step2_(イベント編)
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「おぉ~~っ!!あなたがアカギ!赤木しげるなのね?!」
「あなたトト〇、ト〇ロっていうのね!」と…。
まるで有名アニメーション映画のような台詞を吐いたのは101号のマミヤだった。
歓迎会ですよ福本荘!
こちらは例によって例のごとく歓迎会の会場として使われている大家の遠藤宅…。
既に始まっていた101号室入居者のマミヤの歓迎会に、遅れて参入したアカギ。
「何?…オレの事知ってるの?」
「101号に越してきたマミヤって言います!貴方の事は知り合いから聞きました!ギャンブル凄い強いって!」
「知り合い…?」
「そうです!前に俺が住んでた町の雀荘でそいつがカモられてたところを助けてあげたら、何か話ハズんじゃって。」
「ヘェ、そうなんだ。」
「その時にアカギさんの話聞いて、一度ガチめの勝負のために引っ越し……じゃなくて、会ってみたいな~って思ってて!」
あはは~、と明後日の方向…というよりは意識的に視線を逸らしたマミヤ。
何故かと思えば、どうやらyouを意識してのことらしい…。
恐らく、今アカギに語り掛けた内容が福本荘に越してきた真実であり、
内容は分かりかねるが、初対面の時にyouには当たり障りないように引っ越しの事情などを説明したのだろうということが窺い知れた。
アカギはそれを察して「ふーん、ま、よろしく」と深いツッコミは入れずに返事をした後……
流れるように自然に、youとマミヤの座る席の間に割って入った。
「あ、アカギさん、いらっしゃい。」
「まさかまたこの寂れた集合住宅に人が越してくるとはね。」
「ふふ、ほぼ満室ですね…。」
「でも、今日は少ないじゃない…銀二さんと森田サン、いないんだ?」
「銀さんと森田くんはお仕事あるって、最初に顔だけ出してマミヤちゃんと挨拶して帰られました。」
「そっか、銀二さんとはまた遊びたかったな。」
言葉だけ聞くと可愛いものだが、対象がTheアウトローを体現したような赤木しげると平井銀二なだけあって、
恐らく「遊ぶ」の意味合いが違うのだろう……素直に「一緒に遊べなくて残念でしたね」とは言い辛いyouであった。
そこにすかさず声を掛けたのがアカギの隣に座ることとなったマミヤ。
「平井さんって、凄いんですか?」
「凄いって…種類によると思うけど…まぁ、色々と興味深い人だよね。直接話すしかないんじゃない?」
「むー、それもそっか。」
「アンタはどうなの?何が得意?」
「面白い事なら遊びもギャンブルも!今はやっぱり麻雀かな!」
「フフ……自信ありそうじゃない。」
「無かったら風の噂信じて「赤木しげる」を探さない、そう考えていただければ、かな。」
「ククク……面白い。」
「ふっふっふ……。」
隣から不穏な含み笑いが2つ重なって聞こえ、youはアカギとマミヤとは反対に座る零の方へと向き直る。
「何か隣の雰囲気が怖いから助けて、零くん…。」
「ほっといていいですよ、youさん……それより、今度一緒に遊びに行きません?」
「唐突に!」
「最近一緒に遊んで無かったし……どこでもいいから一緒に出掛けたいなーって。」
「そう言われてみればそうかも…。」
じゃあ、どこに行こうか…と、youが口を開きかけたところ、
しっかり聞き耳を立てていたカイジがそれを阻止すべく、向かい側から身を乗り出してきた。
「なぁ、それオレも一緒に行っていいか?!」
「げぇっ?!カイジさん?!!耳聡過ぎない?」
「馬鹿め……(デートなんてさせるかよ!)」
「まぁ、いいですけどね……それなりに対策もあるんで。」
「え?」
「もし行くならどこが良いかな……youさん、美心さん、何処か行きたいところとかありますか?」
「ギャッ!な、何で美心に…!!!」
そう、今回の歓迎会にyouは美心も呼んでいた。
