with you. 〜君と僕との永遠性〜 (アカギ)
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貴方の深い
輪廻の中
ちゃんと
貴方を探すから
めぐり逢おう
また
貴方に出会いたい
with you.
~君とボクとの永遠性~
13:さよなら、またね
90年代後半…
「you……具合は?」
「しげるさん!」
アカギが病室に入ると、youは嬉しそうに微笑んだ。
ベッドの傍に来て、客人用の椅子に腰掛ける…。
アカギが来たことで、寝ていた身体を起こす。
枕に背を預けてアカギに再び微笑み掛ける。
「いらっしゃい?」
「毎日来てるだろ「おはよう」とかでいい。」
「でも、もうお昼になっちゃいますよ?」
「それもそうだな。」
他愛もない会話で笑みを溢した。
ふと、youが思い出したように言葉を放つ。
「ね、しげるさん……これは内緒にしててほしいって言われてたんだけど……。」
「言われた…?」
「うん、あのね……実はちょっと前に…って言っても一月くらい前なんだけど…。
ひろゆきくんがお見舞いに来てくれたんだ。」
「ひろが?」
「ふふ……偶然病院内で会ったとも言うんだけどね。
ひろゆきくんは、しげるさんが「麻雀仲間だ」って言って何度か家に連れてきたから覚えてたんだ。
そういえば、麻雀が強い「天さん」って方はまだ紹介してくれないの?」
「そういえば天には会わせてなかったなぁ…。
にしても、ヒロが病院?何だぁ?誰かの見舞いか何かだったのか?」
「正解!……でも、会ったこと、しげるさんには言わないでほしいって言われちゃったの。」
「そうか…。」
「何か「自分は赤木さんに合わせる顔がないですから」とか。」
「ハハハ……頭に浮かぶな。」
「ふふ……何か治くんに似てるかもしれないって思っちゃった。」
「治か……懐かしいな。」
「元気してるかな?」
「お前がそう思うなら元気だよ、きっと。」
そう言ってアカギは少し椅子から身を乗り出し、youの頭を撫でた。
どれだけ時間が過ぎても、変わらない2人の遣り取り…。
youは幸せそうに「ありがとう」と笑う。
そして、話を再開させた……。
「ひろゆきくん、自分の話を全然してくれなかったの。」
「俺に今の生活を知られるのが怖かったんだろうな。」
「真面目に働いてるみたいだし、自信持って生きれば全然恥ずかしいコトなんてないのにね…。」
「ま、それが分かってないんなら、まだまだケツの青い餓鬼ってコトだ。」
フッと笑って、youに視線を合わせるアカギ。
つられて彼女も少し笑い、それからアカギに手招きをした。
その行動に「ん?」と微かに声を発し、
アカギは椅子をベッドの横にピッタリくっつけてyouの傍に寄った。
「だからね、私の話を聞いてもらっちゃった。」
「へぇ。」
「殆ど惚気話になっちゃったけどね。」
「それはそれは……災難だな、アイツも。」
「どういう意味~?」
「長くなったろ?」
「そ、そんなこと…無いと思う、よ??」
「なぁ、you、お前……俺のことどのくらい好きだ?」
「それはもう!凄くいっぱい!!」
「ありがと…よっ!」
そう言うや否や、アカギはyouに不意打ちでキスをした。
唇が離れて暫く目を丸くしていたyouだったが、
すぐに頬を赤く染めてアカギを見やった。
「しげるさん…///」
「な、こういう話を凄くいっぱいしたんだろ?」
「しっ、してません!!」
「ホントか?」
「……ちょ…ちょっとだけ。」
「ッハハ!!」
大笑いするアカギに対し、頬を膨らませて怒るyou。
プイっと反対方向を向いた彼女に呼びかける。
「で、ひろゆきにどんな話しをしたんだ?」
「ん……しげるさん、いつか…私が自分で作った歌を教えたの……覚えてる?」
「…ああ、確かお前が「デート週間」とかのたまってた時期、どっかの宿で聞いた…?」
「のたまったって……ひどい。」
「ハハハ…すまんすまん。」
「まぁ、でも……正解なんですけど…。」
「それがどうかしたのか…?」
話題を元に戻すようにyouに向き直ったアカギ。
