step5_(恋人編:アカギ)
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「エアコン…ですか?」
「そう。リビングは最初から大家が付けてくれてたけど、他の部屋って自己負担でしょ。」
「そうですね。」
「この間ちょっとイイ感じに泡銭が手に入ったからさ。」
何に使おうか悩んだけど、今回は自宅の環境改善に充てようと思ったのだ、と。
夏の始まりを前に201号の寝室で、家主の男が言った。
アカギさんといっしょ24
「良いんじゃないですか、毎年夏の暑さが厳しくなってますしね。わたしも自室に欲しいくらいです。」
アカギのエアコン購入の相談に対し、
自分は先立つものが無いから、買えないけれど…という意味合いを込めて、youが言う。
「別にオレ一人なら暑かろうが構わないんだけどね。」
「いやいや、ほら男性は暑さに無頓着な人が多いから…「大丈夫」って思っててもエアコンを入れずに熱中症になって病院に運ばれたりする方多いですし。」
「そうなの?」
「ほら、毎年夏になるとニュースになってるじゃないですか。」
「オレの家TV無いから…。」
「毎年多いですよ!おじいちゃんがよく熱中症で運ばれたり亡くなられたりってニュース!」
「オレ、おじいちゃんじゃないんだけど。それなら鷲巣の方に注意してやってよ。」
「鷲巣さん?鷲巣さんは吉岡さんや鈴木さんとか気遣ってくれる人が周りにいらっしゃるし、お家の空調管理心配しなくてもきちんとされてますから。どっちかと言うとそういうの無頓着なアカギさんの方が心配。」
「・・・。」
アカギの指摘に対してぐうの音も出ない程のド正論と推察で返して意見をへし折ったyou。
(微かにアカギがチッと舌打ちしたような気がした)
「まぁ兎に角さ、付くよ、オレの部屋に。エアコンが。」
「良かったですね。」
「うん。」
コクリと頷いた後、アカギが無言でじーっとyouを見つめる…。
何かの反応が欲しそうな様子なので、暫しの沈黙ののち、居心地悪そうに彼女が「えーっと…」と呟いた。
「あの…アカギさん…。」
「ん。」
「何か…そのエアコンに関して問題でも?」
「問題っていうか……youは嬉しくないの?」
「わたし?」
「そうだよ。」
「アカギさんの寝室にエアコンが付くのがですか?」
「そうだってば。」
「・・・え?」
「「え?」じゃないだろ。」
明らかに「他人の家にエアコン設置される事で、何でわたしが嬉しいの?」という反応を見せる彼女に、
アカギは少し不機嫌そうな声色で反論すると、就寝前のベッドの上で平穏に語らっていたyouの片手をがっしりと掴む。
「あ、アカギさん…??」
「もう夏になるんだよ。」
「そ、そうですね??」
「暑くて寝苦しい夏が来るんだよ?嫌でしょ?」
「うん…嫌ですね…。」
「熱帯夜なんだよ?」
「う、うん??そうですね……今日はまだ…風もあるみたいですけどね……次第に寝苦しくなるかもですね???」
「そう。オレは別に熱帯夜で汗かいてもいいし、汗かいててもアンタにくっついて寝たいんだけど。」
「えっ?!そ……それはちょっと…。」
「・・・。」
「わ、わたし…汗かきなんで!それはちょっとアカギさんに申し訳ないし、大変恥ずかしい!」
汗臭い状態でお互いくっ付き合うのはいかがなものか!と、ブンブンと首を横に振り、
それこそ動揺して、現時点で変な汗をかきそうになるyou。
「だったら、快適にしとかないとでしょ。」
「あ…!」
だからこそ、2人で寝た際のその暑さや寝苦しさ、汗ばむ身体の不快感を払拭するために今回…、
今年の夏からエアコンを導入するのだ…と、アカギは(わずかに)自慢気な雰囲気でyouを見る。
普通の人間にとって自室といえば、自分が快適に過ごす場所という認識なのだろうが、
ことこの男にとっては自室などただの部屋という空間の1つに過ぎないもので…。
それが今、youという存在があることで自室へのこだわりが生まれているわけなのだが、
それらは全て「どうすればこの部屋に彼女が留まってくれるのか」というところにある。
故に今回も、「暑いんで一人で寝させてください」という彼女の行動パターンを先読みし、
