step5_(恋人編:アカギ)
name setting
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「you、いる?」
「あ、アカギさん、いらっしゃい。」
今日も今日とて、まるで居酒屋の暖簾を潜る感じで
夜の帳が下りた頃、アカギがyouの家に上がり込む。
アカギさんといっしょ6
「アカギさん、ご飯は?」
「今日、珍しく外でカイジさんと会ったから、2人で食って帰ってきた。」
「え、2人でですか?確かに珍しい……何食べたんですか~?」
「牛丼。」
「(カイジくんチョイスだな…)」
恐らくカイジから「金欠気味なのでコスパの良いところに…」と、お願いされたのだろう事は察するに余りあった。
youがそんなことを考えていると、まるで答え合わせをするかのようにアカギがその経緯を話しだした。
「今日休みで、煙草買うためだけに外出たら、たまたまカイジさんがそこのコンビニのバイト終わりだったから…。」
「わ、凄いタイミングですね。あれ?でもカイジくんってだいたいバイト夜間じゃなかった?」
「人手不足で駆り出されたって言ってた。」
「コンビニのバイトって結構大変ですよね…。」
「珍しくそんな時間に会ったから…。」
「うん。」
「一緒にパチンコ行こうって誘われたから行ってきた。」
「何というカイジくんの行動テンプレ…。」
「オレはパチンコより麻雀しようって言ったんだけど断固拒否された。」
「(「ふざけんな!誰が毟られること明白な勝負するかよッ!」って言われたんだろうな…。)」
「でも結局パチンコの機械相手でも大負けしてたから、どっちを選択しても生き残れなかった感じだね。」
「悲惨・・・。」
「ククク……いいさ、今度大金が手に入ったらそれ餌に本気で勝負してもらう。」
「もう!あまりカイジくんに危ない橋渡らせないであげて下さい。」
「フフ……youは知らないかもだけど、危ない橋渡る時のカイジさんと遊ぶと滅茶苦茶面白いんだぜ?」
「む…そうなんですか?」
「うん。」
コクリと頷き、本気モードのカイジのゲームセンスは自分に匹敵するくらい、その勘の良さと洞察力が爆上がりするんだ、と語るアカギ…。
何のゲームなんだか…と、呆れたように溜息を吐き、youがお茶の準備をし始めるべく立ち上がると、
アカギが「ああ、そうだ」と彼女をその場に引き留めた。
「これ、youにあげる。」
「何ですかこれ…?」
渡されたビニール袋の中身を確認すると、大量のお菓子。
「わぁ、お菓子が大量に……どうしたんですかこれ。」
「パチンコの景品。」
「ああ、なるほど…!」
「元金少ない台で打ってたから、出てもそのくらいだった。」
「?よく分からないけど、ありがとうございます。」
今からお茶を淹れるということもあって、ちょうどよいお茶請けになる、と喜ぶyou。
そんな彼女の後ろ姿を微笑ましく見つめた後、アカギはというと…。
「(結局場所教えてくれなかったけど、1玉4,000円の台か……無機質なパチンコは好きじゃないが……人の息の掛かったモンスターマシン、それならちょっくら打ってみたいモンだな…。)」
カイジから聞いた怪しげなパチンコ台の話を思い返していた…。
(余談だが、一人でそうやって含み笑いをしている際にyouがお茶を用意して戻ったため、若干引かれた)
「はい、お茶です。」
「ありがとう。」
「早速ですが、お菓子いただきますね!」
「ドウゾ。」
「どれがいいかな~」と、目を輝かせて袋を漁る恋人の何と庶民的で可愛いことか…と。
パチンコにわざわざ行って獲得せずとも、またそのうち何でもない時にケーキでも買ってきてやるかと考えるアカギであった。
youはというと、大量に入っているお菓子の中から箱入りのクッキーを開封し、美味しそうに食べ始める。
この量なので暫くお菓子を購入しなくても良さそうだと、嬉しそうな様子。
「食べたかった新商品も入ってた、嬉しいです。アカギさん、ありがとう!」
「そう、良かったね。」
「ん…、でも……意外です。」
もぐ…と、クッキーを飲み込んで、youが呟く。
「何が?」と答えると、彼女は更にこう答えた。
「パチンコでも勝負事には結構なお金をつぎ込みそうだったので、元金少ないというのが意外でした。」
「相対した人間の心理を感じ取れるから博打ってのは面白いんだ……大金が絡むとそこに更に精神的な揺らぎも入り込む……オレはそういう勝負が好きなんでね。」
「は…はぁ…。」
「ま、シンプルに言うと機械相手に金は出せない、ただそれだけの話…。」