そんな彼の反応に、youも「そうそう…」と真意を話し出す…。
「実はね、アカギさんと離れ離れになった時、もう一つ作ったの。」
「へえ………聞かせろよ。」
「だめ。」
「……何で。」
「私の考えてることを書いただけのものだし。」
「お前の考えてるコトなんて……俺のコトだろ?」
「ちが……/// し、しげるさんがね、鍵を見つけたら歌を教えてあげる!」
「……鍵か……隠したのか?」
「……秘密。」
「オイオイ……ちょっとハードル高すぎやしないか?」
「ふふ……ちょっとくらい私の為に悩んでよ、ね?」
「いつも悩んでるよ、ちゃんと。」
アカギの言葉に「そーぉ?」と、今にも笑い出しそうなyouだったが…
急に視界に暗がりが広がり、アカギその人の香りが鼻を掠める…。
気づけばyouはアカギに抱きすくめられていた…。
「あ…し…しげるさ…ん??」
「本当にお前を幸せにしてるんだろうか…って。俺は…いつも悩んでる。」
「………。」
「俺の傍にいなかったら…もっと幸せになれたんじゃないかって。」
「どーして……そんなことを言うのかなぁ。」
「……お前の生きるべきだった世界で生きてたら……。」
「幸せになんてなれなかったよ。」
「……すまな…。」
「しげるさんが傍に居ない世界で生きたって……幸せになんて、なれなかったよ。」
youは身体をアカギから離し、一度微笑みかけ
そのままそっと…アカギに口付けた…。
一瞬戸惑ったような表情をしたものの、アカギはそれをすんなり受け入れた。
数秒後、名残惜しそうに離された唇…。
そして、少し怒ったような表情でyouはアカギに物申した。
「もう!らしくないよ、しげるさん!」
「いや…分かっちゃいるんだけどな……どうも年を取ると
相手に遠慮するようになっちまって…いけねぇよな。」
「遠慮…。」
「そんな気遣いいらないって顔だな。」
「うん、何かそんなしげるさんキモチワルイ。明日台風かも。」
「言うようになったじゃねぇか、お前も。」
「きゃーー!!」
そう言ってアカギは悪戯っぽく笑い、youの頭をワシャワシャと乱暴に撫でて髪を乱す。
その姿は二十歳の頃の彼らと何ら変わりなどなかった…。
その日からちょうど一年後…
入院中のyouの容態が悪化。
更に、アカギがアルツハイマーに犯されていることが判明した…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
そして、youの最期の日が来た。
それは晴天で、海を思わせるように澄んだ蒼。
飛行機雲が一筋ただまっすぐに伸びているのがとても印象的な時間だった。
「you…。」
「ごめんね、しげるさん…。」
「何がだよ…。」
「記憶…無くなってくなんて……一番辛い時に傍にいられない…。」
「…意外と薄情なんだな、youは。」
「なん…。」
「ずっと……傍に…いるんだろ?」
片方の手でぎゅっとyouの手を握って、もう片方で彼女の頭を撫でた。
それに笑って答えるyou。
「そっか……そ、だね…。」
「ずっとだ。」
「うん、ねぇ…しげるさん、私ね…。」
「ん?」
「出会えてよかった。」
透明な涙が彼女の頬を伝い落ちた。
もうあと数分で意識が遠のくことを、youだけでなく
アカギも何となく悟っていた…。
最期の言葉をアカギは選んだ…。
「you……ずっと、愛してる。」
youはその言葉に一瞬大きく目を見開き、
嬉しそうに微笑んだ…。
「鍵、開いたよ……中身はひろゆきくんが持ってる…。」
もう声にならない声で音を紡いだ…。
「アカギさん、ずーっと愛してる。だいすき。
さよなら、またね…。」
すっと目が閉ざされ、一瞬前までは確かにあった
握り返す手の力はゼロになった…。
ピーという電子音がまるでドラマのように彼女の死を告げ、
アカギは無言のまま一筋の涙を流していた…。
『私は……you…っていうんです…けど…。』
『私……アカギさんを……知ってた気がする。』
『うん、私、アカギさんが好きだから。』
『アカギさんは自分が気付いてないだけで、優しいですよ。』
『私…アカギさんのこと…やっぱりまだ理解できてないかな…。』
