step1_(ご挨拶編)
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『youさん、家?もう夕飯準備しちゃった?』
「うん、家。夕飯はそろそろ…。」
『っし!ちょっと待って家に行くね!』
聞きたいことと言いたいことだけを告げて、
マミヤからの電話が一方的に切られた夕刻前…。
町工場の治くん
「治が今日給料日で、夕飯奢ってくれるって言ってたから、一緒にいきましょー!」
「え?わたしが一緒に?!」
「youさんが行けばアカギさんもついでに来てくれてちょっと高い居酒屋とか連れてってくれるかもだから一緒行きましょー!!」
「アカギさん……治…って……あ、確かアカギさんの職場の同僚で、マミヤちゃんのおじさんだったっけ?」
噂には聞いていた彼女の「おじ」でアカギの「同僚」である、
しかし実際会う事の無かった「治」という人物と食事に行こうという誘いであると…。
そこでようやく自分が誘われた理由が分かり、納得すると同時にマミヤに「叔父さんだったよね」と再確認をしたのだが…。
「えっ、え、えーっと……あ、うん!あの!でもかなり年の近い、いとこくらいしか離れてない叔父っていうかー…だから会うとビックリすると思うけど、気にしないでほしいなーって…。」
「そうなんだ?」
「う、うん!」
本当は僅かしか年の離れていないただの麻雀仲間を勝手に「叔父」呼ばわりしてます…とは言い出せず…。
実際会った時にyouが驚いて根掘り葉掘りマミヤとの関係を尋ねさせないよう、先回りして説明(という名の言い訳)をしておくマミヤ…。
そこは問題なく納得してくれたようで、彼女はすぐ馴染みある相手に関しての話題に思考が切り替わった様子。
「でも、アカギさん…一緒に来てくれるかな…。」
「いや絶対来るでしょ……youさんいるもん。絶対行くし120%奢ってくれる。」
「そ、そんな…。」
「おっ、ぼちぼち行かなきゃ!治達の仕事終わる時間に間に合わない!!向かいましょ!」
「ま、マミヤちゃん~~!」
youの腕にぎゅっとしがみ付き、玄関へと突き進むマミヤ。
強引ではあったが、彼女達の知り合いである「治」という人物とは会ってみたいと思っていた為、
結局いい機会だと、素直に共に行くことにしたyouだった。
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「沼田、ぬまた……あ!ここだよね、2人の職場。」
「(来てしまった…。)」
「お!いい感じに就業の時間過ぎだからちょうど良かったかも!」
マミヤがそう言い、アカギと治の職場である工場の敷地に近付いた時…。
敷地内から男性の怒声が響いてきた。
「??」
「何だろ、行ってみましょ!」
「え、ま、マミヤちゃ……待って、もう~!」
行動力の化身と言っても過言ではないマミヤ。
興味津々といった様子で遠慮なく敷地内に入っていってしまい、youは困ったようにその後を追った…。
敷地内に入ると、工場の建物の出入口付近で男性が数名モメている様子…。
「…悪いけど川島先輩…今日は気分じゃないんで。」
「気分てなァお前……先輩ナメてんのかテメェ?あァ?」
どうやら、先輩からの何か知らの勧誘をアカギが断ったらしい。
短気な様子のその先輩にグッと胸倉を掴まれたアカギを目にするyouとマミヤ。
「わぁぁ!あの、喧嘩はいけませんですよ?!ケンカは!」
「何だテメ………え、女…?」
アカギとモメて、彼の胸倉を掴んでいた男性……川島に駆け寄り、その先の暴力を制止に掛かるyou。
同僚の誰かが止めに入ったのかと思っていたが、腕に添えられた白くて細い指を目にして
アカギも、川島も驚きで目を丸くして、手の主に視線を向けた。
「you!?」
「あ…アカギさん、お疲れ様です。」
アカギと言葉を交わし始めたことで、youが彼の知り合いだと分かったらしく、
川島はストン…と、アカギの胸倉を掴んでいた腕を下に降ろした。
「どうしたの、こんなとこに来るなんて。」
「えっと…。」
今まで喧嘩を吹っ掛けられていたのを微塵も気にする事なく話を続けるアカギには違和感しかなかったが、
そう尋ねられるのも当然ではあったため、youは説明のために同行者であるマミヤに目配せする。
「どもども、アカギさん!お疲れでーす!」
「マミヤ。」
「治が夕飯奢ってくれるって言うから、アカギさんもどうかなーって思ってyouさん連れて来ちゃった。」
「成程、そういうこと…。」
「何かモメてたの?てか治は?」
まるで「アカギさんが誰かとモメるのはいつもの事でしょ」とでも言うように、
こちらもまるで気にせず、マイペースに知人を探す始末…。
(そのためyouと川島は口を開いたまま同じ顔で絶句していた。)
「あっ!!マミヤ!」
「おー、治!元気だったかい?」
「いや、マミヤそんなことよりコレどういう状況?!アカギさん?川島先輩と…えーっと…。」
工場の建物から携帯を見ながら出てきた、年若いそばかすの青年が顔を上げ、マミヤを見つけて駆け寄ると、
そこに勢揃いしている妙な面子をそれぞれ見ながら困惑の声を上げた。
一人、名前の挙がってこない人物として治がyouを見つめる。
それに気付いたため、彼女は慌てて挨拶を行った…。
「あっ、初めまして…マミヤちゃんとアカギさんのご近所に住んでますyouです。」
「ああっ!そうなんですか!貴女がアカギさんの…!」
「アカギさんの??」
「奥さ…もごっ?!!!」
