with you. 〜君と僕との永遠性〜 (アカギ)
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あの日あの時
あの場所で
いつものように
頭を撫でる
大きな手に感じてた
涙が出るくらい
愛しい気持ち
with you.
~君とボクとの永遠性~
12:巡り会う
youがアカギの前から消えて、季節は春がやってきた。
鷲巣との対決後、鷲巣邸の部屋を訪れるとyouの姿は消えていた。
元々彼女には記憶が無く、名前以外の個人情報が全く分からなかった為、
刑事である安岡の努力の甲斐虚しく、詳しく捜索することもできずに今に至る…。
多くの花見客で賑わう公園の川べりを歩きながらアカギは思う…。
「(花見か……喜んだだろうな、アイツなら…。)」
自分の生死に関することでさえさほど重要視していないアカギのこと、
女性に対する執着心も皆無と言って過言ではない。
しかし、youだけは特別だった。
出会いから別れまで全てが謎に包まれた特別な女性。
「結局…お前の記憶の中にオレはいたのか?
そして……今も…オレはいるのか?」
そう小さく声を漏らしたと同時に、後ろから声を掛けられた。
振り向いたアカギの目に映ったのはyouと同じくらいの年頃の女性が2人。
少し上目遣いで、アカギに話しかけてきた。
「あのぉ、お兄さん今お時間ありますか?」
「私たち向こうでお花見してるんですけど、よかったら一緒に……。」
「どうですか?」という誘いの言葉は途中で途切れた。
彼女たちの視線はアカギの先をいき、その表情は呆気に取られた顔。
不思議に思ったアカギが、彼女たちの視線の方へと後ろを振り返ると……。
「やだ、あれ何?!」
「綺麗ー!すっごい量の桜の花びらじゃない!?」
「でも何か…逆巻いてるから直撃したら危ないよね、避難しとこう!?」
「うん、って…お、お兄さん?!!」
警告とも取れる彼女らの言葉を全く無視して、前へと歩いていくアカギ。
その表情は満足そうに微笑んでいた。
まるで、待ち続けていた刻がやっと巡ってきたかのように…。
それから数分と経過しないうちに逆巻く桜の花びらの群れと直面した。
アカギは歩みを止めずに迷い無く通過していく…。
「いるんだろ。」
風の中で、花びらの渦に手を伸ばしたアカギ。
その中で何かを掴み、自分の方へとグッと引き寄せる…。
桃色の塊の中から腕が現れ、徐々に花びらが離散していく。
「やっぱり……いてくれたんだね…アカギさん…。」
「いるよ、オレはここに。」
「どうして分かったの?」
「アンタの……ニオイがした。だから手を伸ばした…。」
桜花の舞う風の中、アカギはyouを抱きとめた。
「お願い、もっと…ぎゅっと抱きしめて、アカギさんの腕で……
あと一秒でも長く…こうしていたい…。」
「ああ……。」
風が止み、花びらが完全に離散した後も暫く
2人が身体を離すことはなかった…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
それからもうどのくらい経っただろう…。
youが思い出したようにアカギに言った。
「私、思い出したよ…全部……あのね、私にとってアカギさんは……。」
「いい。」
「…どうして?知りたかったんじゃ…。」
「知らないままでいい。」
「アカギさん…?」
「それでまた消えられたら、たまらないからな…。」
「絶対消えない……絶対何度でも戻ってくる。」
通行人の視線もお構いなしに抱き合う2人に無粋に誰かが話しかけてきた。
その声に聞き覚えのあったyouは、青ざめた顔で俯き、アカギのシャツをぎゅっと握った…。
そう、声を掛けてきたのはyouを元いた世界へと返したあの男だった。
「やれやれ……こんな奇跡が起こるとは……全くもって予想外でした。」
「…誰だ?」
「貴女の周りはワームホールが開きやすいんでしょうかね…。」
アカギの質問は無視し、男はただyouに話掛ける。
「二度も、しかも同じ次元への跳躍が起こり得るなんて……。」
「たとえ……記憶を無くしたって、アカギさんを好きになる!