そのうちマミヤと一緒に女の子だけで出掛けたりしたい…とyouが思っての事だった。
カイジの隣にピッタリ密着していた美心は目をキラキラさせて零の話題に食いついた。
「えっ、美心も一緒に行っていいの~!?嬉しい~!ありがとう、宇海君!」
「ダメッ…!」
「えぇ~っ!カイジ君ヒドイ~!どうして~!」
「いや、ダメじゃないけど……そっ、か、金ッ!バイト代入るまで金が無ェっ!から!」
「そっかー…それじゃあカイジくんのタイミング待たないとね。」
「お、おう……悪ィな…。」
「ふふ、楽しみにしてるんだ・ぞっ!」
美心からつんっと指で腕を突かれ、ぞわぞわっと全身に鳥肌を立てながら「う…うぅ…っ!」っと唸るカイジ…。
正面のyouは何故かドキドキした表情でそのやりとりを眺め、零は生暖かい目でカイジを見つめていた…。
「えっと、じゃぁわたしもとりあえずカイジくんの連絡待つね。」
「あ、ああ、ごめんな。ありがとう。」
youが素直にカイジにそう言えば、零もそれ以上は「カイジと美心は省いて2人で出掛けよう」とも言えなくなってしまい、少し膨れた顔で押し黙っていた。
そんな様子で、一瞬盛り上がった話も鎮火してしまい、暫しの沈黙がその場に流れる。
そのタイミングで場を提供している遠藤がマミヤを別室に呼び出し、
この福本荘でのルールや約束事を改めて説明していたのだが…。
「まぁ、大体部屋については不動産と話した通りだと考えてくれ。あとは…そうだな…。」
「人間関係!!」
「人間関係っつーか……まぁ、注意事項の一環だな。」
「101号、オレ!102号平井銀二と森田鉄男はフィクサーとその弟子!103、105号、空室!201号赤木しげる、天才的な博徒!202号、youサン!オレの推し!可愛い!好き!マジ女神!オレが守る!203号伊藤カイジ、かなりダメなニート!205号宇海零、頭いい!」
「・・・。」
最後に「どう?合ってる?102号は勘」と遠藤に尋ねるマミヤ。
「102号に関しては俺も詳しく知ろうとも思っていないが……それ以外は大体合ってるな。」
「いえい!流石オレ!」
「追加情報だ。アカギには喧嘩を売るな、ヤツの地雷はyouだ。カイジは金さえ貸さなきゃ無害だが、金を持っている状態で博打を持ち掛けられた時は油断するな。宇海は品行方正だが多分何か牙を隠してる、ソイツは俺にも分からん。」
「わっ!耳よりな情報!そういうのが欲しかった!ありがとう遠藤さん!早速アカギさんの地雷踏み抜いて、資金ある時にカイジにギャンブル持ち掛けてみるね!」
「ねぇ、人の話聞いてた?」
という遠藤のツッコミはその場から走り去るマミヤには一切届かなかった…。
ルンルンと楽しそうに広間に戻ったマミヤは、早速…面白きことも無き世を面白くするがために行動を起こす…。
彼女は先程アカギがしたのと同じように、ナチュラルにyouとアカギの間に割って入ると、youの腕にぎゅーっとしがみついた。
「ま、マミヤちゃん?おかえり、どうしたの?」
「何でもないよ、大家の遠藤さんと賃貸契約の話してた。」
「問題なさそう?」
「うん、大丈夫!何かあったら遠藤さんに報告もするけど……youさんにも相談してもいい?」
「わたしで分かる事なら、全然。」
「ありがと~!」
掴まったyouの腕に猫のようにすり寄り、甘えるマミヤ。
傍から見れば仲の良い姉妹のようで、その場にいた一同は微笑ましく思ったのだが…。
それは幻想だったと、一瞬で思い知る事になる。
「ねぇ、ところでyouさんって広いお風呂好き?」
「え?温泉?」
「とか、スーパー銭湯とか?部屋のお風呂って手狭だから、一緒に広いとこ行きたいなーって。」
「ん、いいよ。わたしもたまに広いお風呂入りたくなる。」
「やったー!」
「推しと一緒にお風呂入れるー!」と、両手を上げて喜ぶマミヤ…。
勿論チラっと横に座すアカギに目を向けることを忘れずに。
その一瞬で違和感を覚えたアカギだったが、まだ許容はできる…と目の前のビールを飲んで静観する事にした様子。
