step5_(恋人編:アカギ)
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いや、本当はずっと前から
気になってはいたんですけども。
アカギさんといっしょ3
「ごちそうさまでした。」
箸を置き、合掌。
普段は気にしないが、この男、こういった小さな所作が1つひとつ大変美しい。
改めてみると大きな手で、指も長いな、などと穴が開くほど凝視していると、
流石にその視線に気付いたアカギから「どうしたの」と声を掛けられた。
「あっ、いえ……おそまつ様でした。」
「洗い物はオレがするから、youはお風呂にでも入ってきたら?後でオレも自分の部屋で入ってくるよ。」
「えっ、いいんですか?じゃあ、お言葉に甘えます。」
「ああ。」
youは既に食事を済ませて、食器も片付けていたからだろうか、
食事を提供してもらった上、自分の食器まで洗わせることに若干抵抗があった様子のアカギ。
そんなに手間の掛かる作業ではないが、ここはアカギを立てて、youは彼の言葉に甘えることにした。
そうしてアカギより先に風呂へと向かい、バスタイムを開始したyouだったが、
そこはどうしても髪やボディケアの要素から必然、アカギより時間が掛かってしまうわけで…。
ドライヤーで髪を乾かしてリビングに戻ってくれば、
既に入浴を済ませてTVを見ながら寛いでいるアカギの姿を目にすることとなった。
「おかえり。」
「ただいま…というかアカギさんこそおかえり。」
「ただいま。」
「あーもう、また髪乾かしてない!」
「だって面倒じゃない。」
「乾かしますよ!」
「む…。」
ぱたぱたと洗面所へ向かい、ドライヤーを取って戻ってきたyou。
今まで何度もあったらしく、手慣れた様子でアカギの髪を乾かしていった。
「はい、完了。」
「…ありがと。」
再び洗面所へ赴き、ドライヤーを片付けてリビングへ戻ってくると、
先程までTVを見ていたアカギがソファから立ち上がり、ちょいちょいと手招きをしている。
どうしたのか?と傍に寄れば、それはもう「ガバっ」と効果音がしそうなくらいの勢いでyouの身体はまるごとアカギに抱きしめられた。
「ギャー!びっくりした!!何事?!!」
「何その可愛くない反応…。」
「いやだって、ときめきより驚きの方が勝ちますよ今のは…。」
「そう…。」
パッと手を離し、youの身体を解放すると、アカギはそのまま再度ソファへと着席。
横の位置をポンポンと叩いて、彼女に座るよう促した。
言われるがままにアカギの隣に座ると、youはTV画面を見ながら彼に声をかける。
「お風呂、早かったですねー。」
「そうかな、普通じゃない?」
「でも、洗い物もしてもらった上でだし…。」
「あんなのすぐ終わるだろ……一人分だけだったし。」
「そうかな……でもほら、煙草とか吸ってくるかと思ったし…。」
「ちょっと考えたけど、風呂あがってすぐってどうかなって思ってさ。」
「意外、そういうこと気にしてたんだ…。」
「オレはいいけど…。」
そう言って、チラ、とアカギはyouを見遣る。
つまり、風呂上りに煙草の臭いを漂わせている事に関してどう思うかが気になるから…といったことだろうかとyouは推測したのだが、その予想はあっさり、後に続くアカギの言葉で的外れだったことを示唆された。
「youに煙草の臭いが付くの、イヤだから…。」
「え?!そうなの?!」
「何で驚いてんの。」
「え、だって……てっきりわたしが嫌がるから?とかかなって思って。」
「まぁ、それもあるかもだけど……いや、無いな……やっぱりただ、オレが嫌なだけ。」
「えっと、じゃあ……普段アカギさんがわたしの前でほとんど喫煙しないのも同じ理由なの?」
「そうだよ。」
「えっと、それはなぜ…?」
