step5_(恋人編:アカギ)
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「ただいま。」
「ん、おかえりなさい。」
夕飯中だったyou
モグモグと口の中に入っていた最後の米を嚥下し
帰宅したアカギに返事をした
アカギさんといっしょ19
「飯食ってたのか、半端に帰ってきちまって悪かったな。」
「あ、いえ……たった今終わったところです。まだおかず温かいんで、すぐアカギさんの分準備しますね。」
「悪い、ありがとう。」
「飲み物だけ用意してくださーい。」
「ああ。」
そう言うとキッチンのエリアに入っていき、アカギの分の食事の準備をし始めたyou。
勝手知ったる何とやら…。
アカギもまた、自分の分の飲み物として彼女の家の冷蔵庫からビールを取り出し、リビングのテーブルへ戻って着席する。
それから数分で夕飯の準備が終わり、アカギのみ手を合わせて「いただきます」と食事を始めた。
「もう少し待ってればよかったですね…先に食べちゃってすみませんでした。」
「ん、連絡しなかったオレが悪いし。」
「あ、そうだ……今日帰りにスーパーで買い物をしたんですけど……その時に……。」
「?」
「いえ、これは後で……アカギさんがご飯食べ終わってからにしよう。」
「え、何…気になる。」
「大したことじゃないですよ。」
「気になる。」
「ふふ……じゃあ、ご飯食べちゃいましょう。」
「・・・。」
いつもであれば、気になる事は徹底的に問い詰めて口を割らせるとことだが、
彼女の言動や笑顔な様子を見る限りでは、本当に大したことではなく、悪い方向性の話でも無い様子…。
アカギは「フゥン」小さく息を吐いて、再び目の前の食事と向き合う事にした。
それからyouと一日あったことなど、他愛もない話をしながら食事を終えたアカギ。
youが洗い物をしている間に自室で風呂に入りに戻り、彼女が家に来るのを適当に時間を潰して待つ。
youはというと、洗い物を終えた後で風呂に入り、歯磨きなどの寝る準備を終わらせてアカギの部屋へと向かった。
youの家では「ただいま」と「おかえり」。
その後のアカギの家では「おじゃまします」と「いらっしゃい」…。
そんな流れが日々のルーティンになっている今日この頃…。
「ふぁ…何か今日は早めに眠っちゃいそうです…。」
「ん、寝てもいいけど……さっき言いかけたヤツだけ教えてよ。」
「あ、そうそう……はい、これ。アカギさんにあげる。」
「・・・何これ。」
「ガチャガチャです。」
「・・・がちゃ?」
「え、やったことないですか?スーパーとか、デパートとかモールでもあるじゃないですか。何百円か入れてガチャガチャしてカプセルに入った景品が出てくるアレですよ。」
「ああ、知ってる……やったことないけど。」
「うそぉ?!」
「嘘じゃない。」
「生まれてこのかた一度も?」
「無い。」
「い……一体何を楽しみに生きてきたんですか?!」
「それそんなレベルで大事な経験なの?」
「いえまぁ……そこまではないかもですけど…。」
それでも、この年齢に達するまでに一度もこのツールを使わずに生きてきたとは驚きであるワケで…。
相変わらず常人の認識の斜め上の生き方をしてきた男だな…と感心してしまうyouなのであった…。
「それで、何でまたそのガチャガチャとやらをオレに?」
「あぁ、うん……そうそう、そうですよね!開けてみたら分かりますよ!」
「・・・?」
アカギはyouに言われるがまま外側に貼られていたセロテープを剥がし、カパッとカプセルを開いてその中身を取り出す…。
「・・・「中」?」
「の、ポーチです。可愛い。」
「可愛い……???」
「他にも麻雀のガチャガチャいっぱいあるみたいですよ。」
「え、ガチャガチャってそんな俗っぽいラインナップなの…?」
「んー……いや、いっぱいですよ、いっぱい。アニメのキャラクターのマスコットもあれば、可愛いミニチュアの飾りとか…本当色々。見るだけで楽しいですよ~。」
「そうなんだ?」
「はい!今日はスーパーの出入口のところでたまたまこの麻雀のグッズを見かけたので、つい。」
「つい…。」
「アカギさんぽいなーって思ってガチャガチャしてしまいました。」
「そう…。」
「あれ、反応薄い。」
「いや、更にガチャガチャってヤツがよく分からなくなったなと思って…。」
「今度実際ラインナップ見て、ガチャガチャしてみるといいですよ。」
「・・・それもそうだな。」
