Little Lark 〜君へ謳う〜 (アカギ)
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それでは一体何故
何もかも
失ってしまったのだろうか
真実
安岡がyouに関する驚くべき情報を持ってきたのは、
アカギたちが仰木の家に滞在し始めて数週間後のこと。
仰木に電話を渡され、受話器越しに安岡から「色々分かったことがある」と言われ、
署内では何だから…と、落ち合う場所を伝えられた。
昼過ぎにyouと共に待ち合わせの喫茶店に入れば、
既に安岡が席に座り、コーヒーを飲んで待っていた。
「よォ、アカギ!」
「どうも。」
サッと右手を上げて場所を示した安岡。
彼の元へ足を運び、アカギはすぐに向かいの席に座る。
youは安岡をじっと見た後、ふっと微笑み、深く一礼した。
「you、隣おいで。」
「ん。」
アカギの呼びかけにコクリと頷き、youは彼の隣に座った。
2人の遣り取りを観察するように見ていた安岡がヘェ…と言葉を漏らす。
「初めて会った時より平気そうだな…youちゃん。」
「ええ…色々連れ出して人に慣れさせましたからね…。」
「…怯えてなかったか…物珍しそうに周囲を見たりは?」
「・・・どういうことですか。」
安岡の質問にアカギも真剣な顔つきで尋ね返す…。
横に置いていた鞄から、何枚かの紙を取り出し、テーブルの上に広げる。
「鷲巣巌の戸籍謄本だ。」
「鷲巣の?」
「ああ・・・。」
「彼女の本名は別にある…いや、あった、が。結論だけ言うと、現在の名前は…鷲巣you、だ。」
「鷲巣…you?!」
「籍に入ったのは彼女がちょうど中学2年の時…それまで一年程施設にいたらしい。」
「鷲巣に引き取られた?」
「施設に問い合わせたところ、遠い遠い親戚の関係にあたるらしい。」
「鷲巣と…コイツが?」
「血縁関係なんかもう殆ど見られないくらい遠い遠い親戚だそうだ。」
「他に引き取り手はいなかったのか・・・?」
「皆それぞれの家庭があるとのことで、已む無く施設に来たらしい…。」
「ふーん、薄情な親類縁者だな…まぁ、このご時世、人間皆そんなもんか。」
注文を取りにきたウェイトレスにコーヒーとジュースを注文した後、
アカギはおもむろに安岡の持ってきた資料を手に取る。
「…それで、色々調べてみたが…youちゃんが学校に通っていた形跡が無い。」
「・・・。」
「それどころか、引き取られて中学編入、高校入学…そういった学歴、記録が全く無い。」
「つまり…学校へは行っていない。」
「そう……行っていないというよりは…。」
「幽閉……監禁状態にあったと予測される。か…。」
「何故かは分からん…何の意図があって、遠い親戚の彼女を引き取ったのか、平山やその他の事件に関与しているのか…。」
「・・・全てはyouの記憶の中…ですか。」
「そういうことだ。」
持って来られたジュースを嬉しそうに飲んでいるyouを横目で見遣り、
何か考えるような表情を浮かべた後、アカギは安岡に礼を述べる。
「安岡さん、ありがとうございます。」
「いや、構わん…俺も平山に関してのことは知りたかったからな。」
「平山…ね。」
「なんだ?」
「いや、何でもありませんよ。」
「後は…そうだな…一つ気になることとしては…。」
「他に、何かあるんですか?」
「いや、事件性の方面から考えてのことだ…こんなんでも一応刑事だからな。」
「フフ…一応、ね。」
「笑うな!」
軽く舌打ちをして、タバコに火をつける安岡…。
白い煙をフーッと吐き出し、言葉を発した…。
「お前の持ってきたメモ……見つけたのはあの一枚だけか?」
「・・・ええ、確かに。」
「何処にあった?ゴミ箱か?」
「いや…鏡台の下に…折りたたまれて挟まれてた。」
「意図的に隠した…。」
「youが…?」
「…隠したということはこれが大事だったということだ…重要だった…見つかりたくなかった…誰に?」
「鷲巣に…?」
「これは平山との会話…平山との会話を鷲巣に知られたくなかった。」
「……。」
「違うと思うか?」
「もし鷲巣に知られないようにだとすると、何故?」
唇に手をあてて、悩むような表情を浮かべるアカギ。
そんな彼に安岡は煙をもう一回体内に注ぎ込み、口を開く…。
「もう一つ仮説がある。」
「・・・。」
「警察に知られたくなかった場合だ。」
「youが鷲巣の悪行を知っていて、意図的に隠した?」
「そうは考えにくい、か…確かにな。」
「…それだと一枚だけ残しておく必要性がないでしょう。」
「そうだな…。」
「もし、youがこれを隠したのなら、もっと…もっと単純な理由な気がする…。」
「単純?……たとえば…?」
安岡の質問に、アカギは暫し黙った後「なんとなくです」と、軽く息を吐き出して笑った。
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あの男との会話だったから
大事に取っておきたかったんじゃないか?
その真実は分からないけれど
そんなこと言いたくなかったし
考えたくもなかった
words from:yu-a
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