step3_(日常編:アカギ)
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「you、今日の夕飯だけどオレも一緒に……あ、悪い。」
油断した油断した油断した油断した
油断してためっちゃ油断してた!!!
と……完全に下着姿の状態の彼女は思った。
アカギさんとわたし23
「ゴメンごめん、リビングいなかったから部屋かなと思って。まさか着替えてると思わなかった。どうしたの、着替えてこれから出掛けるの?飯外で食うならオレも一緒に行っていい?」
「アカギさん…あの…。」
「ん?」
「とりあえず……出てってもらっていいですかね…。」
と、彼女が怒りと羞恥心と動揺で震える声を出したのも無理のないことだった…。
なぜならば、現時点で彼女は自室のクローゼットの前で下着姿で立ち尽くし、
部屋に入ってきたアカギに、至って普通に会話のキャッチボールを求められているからである。
故に、下着姿の自分に対し、何ら動揺も見せずに夕飯のことしか話してこない隣人の男に、
正直どう対応していいのか困惑気味に、彼女はとりあえず引くようにと促したのだが…。
「あー……うん…やだ。」
「ヤダじゃない!」
「ククク…だって折角の美味しい状況じゃない……据え膳は平らげないと勿体ない。」
「いいから出てって!!!」
「だから嫌だってば、ほら、早く着替えちゃいなよ、じゃないと傍に行っちゃうよ?」
「なっ?!!!?」
傍に寄られれば一体何をされるか分からない…。
恐怖にゾワゾワっと背中を震わせ、youはそんな今以上に危険な状況を避けるべく、
元々着ていた服をすぐ側のベッドからすぐさま引っ張り寄せ、羞恥心でいっぱいになりながらも
読んで字のごとく……アカギの前で生着替えを行う羽目になるのだった…。
その光景を至極満足そうに悦に入った目で見つめながら、
ちょうど衣服を着用し終わるタイミングでアカギは部屋の中へと足を進め、彼女の目の前に立った。
「ひっ!?」
「ただいま、you。」
「お……おかえりなさい……そしてできればもう部屋どころか家から出て行ってほしいです…。」
「どうして?寂しいこと言うね……つれないな…。」
「どうもこうも!!あんな失礼かつ女性に恐怖と羞恥心を抱かせるような対応は如何なものかと!!」
「フフ…恐怖心も羞恥心も要らぬものでしょ。」
「いや、要るわ。在るわ。怖いし恥ずかしいわ、普通に。」
何考えてんですか!という怒りに対して、全く論外な答えを返してきたアカギに、
いよいよyouが怒りを通して「何故分からぬ」と呆れるように怒涛のツッコミを入れたのだが…。
アカギはそんな彼女の言葉にククク…といつものように含み笑うと、
大きく1歩、彼女のすぐ目の前まで歩みを進めて、自分を怪訝な表情で見上げるyouの顎に手を添えて固定する。
「そのうち要らなくなる……だってアンタはオレの女になるんだから。」
「はっ?!」
「下着姿も裸も…全部見せることになるよ。」
「アカギさん…。」
「ん?なに?」
「いや、めっちゃ…怖いんですけど…。」
「あらら、でも生憎とyouが怖がってる顔は大好物でさ。」
「…あんまり酷いと嫌いになりますよ。」
「む………それは困る。」
そう言うとアカギは真顔になり、パッと手を離す。
天性の感覚で人の言葉に含まれる微細な感情を感じ取って舵を切っているのだろう…。
この場合は彼女から発された言葉に含まれる嫌悪感という感情を察知し、潔く距離を取った。
「ちょっとやりすぎたな……ゴメン、怒った?」
「寧ろ怒らない人います?」
「you。」
「怒ってますけど?!」
「でもオレが思い留まって酷いことしないってのは…分かってたでしょ。」
「(う…。)」
「実際オレくらいのモンじゃない?好きな女の下着姿とか着替えとか見ても我慢できるって。」
「いや、そもそもわたし、アカギさんに合鍵渡した覚えとか一切無いんで、ここに勝手に入ってきて着替えてる姿見られる状況になるのが普通じゃないんですけど…。」