『私は幸せ、とっても幸せです!』
『……本当に、赤木youって名乗っていい?』
『アカギさんっ!』
失う代償が彼女の全てだと考えた時から、
人知れず赤木しげるの心は決まっていたのかもしれない。
記憶を手放す前に命を手放そうと…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
その後、アカギの病気は有無を言わさず黙々と進行し、
気づけば脳の損傷によりかなりの記憶が蝕まれていた。
食い止める術は無く、アカギがアカギ自身として死ぬための葬儀を開く…。
それは赤木しげる最期の日…。
常識とは逸した告別式後の通夜、
喪主であり、棺の主でもある赤木しげると
いつからか彼を尊敬し、また彼の非凡さ故に自分の限界を感じて
麻雀界を脱した井川ひろゆきは語った…。
語る…といっても、大部分がアカギの生き方の大胆さや理不尽さの主張に
ひろゆきが振り回されたような形で幕を閉じたのだが…。
そのまま意気消沈してトボトボと部屋を出るひろゆきを、アカギは一度呼び止めた。
「ひろ…。」
「え…?」
「youのことなんだが…お前、アイツに何か…。」
出された名前によって、ひろゆきの顔つきが変わった。
慌てたようにアカギの元へと走って戻ってきた。
そして、いきなり90度の角度で謝った。
「すっ、すみません、赤木さんっ!!」
「は?」
「手紙、ですよね!?俺…ずっと持ってて…渡そうと思ってたんですけど…。」
「俺に会うのが恥ずかしくて渡せなかった?」
「う……。」
「ッハハ!!本当にお前ってやつは…。」
「すいません……。」
俯くひろゆきに手招きをして、傍に寄らせる。
ひろゆきはその指示し従い、懐から白い封筒を出した。
「重ね重ねすいません…一年経ってるからその…保存状態も最悪で……あぁ、もう俺最悪だ…。」
「いいんだよ、それでもちゃんと持っててくれたじゃないか。」
「…赤木さん……。」
「預かった時、アイツから何か言われなかったか?」
「えっと…はい…「1999年の9月26日、しげるさんが必要としたら渡してほしい」ってここにも書いて…。
って……それ今日じゃないか!!」
目が飛び出すくらいの勢いで驚くひろゆき。
一方のアカギは物悲しそうな顔で、まっすぐにひろゆきの手にある封筒を見つめていた。
「知っていたんだな……俺のこと…何もかも…。」
「え…?」
「いや……何でもない……見せて、くれるか?」
「はっ、はい!!」
ひろゆきは両手で封筒をアカギに手渡した。
それを受け取り、中身を取り出す…。
うっすら桃色がかった便箋に綴られていた文字の
一字一字に目を通し、読み上げていく…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
『きっと
出会う運命だった』
これは素敵な物語
読んだことある?
最後まで…
まだ私を覚えてる?
まだ私を想ってる?
たとえ
覚えていなくても
たとえ
忘れてしまっても
その度に
何度でも
キミに恋をする
貴方の深い
輪廻の中
ちゃんと
貴方を探すから
めぐり逢おう
また
貴方に出会いたい
この世界で
ただ一人の貴方へ
広い背中が
好きでした
強い瞳が
好きでした
貴方の全てが
大好きでした
この想いを
言葉や文字にしたら
上手く伝えれないから
それは諦めるよ
だからきっと
笑って 怒って
時には泣いて
私の全てで
君に想いを伝えていたんだ
人は自分が
消えたとき
何か残せるのかな
じゃぁ
私は何かを残して
貴方に探してもらおう
この歌を
貴方に
あの日あの時
あの場所で
いつものように
頭を撫でる
大きな手に感じてた
涙が出るくらい
愛しい気持ち
こんな気持ちが
愛じゃないなら
何を愛と呼べばいい?
答えはいつか
貴方の口から聞きたいな
最期の刻「愛してる」と告げた後の
彼女の幸せそうな笑顔がアカギの脳裏をよぎった。
*。゜.*。゜.*。゜.*
(いつだって愛すると言ってくれたから)
(貴方の永遠性理論が嘘じゃないって)
(あの時、迷い無く言えたのよ…)
さよなら、またね。
*。゜.*。゜.*。゜.*