step5_(恋人編:アカギ)
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「…という経緯で、youと付き合うことになりました。」
「なるほどな…。」
夜の繁華街の裏手、その一角にあるオーセンティックバー
アカギの言葉にフゥン…と小さく鼻で頷くと、
銀二は傾けてカラン…と音を立てたグラスを見つめた
アカギさんといっしょ18
「で、何で今更それをオレに言うんだ?(まぁ、何となくコイツらの関係は察してはいたが…)」
「ちょっとね、相談したいことがあって……折角なら牽制も兼ねて銀二さんには言っとこうかなと。」
「おいおい、こんなジジイ捕まえて牽制もクソもあるか。」
「クク…またそんな謙遜を………正直、銀二さん達が福本荘に越してきた時はちょっと焦ったよ……多分、最大の障壁になるとしたら間違いなくアンタだってさ。」
「ハハ…そりゃオレがもうあと10か20若けりゃの話だろ……それなら…そうだな、オレだって嬢ちゃんのストライクゾーンかもしれんし、面白そうだし……お前さんとタメ張ってたかもしんねェなぁ……。」
「だから、銀二サン相手だと年齢とか関係無いからこっちは危機感覚えてるんだってば……。」
「買い被り過ぎだっつの……今のオレじゃ、お前さんには勝てんよ。」
「・・・。」
銀二の言葉に、少し不服そうな顔で押し黙ったアカギ…。
銀二はそんな彼を横目でチラリと見ると、少しだけ真顔で答えてみた。
「まぁ……森田の方がアンタと勝負してでも嬢ちゃんが欲しいっつーんなら……オレも相棒として全力でバックアップするだろうがなァ……。」
自分ではないが、信頼を置いている相方の為であれば隠している鋭い牙を、
或いは鞘に納めている鋭利な刀を抜くこともあるかもしれない…と。
そう告げた瞬間の眼光は鋭く、バチリと視線が合ったアカギが思わず武者震いをする程…。
麻雀でなくてもいい、ポーカーでもブラックジャックでも丁半でも…兎に角何だっていいから、この目の前の覇者…銀王と呼ばれる程の男と賭け事に興じたい…。
「今すぐ何か、オレと勝負してくれ」と、そんな言葉が口を突いて出そうになった瞬間…。
銀二の方が先にそのオーラをフッと消失させて、ニヤリと意地の悪そうな顔で笑った。
「そんな餓えた獣みたいな顔すんじゃねェよ……ついノっちまいたくなるだろ…。」
「クク……ダメ?」
「ダメだね。第一する理由も無ェ……残念な事に森田はそういう男にはならんだろうし……略奪愛なんて柄じゃねェだろ…絶対。」
「それは…確かに。」
銀二の森田に対しての分析に、アカギも否定はできず、小さく頷く。
少し…いやかなり残念そうに溜息を吐くと、グラスに残っていたジントニックを飲み干し、
カウンターにいるバーテンダーに追加の注文をした。
「まぁ、森田の事はさておきお前……何かオレに話したいことがあったんじゃないのか?」
「ああ、そうそう忘れてた…。」
「お前な…。」
「いや、大したことじゃないよ……ただ、銀二さんの方が女の扱いは慣れてると思ったから、ちょっとアドバイスが欲しくてさ。」
「嬢ちゃんのことか?」
「まぁ、オレにはyou以外いないんで。」
「はいはい、お前もう惚気るのやめろ……で、何のアドバイスが欲しいんだよ…?」
「いや、ただ…どうやったらもっとyouがオレに惚れてくれるかなと思って。」
「・・・帰っていいか?」
「まぁ、そう面倒臭がらず。」
「いや面倒臭ェよ!ずげー面倒臭いぞお前!」
呆れたような声でそう言い放ち、銀二はグラスをコースターの上に置くと、
自由になった手で額に手を当てて項垂れた。
何故ならば「もっとyouがオレに惚れてくれる」ということは、
今現在もちゃんと好意を持って接してくれている関係性ということなので、
それ以上を望むのは通常であればただの強欲と言うに他ならない。
つまるところ、恐らくはそんな相談は二の次で、アカギの真の目的は矢張り最初に伝えて来た「牽制」なのだとハッキリと理解した銀二。
「どうやらオレは…嬢ちゃんに対するお前さんの執着心を甘く見ていたようだ。」
