step1_(ご挨拶編)
name setting
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おはようございまーす。」
「おはよう…ございます?」
ゴミ出しをしているyouが元気良く挨拶をする。
声を掛けられた少年は、この男ばかりが住人の福本荘で初めての女性を目にして
呆気に取られた顔で彼女に挨拶を返した…。
205号の宇海零くん。
「昨日202号に越してきた、youって言います。よろしく!」
「…宇海零…です。」
「ぜろ……くん…変わった名前だね。」
「旧漢数字の「零」で「ゼロ」です。」
「へーーっ!!「れい」じゃないんだ?」
「よく間違えられますけどね。」
「じゃぁ…零くんって呼んでも?」
「何でも結構ですよ。」
新しい引越し人に、愛想良く笑いかける零。
邪気の無いその笑みに感化され、思わず自分も笑顔になる。
「よかった、じゃ、これからよろしくね、零くん!!」
「はい、こちらこそよろしく、youさん。」
零はそう言うと、youの手から重そうなダンボールのゴミを取って、階段を下りていく。
youは慌てて零の後を追い、声を掛けた。
「零くん??」
「何往復ですか?」
「え…?」
「重いでしょ、俺、今日暇だし、それに男だし……手伝いますよ。」
「あ、ありがとぉ~!」
そう……昨日今日とyouは部屋を片付けていた為、
荷物を入れていたダンボールたちが不要になり
現在捨てに行っている途中だったのだ。
いくら折り畳んだとはいえ、一度でダンボール全てを捨てにいけるはずもなく、
あと数回、2階から1階のゴミ捨て場までの移動が必要だったのだが……
零はそれら全てを見抜き、ゴミ捨てを手伝うと申し出た。
2人で協力し、結果としてものの10分弱で全てのゴミを出し終えてしまった。
そして今、youは零を家に招き、感謝の意を込めてお菓子と飲み物を振舞う。
「はい、零くん、飲み物。」
「どうも。」
「ごめんね、越してきたばっかだからお茶しかなくて…。」
「いいよ、全然。」
「でも、お菓子はあるから!!」
「(普通お菓子の方が無いものなんじゃ…)」
そう言って、youは零の前にケーキを出した。
にっこり笑って2つあるうちの「どっちがいい?」と尋ねる…。
「俺はどっちでもいいから…youさん先にどうぞ。」
「えー!でもなー……どっちも好きだからなー…。」
きっと、両方自分が食べるつもりで買ったのだろう…。
真剣な眼差しでケーキを吟味するyouを見て、思わず笑いが込み上げる。
零はクスクス笑ってyouに告げた。
「じゃぁ、俺が決めるよ。」
「うぅ…そうしてください。」
零が指差したケーキを一つ皿に取り、手渡して
残った一つは自分の皿に取った。
「いただきます」とケーキを食べ初めて、幸せそうな顔を浮かべるyou。
零は楽しそうに彼女を観察し、youがその視線に感づいて顔を上げた時に話しかけた。
「youさん。」
「ん?」
「はい、あーん。」
「へ……///」
「食べたかったんでしょ、両方。」
「う…まぁ、そうだけど…///」
「じゃ、はい、あーん。」
「ぁーん…///」
口をモグモグと動かしているyouに零は笑って問いかける。
「おいしい?」
「…ん///」
「よかったね、両方食べれて。」
「うん…///」
照れながらも、零の好意と笑顔に少しばかり嬉しくなるyou。
それはまるで自分に素直な弟がいるような感覚に陥るものだった。
「何か零くんみたいな素直で可愛い弟がいたらな、嬉しいのに。」
「やだなぁ、youさんまで……俺、こういう性格だから、よく「弟キャラ」とか言われるけど……。
実際は全然そんな可愛らしいモンじゃないんだよ…?」
先ほどまでのキラキラした表情とは打って変わって、
ドス黒いオーラを纏って豹変する零…。
youはただただ無言でコクコクと何度も頷いた。
零はそんな脅えた表情の彼女の顔に急接近して、言った…。
「笑ってるyou、可愛くて好き。でも、俺はこういう脅えた表情のyouのが……そそる、かな。」
「!!」
パッと近づけていた顔を離して、一瞬で元のニッコリ笑顔に戻った零。
そして極めつけ…。
「どうしたの、youさん?」
「!!!」
表情も声色も名前の呼び方も元通り。
開いた口が塞がらないyouであった…。
「零くん……あの…。」
「俺だって男なんだから……「弟みたい」とか「可愛い」とかは止めてよね、youさん!」
「う……うん…。」
「…じゃないと……犯…」
「肝に銘じます!!」
宇海零…。
引越し早々、彼には言ってはならない禁止用語があることを知ったyouなのだった…。
205号の住人は裏人格持ち!
(youさーん、今日、夕飯一緒に食べません?)
(え、う、うん、いいよ。)
(明日も一緒に食べませんか?その次も!)
(え?え??何、急に…!?)
(俺、youさんと一緒に食べたいんです!)
((……ッ…可愛い…///))
(youさん、今……。)
(思ってない!何も思ってないよ!)
(そ?)
(うん!!(し…心臓に悪い!!))
*。゜.*。゜.*。゜.*