エアコンを付けて快適な空間にすることで、一人寝を避けられると踏んだのだ。
「えっと……すみません、自意識過剰かもしれないんですけど……もしかして…。」
「うん、そう。気付くの遅い…。」
「う…わ、わたしがいるから…?」
「そうだってば。」
「えぇええ……嘘でしょ、もう何それ……申し訳なさすぎる…。」
「気にしなくていい。」
「気にしますよ!だってアカギさんは別にエアコン要らないんでしょ!?」
「うん。」
自分を気に掛けて、一緒に過ごすためだけに、そこそこ高値のエアコンを取り付けることにしたのか、と…。
流石のyouも困り顔になり、申し訳なさそうにアカギを見上げたのだが…。
「気にしなくていいって…寝苦しいより快適な方がオレとしても結果有難いしさ。」
「でも…。」
「オレはじじいの鷲巣より、熱中症で病院運ばれたり死んだりしそうらしいし…。」
「(根に持ってる…。)」
「それに…。」
「?!」
先程から掴まれていた手を動かされ、するりと指を絡め取られる。
そうして隙間なくぎゅっと手を繋がれたことで、はた…とアカギを見つめれば、
それはもう、うっとりとした恍惚の表情で自分を見つめてくるので、思わずギョッと目を見開くyou。
「あ……アカギさ、ん…?」
「you…。」
そっと、空いている方の手を伸ばして、youの頬をひと撫ですると、
アカギはその手をそのまま下へと下ろしていく…。
首筋に、鎖骨に…。
胸元の際どい部分まで手を下ろしたあと、彼女のパジャマのボタンに指を掛けるので、
慌ててyouがそれにストップを掛けた。
「ちょ、ちょっと!何してるんですか!ダメ!だめ!」
「ダメくない。」
「だっ、ダメです……これはエアコンに関係ないでしょう!」
「何ずれたこと言ってんだアンタ。」
「どっちが…っ?!」
反論するや否や、youはアカギに押し倒される。
いつもの質の良い高級ベッドがその身体をしなやかに包み込み、その上からアカギが覆い被さった。
「だからエアコン付けるのだって、いわばこの為なんだって。」
「何言ってるんですか??もう、早く退いてくださ…ぃぁっ?!」
ピンっと胸の頂を指で弾けば、突然の刺激にyouの口から甘い悲鳴が飛び出す…。
「っ、アカギさんっ?!」
「こうやって胸とか触ってさ…。」
「っ…?!」
ふに…と、今度はパジャマの上から優しい手つきでyouの胸に触れ、ゆっくりと緩急を付けて揉みしだく…。
そうやって全く人の話を聞く気が無いということと、与えられる感触の所為で、彼女はうまく言葉が紡げなくなる…。
「あ…か…。」
「キスしたり。」
言葉にして、実行…。
アカギは軽くちゅ…と、youにキスを落とす。
「もう1回、していい?」
「…いい……ですけど…。」
正直、愛情表現のキスは嬉しいものであるため、多少喧嘩気味の問答の最中であっても無碍にはできず、
youはアカギの希求に恥ずかしそうに困惑しながらも、コクリと深く頷いた。
次いで落とされるキスが恐らく最初とは比べ物にならないくらい深いものになるという予感はあったため、
気付けば繋がれていた手を解いて、youはアカギの両肩に手を添えていた。
「…ん…。」
「…。」
映画のように何度も啄むようなキスを重ね、最終的には小さな吐息も漏らさない程に深い口付けを交わす。
勿論舌も駆使されているため、次第にyouの息が上がっていき、
苦しそうにしながらも蕩けるような表情でアカギが口内を蹂躙するのを受け入れる…。
「んん……ぁ…ふ、ぁ…。」
「は…っ…。」
最後にキスの音をちゅ、と鳴らして唇を開放してやれば、アカギの眼下には見たかった予定通りの光景…。
はぁはぁと肩で息をしながら、目を潤ませて自分を見つめてくる愛しい双眼…。
この表情を見るために、自分はあらゆる手段で彼女の心を籠絡するのだとアカギは人知れず自覚する…。
「you…。」
「っ…?!」
ビクリとyouの全身が跳ねたのは、アカギの手が下着越しに彼女の秘部に触れたから…。
眉根を中央に寄せて潤んだ瞳でイヤイヤとゆっくり首を横に数度振る。
「こうやって、youの大事なトコ触ったりするじゃない?そしたらさ…。」
「???」
ああ、先程から何かアカギが言い続けていた話はまだ続いていたのか、と…。
