step3_(日常編:アカギ)
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こちらアカギの部屋。
珍しく部屋に呼び出された理由とは…。
アカギさんとわたし16
「え?携帯の使い方を教えてほしい…?」
突然すぎるアカギの…意外過ぎる依頼に戸惑うyou。
それもそのはず。
なぜならばyouはアカギと出会ってから今まで一度も、
それこそ携帯電話だろうが、パソコンだろうが、そういった類の電子機器を彼が手にして扱っている姿を目にしたことがなかったからだ。
そのため、勿論youはアカギの電話番号も何も知らないまま今に至っている。
「(言われてみれば結構…いや、かなり珍しいのよね…。)」
当初は「珍しい」とずっと思っていたものだが、付き合いが長くなるにつれて(というかアカギの人となりを知るにつれて)、
彼ならば携帯を持っていなくても致し方ない…寧ろそれが自然だと思うようになっていた。
だからこそ、冒頭の驚きに繋がるのだが…。
「えっと……何というか…今更感が半端ないですが…どうして急に携帯……購入されたんですか?」
「いや、オレが買ったワケじゃない。」
「ほわっつ?!」
「押し付けられた。」
「えぇ?!け、携帯の契約ってクーリングオフききましたっけ?!!」
きっと電気店に立ち寄った際にキャッチに引っ掛かり、分からないままにあれよあれよと契約をすることになったに違いない!と…。
youは慌てた様子で「契約して何日くらい経ってますか?!」と尋ね始める。
「ハハ、違う違う、そんなんじゃないよ。」
「で、でも!!」
「連絡手段を何も持ってないっていったら「これ使え」って、じーさんに押し付けられただけ。」
「じ…じーさん…???」
「鷲巣巌。」
「あ、あぁ……なんだ!!鷲巣さんか…もう、ビックリした…!!」
「使えないし、必要ないって言ったんだけどね……使用料は全部負担するからって押し付けられた。」
「えっ、何それ羨ましい…。」
「クク…何ならアンタが使うか?呼び出されたら血抜きとか、まぁ、えげつない博打させられる条件付きだけど。」
「や、やっぱり要らない。」
「まぁ、血抜きは毎回じゃないにしても、博打の時の呼び出し用って感じだな。」
「(毎回ではないけど抜かれる?!!)そ、それに応えなきゃいけないんですか…?」
「ん?まぁ、気が向いたら応答するよ。」
「そうですか……社会貢献も大事ですが、あまり無理しちゃダメですよ…。」
「…ああ、分かった…(社会貢献)??」
「あ、血液抜かれた日は、言ってくれたらスタミナ付く料理にしますね…。」
「・・・。」
どうやら献血と思っているらしい。
血抜き麻雀を献血とは、大いなる勘違いに他ならないが、
それはそれでyouらしいと思い、微かに笑いながら「ありがと」とアカギは言葉を零した。
「それで本題。使うことになったのはいいが、使い方がまるで分からん。」
「なるほど。」
「もう既に1回掛かってきた鷲巣の電話に出ようと思って回線を切っている。ワザとではなく。」
「重症ですね…。」
アカギは普段表情が乏しいが、この時ばかりは自分でもビックリしたらしい…思った以上に目がマジであった…。
「携帯貸してもらっていいですか?ってこれ、スマートフォンじゃないですか……電話の応答だけっていうからてっきりガラパゴスな携帯電話かと…。」
「がら…?知らんがそれを渡された。」
「機種とか違うと分からないこと多いですけど…うん……これならある程度教えられますよ。」
「そうか、よかった。」
「まず、基本的な操作からですね…。」
そう言って、you先生のスマートフォン講座が開始された。
ある程度、電源の入り切りや主要な機能の説明を終え、10分と経過せずに通話の練習をすることになる。
「じゃぁ、まずわたしがアカギさんに電話掛けますね。」
「・・・着信きた。これ?」
「そうですそうです。で、応答する時はこっちを押すんです。」
「ああ、赤かと思って赤押したから切れたんだな。」
「ちゃんと見ましょうね……一応ボタンのとこに「応答」とか「拒否」って書いてあるんで…。」
「はは、本当だ。」
「(ドンマイ鷲巣さん…)」
「ねぇ、このyouの番号って連絡先に入れることできる?」
「はい!できますよ!それはここをこうして………で、電話帳が開くので…編集して…。」
「名前のとこ「彼女」って入れといてよ。」
「はい「you」っと…で、編集完了です。」