「クク…銀二さんがいけないんですよ、会う度にyouの顔赤くさせるんだから…。」
「何だそれ、すげーもらい事故じゃねェか…。」
とばっちりもいいところだ、と絶句する銀二に、アカギはくつりと笑って彼を純粋に褒める。
「まぁ、分かりますよ……アンタカッコイイんだもん。」
「(おめーが言うな。)」
「別に銀二さんになりたいワケじゃないけど、持ってる雰囲気は憧れるものがあるなって思ってさ。」
「スーツでも着たらどうだ?」
森田もそれで箔付けたところあるぞ…との提案は、既にアカギは実行済みなので却下となった。
その他にも、雰囲気作りでこのようなバーに連れて行ってみてはどうかというのも、実践済と答えるアカギ…。
「…ネタ切れだな。」
「まだ2つじゃない。もっと他にないの?」
「お前なぁ……別にオレにならなくてもいいんなら、そんな掘り下げて聞かなくても良いじゃねぇか…。」
「ホラホラ、他に女の扱いで意識してるところ、無い?」
「こんなジジイをいじめて楽しいか…。」
「正直めちゃくちゃ楽しい。」
「すげー面倒臭ェ…ロクな大人にならねェぞお前。」
「今更でしょ。」
きっと深夜に急に「ふぐ刺し食いてえ」とか板前叩き起こしたりする老害になるに違いねェ…などとボヤく銀二。
そんな、何とも具体的な表現に「何それ」と笑うアカギに、
銀二はやれやれと小さな息を吐くと、手を頬に当ててテーブルに肘を付いた状態でアカギの方へ身体を向けた。
「あとはもう…五感だろうな。」
「・・・ごかん?」
「視覚聴覚触覚味覚嗅覚。」
「ああ、その五感…。」
「見てくれがどうかとか、声をどう思うかとか…そういうのだよ。」
「うーん……。」
銀二の「五感に関してどうか」という言葉に、付き合ってからのやり取りを色々と思い出す…。
外見は自分では分からないが、youが「アカギさんの顔が綺麗で困る」などと言っている事もあったと思い返し、視覚はクリアとする。
聴覚に於いても、彼女はよく自分の声を低くて素敵だと褒めてくれるため、問題はないと断定。
「触覚と味覚ってどういう意味で取ればいい?」
「アッチの方の具合と胃袋掴んでるかだろ。」
「・・・。」
この上なくストレートに、かつ分かりやすく教示してくれた銀二の言葉に暫し押し黙るアカギ。
身体を重ねる行為に於いては、自分は彼女を毎日でも抱きたい程だが、逆に彼女が自分の身体をどう思っているかは分からない。
そして胃袋を掴んでいるのかどうかは、自分が彼女に料理を提供してもらう側で、逆に提供することが無いため手の打ちようが無いという状況。
「…その2つは保留かも……じゃあ残るは…嗅覚?体臭、臭いとは言われたことないけど……結構煙草の匂いはしてるかも…。」
「・・・。」
「何?」
「いや、若ェっていいなぁと思って…。」
「は?なんで??」
「年取ると色々あんだよ……ハァ…。」
「???」
「ま、でも……敢えて使ってみると、意外と嬢ちゃんの気を引けるかもしれないってのはあるし……お前さんも使ってみるといいんじゃないか?」
「何を?」
「香水な。」
「…そんなの持ってない。」
そもそもどんなものを付ければいいのか分からない…という表情をあからさまに浮かべるアカギに、銀二は苦笑する。
「買ったはいいがあまりオレには合わなくて使ってないヤツがいくつかあるから、嬢ちゃんが好きそうなヤツを選んでくれてやるよ。」
「え、いいの?」
「ああ。あんま長く使わなかったら劣化しちまうしな。」
「ありがとう。」
「じゃあ今度持ってきてやる。いいか、上手くいってもいかんでもオレにイチイチ突っかかってくんじゃねェぞ?」
「フフ……それは分かりませんけどね…。」
「おい、頼むから解放してくれや。」
「銀二さんが本気で遊んでくれたらね。」
「お前マミヤの嬢ちゃんに同じ事言われてのらりくらり躱してんだろ……特大ブーメランだぞ。」
「・・・。」
銀二の秀逸なツッコミに、二の句が継げぬアカギであった…。
・
・
・
・
「ただいま。」
「あ、アカギさん、おかえりなさ……わ!どうしたんですか、今日スーツだ。」
「フフ…ちょっとね。」
いつものように帰宅の挨拶をしてyouの家に上がってきた、いつもの格好とは違う、スーツを着たアカギ。
