step2_(イベント編)
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爽やかな緑の季節は終わりを告げ
今年も福本荘に、じめじめとカビ臭い季節がやって来た
梅雨時ですよ福本荘!
「昨日も雨、今日も雨、明日も雨で明後日も。本当に参った。これじゃ洗濯物が乾かないよ…。」
はぁ…と、youは今しがた洗濯機から取り出した洗濯物を抱えて、窓の外を眺めながら大きな溜息を吐いた。
仕方なく部屋の簡易物干しに下着を留めていく。
「ふ~ん、ピンクか。」
「ギャァア!?あ、あ、アカギさん?!何時の間に背後に?!」
「たった今。」
「せめて「おじゃまします」くらい言いましょうよ!」
「寝室の窓からだから、お邪魔しますとは流石にね…。」
堂々とした不法侵入発言にも関わらず、さもyouの言う常識が間違っているような言い草で返すアカギ…。
毎度のことなのでもう何も言うまいと、youは敢えてスルーするのだった…。
「洗濯物干し終わったらお茶でも淹れますから……どっかその辺に座って待っててください。」
「ん。」
そう言ってその場を去ろうとしたアカギだったが、くるりと後ろを振り返って
「ああ、そうだ」といい忘れていた様子でyouの背後から耳元で囁いた。
「いいんじゃない、オレは好きだよ。」
「ひゃぅっ?!ななな、何が?!!//」
「ピンク。youに似合うと思うよ。」
「っ…も、だから何が……?!//」
「ククク…さぁ、何だろうねぇ。」
そう言い終えて、アカギはヒラヒラやる気なく手を振りながら居間へと去っていった。
赤い顔で「もうっ、心臓に悪い!//」とプンスカ怒りながらアカギを見送り、物干しに目を向けるyou…。
そこで目に入った物に彼女の目は大きく見開く…。
「な…な、な…もしかし、て///」
ピンク色のパンツを握り締め、物干しに留められたお揃いの柄のブラジャーを涙目で睨み付ける。
それと同時にアカギ対策としてyouは今後、下着を風呂場の窓付近に乾すことに決めた…。
すぐに洗濯物を片し、既に居間で寛いでいるアカギの前のテーブルにドン!と湯のみを雑に置き、
その向かいに自分の分をそっと置いてyouも着席した。
「何怒ってるの?」
「別に!ただデリカシーの無い人だなって、改めて思っただけです!」
「下着のこと?」
「そうです。」
「いいじゃない、オレとyouとの仲なんだし。」
「いっ、意味不明!付き合ってるわけでもないのに!!//」
「じゃぁ付き合ってよ、オレはyouのことをオレの女にしたいって思ってる。」
「ちょ…何言って…//」
「何かをこんなに欲しいと思ったことなんて、初めて。」
「アカギさ…//」
ふいに頬に伸ばされた手に驚いて、その方向を向けば、いつの間にかアカギが至近距離に迫っている…。
youがギョッとして飛び退くも、その反動でテーブルに膝を打ち付けてしまい、
無様にも(運悪くとも言う)その場に仰向けに倒れた。
もつれて仰向け、打って涙目、据え膳食わぬはと言わんばかりの状況下、
アカギは遠慮なくyouの上に馬乗りに覆いかぶさる。
「…you…。」
「っ…ゃっ…!//」
アカギのひんやりとした手がyouの首を撫で、ぞくぞくとする感触に思わず声が漏れる。
彼女の反応が愉しくて、歯止めの利かなくなりそうな心に火が点きかけたその時。
youのピンチを救うかのようにピンポーン!と、チャイムが鳴った。
「………敵が多いのも手に入れたい理由の一つ・・・。」
「???//」
邪魔が入ったか、と…言わんばかりの顔でyouの上から退いたアカギ…。
youは一瞬呆けながらも、すぐに我に返り慌ててアカギから離れて玄関に駆け出した。
*。゜.*。゜.*。゜.*