てっきり「遠慮」して喫煙を避けてくれてるのだろうとばかり思っていたyouには青天の霹靂。
何故、なぜ、どうして、が頭の中にポンポン浮かんで、そのまま口を突いて出てくる。
「アンタを抱きしめた時に花みたいな香りがするのが好きだから。あれ何?石鹸?シャンプーかな?それとも香水?」
「さ…さぁ…。」
「でも、さっき抱きしめた時も同じ香りだったから、シャンプーとか石鹸かもしれないな。」
「さ、さようでございますか…。」
「オレもたまにyouん家で風呂借りたら同じモン使わせてもらうけど、何かが違う……フフ、不思議だよな。」
それこそ、今まさにスパーっと煙草の1本や2本くらいその場で吸いそうな軽い感じで語るアカギだが、
隣人のカイジなどはよく「ヤニが切れたら集中力が…」とか「うう、食費を削っても煙草は買いたい…ッ!」などと、最早中毒患者のような台詞を吐いている姿をよく目にするため、
アカギの選択はなかなかに大変なものなのではないかと、youは不安気に尋ねる。
「カイジくんはそんな感じで結構禁煙的な事が難しいみたいでしたけど……アカギさんは大丈夫なんですか?」
「悪いけどあの人と一緒にしないでくれる?」
「あっ、すみません…。」
アカギにしては珍しく大きめの声。
余程カイジと同等に扱われるのが癪に障ったらしい…。
「まぁ、我慢はしてるけど…。」
「やっぱり。」
「勿論、我慢するのは嫌いだけど、理由があって我慢する事……博打でも仕事でも何でも、我慢した方が自分の利になる場合はするってだけのハナシさ。」
「えーっと……その利というのがわ…わたしの匂いって事なんですか??」
「そうだよ。」
「・・・。」
「どうしたの?」
「あ、いや……そうなんだ…って、思って…。」
「どういう意味?」
何とも不思議な反応をされたことで、アカギも不思議そうに尋ね返した。
すると、彼女は友人との会話を彼に話始める…。
「前に、カイジくんと美心ちゃんとご飯に行ったんだけどね、その時に2人共「煙草の匂いが相手に付くの結構萌えるというかエモい感じ」って意見だったから。」
「燃えるかえもい感じはよく分からないけど、そんなことより凄い面子で飯行ったんだな。」
「え、そこ?」
カイジが自分とyouと付き合っている事を知っているのかは知らないが、
もし知らないとすれば事情を察するアカギからしてみれば地獄の恋愛トライアングルの相関図となる。
そんなアカギのドン引きな反応の意に反し、youは「今でもたまに3人で行くよ?カイジくんにお金がある時だけだけど…」とキョトンとした顔で答えた。
自分以外の男が混じっているのは少し気にはなるものの、そこに彼女の親友……否、カイジに好意を向ける美心という強力な存在があるため、アカギは特に指摘をすることはしなかった。
「あぁ、えっとゴメン…何だっけ「煙草の匂いが相手に付くこと」が良いって?」
「うん、何か「恋人に煙草のニオイが移ると自分のって思えるよね」って事らしいよ。」
「ああ、そういう考えもあるかもね。」
「アカギさんは違うんですね。」
「オレは…ある意味、人の動向を嗅ぎ分けるのは得意な方だけど、純粋な五感としてのニオイを嗅ぎ分けられる程嗅覚優れてないからな。」
「嗅覚、ですか?」
「そう、だってそれだと、別の男の煙草のニオイかもしれないだろ?」
「流石のアカギさんでも人に付いた煙草のニオイでは銘柄までは分からないということですね!」
「クセのあるやつなら分かるかもだけど……って、オレ犬じゃないんだけど。そんなの嗅ぎ分けないよ。」
「ですよね。」
「カイジさん然り、南郷さんや銀二さん、平山に……森田さんもか?アンタの周囲の男はオレを含めて喫煙率高いって指摘だよ。」
「??」
「そう考えれば、ああ、全然「我慢」なんて生ぬるいくらい簡単かもしれないな。」