youは気付いたものの、何を言わんとしているかは理解も察することもできなかったため、不思議そうにただアカギを見つめる。
「身体、熱くならない?」
「ぇ…?」
「「え」じゃなくて。」
「だって……分かんない…。」
「だから…エッチな事するとき、身体熱くなるでしょ、って聞いてる。」
「なっ…?!」
「オレはなるよ……アンタに触れると、全部、熱くなる……youは違う?」
からかっている表情ではなく、いたって真剣な表情でそのように言うので、youも冗談で返すわけにもいかず…。
ただただ恥ずかしそうな表情で、顔を赤くしてコクリと頷いた。
「わたしも……熱くなります。」
「うん……だからさ、エアコンなんだよ。」
「は?」
急にどうした…。
正にそのような表情で、スッと、深いキスの余韻が冷めるようにアカギを見るyou。
「何ですか急に。」
「いや、だからエアコン買うんだって。」
「それはもう分かりました!」
「本当?」
「本当も何も…結局エアコン買うんでしょ、快適な部屋にするために。」
「うん、やっと分かってくれた?」
「な…何がです?熱い夜を快適に過ごすためなんじゃなくて?」
「何だ、分かってるじゃない……ずっとそう言ってたのに全然伝わんないからさ。」
「はい…?」
「これで熱帯夜だとしても、涼しい部屋で気兼ねなくセックスできるね。」
「は…っ…?」
「あ、でも逆に涼しいからってあんまり激しくし過ぎると、youたまに意識飛ばしちゃうからエアコンで風邪引かないか心配になっちまうな……裸だし。」
「ちょっと待って、ちょっと待ってくださいアカギさん!!」
「ん?」
とんでもない相互間の考えの食い違いが顕になり、youはストップ、ストップ!と、
発言の停止を求めるようにアカギの両肩をペチペチと叩いた。
「あ…アカギさんが部屋にエアコン付ける一番の理由って……わたしの為って…。」
「youが涼しい部屋で気兼ねなくオレに抱かれてくれるようにする為だけど?」
「それわたしの為じゃないーーーー!!!」
寧ろ貴方の欲望のためですよね!(主に下半身の!!)と、
泣きそうになりながら指摘するも、当の本人はどこ吹く風…。
そもそも、アカギとしてはそれを一番最たる理由として挙げていたし、抱いていたので、
彼女に何を指摘されても「今更何で?」という感情でしかない…。
「そんな不純な動機のための設置理由だったんですか?!」
「不純ではあるかもだけど、必要だと思うから買うんだよ。」
「ど、どの口が…!」
「だってさ…。」
ぐい…と、身体を抱き寄せて、アカギはyouの耳元に唇を寄せて囁く…。
「夏の間中、部屋が暑いからエッチできないなんて耐えられる?」
「ひっ…?!」
「オレは絶対無理……汗でべた付く身体でもアンタを抱きたい。」
「ぁ…っ……み、耳元で喋らないで…っぅ…!」
「ん。」
最後にかぷりと耳を甘噛みし、ゆっくりと身体を離したアカギ。
「youは?耐えられそうか?」
そうして首を斜めに傾けて「どうなの?」と…。
本能に問いかけるように、今一度アカギがyouの秘部を優しくひと撫でする…。
「た……耐えられない…です……。」
「…デショ?」
結局のところ、この男に身体を暴かれて以降ずっと、
心だけでなく、身体すらも共に傍に在りたいと思うようになってしまったyouと…。
そんな彼女の心理的推移をしっかり把握して、自分の要望に適うように巧みに誘導するアカギ。
大型の家電が増える事すら、そんな2人の基本的日常の遣り取りの1つなのだろう。
熱中症じゃなくて
抱き潰されて倒れそう!
(でもいいな…わたしもお金溜まったら部屋にエアコン付けようかな…。)
(ダメ。)
(え。)
(付けちゃダメ。)
(な、何故…。)
(自分の家も快適になったら、you、一人で寝そう。)
(ああ、そういう…。)
(だからダメ。)
(わたし、よっぽど喧嘩したりとかじゃない限り…アカギさんと一緒に寝ますよ。)
(そうなの?)
(はい。あ、でも……「健全に添い寝」するのが前提ですけど。)
(・・・。)
(何で黙るかなぁ…。)
words from:yu-a
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