在宅か留守を確かめるようにもう一度チャイムが鳴った瞬間、家主が玄関のドアを勢い良く開いた。
「はいっ!何でしょう!」
「あ…い、いたのか、you。」
「う、うん!ごめんね、カイジくん!すぐ出られなくて…ちょっと、色々あって…。」
「そっか。」
「それで、今日はどうしたの?」
「今日はっつーか…いや、雨でどこにも行けねぇし、youは何してっかなーと思って。」
「はは~ん……さては暇だったんだ?」
「いや…ちが//」
「私も遊びに行けなくて暇してたんだ!ちょうど今アカギさんも来てるから、上がってよ。」
「…アカギも来てんのか。」
「うん。」
「ふーん…やっぱり倍率高いなぁ~、youさんの家は!」
カイジの後ろから雨の日に似合わない朗々とした声が響き、そこに注目すればひょこっと零が現れた。
「零くん!」
「げっ、零まで…。」
零の出現にyouは明るく笑い、開司は至極嫌そうに顔を歪ませた。
結局
福本荘の二階の住人は全員外出予定も無く、雨なので何処へも行く気がせず、youの家に集った…という状況。
招き入れた人数は兎も角、それら全員が大の男ということで、いつもは広い部屋も何だか狭く感じるyou。
とりあえず一同を居間に座らせ、人数分のお茶を用意すべくキッチンへと向かった。
in リビング
「お先にお邪魔してますよ。」
「アカギ…youに変なことしてないだろうなっ?!」
「オレも今来たトコですから…。」
「あ、そうなの。」
途端にぱぁっと明るくなる開司…。
それを早く言えよ~!と笑いながらアカギの隣に腰を下ろした。
零はそんな2人をじっと見下ろしたかと思えば、その場からスッと立ち去り、キッチンのyouの元へと向かう。
in キッチン
「you!」
「零くん、どうしたの?」
「何か手伝うよ。」
「って言ってもコーヒー淹れるだけだしなぁ……あ、じゃぁそこの戸棚のなかにお菓子入ってるから出してくれる?」
「うん!」
youに指示された戸棚からお菓子を出し、用意された籠にクッキー等を盛り付けていく。
「ねぇyou…。」
「ん?」
「お菓子…買い溜めし過ぎじゃn…。」
「零くん?」
「オレ、このお菓子好きー。」
咄嗟に笑顔で話を逸らしたとはいえ、この時程youのことを本気で怖いと思ったことはない…。
宇海零(後日談)
それからコーヒーの準備が整い、零がそれをトレイに乗せてリビングまで運び、youもその後ろを歩いてきた。
テーブルに丁寧にコーヒーとお菓子を置いて、アカギ、カイジと並んで零とyouは腰を下ろす。
初めに開口したのはyou。
「で、何から語ろうか。」
「何だそれ!」
話のテーマを決める会話は初めてだ、と…カイジが笑う。
「だ、だって…じゃぁカイジくん、何か話してよ!最近あった面白いこととか!」
「お、オレに振るなよ!た…楽しいことって言われてもなぁ……。」
「あ、そういえば一条くんに借りてたお金返したの?」
「あ~、雨すっげ~止まね~なぁ~…。」
わざとらしく窓の外に目を向けるカイジだが、誤魔化すまでもなく
皆一様に「ああ、返してないんだ」という答えを導き出すだけであった…。
そしてカイジと同じ方向に視線を向けたyouがぼんやり思いついた言葉を口にする…。
「雨、ねぇ……そういえばさ…どうして6月に結婚式を挙げた花嫁は幸せになる…っていうのかな?」
「ジューンブライドだね?」
youの疑問に零が微笑み返す。
youはうん!と頷いて、答えを知っている様子の零に目を向けた。
「Juneはローマ神話のジュピターの妻ジュノーから取られたんだって。」
「ジュノー…。」
「そう、それで…彼女が結婚生活の守護神だから6月に結婚式を挙げる花嫁を「June bride、6月の花嫁」と呼んで、この月に結婚をすると幸せになれるっていう理由から…らしいよ。」
