with you. 〜君と僕との永遠性〜 (アカギ)
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人は自分が消えたとき
何か残せるのかな
じゃぁ
私は何かを残して
貴方に探してもらおう
with you.
~君とボクとの永遠性~
07:白い手、赤い血
昭和40年 夏…
治と別れて、数ヶ月。
アカギとyouは千葉県で時を過ごしていた。
このところ3ヶ月ほど、アカギは毎月第2、第4土曜の夜に開かれる丁半博打の賭場に通っている。
言うまでもなく連戦連勝を続けているのだが……
それによって気分を害した組の者に何かされるのではと内心いつもハラハラしているyouであった。
今日も今日とて、巡って来た第2土曜。
食事を取った後、暫くしてアカギが立ち上がった。
「…ちょっと、出てくる。」
「今日って第2土曜だっけ?また丁半博打ですかぁ?」
「…まあ。」
「うーん……ね、アカギさん…今日はやめとかない?」
「…なんで?」
「何でって……何となく。」
「………。」
立って黙したままのアカギにyouがポツリと呟いた。
「特に理由はないんだけどね……なーんか嫌な感じがして。」
選んだ道に後悔をしない男、それがアカギという男。
それ故「彼女の言葉通りにしておけば」などという思いは浮かばないものの…
確かに彼女の読みは当たっていたと思わざるを得なかった。
気づけば自分は賭場の倉田組の組員に取り囲まれ、
後頭部を強制的に押され、無理矢理に畳に伏されていた。
それはやはり3ヶ月に渡っての連戦連勝が祟ったということ。
その期間でアカギが荒稼ぎした金額はおよそ2000万。
彼の調和を無視した大勝に、これが限度…と、倉田組は暴挙に出た。
「命乞いしろっ…!そうすれば命だけは助けてやるっ…!」
倉田組、丁半賽の壺振りの山中、彼の怒りの声が賭場にビリビリと響く…。
周囲の客が未だかつてないシチュエーションに怯え、声を震わせている中、
ただ…アカギだけが射抜くような瞳で山中を見ていた…。
「フン…やっぱりな……動じねえヤローだ……。」
「もういい」との山中の言葉で、アカギの背にかかっていた重力が無くなる。
そして、その代わりに……と、山中は…否、倉田組はアカギに最後の丁半博打を持ちかけた。
賭場が失った人気と金、そしてプライドを取り返すために…。
勿論アカギは二つ返事で「面白い…」とその勝負を承諾。
壺を振るのより先にアカギがコインで丁半を決することを取り決めとし、勝負が始められた。
「…決したっ……!一枚握った…10円なら丁、5円なら半……。」
一同が固唾を呑んで行く末を見守る中、山中が壺を振る…。
そして出た目は……。
「四、五の半っ…!」
「え…?」
「バ…バカな…!」
「だって…。」
場に転がる賽の目は三、五の丁。
そして、アカギが張ったのも丁。
ただ、目の前の真実を歪曲する倉田組に一般客が口を出す。
次の瞬間、そんな彼らの眼前に刀が抜き下ろされた。
「「ひっ…!」」
「なにか問題か…?口にするなよ…メッタなことは…。」
かくして、孤立無援、四面楚歌となったアカギ。
「勝負あった」と、組の一人が2000万が入ったアカギの鞄に手を伸ばす…。
「ぬかすな……!丁だっ……!」
そんなアカギの主張を嗜めて説得するような倉田組代貸。
それに続いて組の者たちも、人数ではこちらに武があるとアカギを笑う。
「どいつもこいつも……地獄へ堕ちやがれっ……!」
だれもが息を呑んだ…。
これで終わろうかというところにアカギは更に石を投じようというのだ…。
一度投じた石によって波紋は広がり、波風を立てる…。
皆騒ぎ出し、収集がつかなくなってしまう前に
山中はついに最後の決断をアカギに強いた…。
「お前が妙なことを言わなければそれで全て丸くおさまる。
へたな発言は俺をはじめ……ここにいる全ての人間を愚弄することにつながる。
そこのところをよくよく考え、心して答えるんだ。
この目……丁か…半か…?」
山中の問うそれは、丁半ではない。
生き死にの問題なのだ。
しかし、アカギにとってそれは…。
「……仮に……この国…いや…そんなスケールでなく……
ユーラシアからヨーロッパ、北米・南米…それこそ……
この世界中の全ての国々を支配するような……そんな怪物…
権力者が現れたとしても……ねじ曲げられねぇんだっ……!」
皆、顔面蒼白でアカギを見つめる…。
「自分が死ぬことと……博打の出た目はよ…!