どんなに遠く離れたって……何度だって会いにいってみせる!!」
必死に男に訴えるyou。
2人の会話から、アカギは非現実的ながらも1つの答えを推測する…。
『youはこことは似て非なる世界から来たのではないか』
そして、それは普通に考えても在り得ない現象で、その次元を歪曲した部分を正す為に
この男がyouを元の世界へ連れ帰ろうとしているのではないかと……。
天才、赤木しげるは瞬時にそこまで己が考察に入れた。
とすれば、彼女をこの場に留まらせることができるのは第三者である自分…ただ一人。
アカギは震えるyouの肩を抱いて、男に進言した。
「それはお門違いってヤツですよ。」
「「…??」」
アカギの言葉に不思議そうな顔をする2人。
そんな彼らを他所にアカギは不敵に笑い、youの肩をグッと引き寄せて言った…。
「こいつは……オレの奥さん。「赤木you」だから。」
「アカギさ…///」
「病める時も健やかなる時も……ってね。そういう仲なわけ。」
ちゅ、とリップ音を立ててyouの額に軽くキスをする。
それから打って変わって、痛いくらいの表情で今まで離れた時間を埋めるように…
隙間なく彼女を抱きすくめ、吐き出すように告げた…。
「死が二人を分かつまで……共に生きなきゃいけないんだ。」
youはアカギの背に腕を回し、ただ涙を零した。
そんな2人を無表情で黙って見ていた男だが、次第に表情が緩んでいく。
アカギはそれを見逃さず、とどめとばかりに彼に尋ねる。
「結婚するって、そういうモンなんだろ?」
「私は神父でも立会人でもないですから、そう宣言されても困りますけれど……。」
「これ以上次元を歪曲されると困るんだろ?
コイツは何度だってオレの元へくるぜ……絶対にな。
だったら一番手っ取り早い回答は一つしかないハズだけどな。」
そんなアカギの問いかけに、溜息を吐いて男は答えた。
「そうは言いますがね、彼女の世界の方々は「神隠し」なんて話で納得されないでしょう。」
「それは……それはきっと大丈夫なの!!」
「何故?」
「大事な……友達の事を信じてるから。伝えてくれる……きっと。」
そう言ってyouは大事な親友の顔を思い浮かべ、微笑んだ。
だからこそ「幸せになる」…そう大事な人に誓ったから。
その意図が分かる者は彼女以外にはいないが、その曇りない笑顔が全てを語っていた。
「私ね、アカギさんのことが大好きなんだ。
出会う前も、出会ってからも…
それから、この先ずーっと。
貴方にとっては、それは
ただの我儘かもしれないけど…
ずっと一緒にいたいんだぁ……。」
彼女の言葉を聞き、男は黙って懐から名刺ケースを取り出した。
その中の一枚を彼女に渡し、業務的な口調で説明を始める…。
「まさか名刺を使う場面に遭遇するなんて……何もかもが初めてのことですよ。」
「???」
「貴女の事情は把握しました……貴女の担当は私です。
もうこんな人間と会うことは無いでしょうが、万一同じような者が貴女の前に現れたときは…。」
「この名刺を見せればいい…?」
「聡明ですね。」
ふっと笑って、男は踵を返して歩き始める…。
その笑顔に初めて彼の人間性を垣間見たyouは、咄嗟に呼び止めた。
「…あのっ!……ありがとう…ございます…!!」
「……お幸せに、では。」
次の瞬間、誰もが一瞬目を瞑るくらいの風が一陣吹き抜けた。
youは勿論のこと、アカギも暫し目を閉じる…。
風の音が止み、再び目を開く……
道の先にもう彼の姿は消えていた。
*。゜.*。゜.*。゜.*
次元を管理する者から『アカギ』の世界に留まる事を認可してもらったyou。
そしてその一件からひと月が経過したある日。
五月中旬、爽風が吹き抜けるその日は快晴。
広い公園の木々の下、2人はいた…。
「アカギさーん。」
「ん…?」
「今、幸せですか?」
「ん。」
「もー!ちゃんと答えてくださいよ…。」