既に携帯のメッセージで別々に食事を済ませるということは話しており、
後は風呂や着替えや歯磨きといった準備をして就寝…という、一日の終わりのルーティンだけが残るような時間。
「アカギさんご飯終わってますよね、お茶飲みます?それかお風呂先に入る?」
「お茶もらっていい?折角だし、スーツ姿いっぱい見たいでしょ、you。」
「うっ……見たいですけど…。」
「フフ…。」
廊下ですれ違い様に彼女の頭をポンポンと叩き、リビングのソファーに着席するアカギ。
youは少し頬を赤らめ、いつもより少し急ぎ気味でお茶を用意して、リビングへと戻った。
「はい、お茶です。」
「ありがと。」
「…今日はまたどうしてスーツで……また雀荘ですか?」
「今日は銀二さんと会ってた。ちょっと、約束があったからね。」
「えっ、銀さんとスーツ姿のアカギさんが邂逅……だ、と…?」
「何で驚くの。」
「いや、オーラがヤバかっただろうなって……。」
「なに、オーラって…。」
「街ゆく人が2人を振り返って卒倒したりしなかったですか…?」
「何その危険物……テロじゃん。」
「カッコ良すぎてある意味で視覚のテロですよ!」と、言いたくはあったが恐らく「そうなの?」くらいの反応しか返ってこないだろうということが分かっているため、youは言葉を飲み込む事にする。
そんな様子で何か言いたげではあったが、何も意見してこないようだったので、
アカギはひとまず淹れてもらったお茶を飲み終え、話…というより当初の目的を進めることにした。
「ご馳走様、お茶ありがとね。」
「いえいえ…。」
「you明日休みだったよな。」
「え、あ、うん……アカギさんも?」
「うん……今日はどうしようか、youの家でする?それともオレの家?」
「な、何ですか…するって…。」
「しないの?セックス。」
「し……す……す……す……するん、ですか?」
「オレはシたい。」
そう言って見つめ合い目を細めると、youも同じように瞼を下げて目を閉じたので、アカギはそのまま彼女に口付ける…。
身体を抱き寄せ、啄むように唇を何度も重ねるキスをして、ゆっくりと顔を離した…。
うっとりと蕩けるような表情をして、youはそのままアカギの肩口へポスっと顔を埋めたのだが…。
「ん……んん?」
「ん?」
アカギの腕を両手で掴んだ状態で、そっと身体を離すと、youは不思議そうに彼に尋ねる。
「何か……いいにおいする。」
「フフ…。」
「これ……アカギさんの匂い…?香水付けて、る?何かすっごい爽やかな感じ……銀さんのじゃないよね……。」
「分かるんだ?」
「うんうん、分かります……。」
くんくん、とアカギの首筋に顔を近付けて、その身体にぎゅうっと抱き着く。
「お風呂上りみたいないいにおい、する…。」
「youは、この匂い好き?」
「とても好きです……。」
「良かった。これは銀二さんにもらった香水。いくつか使ってないのがあるからスーツの時くらい付けておけって、譲ってくれた。」
「それで銀さんと会ってたんですか…。」
「まぁね。」
「清潔感があって優しい香りですね。素敵です。」
「youが気に入ってくれたなら、良かった。」
「ん……アカギさんに、もっとくっついていたくなります……。」
「フフ…猫みたい。」
腕を掴んでいた手を離し、アカギの胸板に移動させると、
首元の香りがよく届く場所に顔をポスっと預けて、身体に擦り寄る。
言う通り、猫のような仕草が可愛い、と小さく笑みを零すアカギ。
「…ね、思いついたんだけどさ……ちょっとゲームしない?」
「えー……イヤです…。」
「即答かよ。」
「だってアカギさんのゲーム報酬、何か絶対裏があるもん…。」
「香水付けた場所、当ててみてよ。全部当てたら何かご褒美あげる。」
「怪しい……そのご褒美の「何か」って何…?」
「何か欲しいもの、とか?」
「え、しげるくんの写真ですけど…。」
「まだ諦めてなかったのかアンタ……。」
「諦めませんよ。」
「うーん……しげる君(現在)なら何とか…。」
「あ、それはそれで……ちょっと欲しい気はする……スーツ姿とか…寝顔撮らせてもらったりとか…綺麗だし…。」
