step2_(イベント編)
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「肝試し?」
「はい…。」
地区で回って来る回覧板に挟んであったプリントを手渡し、
その内容を説明するyou。
玄関先で話す内容にしては長くなりそうなので、
アカギは溜息を吐いて、youを部屋の中へと誘った。
肝試し大会をしよう。
「アカギさん、この間の(前回、前々回も)回覧板見なかったでしょ。
いつもアカギさんトコで止まってるから、勝手に私が次に回してるもん。」
「あぁ…いつも悪ィな。」
「(思ってないくせに…)で、今回の内容なんだけど…これね。肝試し大会。」
「……。」
「子ども会が主体になって、地域の結束を深める為にするんだって。お祭りもあったしね。」
「ふーん。」
「最近物騒だしね……近所の人が団結して子どもを守ろうってことで、開くんじゃないかな。」
「見慣れた近所のヤツが以外と犯人だったりする……。」
「そうそう『まさかあの人が!?』みたいな……って、いきなり全否定すなッ!」
アカギの台詞に即行でノリツッコミを入れるyou。
頬を赤らめて軽く机を叩き、アカギに向き直った。
呼吸を落ち着かせ(溜息とも言う)、物事の本題に入る…。
「で、子ども会だけじゃ人数が足りないらしくてボランティアで参加の要望が回って来てるらしいんです。」
「ボランティアなら、オレは不参加で。小学生のガキ相手に騒げる年齢でもないしな。」
「そう言うと思ってましたけど、念のために説明させていただきました…。
まぁ、脅かす側になること必須ですし…ちょっと楽しみには欠けますもんね。」
「youは参加すんのか?」
「はい!その日はちょうどお休みで予定無いし。」
「何だ、暇ならオレとデートでもしようよ?」
「あ、アカギさんッツ///」
クスクスと、からかうように笑うアカギに対して
顔を赤らめて怒りを顕にするyouだが……。
その効果は全く無いようだ。
youは呼吸を落ち着かせ、咳払いを一つ。
「ゴホンッ!えーと、兎に角…!!アカギさんは不参加なんですね?」
「だな。」
「そっか…じゃぁ、ちょっと残念ですね。」
「残念?オレがいなくて淋しいのか?」
「違いますよ…いや、アカギさん以外は福本荘の皆全員参加だから。」
「マジか…?」
「うん、最初は皆不参加だったんだけどね。」
「何で全員参加になったんだ?」
「えーっと…ホラ、肝試しって夜でしょ?脅かす側ってその場所でずっと待機してなきゃいけないし…。
いくら通り慣れた公園とかでも…ちょっと怖いかなーって。」
「………。」
「で、そんなことボヤいたら、カイジくんも零くんも「仕方ないな…」って、一緒に参加してくれるって言ってくれたの。」
その時、アカギの目がギラリと光った(ような気がした)。
何か嫌な予感を覚えたyouは、立ち上がって後ずさる。
「で、でわ!以上で話はオシマイなので、私はこれで!!」
「待て。」
ガシッと力強く肩を掴まれ、玄関まであと一歩!
というところで制止させられたyou。
恐る恐る振り向くと…。
明らかに何かを企んでいるであろう顔をしたアカギがいた…。
「オレも参加してやるよ。暗いの怖いんだろ、オレが守ってやる。」
「寧ろ貴方が怖い!」と…
叫びたくてたまらないyouであった…。
しかし、そんな本音など言えるはずもなく…
(解釈:逆らえるはずもなく)
「わ…わかりました……そう組長に伝えておきま、す。」
やっと掴まれていた肩を開放され、安堵の息を吐く…。
そんな彼女にアカギは爽やかに笑って言った。
「楽しみだな。」
「そ…ですね。」
「さて、どんな手を使ってガキ共に断末魔の悲鳴を上げさせようか…。」
「けっ、健全に脅かしてあげて!」
自分の身の危険もさることながら、子ども達の安全も確保しなければならない…。
未だ始まってもいない肝試しにyouは恐れを抱かざるを得ないのだった…。
そして、肝試し大会当日の夕方…。
「えーっと、じゃぁくじ引きで班を決めますので集まってくださーい!」
子ども会の会長の女性が、参加者の大人達を呼び集める…。
どうやら2名1組の班をクジで決めるようだ。
you、カイジ、零…と、皆一様にクジを引いていく…。
「you、何番だった?」
「ん、と…9番。カイジくんは?」
「(チッ…)オシイなー…オレは8。」