何か言いかけた治の口をアカギが無理矢理塞ぎ、やんわり押しのけてyouの前に立つ。
「you、何か食べたいモンある?」
「えっ?いや、特には…。」
「いいよ、マミヤ。オレも行く。」
治の口を塞いだ手をそっと離し、マミヤに同行を伝えると、
彼女はパッと顔を明るくし、両手を伸ばして喜ぶ。
「え、やったー!治から今日給料日って聞いてるよ、勿論奢ってくれるんですよね?」
「フフ……いいけど……お好みならアンタの分だけ賭けようか?」
「うぇー、勘弁!素直に奢って欲しいですッツ!博奕はまた別枠でおねしゃす!」
「ハイハイ。」
「ぃやった!」
ご飯は奢りで、博奕の約束もしてもらったぞ、と嬉しそうに工場の外へと歩き出すマミヤ。
それに付いていくようにアカギも歩き出す。
「じゃ、先輩…そういうワケで………治、行くぞ。」
「あっ、アカギさん!ちょ、ちょっと待ってくださいよォ~!」
怒涛の展開に呆けていた治だったが、アカギの呼びかけにハッと我に返り、走って彼らを追いかける…。
ちなみに、youに関してはいつの間にかもう既に手を握ってる状態なので、名前も呼ばずに連れていくアカギであった…。
それからしばらく歩いたところで、ふいに治が笑顔でアカギに話し掛ける…。
「ふふ、手を繋いで歩くなんて……お2人は仲がいいんですね。」
「はっ!」
治に言われて気付いたらしい…。
youは条件反射のようにアカギから手を離した。
「あー……治、ちょっといいか?youとマミヤは先に行ってて。すぐ話は終わるから。」
「はーい!いこ、youさん!」
アカギの言葉にマミヤが元気よく返事をし、今度は彼女がyouの手を取って歩き出す…。
少しだけ、それこそ何か話していても聞こえないくらいの距離になった頃合いでアカギは治に話をし始めた。
「治…youのことだけど。」
「はい?奥さんがどうかしたんですか?」
「多分、マミヤの友達としてお前と接したいと思ってるはずだからさ、「奥さん」じゃなくてyouって、名前で呼んでやってよ。」
「え、あ、はい……アカギさんがそれでいいなら…。」
「構わない。」
「分かりました。」
どうやらアカギはyouのことを自分の嫁と嘘を吐いているらしい…。
別段バレてもyouに怒られるだけなので問題ないし、バレなければバレないで面白いだけなので、
アカギにとっては続けられるまで嘘をつき通すだけなのだろう…。
にこ、とアカギの言葉に素直に頷き、治は「じゃあ2人を追いかけましょう」と少し足早に歩き出した。
それからマミヤのリクエストで焼肉を食べに行き、
そこで主にマミヤが喋り倒してはいたが、中にはアカギと治の職場の話なども聞いたりと、楽しく会話をしながら食事を終えた4人
そして…。
帰る家は治以外は同じ福本荘なので、途中で一人、別れることになる…。
「治くん、今日はご一緒させてもらってありがとうございました。」
「いえ!こちらこそ!youさんには、アカギさんに色々話聞いてお会いしたいと思ってたし……マミヤも世話になってるみたいで、お礼も言いたかったんで!」
「マミヤちゃんにはいつも元気をもらってるから、わたしの方がお礼を言いたいくらいですよ。」
そんなことを言えば、勿論嬉しくなったマミヤがyouに抱き着……くのをアカギが阻止。
「何するんだ」と食って掛かるマミヤとそれを受け流すアカギの問答が始まったので、youと治はそれをスルーすることに決めた…。
「えーっと……あ、あと、アカギさんのことよろしくお願いしますね……何か、今日も先輩さんに絡まれてたし……多分、コミュ力不足で…。」
「あ、あはは……コミュ力不足は否めませんが、アカギさんは大丈夫ですよ。」
「そうなの?」
「ええ、仕事はほぼミスしませんし、細かいとことまでさり気無くやってくれてたりするんで皆凄く助かってるし…仕事面でも俺は尊敬してます。」
「わぁ……意外…。」
「寧ろ、今日いた川島先輩の方が仕事できないのに理不尽に後輩をいびって……あ、すみません……愚痴っちゃって。」
「ううん、全然。社会人でも学生でも、嫌なことはやっぱり愚痴っちゃうものだし。わたしもよく友達に聞いてもらっちゃってます!」
「フォローありがとうございます……まぁ、そんな感じなんで……アカギさんは大丈です。」
「ふふ、(人に迷惑掛けてないようで)良かった。」
「じゃぁ、俺はこれで……youさん、よかったらまた皆で食事に行きましょう!」
「うん、是非!今日は本当にありがとう、治くん。」
終始朗らかで丁寧に接してくれるその青年は、アカギとは全くタイプが違い、寧ろ自分に近いと思えるyou。
年齢は確かにマミヤとほぼほぼ変わらない様子だが、その性格であれば彼女が叔父(ではないのだが)として慕って、
わざわざ近くに引っ越して来ようと思うのも分かる気がすると、youは思うのだった…。
町工場の治くんは
穏やかで優しそうな人!
(お、おいアカギ!こ、この間の……女…の子達って…お前の…!)
(・・・治の彼女(嘘)とオレの(未来の)嫁ですけど。)
(おっ、お……おま…よ、嫁!!)
(何か?)
(あ、いや……俺が言うのもナンだが……この職場でいいの?薄給でいいの?嫁に転職しろって言われないの?)
(クク……うちの(未来の)嫁は寛大なんで。)
(お前の嫁、寛大過ぎんか?)
(フフ……じゃぁ、そんな薄給を賭け麻雀なんかで同僚から毟ろうとしちゃダメでしょ、川島先輩。)
(ぐぁっ!?)
words from:yu-a
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