step2_(イベント編)
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「近くの市民プール、今度の土曜にプール開きがあるらしくて、入場無料らしいんです。
俺と一緒に行きましょ、youさんっ!」
と、205号の零くんがあまりにも無垢な笑顔で誘ってくるので、
断れないyouであった。
市民プールに行こう。
「うっわぁ~!!凄い人だね、youさん!」
「そうだね……凄いいるね。」
「……youさん、もしかして来たくなかった?」
「え?!いや、そんなわけじゃないよ!あまりにも予想通りの混み具合だったから…!」
「ふーん?」
「うぅ……だって。」
「…だって?」
前屈みになってモジモジと両手で身体の前面を隠しながらプールサイドを歩くyou。
そんな彼女の行動に、暫し頭に疑問符を浮かべていた零だったが……すぐに何かピンときたらしい。
プールサイドの空きを見つけて、そこにに荷物を置いて立ち上がると、
にっこり笑ってyouに告げた。
「隠さなくてもいいじゃん!youさん、水着似合ってるよ?」
「似合っても嬉しくないっていか!だってお腹出てるし…!」
「出てない出てない、可愛いよ。」
「あのねーっ…///」
「ね、もう泳ごうよ。」
「はいはい。」
ペタペタと素足で歩いている最中、零の背中を見てyouはふと気付く。
聞こえていた足音が急に止んだため、零が振り向くと……
そこには零の背中をまじまじと見つめて立ち止まっているyouがいた。
「どうしたの、youさん……俺の背中、虫でも付いてる?」
「え?あ、違うの。」
「??」
「いや、零くんって私より背が低いと思ってたから…。」
「………。」
「私、いつもそんなに背の高い靴履いてたのかな?」
「横に並ぶと同じに見えても、他の人から見たり、鏡とかで見たら大分違うものだよ。」
「そうなんだ。」
「俺はyouさんより小さいなんて思ったこと一度も無いよ。」
「あ…はは……失礼しました。」
「ていうか………。」
急にムスっと怒ったような顔つきになる零。
プールの水に足を浸けながら、ぼやいた。
「201と203のオッサン達がデカいの。」
「オッサンって…!」
一瞬零の言葉に驚きながらも、2人の顔を想像すると笑いが込み上げてきた。
クスクスと笑いながら、youも足を水に浸す。
既にプールに浸かっている零がまた言葉を紡ぐ。
「でも大丈夫、俺まだ伸びてるから。」
「そうなんだ?」
「そのうちモデル並みに高くなる予定。」
「ふふっ、予定なんだ?」
「ん。」
零が頷いた瞬間、近くを泳いでいた子どもがバタ足をしたことで
大量の水しぶきが2人に掛かる。
友達と一緒にキャッキャと騒いで、零たちの横を通り過ぎていく。
ボーっとしていると、また水が掛かることは必至。
零は辺りを見渡して、人が少ないスペースを探す。
「youさん、あそこ人が少なそう。」
「じゃ、行こう!」
「人が多いから、はい。」
「え、あ……うん…あ、ありがと///」
零が差し伸べた手を取り、手を繋いで移動を始める。
水の中を移動しているので、スピードは全く出ない。
そんな中、前から泳いで突進してきた少年が通り過ぎる際、youにぶつかった。
泳ぎを中断された中学生くらいの少年が彼女に対して怒りを顕にする…。
「折角もうちょっとでプール一周できるトコだったのに!!邪魔すんなよー、馬鹿!」
ムスっとした顔をして、再び泳ぎを再開させようと少年は水に潜る。
そんな慌しい様子にyouは「あらら、怒られちゃった」と、
零の方を向いて苦笑を浮かべた……。
が。
零の様子がおかしい。
「え…と、零く…。」
これは以前感じた毒々しいオーラ…。
嫌な汗がyouの頬を伝う…。
そして…
泳ごうとバタ足を始めた少年の細い足首を
零は容赦なくガシッと掴んだ。
当然驚いて水面に顔を出す少年。
「何だよ!」と、振り向くと……
にっこり笑った鬼がいた。
基、零がいた。
「え……ぇ…?」
「「え?」じゃないよ、このクソガキ。」
「ぁ…ぁ…。」
「こんなクッソ狭い市民プールでバタ足なんざ迷惑千万。」
「ご…ごめんなさ…。」
「まぁ、それはいいかな……他のお餓鬼様もやってることだしね…。ただ…。」
「!!」
少年の顎を掴み、顔を近づける零。
深い海の底を感じさせる薄暗い(ドス黒いとも言う)瞳で少年を見つめ、
youには聞こえないように小さな音量で…
でも、普段より数段低い音程の声で言った。
「youにぶつかったのは誠心誠意、心を込めて謝罪しないと…ね。」
「はははは…はひぃ!」
「はい、どうぞ。」と、youをにっこり振り返る零。
何も聞こえていなかった彼女は困惑した表情で「え?」と、頭に疑問符を浮かべている。
そんな中突然、何の前触れもなく、少年が90度の角度で謝り始めた。
「きき…きれいな、おねえちゃん、ぶつかってごめんなさい!」
「え……いいえ、別にいいわよ……。」
「う……ごめんなさい。」
「け、怪我したり怪我させたりにだけは気をつけてね。」
「はいぃ…。」
そう言って、半泣きになりながらその場を去る少年。
原因に心当たりがあるyouは、すぐさま零を見る。
youの視線に気づいて、零は彼女を見返す…。
「零くん……いまの子…。」
「ちゃんと謝らないとだめだよ、って。教えてあげたんだ。」
「そ…それだけ?」
「うん!だって最近の子って何ていうか~、親の躾がなってないよね!」
「う…うん、かもね…。」
「今ね、youさんは俺の中のトクベツだから、ね。
youさんにぶつかって謝らないなんて、俺の中では万死に値するよ!」
「……万死なんてそんな物騒な…。」
引き攣った笑いを続けながら、零を見る。
そして、零は爽やかに告げた。
「万死は言いすぎかな?でも、焼き土下座くらいあるよねー★」
硬直するyou。
そして、まるで彼女がそんな反応をすることを知っていたかのように…
零は綺麗に微笑み、youの腰に手を添えて……耳元で囁いた。
「今のは冗談だけど、youさんがオレのトクベツっていうのは本当。」
パッ…と離れて、零はyouを振り返る…。
そしてニッコリと可愛く微笑んだ。
「俺」=表零くん、「オレ」=…?!
(そういえばyouさんって、泳げるの?)
(え…まぁ、普通かな。)
(え~…つまんない!)
(つまんないって……何で!)
(だって俺、youさんに泳ぎを手取り足取り教えたい~!)
(あのねぇ……///)
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