step2_(イベント編)
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「you、今度の日曜の夕方から……暇か?」
「特に何の用事もないけど…。」
「そっかー、よかった!!あのさ!その日、地区主催の花火大会があんだよ、一緒に行かねぇ?」
「わぁ、お祭り?行きたーい!」
「よっしゃ、じゃ、決定な!」
と、いうことで
203号のカイジくんと一緒にお祭りに行くことになりました。
花火大会に行こう。
「you~、用意できてるか?」
夕方、202号の扉を叩いてyouを呼ぶカイジ。
「ちょっと待って!」と少し慌てた声が扉の向こうから響き、
カイジは思わず小さく笑った。
数分後、扉がそーっと開かれてyouが顔を出した…。
その姿に目を見開くカイジ。
「すげ…。」
「な、何が?」
「いや、浴衣……うん、うん…可愛い!」
「そんな真面目に言われてもなぁ…///」
「あはは!だよな、ゴメン。」
「でも正直嬉しいな、ありがと。」
そう、にっこりと微笑んで、youは歩き出した。
カイジはその後をゆっくり着いて行く。
近所の神社に近づくごとに、人通りも増えてきた為、カイジはyouの手を取った。
「一応、な。……はぐれたら微妙に困るし…?」
「微妙?!」
「だって…ガキじゃないんだし、はぐれたら家に帰ればいいだけだろ?」
「確かに…。」
「でもホラ…アレだよ、誘った点前……オレがちゃんと最後まで面倒見ないと。」
「あはは!!何それ、カイジくんって私の保護者?!」
「保護者っつーか……はたから見れば……その…恋…び…と……とか…?」
「カイジくん!見て!出店が凄いよ!!」
「あーうん、やっぱ聞いてないのね。」
「え?」
「いや…。」
自分の赤面寸前の顔と告白を町のざわめきにかき消され、
とことん自分の運の無さに嫌気が差すカイジであった……。
とりあえず、気を取り直して歩き出す。
「何か見てると腹減るよなぁ……。」
「うん、分かる~!」
「じゃ、とりあえず何か食うか!」
「うん!」
「you、何がいい?」
「カイジくんは?」
「っと……たこ焼きだろー、焼きソバだろー……カキ氷はデザートとしても、
やっぱビールと焼き鳥は欠かせないだろ!!」
「そ、そんなに食べるんだ…?」
「食う!圧倒的に食う!金は無いけど。」
「もぉ!」
前回、隣マンションに住む一条と仲良くなった祭に
カイジが一条にお金を借りて、未だ返していないという情報を聞いた為、
youは頬を膨らませてカイジをジロリと睨む。
その視線が痛くて、焦るカイジは弁解を始めた。
「ややや!冗談だって!いくらオレが貧乏でも、youに頼むなんてコトは絶対無いから!!」
「本当かなぁ~?」
「本気と書いてマジ!オレ的に女の子には頼っちゃダメなの!」
「そうなんだ?」
「おう!」
大きく頷いたカイジに少し驚いた顔をするyou。
そのまま二、三歩進んだところで、急にカイジが立ち止まって
思い出したようにyouに告げた。
「あぁ!あのな、逆はいいんだぞ?!」
「ぎゃく?」
「youは何か困ったコトがあったらオレに頼っていいんだからな?」
そう言ってニコっと笑い掛けた顔が予想外に爽やかだったため、
youは急に頬が熱くなるのを感じた。
「う、うん……ぁ…ありがと…///」
「ん!じゃ、行くか!」
「うん!!」
それからカイジの希望通りの食料を全て調達。
カイジがよく知る、会場からほんの少し離れた花火がよく見える穴場に着いたところで、
ちょうど花火の煙幕が上がった。
続けざまに数発打ち上げられる花火に感嘆の声を上げるyou。
「すごーい!綺麗!!」
「あぁ!」
「それに、バッチリ見えるし……この場所、凄い!」
「だろ?」
「カイジくん…。」
「ん?」
「誘ってくれて、ありがとう。」
ドン、ドン…という音と共に夜空に咲く光の華々。
そして、それをバックにして嬉しそうに笑いかける浴衣姿のyou。
越してきた初日から少なからず、彼女に好意を抱いていたカイジを惹き付けるには
十分すぎるシチュエーションだった。
そして同時に脳内を駆け巡るのは……
「(しかし、どうやって201号のチンピラと205号の猫被りを出し抜くか!)」
そうそう、あと+αで隣マンションの一条も怪しいよな。
「どうすべきか」と、試行錯誤を巡らす。
押し黙ったカイジを不思議そうに見つめるyou。
「カイジくん?大丈夫?」
「わ!うん、えーと……うん……大丈夫。」
「そ?」
「おぅ!あのさ、you……。」
「……ん?」
「やっぱ今はいい……花火の後、言う。」
「うん?分かった。」
もごもごと言葉を噤んだカイジを、再び不思議そうに見るyouだったが
大きな花火の音に意識を戻され、上空に目を戻した。
それから花火の打ち上げはラストスパートを迎え、
金色に輝く光のカーテンが2人の視界一面を覆う。
最後に一発、終了を告げる花火が上がり、
祭りの時間は終わりを告げた。
「……終わっちゃったねー。」
「あぁ。」
「カイジくん、さっきの話は?」
「えーっと……あー……あー…youってさ…。」
「?」
「付き合ってる男とか、いんの?」
「いないよ。」
「早ッ!即答?!」
「だって…引っ越してきてそんなに経ってないし…。そんな出会いも無いよ?」
「そー……なんだ?」
「それが、どうかした?」
首を傾げて尋ねる、その仕草も可愛く思える。
カイジは自分がいよいよ追い詰められていることに気付く。
そして……
「あのさ!!」
「なに?」
周囲には誰もおらず、祭りの騒がしさも遠い。
聞こえるのは虫の声だけ……。
告白にはもってこいの状況なのだが…。
「オレ…youのこと……を。」
「え…?」
「ま…。」
「ま?」
「また…こうやって誘っていいか?」
「うん。」
言えないカイジだった。
しかも「それで彼氏いるか聞いたんだね」と、納得されてしまう始末。
確かにそういう感情になってはいるものの、
その気持ちが本物かどうか未だ確証がもてないこともあり
「今日はこれで」と、納得するカイジ。
それでも、夜店が畳まれて人気の無くなった帰り道……
人にぶつかる心配も離れ離れになる心配も無いのに
手を繋いだまま福本荘へ帰れたことに喜ぶカイジなのでした。
ヤバイヤバイヤバイ!本気で好きかも!
(じゃ、またな。)
(カイジくん、今日は本当にありがと、でした。)
(お、おう…。)
(結局ご飯もカイジくん奢ってくれたしね。)
(まぁ、そこは、な。)
(それじゃ、おやすみなさい!)
(おやすみ……(嗚呼…明日からの生活どうしよう…色んな意味で!))
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