丁だっ……!!!」
「きさまっ……どこまでなめくさるかっ……!!」
たかだか二十歳前後の若輩者に博打の何たるを語られ、
いよいよ頭にきた組員の一人がついにアカギを斬りつけた。
アカギの右肩から鮮血が飛び散り、その腕を頬を赤く染める…。
これは脅しの一撃…。
次は首を落とすという警告。
それでもアカギは丁を選び、組員は刀を振り上げた…。
「(you…ッ!)」
死ぬことに悔いが残るとすれば、それは……
今、無意識に頭を駆けたその名の持ち主を想うからだろう…。
しかし、刀はアカギを裁断することなく制止した…。
突然の来訪者によって
アカギは命を永らえたのだ…。
「アカギっ……!」
その後のことで覚えているのは、丁半の出目がその来訪者によって敷物ごと吹き飛んだのと
聞き知った男の声が、自分を呼んでいたことだけだった…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
「ただいま。」
「アカギさん!!」
ドアを開けるなりアカギに飛びついてきたyou。
その衝撃が未だ癒えない傷に響き、アカギの顔を少しだけ歪めさせた。
「アカギさん?」
「ん?」
「怪我……してる、の?」
「ああ…大した事無い。」
「やっぱり……賭場で何かあったの?!3日も帰ってこなくて……心配したんだよ!?」
「ごめんごめん。」
「何があったの?!ちょっと怪我、見せて!」
無理矢理上着を脱がし、ゆっくりと包帯をはずしていく。
現れた刀傷に息を呑み、そして賭場で何が起こったのかを察したyou。
「だから、嫌な予感するって……言ったのに。」
「予感的中、あれは凄いと思った。」
「アカギさんっ!冗談言ってる場合じゃないでしょ!こんな……こんなっ…。」
後ろから抱きつかれ、youの透明な涙がアカギの背に当たった…。
そんなyouの不安や心配を他所に、アカギ本人はというと…
どれもこれも、彼女のものであれば触れるもの全てが心地よいと微笑んでいた。
「もう、暫く安静にしてないと駄目だからね!」
それから、涙目で怒りながら包帯を巻いていくyou。
その細い指が自分の肌に触れる度にアカギは何故かムズムズと歯痒い感じに襲われていた。
「(何だ?)」
「ねぇ、アカギさん!ちゃんと聞いてるの?」
「まぁ、うん。」
「聞いてないな…。ま、どうせいつも言ったって聞いてくれないし……はい、巻き終わりましたよ。」
「何か……ムズムズする。」
「え?!ごめんなさい!巻き方おかしかったですか?!」
「……ムズムズ…?………あぁ、なるほど!」
「??」
ポン、と手を叩き、アカギはyouを振り返った。
「ムラムラの間違いだった。」
アカギの台詞に嫌な予感を覚えたyouは、一瞬のうちに部屋の隅に逃げていた。
アカギは立ち上がってyouに近づき、真剣な顔つきで言った。
「成程、もう数日ヤってないからムズムズっていうかムラムラすんだよな。」
「ちょ…アカギさん?」
「3日分、栄養補給したい。youが食べたい。」
「飯食えよ…。」
「あらら……3日帰ってこなかったの怒ってるのか?」
「そうじゃないけど…。」
「じゃぁ…。」
そう言って、youにキスを迫るが、
youはアカギの顔を掴んでそれを制止させて言い放つ。
「そっ、それに!アカギさん怪我してるし!傷開いちゃうかもだし!!」
「それでもいい。」
「っていうか開くし!」
「いいって。」
「怪我してるんだよ!?」
「俺は怪我してても、ちゃんとyouをヨくしてやれるよ。」
「シャラップ!」
顔を真っ赤にさせ、youは立ち上がったのだが、
アカギにベッドに突き飛ばされ、あっさり仰向けに組み敷かれた。
「もういいだろ……とにかく欲しいんだよ…youが。」
首筋に顔を埋められ、囁かれる。
最終段階というべきか、耳まで真っ赤になったyouにはもう逃げる術はないようだ。
そのまま赤い痕を付けられ、その先の行為に至った…。
情事後、アカギは倒れるようにyouの身体に覆い被さった。
未だ互いの呼吸は落ち着かず、肩で息をしている…。
繋がったままの状態でアカギはyouを強く抱きしめ、
何かを決意したように言葉を紡ぎ始めた…。
「…you…、オレが殺人鬼と死闘するって言ったらどうする?」
「……する…んでしょ…。」
「止めないのか?」
「止めたらやめてくれるの?」
「……やめねぇな。」
「それ、聞く意味無いよね。」
「だな。」
「アカギさんは負けない、よね。」
「ん。」
「じゃ、私はそれを信じるだけだな。」
言った後、アカギの首に腕を回そうと手を天井に翳した瞬間、目に映った赤色。
ハッとしてアカギの肩に目をやると、包帯に血が滲んでいる。
「アカギさん…傷口が…。」
「あ?気付かなかったな……。」
「アカギさんの……。」
「え?」
「血……。」
「you…?」
「何だろう、その死闘……とっても嫌なんだけど。」
「けど…?」
「とっても重要な気がした。」
翳されたままの手を眺め、スッ…と涙が頬を伝った…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
(消えて、消えて、お願い)
(二度と見たくない…こんな)
(コントラストがやけに鮮やかな)
白い手、赤い血
*。゜.*。゜.*。゜.*