カイジが自分の番号を告げた瞬間、隣から「げぇっ!」と零の声…。
2人が振り向くと、そこには『8』と書かれた紙切れを持って不機嫌そうに立つ零の姿…。
カイジの顔つきも若干だが、歪んだ…。
「何でよりによって203のオッサンなワケ?」
「そりゃこっちの台詞だ、零。ていうかオッサンじゃねぇ!」
「あぁ~!もぉ!俺はyouさんと一緒が良かったのに!」
「正直なヤツだな……だがそれはオレもだ!!」
2人が言い争う中、youは未だ現れないアカギの姿を探していた…。
「(結局来ないし…まぁ……予想の範疇だけど。)」
「そういやyouの班は?9引いたヤツ、いないのか?」
「え?あ、あぁ!誰かな…?」
突然カイジに声を掛けられて、我に返るyou。
指摘された件を思い出し、自分の対を探し始めるが…。
次々に近所の人たちのペアが出来上がっていくが、
一向に『9』の番号を呼ぶ人はいない…。
最終的には「引いてない人はいませんかー?」との声。
「あのー、私の友人が欠席で…。」
「あぁ、それで一枚余ってるんだ!」
「ちなみにそれ、私の対なんです…多分。」
申し訳なさそうにyouが告げた時だった…。
youの肩をグッと引き寄せ、背後からアカギが顔を出した。
一枚残ったクジを女性の手からヒョイっと摘み上げた。
「へーっ、そりゃラッキーだな。」
「アカギさんっ!?」
「待たせたな、淋しかったか?」
「べ、別に!ていうか、てっきりドタキャンだと…。」
「ちょっとねゴタゴタがあってさ、うん、本当……ちょっとね。」
「………。」
全然ちょっとじゃなさそうだと…。
一同は思ったが、それを口にする者はいなかった…。
そんな視線はお構いなく、クジを開いて番号を確認するアカギ。
『残り物には福がある』とよく言うものの、実際に考えると凄い確率。
流石は『神域の男、赤木しげる』である…。
彼はyouの持っていた紙を手に取り、満足そうに2つの『9』の数字を見比べた。
(同時にカイジと零が物凄い舌打ちをした。)
「じゃぁ、ちょうど時間になりましたので、簡単に説明させていただきます!」
再び大きな声で会長の声が響き、一同は一箇所に集まった。
簡単な公園の地図が書かれたプリントが配られてて、皆が目を通す…。
地図の十数か所に番号が振られ、今組んだペアが
脅かすポジションを示していることがすぐに分かるようになっていた。
「道具は色々用意してきてますので、使う方は持って行ってくださいね!」
「「「はーい!」」」
「それでは、子ども達の説明係りと監視の係りの人意外は持ち場に行って、待機をお願いします!」
「「「はーい!」」」
youたちも皆と一緒に返事をして、まずは子ども達を脅かす道具を漁りに行く…。
「オイyou!釣竿とこんにゃくがある!」
「ベタだね~…でも以外と面白いかもよ?」
「そーかぁ?」
「カイジくん、使ってみたら?」
「やめとく。醤油あったら食いそうだしなー。」
「そ…そぉ。」
「零くんは何使って脅かすの?」
「んー…変装して謎掛けとか?」
「あ!それいいかも!」
「解けなかったら指1本とかね☆」
「あの…澄んだ眼差しで言わないで…。」
「じょーだんだよ。」
結局あまり参考にならなかった2人の考え。
アカギはというと、何も持たないままyouが戻るのを待っているようだ。
youはとりあえず、使えそうなものを持ってアカギの元へと向かった。
「アカギさんは?何も使わないの?」
「んー…まぁ…いいんじゃない、適当で。」
「テキトーって!」
「そろそろ行くか。」
「あ、はい!」
颯爽と歩き出すアカギの後をパタパタと付いて行くyou。
しばらく歩いた後、アカギの大きな手が差し伸べられた。
「足元、暗いから。」
「あ…ありがとうございます…///」
実は自分はこういったアカギの……ふいに見せる優しい部分に心拍数が上がっているのではないか…。
そう考えて、自然と顔が赤くなるyouであった…。
待機の位置に着き、子ども達を驚かす作戦を始めようと口を開くyou。
「さぁ、アカギさん!どうやって脅かしましょうか?」
「だからテキトーに…。」
「もぉ!具体的に!」
「・・・これ?」
そう言ってアカギが取り出したのは…。
「何ですかソレ!!」
「何って…銃だけど。普通に。」
「イヤ、普通じゃないから!アブノーマル!!」
youの怒涛のツッコミ!