「なるほど…そういう…。」
「逆に、機械相手に熱くなれるカイジさんがある意味で凄いと思う。」
「それは納得。」
「だから、今回みたいなギャンブルなら、youが純粋に喜ぶくらい勝てればいいかと思ったんだよ。」
とどのつまり、今回は自分のためではなく、君が大量のお菓子で喜ぶ顔が見れればいいと考え、
自分にしては大変控えめなギャンブルをしてきた、とアカギは言う。
(そこで機械相手でもサラッと勝ちを攫っていくあたりがアカギとカイジの違いではあるのだが…)
元金が低かった理由がまさかの自分の影響とは思っていなかったyouは、
少し驚いたものの、素直に喜ぶ道を選んだ。
「ギャンブルで喜ばせようという発想はどうかと思いますし、今回偶々カイジくんと会ったから、そういう流れになったというだけですよね。」
「ん、まぁ…。」
「ふふ、でも、素直に嬉しいです。実際大量のお菓子でテンション上がりましたので、現在進行形で喜んでますし。」
「フフ……そう。」
「ありがとう、アカギさん。」
「悪かったな、パチンコの景品なんかで。」
「えっ?!」
「え?」
中身はどうあれ、彼女が望むようなプレゼントの獲得方法ではなかったことをアカギが詫びると、
彼女は何故か驚いた表情でアカギを見上げたので、思わずアカギも同じように驚いた表情で見つめ返した。
「悪くないですよ……方法はさておき、わたしの事を想ってくれてたことは嬉しいので。」
「…そっか。」
「その意味も含めて「ありがとうございます」です。」
「フフ……どういたしまして。」
youからのお礼を素直に受け取ると、アカギは徐(おもむろ)に開封したクッキーに手を伸ばす。
アカギが自ら進んで甘いものを食べるのは少し珍しいが、別に嫌いというワケでもないし、
煙草の代わりに口寂しさを紛らわせるくらいの感覚でそれを手に取ったのだろうとyouは思ったのだが、どうやらそうではなかったらしい。
「折角だからオレももらっていい?」
「勿論ですよ、そもそも全部アカギさんがもらってきたものですし。」
「そ、じゃ遠慮なく。」
そう言って手に取った長方形の小さなクッキーを1枚、口に押し込む。
youの口に。
「むぐぅ!?」
「いただきます。」
youの口に半分ほど押し込んだクッキーの端をアカギが加え、唇が触れたところでパキリと折る。
驚いたyouが体ごと離れ、お互い目を合わせたままモグモグと無意識に口を動かすので、クッキーの咀嚼音だけが暫く部屋に響いていた。
ゴクン、と固形物を嚥下し、当然だがyouが怒り出す。
「ちょっとアカギさん!いきなり何するんですか!ビックリした!!」
「どうせなら付加価値が欲しくなってさ。」
「~~!!」
静かに笑いながら、アカギは悠々とテーブルの上のお茶に手を伸ばす。
もう!とプンスカ怒った様子のyouを尻目に、アカギはゴクン、とお茶を飲み干してテーブルに戻しながら口を開いた。
「ところでさ、ちょっと気になったんだけど…。」
「何ですか?」
「you、もうご飯食べたんでしょ?」
「食べましたけど…。」
「だよね。いや、夜にお菓子食べてていいのかって気になってさ。」
「・・・。」
「お?」
「しょ……食後に甘いものとか食べたくなる時ってあるじゃないですか!」
「さぁ、そうなの?」
「ほら、北海道で夜パフェなるものが流行ったりしたりしますし?!」
「それは知らない。」
「べべべ別に毎日食後に甘いもの食べてるワケじゃないですしおすし?!」
「そんな動揺しなくても…。」
アカギとしては別に指摘するつもりもなく、ただ単に本当に小さく疑問に思っただけのことだったのだが、
youには「太るんじゃない?」と言われた気がしたらしく、大変動揺したらしく、自己弁護をし始めた様子。
最終的には半泣きでアカギに「ゴメンなさぁ~いい!!」と泣きついた。
「うぁああ、嘘です本当は結構な頻度で食後に甘いもの食べてますぅうう!!」
「あらら…。」
「ちょっと太ったのも多分その所為ですぅう!!」
「そうなの、全然分かんなかった。」
抱き着いてきたyouの背中をぽんぽんと軽く叩くと、フフ…と小さく笑いながら「平気さ」と宥めるアカギ。
「まぁ、今のyouが好きだし、心配になるから基本は激太りしたり激痩せしたりはしてほしくないけど、見た目なんてどうでもいいじゃない、オレはyouの本質が好きなんだし。」
「でも、運動不足は否めない…うう…。」
「運動ねェ……すればいいじゃない。」
「そうなんですけど……そうなんですけど…っ!」
「オレで良ければ付き合ってあげるよ。」