向かい側から美心が「美心もご一緒したいんだぞ!」と声が上がり、マミヤ達は楽しそうにその計画を進めていく…。
「あとね、独り暮らしって寂しいから……たまにyouさんや美心さんと一緒にご飯食べたい…。」
しゅん…と、捨て猫のような雰囲気を醸し出し、僅かに目を潤ませてそう訴えれば、
youと美心の母性本能がフルで反応したようで…。
「も、勿論!美心もマミヤちゃんとご飯食べたい!一人にしたくないんだぞっ!!」
「うんうん、一緒にご飯食べよう?わたしの家でよければいつでもどうぞ。」
「なんならお泊りだっていいんだぞ!」
「そうだね、皆でパジャマパーティーとか楽しそう。」
アカギ、カイジ、零、各々絶句…。
同性同士の垣根だと、風呂も飯も、それ以外もこうもすんなり傍にいることを受け入れてもらえるのか、と…戦慄する。
(美心もyouも性別ではなく、性格で享受する人間なのだが、一同恐らくそうは思っていない様子)
「それに、美心ちゃんがお料理得意だから、よく教わってるんだ。マミヤちゃんも一緒に教えてもらって3人でご飯食べよう?」
「それいいね!ママもパパもyouちゃんのこと好きだし、美心に女の子の友達ができるのすっごく喜ぶから……定期的に私の家でお料理教室しようか!」
youと美心にそう笑顔を向けられ、勿論マミヤは満面の笑みで「ありがとう!」と叫ぶ。
そうしてまたぎゅーっとyouに抱き着いたのだが…。
マミヤは顔をアカギの方へ敢えて向けながら、youに声を掛ける。
「ねー、youさーん、youさんが時間ある時、ちょくちょくお部屋お邪魔してもいいかなぁー?」
「ん?わたしがいる時なら全然…。」
「わーい、やったうれs…」
在宅して忙しい時でなければ、いつだってマミヤを歓迎する…と、答えたyouに、マミヤが猫撫で声で感謝の意を伝えようとしたところで、とうとう制止が掛かった…。
「なるほど、そういう事…。」と小さく呟いて、
アカギはyouに抱き着いているマミヤのシャツの首根っこを引っ掴み、べりっと密着していた彼女らの体を引き剥がす。
「なにすんだよー、アカギさん。」
「ちょっと向こうで話そうか。これ以上服伸びるのイヤでしょ。」
「……はーーい。」
意外にも素直に…というか、寧ろアカギがアクションを起こしてくれるのを待っていたかのように、
マミヤはその場にスッと立ち上がり、アカギの後について部屋を出て行った。
その入れ違いで大家の遠藤がビールを数本持って戻ってきたのだが、
大きなため息を吐いて「手遅れだったか…」と顔色悪く呟いた。
「遠藤さん、どうしたんですか?」
「あ、いや……何でもない。いや、あるんだが……。」
「?」
「あー……カイジ、宇海…。」
遠藤に声を掛けたのはyouだったが、遠藤は彼女にではなく、
その場で座っていたカイジと零に向けて言いたいことがある、と口を開いた。
「101の嬢ちゃん・・・今の、マミヤのことだが…。」
「彼女がどうかしましたか?」
「宇海はまぁいい、お前は多分大丈夫だろうが……カイジ、特にお前だ。」
ビシっと指を差され、カイジは「は?俺?」と飲んでいたビールをテーブルに置いて遠藤へ向き直る…。
「お前…マミヤに喧嘩売られたり、美味い話を持ち掛けられても、誘いに乗るなよ。」
「はぁ?」
「まぁ、お前が破滅したいっつーなら止めはせんが……俺は全力でお勧めしない。それで察しろ。」
「アハハ、遠藤さん…何言っちゃってんの、別に女子高生相手にムキになるとか大人気無いこと、オレに限って…。」
「お前そんな楽観的思考で何回失敗したか分かって言ってんのか?」
「その通りでしたッツ!!」
しかも、現在進行形でアカギに至っては女子高生相手に大人気無く喧嘩の売り買いしてんじゃねーか、と
ブツブツ呟きながら着席し、持って来た酒を呷る。
一方こちらはそのアカギ…。
大家の遠藤家の空き部屋にマミヤと2人、向き合っていた。