「今、すげー眠いの。お前のひざ、気持ちいいから。」
「……もぉ…。」
アカギに膝枕を提供しているyou。
少しだけ怒った口調で、しかし頬を赤らめながら言葉を続けた。
「私は幸せ、とっても幸せです!」
そう宣言するもののアカギからの返事は無い。
ウトウトと今にも瞼が落ちてきそうな様子のアカギを見て一つ笑みを漏らす。
「でも……本当にいいんですか?私、戸籍もお金も何も無いですよ?」
「そんなモン…クソの役にも立たねぇよ…。」
「……本当に、赤木youって名乗っていい?」
「お前も相当しつこいな…。」
「だって……。」
「だから、それを買ったハズなんだけどな。」
少し覚醒したアカギ、youの左手首を掴んで自分の眼前に持ってくる。
そのまま顔に近づけ、薬指にはめられた銀色に口付けて手を離した。
youはその開放された左手を天上に翳した。
木々の間から差し込んでくる木漏れ日が眩しくて、目を細めると…
自然に透明な涙が彼女の頬を伝ってアカギの顔面に落下した。
天気雨か何かと思い、アカギは目を開いたがその気配は微塵も無い。
代わりに泣いているyouの姿が瞳に映る…。
「…you……?」
「アカギさん……「死が二人を分かつまで」一緒にいようねっ!」
アカギがいつ、どこで、どうやっていなくなるのかyouは全部知っている。
知っているが、アカギには何も伝えない。これから先も言わないまま。
その生き方こそが「赤木しげる」だと思うから。
youはそう心に決めて、アカギに笑いかけた。
「そう、いっぱい話をしようね。色んなとこ行こうね。キスもしよう。
沢山笑って、たまに泣いて、ちょっと怒って……
「まだ足りない」って欲張って後悔するくらい……好きでいたい。」
「ハハ…本当に欲張りだな。」
「だめかな…?」
そんなyouの言葉に、アカギは勝ち誇ったような顔で笑う。
「ま、でも……オレの方が欲張りだけどな。」
「倍プッシュ?」
「そ、更に倍プッシュ。」
「どのくらい?」
「「死が二人を分かつまで」じゃ全然足りないくらい。」
「うーーん……?」
困ったように悩むyouを見て「ククク…」と笑い、
アカギは身体を起こしてyouの顔に急接近した。
アカギの睫がyouの瞳に映る…。
それくらい近い距離でアカギは囁いた…。
「オレは未来永劫アンタの全てが欲しいから。」
そう告げた後、そのまま数センチ進んでyouに口付けた。
深く、何度もキスをしながら徐々にyouの身体を草の上に倒していく。
「どんな姿に生まれても、輪廻の先でお前を見つけてオレのものにする。
ずーっと永遠にその繰り返し。それがオレの強欲的永遠性理論。
……な、お前より全然欲張りだろ。」
「敵わないなぁ…。」
「ッハハ!勝てるつもりだったのか?」
「そりゃまぁ…私の方がアカギさんを好きな気持ち大きいしぃー…?」
「そうか?独占欲ならオレも負けてないけどな。」
「ホント?!」
「嬉しそうだな…。」
「うん、嬉しい!!」
「フフ…。」
アカギは片腕でyouの頭を撫で、満足そうに笑う。
その大好きないつもの行動にyouは嬉しそうにはにかんだ笑顔を浮かべた。
そしてアカギは問う…。
「you、今…幸せか?」
「はい!とっても!!……アカギさんは…?」
「奇遇だな、オレも幸せだと思ってた。」
それから文字通り「死が二人を分かつまで」共に在った2人…。
否…
1999年、アカギの没後…
赤木しげるの墓石の裏に刻まれている彼女の名前を見る限り
今なおその魂は共にあるのだろう…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
(そうだな、きっと出会う運命だった。)
(そしてこれはオレが勝手に決めたこと。)
(何時だって、何処でだって、何度だって、君と…)
巡り会う。
*。゜.*。゜.*。゜.*