「よく分かりません…。」
「要するに……浮気したらすぐバレるから気を付けてね。」
「う、うわっ…?!!」
とどのつまり『自分は君に煙草の匂いは付けないため、君からもし煙草の香りが漂えば浮気を疑うぞ』という事。
少し考えて、その意味に辿り着いたyouは顔を赤くしたのち、少し頬を膨らませて、ようやく反論。
「しません!アカギさん以上に好きになれる人とか……ってこれもう告白の時言った!」
「(面白…。)」
「そもそも、そんなことしたらわたしアカギさんに殺されちゃうじゃないですか…。」
「クク……そういえばそういう約束だったね。」
「嘘、絶対忘れてないくせに…。」
「ハハ…バレた。」
文字通り「死がふたりを分かつまで」の条件で恋人になった事は記憶に新しい…。
というより、そんなとんでもない条件をお互い忘れるはずもないわけで…。
「まぁ、結果的に色々だったけど、youの前で煙草を吸わない理由は、そういうことでいい?」
「それは……はい、理解できました。」
こくん、と1度首を縦に振って頷けば、すぐにアカギの両腕が伸びてきて、今度はソファに着席したままで抱きすくめられる。
「あ、アカギさ…。」
「ん、やっぱりいい匂いだね。」
「……アカギさんも、いい匂いしますよ。」
「まぁ……風呂上りだからな。」
「ふふ、そっか。」
暫くお互いの温もりを感じて幸せに包まれる感覚を満喫していたyou…。
あまりに温かくて思わずウトウトしてしまう。
そんな折、アカギはそういう気持ちではない、と声を上げた。
「あーー……マズいな…。」
「?」
「勃ってきた。」
「??!」
「どうする?」
「どうするって何?!!」
バッと体を放して、アカギを見上げてツッコミを入れると、
彼は至って真面目な顔で選択肢を出してきた。
「ベッドに行くか?それともココでする?」
「何で2択?!わたしの拒否権は!!」
「あると思う?」
「あ……ある!!ありますよ!だって…。」
「だって?」
「今わたし……とっても…。」
「うん?」
「とっても眠いんです…っ!!」
「強行でいいか?」
「あああ、違うの、そうじゃなくて…!」
アカギは若干イラっとした顔でyouをその場に押し倒そうと腕を伸ばしたのだが、その手は彼女の手に絡め取られてしまう。
隙間無くお互いの指が絡んだところで、彼女はおずおずとアカギに伝えたい「眠くなった理由」を話し出した。
「アカギさんから伝わる体温と、匂いでね、すごく幸せで……眠くなってしまって…。」
「・・・。」
「だからその……大変申し訳ないのですが………。」
「ハァーーーーー………分かりました、分かりました。」
「へ、へへ…。」
「添い寝すればいいの?」
「そうしてくれると……とても幸せです。」
「狡くないか、お前……それ…。」
「すみません…。」
「ハイハイ…。」
惚れたら負けとはよく言ったものだ、とアカギは盛大な溜息を吐きながらyouに連れられて寝室へと向かう。
ただ、悔しいのと生理的に苦しいという点もあり、彼女が寝てる間に多少なりと悪戯でもしてやろうかと思うのであった。
甘い匂いっていうか
これ…フェロモンなんじゃない?
(とりあえず鎮まったからいいものの、いい加減腹立ってきたんだけど…。)
(んぅ…)
((鼻でも抓んでやろうか…っとに…))
(ぁ…かぎ…さ・・)
(ん?寝言?)
(何とかなぁれぇえー……ぐぅ)
(???)
(違う、違う……そっちじゃない、ちいかわじゃない方)
(ちい…かわ……チー…河???)
(古井戸の方だよぉ…)
(待って、気になって眠れなくなったんだけど…)
words from:yu-a
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