「それで、何が目的?」
「別に深い意味は無くって!ただ、アカギさんと遊びたいだけ!」
「遊びやゲームで本気の勝負なんてできると思ってるの?ちょっと考えが甘いんじゃない?」
「ふっふー……んでも、オレはさ、金や臓器なんか賭けなくても、アカギさんに本気の勝負してもらう手段、教えてもらっちゃったから、絶対遊んでもらいますよ?」
「オイ…。」
「マジで遊んでくれなきゃ、毎日youさんとご飯食べてお風呂入って一緒に寝る。」
「勝負の後は骨も残さない、覚悟はいいか?」
「(遠藤さんの情報凄いっていうかチョロ過ぎんか?!)」
先程聞いた遠藤からの情報が確かであったことが立証され、有難いと思うのと、
思っていた以上に伝説の博徒の沸点が低くて驚くマミヤ。
「何か治から聞いてたイメージと全然違うなぁ…。」
「治…?」
「さっき話してた雀荘でカモられてた知り合い。野崎治っていう…。」
「アンタ、治の知り合いだったのか…(ていうかカモられてたのかアイツ…)」
「あ、うん。職場の同僚なんでしょ?その治からアカギさんの話色々聞いて……だから。」
「はぁ……またアイツ、どうせオレのこと色々持ち上げて話たんだろ……そんなんじゃないって言ってんのに。」
「うん『クールで超絶カッコいい白髪のギャンブルの天才、博奕の鬼、超絶不当にうまくて強い!誰も勝てない、ていうか神、最早神域、男が惚れる男っていうか、実際アカギさんに惚れた男は多そう、いや絶対いるハズ!!』って言ってた。」
「なにそれこわい。」
珍しく、サァーっと顔を蒼くして、同僚が言っていたという言葉にドン引きするアカギ…。
「兎に角」と、顔色は良くないままでアカギはマミヤに誤解を解くよう伝え始める。
「強いはともかく…うまくなんかないよ、ただ、博打の本質に身を委ねたくなっちまって……気付いたらそれで取返しつかないトコまでイっちまうただの阿呆、盆暗さ。」
「うわカッけぇ…これはシビあこだわ…。」
「?」
「うん、やっぱり楽しそう!ただの遊びでもいいけど、1回!1回だけガチで戦ってほしい!!お願いしますっ!!」
「あのな…だから…。」
「じゃぁいいんですね?わたしが毎日youさんと一緒にご飯食べてお風呂入って一緒のお布団で寝ても、いいんですねっ?!」
「何で金じゃないかな……そもそも、そんな駆け引き、アンタには何のメリットもないだろ?オレにも何の負債も無い。」
「メリットはアカギさんとの楽しい麻雀ができるのと、推しとご飯が食べれてお風呂入れて寝顔見れることかな……アカギさんに負債は無いけど、確実にyouさんと2人きりの時間が無くなってストレスが溜まるとかじゃない?」
「確かに滅茶苦茶ストレス溜まりそうだな…。」
「でしょー?ね、ね?嫌でしょ?ねぇやろーよ、絶対楽しいよ、闇麻!」
「やみ、ま…?」
「オレがいつも使ってる特殊ルール麻雀!1000点払うことで捨て牌を裏に向けた状態で切ることができてぇ…。」
「・・・。」
本気で勝負をしてくれない場合の条件に関しては微妙に渋っていたアカギだったが、
マミヤが一緒に勝負したいという「闇麻」に関しては今日一興味を持った様子…。
こういった条件の麻雀…と、そのルールを説明するマミヤの話をじっくり聞き、
「ヘェ」、「フゥン」、「成程ね」と、興味深そうに相槌を打ち、勝負を受け入れる方向へ心が動いており…。
ルールを全て聞き終える頃には2人で「面子は誰とするか」、「家でするのか雀荘でするのか」などの取り決めを行っていた。
「いいよ、楽しそうだから闇麻、受けてやる。」
「ぃやったぁああ!!!本気だよ?絶対勝ちに行くからね?!」
「勿論こっちも本気でやるよ……youを賭けの引き合いに出したんだ……相手が誰だろうとその時点で容赦しない。」
「(マジで地雷じゃん…。)」
「なに?」
「あ、ううん、何でも……連絡するから番号教えて。」
「ああ、分かった。」