「寝顔?そんなの勝手に撮ればいいのに…。」
「そんな……勝手になんて…やっぱり許可もらわないと…。」
「許可……要ったの?」
「ちょっと待って、誰の話してます、今?」
「・・・。」
「・・・。」
「………おれの?」
「絶対違うでしょ!!!」
一人「肖像権んん!!」などと腕の中でプンスカ怒り出した恋人に「あー…」と面倒臭そうな表情と声で流そうとするアカギ…。
「ちょっと、聞いてますかアカギさん!?」
「うんうん、ゴメン。」
「心にもない謝罪!!!」
「でも寝顔、可愛く綺麗に撮ったから…。」
「そっ、そういう問題じゃ…!」
「大丈夫、オレが選んだ下着だから、凄く良いオカ……そこは間違いなく凄く良い写真…。」
「今オカズって言いかけましたよね?!!1ミリも大丈夫じゃないんですけどぉお?!!」
「耳元で煩いよ、you……いいじゃない、アンタもオレの事撮ればお相子でしょ。」
「用途が…用途が違う…ッ!!」
「youもオレの写真使っていいよ……何なら裸の写真でも撮る?」
「結構です…ッツ!!!ていうか使うって何!!」
「クク……それはまぁ、色々だよ。」
「~~!!」
「じゃあ、ご褒美は写真という感じで……。」
「"写真の削除"でお願いします。」
「・・・は?」
「"写真の削除"でお願いします。」
「…チッ。」
あらぬ方向の展開でアカギの盗撮が発覚したため、
報酬は自己防衛に消費されることとなるのだった…。
ただし、そこには問題があり、アカギが持ち掛けた勝負に勝たなければならない。
「で、香水付けた場所を当てる…でしたよね?」
「そうだよ、どうする?」
「勿論、受けて立ちます!」
「いいね、その心意気や良しって感じ。you意外と博奕好きなんじゃない?」
「必要に迫られて受けてるんです!」
「クク…じゃぁ、開始と行こうか?」
「その前に!」
「ん?」
「全部で何か所に付けたか……教えてくれませんか?」
「うーん……付けてる場所、そんな多くないからな……じゃあこういうのは?3か所以上、7か所未満。大分絞れるんじゃない?」
「・・・う、わ、分かりました…がんばる。」
「あ、そうそう言い忘れてた。」
「?」
「服には付けてないから、必要であれば脱がせて確かめてね。」
「!!」
ぐっと両拳を握って意気込んだyouに、不意に思い出したようにそう言い放ったアカギ…。
しかし、その表情は間違いなく「敢えて黙っていた」を体現したような悪魔じみた笑みで…。
youは矢張りこのゲームも予め彼に仕組まれたものであったと、ここにきて確信してしまうのであった…。
・
・
・
・
「(香水を付ける箇所のことは絶対銀さんが教えてるはず……だから、基本一般的な場所に付けていると思うんだけど…。)」
「・・・。」
「(となると耳の後ろとか項…手首とか脚…腰もありえるかも…。)」
「どうしたの?」
「ちょっと考えてるんです!(うーん……さっき首筋の方からはふんわり匂いがしたから…耳の後ろか項…どっちか)」
「そう。」
「失礼します!」
「どうぞ。」
ビシっと片手を挙手して許可を取り、youはアカギの首筋に再度顔を寄せる…。
先程は甘える猫のような様子だったものが、今回は麻薬探知犬のような勢いでクンクンとアカギの首回りをチェックするyou。
「フフ…(犬のおまわりさん…。)」
「何がおかしいんですか……こっちは真剣ですよ!」
「いや、犬でも猫でもyouならどっちも可愛いなと思って。」
「はぁ??」
「何でもないよ、どうぞ続けて?」
「ふむ……。」
探知犬モードが終了し、次は腕を組み、顎に手を当てて探偵モードへ…。
少しだけ悩み、彼女はアカギの方を向いて答えた。
「項…うなじです。」
「お、正解。」
「香水って大体左右対称に付けること多い中、奇数を指定したのはアカギさんなりの優しさだと思ったので…。」
「フフ……大正解、他は左右対称に付けたよ。じゃあ、他も意外と簡単にわかっちゃうかもね。」
「後は手首なんだけど……そこは付けてないと思います!」
「それも正解。」
「やった!じゃあ後は……あと…は…。」
「うん。」
「・・・。」
