step1_(ご挨拶編)
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「はい、これ……落としましたよ。」
「あ、ありがとうございます…!」
重たい買い物袋を両手に抱えてフラつくyou。
そんな彼女を見て、拾った物を手に持ったままの男は
クスっとひとつ笑みを零した…。
隣マンション上層階の一条くん。
「大丈夫ですか?」
「はいっ!ハイ!大丈夫…デス!!」
「両手塞がってるね、これ、こっちの袋に入れていいかな?」
そう言って、男はyouが右手に持っている袋の中に入れる仕草を見せる。
youはコクコク頷いて、礼を述べた。
「大丈夫です、ありがとうございます……///」
「ふふ……帰り道はどっち?」
「えっと……このまま真っ直ぐ、ですけど…。」
「そっか、じゃぁ僕と同じですね。」
「はぁ…。」
「荷物、貸してください。」
一言告げて、男はyouの買い物袋を両方から掬い取った。
彼の不明な行動に驚いて、あたふたし始めるyou。
「ちょ、何……?!」
「持ちますよ、一緒の道のギリギリ限界まで。」
「え?!いや、いいですよ!!」
「今日は仕事休みで暇だったんです、お暇でしたら話をしませんか?」
「でも……。」
「怪しいヤツですよね、でも…荷物…凄く重そうだったから…何か放って置けなくて。
ま、これも何かの縁ってコトで。行きませんか?」
にっこり笑う笑顔に悪気や下心は0。
それを感じ取ったyouは深々と一礼をした。
「荷物…ありがとうございます……。」
「いいえ。」
「お言葉に甘えて……ギリギリまでお願いします、ね。」
「勿論ですよ。あぁ、自己紹介がまだでしたね…僕は一条と申します。」
「私はyouです。最近この街に引っ越してきたばかりなんです。」
それから歩き始めた2人。
些細な出来事がきっかけで出会った赤の他人だが、
人間、通常の会話が5分続けば自然と仲良くはなるもの。
気付けば会話は盛り上がり、お互いのことを色々と話していた。
一条は若くして、小さいながらもカジノの店長を任される程のエリートだとかの情報や
もっと上を目指していくための今後の計画や夢をyouに語った…。
そして……
youは越してくる前にいた場所の話や
越してきてからの住人や隣人との事件を話す……。
「それでね、アカギさんに挨拶した次の日に行ったのは「伊藤開司」くんって人の部屋なんだけどね…。」
「イトウ…カイジ…?」
「うん、変わった名前だよね「カイジ」って。」
「カイジってあのカイジ?『福本荘』に住んでるダメニートの?」
「え?ダメニートかどうかは知らないけど『福本荘』のカイジくんだよ。一条くん知ってるの?」
「腐れ縁。」
「(また!!)」
平山幸雄とアカギの関係を思い出したyou。
ツッコんで聞いてはいけないような気がした…。
今後の会話をどう進めるか試行錯誤していると、
一条の方からyouに話しかけてきた。
「カイジが隣人ってことは、youちゃんも『福本荘』の住人さんなんだね。」
「う、うん!そうなの!」
「そっか……じゃぁ、荷物は最後まで持っててあげれるよ。」
「え…?」
「僕は隣のマンションだから。」
「えぇえ!!一条くんも?!」
「(「も?」)うん。」
再び平山との共通点が浮き彫りになり、
隣マンションの住人は生活水準が高いが、
ストレスも『福本荘』の住人より高いのではなかろうかと
そんな余計なことまで考えてしまうyouであった…。
そうこうしているうちに、2人は『福本荘』へと帰り着いた。
門の前で一条がyouに申し出る。
「荷物、家の前まで届けてもいいかな?」
「うん!よかったら寄っていって!お礼にお茶くらい出させて、ね?」
「ありがとう、youちゃん……。」
「お部屋狭いけど、我慢してね…。」
「全然構わないよ。」
二階へ上がって、youが202号に鍵を差したところで
一条が「ちょっと待ってて」と、荷物を玄関のドア前に下ろして歩き出した。
そして彼は203号のチャイムを鳴らす…。
ピンポーン…
『はーい。』
「カイジか?」
『はぁ?あぁ、そうだけど…』
「一条だ。」
『あぁ、久しぶり…』
「カイジ、2ヶ月前に貸した3万円だけど…」
ガチャッツ!!
「………。」
「………。」
切られたインターホンを見つめる一条。
インターホンを切られた一条を見つめるyou…。
一条が無言でyouの前まで戻ってくる…。
っして、口を開いた…。
「な、ダメニートだろ?」
「そう…みたいですね……。」
「ヤツも流石に君に借りることは無いと思うけど…。
もし、頼まれてもちゃんと断るんだよ?」
「勉強になります。」
些細な出来事がきっかけで出会った赤の他人だが、
思わぬところで、思わぬ繋がりがあるのかもしれない。
いい意味でも、悪い意味でも。
隣マンションの方々は気苦労が多そう。
(カイジくんには私からも言ってみますね)
(無駄だと思うけどね……)
(そうかなぁ……)
(そんなことより、今度は僕のマンションに遊びにおいでよ)
(え!いいんですかぁ!あの高いマンションに(色んな意味で)!)
(うん。)
(お部屋見てみたい!何階なんですか?)
(最上階だよ。)
(ぎゃーす!お祭りの花火も見放題じゃないですか!!)
(そ、そうだね?(そこ重要なの?))
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