「・・・シカトかよ。」
「…で、最後になりましたが電話を掛ける時は、こっちの「発信」から掛けます。」
「分かった。」
元々、鷲巣からの一方的なコンタクト用に押し付けられた携帯電話。
それにyouの情報も加わったのであれば、これ以上他に何も求めることは無い。
そう思い、アカギがスマートフォンを仕舞おうとしたところで、youから「それから」と、接続詞が落とされた。
「まだ何か覚えることが?」
「んー…電話の発着信だけなら今のだけでいいですけど…。」
「けど…?」
「いや、折角スマートフォンをお持ちなので、アプリ活用をお伝えしておこうかと思ったんですけど……。」
「要らない。」
「ですよね…。」
「まぁ、説明だけ聞くよ。」
アカギはそう言って面倒くさそうな反応をしたものの、
いざyouがアプリの説明をし始めると、意外や意外…真剣に説明を聞き始めた。
「必要ならここで、そのアプリをダウンロードするんです。」
「動画にゲームに…これは?株?……ヘェ…株にFXねェ…本当に色んなのがあるんだな。」
「どうします?何か入れますか?あ、ほら、麻雀ありますよ、麻雀。」
「冗談。博打は人と相対して勝負するから楽しいんだよ。」
「そ、そうですか…。」
「ま、場所も分かったし、気になるのがあったらそのうちダウンロードして使ってみるよ。」
「はい、楽しんでくださいね。」
「快適なスマホライフを!」と言わんばかりの締めくくりであった…。
アカギは最後に電源を軽く省電力にして、テーブルの上に置くと、
すぐさまゴロリと床に横になる…。
「あ、アカギさん…?」
「目がしぱしぱする…。」
「疲れ目ですね…初めて携帯、しかもスマホを扱ったんですし…無理もないです。」
「ん……寝る。」
「あらら……じゃぁ、お役御免ということで、わたしは帰りますね。」
「え、ヤダ……ここにいてよ。」
「いや、だってアカギさん今から仮眠とるんでしょう?そしたらわたし、何もココですることないですし…。」
「うん、だからオレの抱き枕か膝枕になるっていう…。」
「はい、じゃぁ帰りますねー。」
「ケチ…。」
「ケチですよー。まぁ、仮眠もいいんじゃないですか?アカギさん、今日あんまり寝てないでしょ。」
「・・・。」
「目が覚めた時に間に合うように、ご飯の用意しときますから、ね?」
「…分かった。」
「はい、じゃぁ…おやすみなさい。」
「うん、おやすみ、you。」
告げるや否や、その場でスースーと寝息を立て始めるアカギ…。
話の後半で薄々感じてはいたが、相当眠たかったようだ。
普段は彼の寝顔は「綺麗だ」と思うのが、今回はウトウトした様子が垣間見えた所為か、その姿が子供のようで可愛く見えてしまうyouだった。
去り際、そっと優しくアカギの髪を撫ぜてから、玄関へ向かう。
あまり音をたてないように靴を履き、玄関の扉を開いたところで、
部屋の奥から「ありがとう」と、微かにアカギの声がyouに届いた…。
寝言だったのか
あるいは…
(ん…アカギさんから電話だ……ふふ、ちゃんと使いこなせるようになってるみたい。よかった!……はい、もしもし?)
(あ、you?今日の夜時間空いてる?)
(夜ですか?はい、特に何も予定ないですよ。)
(じゃぁ、飯食いに行こうよ。お高いフレンチとかさ、普段行かないようなトコ。今家だよな?迎えに行く。)
(えぇ?!イヤですよ…そんなお金無いです。)
(当然奢りだよ。youのお陰で儲かったってところあるし。授業料ってトコだな。)
(え?わたし…???)
(youが携帯の使い方教えてくれたから。)
(待って待って、意味が分かりません。)
(経済系アプリってヤツでこう……色々と…。)
(それって…銀さん森田くんが絡んでたり…。)
(するね、色々教えてもらった。博打は対面が面白いけど、画面上で経済の流れを読むのもそこそこ面白い…フフ…。)
(・・・銀さんに最恐のモンスターが爆誕したって言われませんでした?あと、何かよく分からない仕事に勧誘されたり、森田くんに嫉妬の眼差しを向けられたり…。)
(したね。勧誘は…興味が無いって断ったけど…。)
(アカギさん怖い…。)
(よかったな、最強の男の嫁になれるぞ、you。)
(アカギさんこわい…。)
(あぁそうそう……
今、お前の家の前にいるんだ。)
(アカギさんコワイイイイイ!!!!!)
words from:yu-a
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