今の調子で「後は下半身ですね!」と明るくは続けられなかったyou…。
ゴクリと唾を飲み込み、この後どうアクションを起こすべきか模索していると、
アカギが徐にスーツを脱ぎ、ソファの端にそれを置いた。
「調べやすくなるかなと思ってさ。」
「あ、ありがとうございます…。」
「・・・。」
「ちょっくら腰を失礼しますね……いや、うーん……腰は違いそう。」
「へぇ、腰に香り付ける人もいるんだね。」
「人によるかもですけど……ってことは腰は違うんですね?」
「うん、振ってない。」
コクリと素直に頷き、彼女の判断を肯定する。
さて、残るはいよいよ腰から下となってしまったのだが、
チラリと顔を覗けば、ニヤニヤと愉しそうな顔をするアカギと目が合ったため、youはフイっと顔を逸らした。
「あ……足!足元失礼しますよ!」
「ドウゾ?」
そう言うとyouはソファから降りて、カーペットの敷かれた床に座り込む。
アカギの足はそのままに彼の足首に顔だけ近付けるが、特に何も香ってこない。
「足首も違いますよね?」
「ああ、付けてないね。」
「となると……となる、と……。」
後はアカギの脚…主には膝の裏や太股の内側あたりが怪しいのだが、
そこに顔を近付けるのは何とも羞恥心に駆られるわけで…。
youはここに来て探索の手が止まってしまう…。
「どうしたの?うなじだけしか判明してないよ?少なくともあと2か所は付けてるんだけど?」
「う…う…。」
まるで危険物に触れるかのように恐る恐るアカギの脛に手を掛け、顔を近付けるyou…。
ここまできたらさっさと確認して、さっさと答えを出してしまえ!と、
最終的に勢いよくアカギの膝と膝の間に顔を突っ込んだ。
「(げっ……何これ…やばい…分からない…!)」
そう、しっかりめに匂いはするのだが、膝のあたりと太腿の位置が近すぎて、どちらに付いた香りなのかがハッキリ分からないのだ。
膝裏か、太腿…あるいは両方かもしれない…。
「う…。」
「フフ……どう?分かった?」
「膝裏……太腿…。」
「どっち?それとも両方?」
「うぅ……どっちかはっきり分からない……!」
「・・・。」
「うー…!」
「you。」
「う?」
「……脱ごうか?」
それはもう見事に悦に入った笑みを浮かべて彼女に提案するアカギ…。
youは顔を真っ赤にして悔しそうに暫し唸り続けたが、最終的に「お願いします」と答えた……答えてしまった。
なので、すぐにアカギは立ち上がり、カチャカチャとベルトを外してスーツのパンツを脱いで再びソファに着席。
youは最終的に素肌の脚の間に顔を埋めざるを得ない状況に陥ってしまう…。
「頑張って、you。」
「何かもう…頑張る必要ないんじゃないかって気になってきたんですけど……。」
「写真の削除諦める?」
「もうそれでもいいかも……。」
「つまらない事を……分かった…。」
「すみません…ギブアッ…。」
「良かった、youにセックス断られた時とか、生理中でできない時とか、写真のお陰で秒で勃つからさ、このまま保存させてもらえるなら助かるよ。あ、ねぇ、これってコンビニとか写真屋で印刷とかできるんだよな?現物として財布に入れててもいいかもって思ってるんだけど。」
「太腿に顔突っ込むのがなんぼのモンじゃぃいい!!続行じゃぁああ!」
アカギの煽りに全く耐性が無いyouはそうして、やけくそでアカギの脚…というよりは最早股の間に顔を突っ込んだ。
(というよりはもう脅しの域なので、受けざるを得ないのだが)
目的は兎に角匂いの箇所を当てること…。
youは羞恥心を忘れ、全集中で香水の箇所を嗅ぎ分ける…が…しかし…。
「(だめ…分かんない…太腿の内側は間違いないけど、膝裏、ここが分かんない……付けてるのか太腿の分が強いから香ってきてるだけなのかも…!)」
「クク……どう?そろそろ、顔上げて答えてよ。」
「うぅ…。」
youは促され、ゆっくりと脚に埋めていた顔を上げて恥ずかしそうに顔を赤らめてアカギを見上げる…。
それはまるでソファに座る自分に、床にぺたりと座り込んだyouが奉仕しているようにも見えるため、
アカギは自身がいつか…と、熱望する目の前のその光景を恍惚の瞳で見つめ、熱い息を吐いた。