お互いの連絡先を交換した後、アカギはこの場を離れるとマミヤに告げる…。
「あ、あと、オレはもうここで部屋に戻るから、皆にそう伝えといて。煙草吸いたくなったし、昨日からちょっと寝てなくてさ…。」
「え、あ、了解。」
「ああ、そうだ…。」
「?」
「福本荘へようこそ、闇麻のマミヤ。」
「!!」
「じゃ、オヤスミ…。」
「ありがとうアカギさん!!勝負楽しみにしてるー!!」
最終的にわーい、と喜びながらテンション高めに部屋を出ていくマミヤ…。
無理矢理したくもない勝負をさせられることになったアカギだったが、
あまりに爽やかで素直な彼女の反応には毒気も抜かれ、呆気にとられるだけ…。
やれやれ…と、後頭部を掻きながらアカギは自分の部屋へと戻っていった…。
・
・
・
・
「ただいまー、youさん!」
「おかえり、マミヤちゃん……あれ、アカギさんは? 」
「煙草吸いたくなったのと、昨日から寝てないから先に帰るねって。」
「そうなんだ…。」
戻ってきたマミヤの話を聞き、美心がそれに反応して時計を確認する。
歓迎会が始まって、意外と時間が経過していたようで、まるでシンデレラのように
「いっけない!もうこんな時間…早く家に帰らないと…!」と告げて立ち上がる。
「美心さんも帰らなきゃだし、そろそろお開きにしましょうか。」と、零も腰を上げて立ち上がった。
「皆さん、今日は歓迎会とか開いてくれてありがとうございましたっ!これからよろしくお願いしますっ!」
「こちらこそ、よろしく!」
マミヤの言葉に、一番に返事をしたのはyouだったが、すぐに美心やカイジ、零や遠藤も「よろしく」と笑う。
かくして、福本荘の101号に明朗活発で清々しい…しかし矢張り一癖も二癖もある可愛い女の子が仲間入りしたのだった。
ここは楽しい事がいっぱい起きそう!
(オレが闇麻で負けるとか……赤木しげる…本当にマジで強すぎ、でもめっちゃ楽しかった……。)
(お、マミヤ?)
(お、カイジ!お疲れ様~!)
(お前何で皆のこと「さん」付けなのにオレだけ呼び捨てなんだよ…。)
(カイジはカイジって感じだしねー……嫌なら何か勝負してカイジが勝ったら、さん付けしたげようか?)
(まぁ、そこまでしてさん付けされなくてもいいけど…。)
(・・・。)
(な、何だよ…?)
((カイジも逆境とかには強いって……遠藤さんもアカギさんも言ってたんだよね……にわかに信じがたい…。))
(ま、マミヤ…?)
(あのさ、オレ今入金してない1年分の家賃が家にあるんだ。)
(はぁ?ああ、そう……最近物騒だから現金あんま家に置かない方がいいぞ。)
(うん、明日にはそれ種銭にしようかと思っててさ。)
(はぁっ?!)
(楽しく遊んで倍にしておこーかなーって……(嘘だけど…))
(~~な、な…!(パチンコか…っ!!パチンコだな?!))
(折角今ここでカイジに会ったからさ……カイジさえよければ、カイジがその勝負の相手にならない?麻雀、ポーカー、何でもいいよ。)
(はぁっ、え、お、おれ…オレ?!)
(うん、家賃1年分を賭けて勝負しよう?カイジが勝ったらオレの家賃1年分、全部カイジの分に充てていーよ。)
(じ、じゃぁ…お前の1年分の家賃はどうすんだよ!)
(まぁ、失ったら地道にバイトかな?)
(じ、じゃあオレが負けたら…?あと、オレ賭けれるモン何もねーぞ。)
(んー……別に。無い!ノーリスク!)
(やるっ!!)
(わー……マジでクズだぁ……やっぱだめ、カイジが負けたらこの勝負のことyouさんに知ってもらう。これでどう?)
(え…そ、それはちょっと…。)
(「一人暮らしのJKの1年分の家賃を賭けてノーリスク(正確にはノーリスクではないが)の勝負を挑んで負けた」って。)
(そんな…オレ、クズじゃん!!)
(クズだよ?!?!!!?)
words from:yu-a
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