「・・・。」
「・・・。」
「ああ、そっか。」
「です。」
と、今更ながらに不法侵入を黙認してきたことに言及したのだが、
そんな事は暖簾に腕押し、豆腐に鎹、糠に釘…。
当事者であるのに「自分には関係ない」とばかりにサラリと流す。
「ところでさ、そもそも何で着替えようとしてたの?」
「え?あ、ああ……明日休みなんで美心ちゃんと出掛けることになって、何着て行こうかなと……いくつか着てみてたっていうか…。」
「どれ着ても似合うよ。」
「はは…お世辞でも嬉しいです。」
「本心だってば。それで、何着てくの?」
「うーん……こっちのふわって感じのワンピースか…こっちのピシッとした感じのパンツか…かな?」
「オレが選んでもいい?」
「え?うん…全然いいですけど……寧ろ決まらなかったからありがたいです…。」
「そう、じゃあこっちのパンツね。」
「うん…じゃ、そうします。」
どちらでもいいと思っていたので、迷いなくアカギが決めてくれたことは本心から有難かったのか、
youはフムフムと頷くと、少し笑顔で「決めてくれてありがとうございます」とアカギに礼を述べた。
すると、すぐさまアカギは「じゃあさ…」と言葉を発し、服に目を向けていた彼女の視線を再び自分へと戻させる…。
「今度オレとも出掛けてよ。その時はそっちのワンピース着て。」
「あ……アカギさん…。」
「ダメなの?」
「いや、ダメくないですけど……。」
「よかった。じゃあ、日にち決めないとな……来週でいい?空いてる日後で教えてよ。」
「わ、分かりました…。」
あれよあれよという間にアカギからデートの約束を取り付けられる…。
先程までの怒りも羞恥心も何処かへ飛んで行ってしまうほどの話題の方向転換で、
ある意味感心すら覚えてしまうyouなのであった…。
「あ…でも、何でワンピースの方がアカギさんなんですか?」
「え、だって…。」
「?」
「ズボンには手を入れられないけど、スカートには手を入れられるし…。」
「入れさせねェよ?」
っていうかどういう状況だよ!と続けざまに激しくツッコミを入れるyouに「あはは」と乾いた笑いを放つアカギ。
またしても彼女を怒らせた後、彼はポンポンと彼女の頭を軽く撫でるように叩くと、リビングに戻りがてら、一言。
「冗談だよ。そんなの、オレが可愛いyouを見たいからに決まってるでしょ。まぁ、どっち着ても可愛いんだけどね。」
「!!!」
途端、お怒りモードで釣り目がちになっていた眉と目が大きく見開き、
あっという間に今度は困り顔に…。
そうして耳まで真っ赤に染まった状態で言葉も紡げず、アカギの出て行った自室のドアを見つめるyouなのであった…。
「可愛い」なんて言い慣れない単語だけど
惚れたなんとかってヤツですよ。
(それで、今日の夕飯はどうする?)
(ああ、そういえばその話がきっかけでしたね…。)
(うん、youさえよければ外行こうよ、奢るし。)
(え、でも……どうしよう。)
(お詫びも兼ねてさ。)
(お詫び…?)
(着替え見ちゃったからね。)
(反省する気持ちがあったんですね……一応…。)
(いや反省はしていない……ということは詫びじゃなくて…謝礼…。)
(反省はしてください。でも何で謝礼…わたし何もあげてませんけど…。)
(下着姿と生着替え見せてもらった。)
(今日のご飯ちょっと高級なイタリアンでもいいですか?ワイン頼んで最後にドルチェまで付けてほしいです。)
(そんなんでいいの?言っとくけどオレ、今は金(泡銭)あるよ。)
(ぐぬぬ…。)
(あ、そうだ…大事な事言い忘れてた。今日の下着は今度オレと出掛ける時付けないでね。)
(はっ?な、なんで……???)
(だって……透けてたら今日の下着姿思い出しちゃうでしょ。)
(もうワンピース着ないッツ!!!)
words from:yu-a
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