「ハァ……イイね。」
「な、何がですか…?」
「ん、何でもない……場所は分かった?」
「ふ…太腿……。」
「当たり。」
「膝の裏…もかなって思ったんですけど……似たような場所に2か所も付けないと思うので、太腿だけにします!」
「・・・。」
「うなじと左右の太腿、香水付けた場所は意外に少なくてこの3か所、どうでしょう?!」
「・・・。」
「・・・アカギさん?」
「どうでもいい。」
「え…?は?……はぁああ?!」
突如として繰り出された投げやりな言葉に、youは硬直…。
今までの努力は一体何だったのか…と、沸き上がる怒りを堪えた表情を浮かべてアカギを見上げる…。
「もうそんなの、どうでもいい。」
「何ですかそれ……アカギさんが持ち掛けてきたゲームなのに…。」
「そんなことより、この最高な光景……もっと堪能したいんだけど…。」
「何…?」
「you……ちょっと、エッチなお願いしてもいいか?」
「イヤです。」
「ケチ。」
「ケチで結構!ていうか結局正解だったんですか?!写真消してもらえるんですか?!」
「オレの望みを叶えてくれたら、正解か答えるし、間違えてても写真消してあげていいよ。」
「またそんな…!!!」
新たな交換条件を出され、憤るyou。
頬を膨らませてキッとアカギを睨みつけるが、全く効果はない模様…。
寧ろ逆効果のようで、アカギはyouの両頬に手を添えると、興奮して荒い息を吐きながら、綺麗に笑って言った。
「youにオレのを咥えてほしい。」
「・・・。」
「それ、シてくれたら写真消すから。」
「あ……あの……アカギさん、ちょっと…。」
「ていうかもう正直しんどい……既にそういう風に見えてるもん…。」
「見えて……ハッ……こ、この状態のこと…?!」
やっと自分の置かれた状況に気が付いたyouだったが、時はすでに遅し…。
アカギの顔から視線を落とせば、正面には下着の下で勃ちあがるのを押さえつけられているアカギの分身が目に飛び込んできた。
「!!!」
「今日、youとそういうエッチがしたいんだけど…。」
「あ、う……ぅ…。」
「…だめ?」
「だっ……。」
「you…。」
それはとても苦しそうに、切ない声で名前を呼ばれるので、
アカギの声にも恋をしているyouには効果はてきめん……寧ろ甘い毒のようなもの…。
頬に添えられたアカギの手に、自分の手を重ねると、彼女は真っ赤な顔で小さく唇を開く…。
「恥ずかしい、し……上手くできないと思います。」
「うん、ちゃんと教える。」
「う、上手くできなくても…怒らない?」
「怒らないよ。」
「……嫌いにならない、ですか?」
「…なるわけないだろ。」
「…写真は?」
「消すって。」
「じゃぁ……。」
「まだあるの?」
「最後に香水の正解教えてください…。」
「・・・全問正解。よくできました。」
先程、回答について軽くあしらったことを少しだけ反省したらしいアカギ。
彼女の問いかけに一瞬目を丸くしたが、すぐに穏やかに目尻を下げると、
身を屈めて彼女の額に軽くキスを落として、これからの行為の合図とするのだった…。
ねぇ もっとオレに惚れてよ
(にしても五感か…。)
(?)
(いや、ネタ晴らしするとさ……銀二さんに「もっとyouに惚れてもらうにはどうしたらいいか」って聞いたんだよね。そしたら「五感に訴えるのが効果ある」って言われてさ。それで香水。)
(なるほど…!視覚と…。)
(毎日見てたいよね。)
(嗅覚と…。)
(そうそう、オレが好きな、いつもの花みたいな石鹸みたいなyouの匂いだな。)
(ええと、味覚?)
(youが飯作ってくれるから、ほぼ毎日入り浸ってこういう関係になったしな。)
(触覚と、あとは聴覚かな?)
(youの身体はいいよ…柔らかくて……声も好きだよ、甘い声で啼くよね、最高。)
(な、何で最後だけちょっと卑猥なんですか…!)
(フフ…。)
(もう!)
((ていうかオレ……既にもうyouに五感全部奪われてたんだな…。))
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*