しかしアカギは耳を塞いだ!
「you、ウルサイ。」
「あ、ご…ごめんなさい……ですよね…本物じゃあるまいし…。」
「・・・・。」
「何で黙るの?」
「いいじゃない、そんな…本物かどうかなんて些細なこと…。」
「些細じゃないから!かなりビッグな問題だよ?」
「あーもー…少し黙ってくれる?」
「だって本物なら銃刀法違反じゃないですか!アカギさん…っ?!!」
言葉が途切れた理由としては、アカギがyouを引き寄せたから。
否、現在進行形で引き寄せて……口付けているから。
一瞬、何が起こっているのか理解できなかったyouだが、
数秒後、頭の中で状況を把握して彼から離れようともがき始めた。
が、男女差という圧倒的力の差により、離れられない。
必死の抵抗をするyouだったが、それがまたアカギの悪戯心を擽ったよう。
リップ音を立てたり、舌を口内に侵入させたり……止まるところを知らない。
「ゃ…ぁ///」
「は…っ…you…。」
「ぁかぎさ…ん…!」
「ね、する?」
「はっ?」
「ここで、しよっか?」
「ゃ…やらまいかーーっ!!」
スパーーーン!!
と、素敵に小気味よい平手打ちの音が公園に響き渡った。
木々に止まっていた烏の群れが声をあげて一斉に飛び立っていく。
公園の肝試しルートからは子ども達の悲鳴が響き返ってきた。
図らずとも吃驚させることはできたようである。
不本意ながら。
結局、それから一言もアカギと会話をせずに任務を全うしたyou。
しかし、一番最初の班の子以上の驚きを他の子ども達に与えることはできなかったようだ。
(当然とも言えるが…)
・
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・
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「皆さん、遅くまでご協力いただいてありがとうございました!
特に子ども会以外の方々にはボランティアしていただいて……本当に助かりました。」
肝試しが終わって、参加した子ども達も含めて全員が集合した公園の中央。
会長が労いの言葉を掛け、肝試し大会は解散となった。
ガヤガヤと皆、それぞれの家路に着く…。
それはyouたちも同じことで…。
「あーぁ、折角の休みだったのに……youさんと別の班とか…ありえないよ。」
「正直なヤツだな……だがそれはオレもだ!!」
2人して再びぼやき出した零とカイジ。
youは苦笑しながら、一つの提案を出した。
「じゃぁ折角だし、皆でご飯でも食べに行こうか?」
「おっ!それいいな!賛成!」
「じゃ、カイジさんの奢りで。」
カイジが勢いよく挙手し、零が爽やかに笑う。
「割り勘だ!」と強く主張しつつ、2人は街の方へと歩き出す。
2人の背中を見てクスクスと笑うyou。
それから、振り返ってアカギにも尋ねてみた。
「アカギさんも来ますよね?」
「you、お前、酒飲むのか?」
「いや、だって零くん未成年だし。私はそれに付き合う。」
「……じゃ、行かない。」
「ん?でもアカギさんは飲んでいいじゃないですか。」
youの前を歩き出したアカギに問いかけた。
数秒の沈黙ののち、アカギが振り返って笑う…。
夜の外灯にうっすらと照らされた姿が妖艶で、
youは思わず息を呑んだ…。
そして耳元でポツリと囁いた…。
「オレはアンタを、酔わせてみたいんだ。」
もう一度フッと笑って、ヒラヒラと手を振りながらyouの前を…
カイジ達とは反対の福本荘へ向かって歩き出す。
youはというと、低音なのに甘い彼の声が頭の中に残って暫く動けないでいた…。
「アカギさんって…本当に色んな意味で……アブナイ///」
アカギの背中が公園から消えて、急に心臓がバクバクと鳴り出す。
youは左右に顔をブンブンと振ってから、気を落ち着かせる為に両頬を叩いた。
次に2人で会うときは覚悟を決めなければならないのではないか…。
そんな確信にも似た思いを浮かばせながら、youはヨロヨロと歩き出すのだった…。
心臓がもたない!!
(おかえり。何食べてきたの?)
(んー、普通にそのへんの……って、何でまた私の部屋いるんですか!全部鍵閉めてたし!)
(うん、バッチリ戸締りしてたね)
(あのー……アカギさん最近大家さんと話されたり…)
(したね、丁度youが越してきた次の日に)
((やっぱりこの男ッツ!!))
*。゜.*。゜.*。゜.*