「どうしますか?これ……アカギさんが要らなければわたしが使うけど…。」
「いや、折角youがオレのこと考えてやってくれたものだし、もらっとくよ。」
「そう?」
「煙草とライターと携帯灰皿入れるのにちょうどいい。」
「おお、なるほど。」
そこまで大きくないからポケットにも入りそうだし…と、アカギ。
パチパチと何故か小さく拍手をして「良かった」と喜ぶyouの髪をわしわしと撫でた。
「何かお礼しないとな。」
「いいですよ、300円くらいでしたし。ガチャガチャの中では安い方…。」
「あれ100円じゃないの?」
「いつの時代の話ですか……物価高でガチャガチャの値段も上がってますよ……その分クオリティも高くなってますけど。」
「何つーか……世知辛いな…。」
「ですです、本当に…。」
ハァーっと深い溜息を吐いて、景気の悪さへの憤りを表すyou…。
「何か、悲しくなってきた…。」
「身体で慰めてやろうか?」
「ふっふっふ……結構です、今日から例のアレが始まったので、なのでほら、無意味に悲しくなるし、お腹も痛い気がしますし。」
「・・・。」
「なので、残念ながらアカギさんの善意が受け取れないんですぅ。」
「この野郎…。」
「残念ですねー……というわけでお休みなさい!」
「この高いベッド血で汚したらクリーニング代ふんだくる。」
「鬼!!!」
売り言葉に買い言葉というやつではあるので、アカギとしては本気でクリーニング代を要求することはないし、
それをyouも理解はしているので、ほんの戯れのような遣り取りではあるが、
プイッと反対を向いてベッドに横になられると、それはそれでちょっとムッとしてしまう…。
結局、構い倒したくなってしまい「嘘だよ、ごめん」と、自分の方を向かせるべく先に折れるアカギであった。
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「凄いね、こんなに沢山種類があるんだ…そもそもこんなガチャガチャだけのコーナーがあるんだね。知らなかった。」
ずらりと並んだ、金額も商品のジャンルも様々なガチャガチャの機器を眺め、アカギが呟く。
先日youが麻雀牌のポーチをアカギに渡してから暫く経った日の休日…。
有言実行とばかりにアカギとyouは連れたって最寄りの大型ショッピングモールにやって来て、
ウィンドウショッピングの合間にガチャガチャのコーナーを訪れていた。
「ミニチュアの小物、可愛い!つい意味もなくガチャガチャしたくなるなぁ…。」
「ヘェ…何か滅茶苦茶リアルなカエルのフィギュアとかある……要らないけど、面白いね。」
「無駄にクオリティの高いミニチュア家具家電のガチャガチャなんかもありますよ。」
「本当だ……これ400円もすんだね。」
「プレミアムなヤツとか、1回800円とか1000円のガチャガチャもあるんですよ。」
「それはまた大層な…。」
「やってみます?」
「いや、遠慮しておく。」
そもそも要らないしね…と続けながらも、一通りはガチャガチャのラインナップを見て回る様子のアカギ。
色々と面白いネタのようなコーナーの一角に、いくつかあった麻雀牌をモチーフにしたガチャガチャを見つけ、じっとそれらを見つめる。
「あ、この間わたしがやったのと同じ麻雀牌のポーチですね。あとは…ボールチェーンと、え、何これ麻雀牌のミニライト?ピンクに光るんですね、可愛い。」
「見事にどれも使わねェな…。」
「でも折角ですし、何か1回やってみては?」
「んー……そうだな……じゃあ、このライトにする。」
「はい、300円。」
「ん、ありがと。」
ちょうど財布に小銭がありました、と…100円玉を3枚アカギに手渡すyou。
そしてアカギは、少し低い位置のその機械にコインを入れて、身を屈めながらレバーを回し、人生初のガチャガチャに挑戦する…。
名の通り「ガチャガチャ」と音を立てた後、ガコン!と勢いよく取出し口にカプセルが落ちてきた。
「何が出るかな…と言ってもこのラインナップ…。」
「萬子の一から九……チョイスが何とも微妙だな…。」
「あ、カプセルは不要ならここで開封して捨てていけますよ。」
「そうなの?じゃあ開けるか。」
不要なゴミは極力持ち帰りたくはない…と、アカギはその場でカプセルを開封。
中身のみを取り出し、youに言われた通り、その場に設置してあった回収箱に空のカプセルを放った。
「九萬。」
「それってアカギさん的にアタリ…?」