「へぇ~!!凄い、ちゃんと理由があるんだね、流石零くん!ありがとう!」
「youさんの疑問を晴らす手伝いができたのなら、雑学も捨てたもんじゃない、かな。」
にこりと零があまりに綺麗に笑うので、思わず頬が赤らむyou。
狡猾な一面もドキドキはするが、この純粋で曇りの無い笑顔こそが零の真の武器のように感じるのであった…。
そんな中、興味無さ気に話を聞いていたアカギがテーブルの上に肘を付いてyouに話し掛ける。
「似合うだろうね、youは。」
「何がですか?」
「ん?ウェディングドレス。」
「・・・え。」
「着せてみたい。」
「そ…そんな///」
零に対抗してかは不明だが、アカギらしからぬ邪気の無い笑みを浮かべてyouをじっと見る。
突拍子もない言葉に動揺を隠せない彼女は、真っ赤な顔でアカギから視線を外せずにいた。
そして・・・
残りの2人はというと、それはもう悔しそうな顔でアカギを睨んだ(怨むとも言う)。
*。゜.*。゜.*。゜.*
そんなこんなで他愛も無い会話を夕方まで繰り広げ、夕飯の時間になりそうになってきた…。
「そろそろ夕飯の準備しないとなぁ……今日は何にしよう。」
「っと、もうそんな時間か…悪かったな、突然押しかけて……じゃ、オレはそろそろ帰るかな。」
「ううん、全然!カイジくんと話できて凄く嬉しかったよ。」
「そうか?ありがとな。」
「あ、凄い!」
「え?」
立ち上がろうとしたカイジより先にyouが立ち上がり、窓の方へと足早に向かい一同を振り返る。
「夜は雨があがるって予報、本当だったんだね!」
「おー…見事に星が出てるな。」
「明日はまた朝から雨みたいだけどね。」
youはちょっと残念そうな顔をして、隣で窓の外を眺めるカイジを見上げた。
すると、カイジは「残念」と彼女に同意の言葉を告げ、その頭に軽く手を置いて提案を投げる…。
「今日は一日どこにも行けなかったけど……今折角雨上がってるし…飯くらいなら食べに行けるんじゃねぇか?」
「わぁっ、賛成っ!!」
「決まりだな!」
「皆も行くよね?!」
くるりと後ろを振り返り、アカギと零に目を遣れば、彼らは既に立ち上がって玄関へ歩いていく途中。
「youさん、何が食べたい?」
「ふぐ刺し。」
「アカギさんには聞いてません。」
「…じゃぁ何でもいいよ。」
「だーかーらー!!」
アカギと零の遣り取りを眺め、youは2つの背中を見つめて笑みを零した。
追いかけようと足を踏み出した時、軽く腕が掴まれて後ろを振り向く…。
不思議そうに掴まれた腕を見て、それから掴んでる相手を見上げれば、
カイジが照れくさそうに微笑んでyouに声を掛けた。
「オレも、似合うと思う…youのウェディングドレス。」
「!」
「あの…何かさっき…思ったけど……その…言いそびれたから//」
「カイジくん…。」
「///」
「・・・ありがとう。」
「い、いや、別に!//」
「ふふっ、実は私も着てみたいんだ!いつか……素敵な相手ができたら。」
「っ…!//」
そういい残し、youは軽やかにアカギと零を追う。
「…本腰入れて就活すっかなぁ、オレ…//」
呟いた言葉は勿論youに聞こえてはいないのだが「素敵な相手」に密かに立候補するカイジなのであった…。
君は誰の
花嫁になるのだろう
アカギ
(そうだ、you。)
you
(ん?)
アカギ
(言い忘れてた。)
you
(何をですか?)
アカギ
(ウェディングドレスのこと。)
you
(ドレスがどうかしたんですか?)
アカギ
(youに着せたいと思ってるけど。)
you
(う…//)
アカギ
(それ以上に脱がせたい。)
you
(アカギさん…。)
アカギ
(なに。)
you
(へんたい…。)
*。゜.*。゜.*。゜.*