「え…。」
涙は流れずとも、自己嫌悪と情けなさから、ぴえ…と、目尻に涙を浮かべるyou。
「っじゃぁ……ジムに通うとか?」
「態々?行かないよ、そんなトコ……まぁ、youがどうしても通いたいなら付き合うけど…。」
「あっ、じゃあウォーキングがてら夜の散歩とか!」
「それはまぁ、アリだね。夜にyouとデートするってのはそれはそれで…。」
「ですね!ちょっと離れた公園までとか、ライトアップされた市街とか、夜景とかも楽しいかもですね。」
「そうだね、歓楽街とかね。」
「もー…雀荘なら一人で行ってくださいよ…。」
「何言ってんのyouと行くならホテルでしょ。」
「そういうの散歩って言いません。」
「散歩っていうかさ……する事したら、いい運動になるんじゃない?」
「うっ……運動って…っ!」
「そういう運動ならさ、夜散歩無しで、ここでもできるよ?どうする?」
「っ!!!」
先程までは子どもをあやす様に優しく背中を撫でていた手つきが急にいやらしい動きに変わる。
服の上から判断できる、youの下着のホック部分でピタリとその手を止めると、必然彼女の肩もビクリと跳ねた。
「あ……アカギさ…。」
「you……。」
「は、はい…。」
「オレ、まだ我慢きくから、youが選んでいいよ。」
「な……何をですか?」
するりと手を背中から退かすと、アカギは少し身体を離してyouと向き合う体勢を取った。
youは今しがたのやり取りで顔を赤くしながら、アカギを見上げる…。
「フフ……今日会って、ちょっと優越感感じちゃったから。」
「???」
「カイジさんと違って、時間もあるしね。」
「な、何でカイジくん…?」
今まで彼女に想いを寄せるという点に於いてカイジ(だけではないが)は好敵手の立場にあったが、
今はもうyouは自分の恋人になったので、
手を繋ぐのも、キスをするのも、更にはそれ以上の行為も、彼女が受け入れさえすれば「公認」なのだ。
つまるところ、本日カイジと会って色々話したことで、らしくなく優越感と余裕を感じてしまったのだという。
「で、どうする?」
「どうするって…?」
「オレとエッチな運動する?それとも、手を繋いで夜の公園デートする?」
「あ……アカギさんと…手を繋いで夜の公園デートがいい、です。」
「・・・ま、そうなると思ってだけどね。」
「・・・う。」
「いいさ、そのうち運動の方を選ぶような関係になってみせるから。」
そう言ってフッと口角を上げると、軽くyouの額にキスを落として立ち上がる。
口付けられた額に手に手を当て、ぼーっとアカギを見上げていると、彼はそっと手を差し伸べてきた。
「どうしたの、散歩、行くんでしょ?」
「……はいっ!」
自分の欲求を断られたというのに、どこか柔らかな笑みで見つめてくるアカギに、思わずyouも同じ表情になる。
差し伸べられた手を掴んで立ち上がり、2人は散歩に出るべく玄関に向かうのだった。
よく分からないけど
カイジくんのお陰で
助かりました??
(公園っていいですよね。)
(公園が?何で??)
(基本的に四季折々の木々や花が植えてあることが多いので、季節を感じられるというか…)
(ああ、成程ね。)
(散歩して一緒に四季を感じながら過ごせるって思うと、もっと素敵ですね。)
(オレはそういう考え方ができるyouが素敵だと思うよ。)
(は?!そ、そんな!!でも、お世辞でも嬉しいです、ありがとうございます。)
(世辞なんかじゃないよ。)
(な、何か照れます。)
(フフ…じゃあ、そんな素敵なyouとずっと過ごせる権利を得たオレは幸運ってことだね。)
(そうかなぁ……わたしは運じゃないと思いますけど…。)
(え?)
(だって、アカギさんのこと突然好きになったワケじゃないですし……転がり込んだ幸運というわけではないというか…。)
(・・・・。)
(色々、本当に色々「どうかな」ってツッコミたいところはありますが……それでも、アカギさんの良いところが数えきれないくらい増えてきたから、好きになったんです…ちゃんとわたしに理由があるので、やっぱり運じゃないですよ!)
(…you。)
(数えきれないくらい良いところがあるアカギさんも、素敵な人です。これからも傍にいてくださいね。)
(・・・。)
(え……あ、アカギさん??)
(しんどい。)
(え?!だ、大丈夫ですか?!)
(何でもない、youのこと好きすぎてしんどいだけ…。)
(?!!!)
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*