with you. 〜君と僕との永遠性〜 (アカギ)
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きっと
出会う運命だった
with you.
~君とボクとの永遠性~
01:会いたかったひと
「素敵過ぎるっ…。」
パタン…と、ベッドの上で漫画本を閉じてyouは目を閉じた。
浮かび上がってくるのは今しがた読んでいた漫画の主人公。
「アカギさんは素敵すぎるっ!」
「くぅ~っ!」っと、声にならないような声を上げながらベッドに投げ出した足をバタバタさせる。
それから熱っぽい溜息を吐いて、願望を告げる。
「はぁ……会いたいなぁー……赤木しげるに。
どっかに落ちてないかなー。落ちてこないかなー。
っていうかむしろ私が昭和にトリップしたい。
愛でたい…13歳のアカギ少年を愛でたい…。
19歳20歳も。老アカギも愛でたいよぉーー。」
目出度いのはお前の頭である。
そう、きっと誰もがツッコむようなコトをつらつらのたまう。
「でもアカギさん、死んじゃうんだよ…ね…。」
そう呟いた後、言いようもない気持ちになる。
何か…表現のしようも無い、切ない痛みがyouの胸をギュっと掴んだ。
「それでも……例えアカギさんの未来を知っていても……
やっぱり会いたいよね。」
うん、と頷きゆっくり目を閉じた。
それから数分、目を閉じたままでいると次第に眠気に支配される…。
読書後にすぐ寝てしまう予定は更々無かったが、
寝台の……布団の魔力とは恐ろしいもので、数分仮眠の予定が
しっかり数時間睡眠を取る羽目になる。
その一般論に関してはyouも例外ではなく…。
「……ん……?」
ムクッと起き上がってyouは携帯に手を伸ばす。
ディスプレイに表示された時間を見て「あちゃー」と眉間に皺を寄せた。
「3時26分だって……。」
「さっきまで12時だったのに!」と言って、肩を落とした。
「どうしよ……そのまま寝ちゃいたいけど、お風呂入りたいな…。」
風邪を引くかもしれないという懸念はあったが、
季節は真冬というわけでもないので大丈夫と思い、youは立ち上がった。
そのままバスルームに直行し、シャワーを浴びる準備を整えた。
「やっぱり深夜はちょっと冷える、かな。」
ギュっとシャワーの方へ蛇口を捻り、水がお湯に変わるのを暫く待つ。
湯気が出てきたので手で温度を確かめ、丁度いいと判断したyouは
シャワーを自身の身体に浴びせた。
「気持ちいいっす………やば……凄い眠い。」
水に当たれば普通は目は覚めるものだが、
何故かyouを強烈な眠気が襲った。
「……なん…で……すごい……眠い…よ…。」
その瞬間
youの視界はブラックアウトした。
*。゜.*。゜.*。゜.*
「あーぁ、返り血付いてら…。」
夜闇をタタタ…と、走り抜けながら、赤木しげるは呟いた。
血糊の付いた紺色のシャツを指で摘まんで、溜息を吐く…。
「っていうかさっきの男……誰だったんだか。
確か市川がどうのって言ってたよな…。」
喧嘩にしろ勝負事にしろ、さほどインパクトのない対戦相手はこの男の記憶に残りはしない。
しかし、市川という男には覚えがあった。
その対決はちゃんと彼の脳裏に焼き付いていた。
それは6年前、自分がまだ13の時。
初めて麻雀と出会うきっかけとなった南郷という男の、その未来を勝ち取った勝負…。
盲目の代打ち……それが市川だった。
「……久々に楽しかった勝負か……懐かしいな。」
ふっと微妙に微笑んだのち、アカギは急に立ち止まる。
今しがた通り過ぎた路地から人の声が聞こえた気がした為、だった。
かなりの距離を走ったというのに、肩で息をすることもなく…
何ともない、といった顔で声のした方へと歩いていく。
「誰か、いるのか?」
ビルとビルの間に挟まれた狭い通路を覗き込む。
「人の……足…?」
何かの物陰で見えないが、人の足のようなものがそこから突き出ている。
酔っ払いにしては細く…そして白い足。女性のもののようだ。
不思議に思い目を凝らすと、アカギの目に映るその足は裸足…。
そもそも、酔っ払いだとしても靴は履いているはず…。
彼はそのまま歩みを進めた…。
「!?」
そこに倒れていた女の、その全身を視界に入れたとき、アカギの目は大きく見開かれた。
というのも、彼女は一糸纏わぬ姿でそこに横たわっていたから…。
アカギはその場にしゃがみ込むと、彼女の腕を掴む。
その体温は温かく、脈打つそのリズムからは彼女の生が確認できた。
腕から手を離し、今度は首元に手を添えてみた。
首にかかる髪の毛がアカギの手に当たり、水滴がその手を伝った…。
「濡れている。どういうことだ?」
不思議そうに彼女の顔を見るアカギ。
暗くてよく見えない、と顔を近づけた時だった……
今まで雲隠れしていた満月が顔を出し、放たれた月明かりが彼女の全身を照らした。
「ヘェ、これはナカナカ。」
クスっと笑って、彼女の肩を掴み揺すってみた。
「生きているなら、今度は声を聞いてみたい」
そんな願望からだった。
ニ、三度揺らしたところで、声が漏れた。
「…ん……ぁ…。」
「オイ、大丈夫か?」
今まで閉じられていた桜色の唇が微かに開き、
そこから放たれた言葉から
全てが始まる。
「ぁ……アカギ…さ…ん?」
「ぇ?」
まどろむ様に閉じられた瞼は、
それ以降呼びかけても開かれることは無かった。
「今、こいつ……俺の名前を…。」
見覚えは、無い。
「俺を……知ってた?」
囁くように放たれた疑問の言葉は
月の輝くインディゴブルーの夜に溶けた。
*。゜.*。゜.*。゜.*
(今のはアカギさん?)
(会えたの?でも貴方は死んでしまうの?)
(あぁ、でも貴方は私の…)
会いたかったひと。
*。゜.*。゜.*。゜.*