with you. 〜君と僕との永遠性〜 (アカギ)
name setting
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
この世界で
ただ一人の貴方へ
with you.
~君とボクとの永遠性~
11:虚空の彼方に
「貴方は今……何をしてますか?」
季節は春。 雲一つ無い晴れた日。
桜の花びらが散り始め、爽やかな風が吹き抜ける
最高の季節。
アカギと離れてから一年目の春…。
遠い目をしてyouはアカギの名を呼んだ…。
「アカギさん…。」
アカギと過ごした時間は、そのまま自分の世界での時間に換算されていた。
youを知る皆は彼女の帰りを驚き、そして泣いて喜んでくれた。
そんな懐かしく、温かい人達との再会でyouは沢山涙を流した。
そこまでが彼女の表の感情…。
その深淵にあったのは深い……悲しみ。
どんなに願っても、どんなに想っても、アカギに会えない…。
もう隣で笑うことも、横で眠ることも、頭を撫でてくれることもない…。
会いたくても会えない。
その現実に何度も何度も流れ落ちる涙を拭った。
目覚めた時、枕が濡れているのは日常茶飯事。
顔で笑って、心で泣いていた。
そんなある日、彼女の帰りを一番喜んでくれていた友達から連絡があった。
彼女の心の裏側を察してのことだった。
「やっほー、you、こっちこっち!」
「友達さん!」
待ち合わせた喫茶店の席に座って、手を振る親友を見つけた。
youは駆け寄り、自分も向かいの席に座った。
「ごめん、遅れたね。」
「ん、自分も今来た。」
「そっか。」
「何か頼む?」
「うん。」
メニュー表を手渡され、ある程度目を通した後、通りかかった店員に注文を頼む。
そんなに込み合っていなかった為か、5分と経たないうちに注文した飲み物がyouの前に届けられた。
そして始まった2人の会話…。
「ぶっちゃけて聞くよ?」
「えー?何、真剣になって…。」
「行方不明になってた時の記憶が無いって……ウソだよね?」
そう…youはアカギと過ごした時間を「記憶喪失」ということで片付け、誰にも話してはいなかった…。
「漫画の世界に行っていた」などと言っても、誰にも信じてもらえない…。
youは例え自分が子どもだったとしてもそんな事は安易に予測できたから。
しかし、友達というのは不思議なもので……
ちょっとした会話での反応や、態度、その他細かい部分で「いつもと違う」と感じ取る。
友達さんもその一人だった…。
「敵わないなぁー、やっぱ……友達さんには。」
「友達さん様を甘く見るでないぞ。」
「あはっ………じゃ、聞いてもらおうかな……「アカギ」さんのこと。」
「………。」
黙して、聞き入る態勢に入った友達さんを見て、youは静かに話し出した…。
いつだったのかもう忘れてしまったが『アカギ』の漫画を読んだ夜に『アカギ』の世界に入り込んだこと。
その時自分は己に関する一切の記憶を失っていて、
それを見かねた『アカギ』こと、主人公の赤木しげるが自分と暫く行動を共にしてくれたこと。
いくつもの戦いの中、傍にいることで記憶が無いながらもアカギに惹かれていったこと。
そして、アカギが自身の命を賭けた大勝負に赴いた時…その途中、全ての記憶を思い出し……
それによって、この世界へ戻ってきたこと…。
それらを全て友達さんに語った…。
「ありえないでしょ、信じてもらえないことは分かってる。頭オカシイって言われるって分かってる。でも、本当なの。」
「信じるよ。」
「………。」
「いいなぁ、youは。」
「え…。」
「素敵な恋をしたんだね。羨ましいな。」
「しん……じて…くれる、の?」
「当然。youがそうだと言ったんだから。それとも、嘘なの?」
「嘘じゃない!」
「でしょ?」
「でも、どうして…?」
「いつものyouのようで、何か違和感あるっていうか……「無理してるなー」って。ずっと思ってた。」
「友達さん……。」
「辛かったね。」
「っ……!」
「よしよし」と、友達さんに頭を撫でられ、いつも同じことをしてくれたアカギの姿がyouの中で蘇る…。
気付けば大粒の涙がyouの目からいくつもいくつも零れ落ちていた。
「それにさ、この世界以外にも「世界」があるって……私もずっと昔から信じてみたかったしね!」
「そう…なの?」
「うん!だからさ……言っておくよ。」
「言う?何を?」
友達さんはyouの両手を取って、優しく言った…。
「you、幸せになるんだよー?」
ポカン…と口を開けて、呆けるyou。
友達さんはその言葉の理由を笑って話し出した。
「あはは!you、凄い顔!」
「いや、だって!何を急に…。」
「you、突然その世界に行ったんでしょ?」
「…うん。」
「だとしたらさ、また……そうやって突然行っちゃうかもしれないじゃん?」
「……行けるのかな…。」
「もし、もしもだよ、行けるとしたら?行ったとしたら?you、帰ってくる?」
真剣な眼差しでそう聞かれ、youもそれに正直に答えた…。
「…きっと行く……帰ってこない。」
「でしょ?」と、友達さんは小さく微笑んでyouの手をぎゅーっと握った。
「youがいなくなって、凄い心配したんだよ。でも……ううん、だから…本当の事聞けてよかった。
もう安心。またいなくなったとしても、安心。「you、よかったね」って言える。」
「友達さん~~!!」
「ハイハイ、ずっと友達なんだから……今度からは少しくらい頼りなよ、ね。」
声にならない声でコクコクと頷き、落ち着くために水を少し飲んだ。
鞄からハンカチを取り出して涙を拭き、youは笑う…。
「友達さん、ありがとう……大好きだよ…。」
何度生まれ変わっても友達さんと友達になりたい、
youは心の底からそう思った…。
『友達』、何ていい響きだろう。
そう感嘆しながら、youは桜が咲き誇る公園を歩く…。
夕方から用事があるからという友達さんと別れ、youは家路への散歩がてらに近くの公園へと足を運んだ。
ハラハラと落ちてくる桜の雨の下、数名がシートを敷いてシーズン最後の花見を楽しんでいる。
ランニングや散歩に訪れる人がちらほらいて、その度にyouとすれ違う。
ふと、一陣の強い風が吹いて辺りから驚きの声が聞こえた。
「うわっ!凄い風!」
「やーん、お弁当に砂埃がぁ~!」
「何、今の風!」
驚いたり何だりの声が飛び交う中、一人の青年が指差して驚嘆の声を上げた。
「オイ、あれ!凄いぞ!」
見れば、大量の桜の花びらが小さな竜巻を作っている。
桜吹雪の塊……というべきか、それくらい鮮やかに形を成した桃色の風。
「凄い!初めて見た、あんなの!」
「何か怖くない?異常現象みたいな感じ。」
「…鬼とか魔物とか出てきそうじゃね?」
そんな風に悲喜交々の声が辺りに充満する。
その時、youの心臓が一度、大きく鳴った…。
「いる……の?」
youが声を漏らした瞬間、涙が一筋頬を伝う。
そして、彼女は確信する。
「本当、鬼がいるかもしれない…ね?アカギさん。」
ゴシゴシと服の袖で涙を拭い、youは桜の塊へと駆け出した。
周りの花見客や散歩中の人々が彼女の行動にざわめく中、
youは桃色の風の中に飛び込んだ…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
(もう誰に咎められてもいい)
(いてくれるよね、そこに…)
(貴方に会いたくて飛び込んだ…)
虚空の彼方に
*。゜.*。゜.*。゜.*