「だから明後日くらいにはここを出ようかと。」
「またこれは唐突だな。」
「ハハ…今更……仰木さんもオレの性格は知ってるでしょう。」
「・・・確かにな。」
出会ってからそう時間は経過していないが、赤木しげるという男ほど「常識」という言葉が似合わない者はいない。
仰木はそう改めて思いなおして、軽く笑った。
組として『赤木しげる』という代打ちのブランドを手放すのは勿論惜しいが、
そんなもので縛れる程安い男でないことは言われずとも分かっている仰木。
ただし、困った時は頼ること、youの情報を運んでくる安岡と連絡が取れるようにするために
住まいを変える時は安岡か自分のどちらかに連絡を入れることを「youのために」という名目で固く約束させた。
*。゜.*。゜.*。゜.*
食事を終えたyouは、仰木と話していて食事が遅れたアカギを待たずに部屋へと戻った。
(出て行く際に、白いご飯を口に運びながら「お前結構薄情なのな」とアカギに言われたことは気にしないことにする。)
「おかあさん。」
今日思い出した、大事な人の存在を思い返す…。
「ただいま」という言葉にいつも「おかえり」と笑って返してくれた姿。
台所で家族の分のご飯を作る姿。
傍にはいられなくても、思い出せたことが嬉しかった。
Amazing grace how sweet the sound
アメージンググレース 何と美しい響きであろうか
That saved a wretch like me.
私のような者までも救ってくださる
I once was lost but now am found,
道を踏み外しさまよっていた私を神は救い上げてくださり
Was blind but now I see.
今まで見えなかった神の恵みを今は見出すことができる
「歌だけは完璧なんだな。」
「あ!」
「皆まで言うな。」
「アカギ!」と続きそうなyouの第一声にストップをかけ、アカギはyouの横に並ぶ。
今日は特に嬉しそうな顔をしていると思ったのは、やはり母親の件だろうかとアカギは思う。
すると、ふと、洋服が揺れていることに気付き、横に目を遣れば、youが自分を見上げて服を引っ張っていた。
「あかぎ。」
「どうした…?」
「…おかえりなさい。」
「!?」
そう告げてにこりと微笑んだyouに不覚にも動揺するアカギ。
少し驚いたような顔で彼女に問う。
「はじめてだな、そんな風に挨拶するの……何か思い出したのか?」
「おかあさん。」
「…まさかとは思うが、オレのことをそう呼んだりしてないだろうな?」
それに対しては流石にブンブンと首を横に振る。
ほんの少しはそう思っていたので内心ホッとする自分がいると気付くアカギであった…。
「母親のことを思い出した…か…?」
コクリと頷くyou。
「覚えてることと忘れてること……本当にまばらなんだな。」
「・・・・。」
「……いいさ、オレは聞かないから。」
「?」
「お前が思い出したことや覚えてること……話したい時に話せばいい。」
「・・・。」
「話したくなったら……話せばいい。」
「あかぎ。」
「ん?」
名を呼び、アカギの言葉を遮るように横を向かせたyou。
見れば、彼女は両手を少し大きめに広げてアカギを見上げている。
「いつもの、か。」
ククッと笑い、アカギはyouの身体を抱きしめる。
広げられたyouの腕はパズルのようにぴったりとアカギの背中にはまった。
*。゜.*。゜.*。゜.*
生まれて初めて出会った
あんなに優しい笑顔
それさえも もう
自分のモノだと思っている
words from:yu-a
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