「単体で出られても……この中じゃどれが出ても当たりもはずれも無いな……。」
「そ、そうですか…。」
「フフ…でも、そうだね、ガチャガチャするのは面白かったよ。空くじが無いから子どもでも大人でも楽しめるのは理解できたし。連れてきてくれてありがとね、you。」
「この間のポーチとか、小物入れとか、結構普段小さなことで活用できそうなガチャガチャもあったりするので、たまに覗いてみると楽しいですよ。」
「成程ね。とりあえずこのライトもベッドのスタンドライト代わりにしとくか。」
「あはは、案外いいかもですね。」
ボタン電池で、スイッチを入り切りすれば簡単に点灯する仕様なので、楽でいいかもしれないというアカギに、youも賛同する。
そんなこんなで、ガチャガチャのコーナーを楽しんだ後、夕飯の買い物をして家路につくこととなった…。
そして帰宅後、共に夕飯を食べ、いつものように寝る準備を終えてのアカギ家の寝室…。
「ふぁ………モールの中広かったから歩き回って疲れたな…今日は早めに眠っちゃいそうです…。」
「ん、じゃあ電気消して、今日ガチャガチャで出したライト点けてみるか。」
「あ、そうですね!どのくらい光るかな……確かピンクに光るんですよね?可愛いスタンドライト代わりになるかな…。」
「じゃあ、電気消すよ。」
「はーい。」
パチリ、と部屋の電気を消して周囲が真っ暗になった。
そうしてすかさず、youがアカギに手渡された麻雀牌のミニライトのスイッチをONにしたのだが…。
「・・・。」
「・・・。」
「何か…。」
「・・・思ってたのと違います…。」
「・・・。」
ミニライトとはいうものの意外にも光の威力は強いようで、割とハッキリ部屋の様子が照らし出されているのだが、如何せんその色が問題であった。
2人の想像としてはやんわり、ほのかに桜色の癒されるような灯りが灯るくらいのものだったのだが、
思った以上にピンクの色が濃く、鮮やかな刺激色で部屋を照らしてきたのである…。
「全然癒されない…何か違う…。」
「何つーか…………ホテルにありそうな灯りだな。」
「また言いにくいことをサラッと…。」
「いや、だってこれ………そういう色じゃない?」
「どういう色ですか…って言いたいけど、ええ、何となく理解できてしまう…超マゼンタ。ショッキングピンク。」
「あー……。」
「あ…ヤな予感…。」
何となく厭らしい雰囲気を彷彿とさせるような色の灯りにより、言わずもがなアカギが覚醒…。
身体を離そうと動かした腕をがっしりと掴まれ、アカギに足の上に体重を掛けないようにして跨られる。
「あ、アカギさ…。」
「300円のライトで興奮すんのも何だけど……この色、すごくヤラシイ感じだよね。」
「ちょっと……ま、待って…。」
「クク……そう思うとガチャガチャ、楽しいな。」
「いや、全然面白くない!!」
「ん、でも、今日は逃げられないよ、you。」
「な、なんで…?」
「だってもうエッチできるでしょ。こないだガチャガチャの話した時に例のアレだったんだから、今は違うよね?」
「そ、それは…!」
「この色で照らされるyouの裸って……結構ヤバそうな気がする……我慢きくかな…。」
「いっそ裸を見ないでおやすみなさいという選択肢もあるんじゃ…。」
「そんな選択肢は無いよ………じゃぁ、そういうことで…いただきます。」
「ちょ、ま……っ!!!」
youに向かって合掌し、ショッキングピンクの灯りに照らされた彼女の身体をベッドにゆっくりと押し倒す。
勿論自分も同じ色で照らされているので、きっと彼女も自分と同じリビドーに駆られているハズ…。
そう思いながら、アカギはyouの服の中に手を差し入れるのだった…。
ガチャガチャね…
結構いい仕事するじゃん
(ない……。)
(どうしたんですか、アカギさん?)
(麻雀牌のミニライトが無い。)
(あー…あれですね……あれはカイジくんに差し上げました。)
(なんで…。)
(だって、あれの所為で先日酷い目に遭ったし…元々わたしの300円ですしー!)
(そうきたか……ケチなことをする…。)
(それに…。)
(それに?)
(あ、いえ……何か家の電気代払い損ねて電気通って無かったから助かるって……今はもう払ってるみたいだけど…その時切実そうだったから…。)
(それはあげても仕方ないかも。)
words from:yu-a
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