step3_(日常編:アカギ)
name setting
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「you、暇だから出掛けない?」
それは…。
珍しく日が昇るうちにアカギからデートの誘いがあった日。
アカギさんとわたし13
「今日のご飯何にしようかなぁ…。」
「折角外いるし、食べて帰ってもいいんじゃない?」
「そっか…それもそうですね。」
「お。」
「ん?」
昼を過ぎてから街へ繰り出し、特に何をするという目的は無かったものの
服を見たり、雑貨を見たり、何だかんだで時間を費やしたアカギとyou。
それなりに楽しかったものの、人ごみの中が嫌になったのか、
アカギが市街地から少し離れた広い公園へ行こうと誘ってきたので、
その提案に賛同し、現在そちらに向かって歩を進めているのだが…。
「わぁー、素敵!」
「こんなトコに式場なんてあったんだな。」
「わたしもこっちには滅多に来ないので知りませんでした。」
道すがら、道路の向かい側に立つチャペルを目にして驚く2人。
タイミングの良いことに、式が終わってゲストによるフラワーシャワーを浴びている新郎新婦の姿が遠目からもばっちり見えた。
「天気が良くてよかったですね!花嫁さんのウェディングドレスすごく綺麗。」
「・・・。」
「ね、アカギさ…ん?」
同意を求めようとアカギを見上げると、彼はじっと向かいの新郎新婦を見つめている。
youが頭に疑問符を浮かべてたまま見ていると、その視線に気付いたのか、
アカギは「ああ」と顔を下ろしてきた。
「ごめんゴメン、ちょっと…ね。」
「もしかしてお知り合いですか?」
「いや、全然。」
「そう…。」
「いいなと思って。」
「えぇ"ッツ?!!」
「何その反応…。」
よもやのアカギの予想外の言葉に、心の底から驚いたらしいyouが
女性らしからぬ声と驚嘆の顔でリアクションを取った。
アカギはというと、珍しく一般的な意見を言った自覚もあったため、
彼女の反応に不服そうな声色で反応を返す。
「い、いや、だって……アカギさんがそんなことを言うなんて…明日台風どころか槍が降りそう。」
「…言ってくれるじゃない。」
「うっ…でも…。」
「オレだってたまにはそういう一般的な感想を抱く時もある。」
「えぇ~~~……そうかなぁ…。」
「ってのはやっぱ無いな。」
「ほらー!」
「いや、ね……いい、と思ったのはドレスなんだけど…。」
「えっ!?アカギさん着たいんですか!!?」
「誰がそんな事言った。」
「いいいいひゃああぃ!!(痛い)」
先走ったyouの考えにイラっときたのか、
アカギはちょっと怖い顔で彼女の頬をぎゅーっと抓った。
しかし、すぐにそれを放すと、コツンと軽く彼女の頭を小突いて叱る。
「人の話は最後まで聞け。」
「うう…すみません…。」
「まぁ、月並みだけど…youに似合うだろうなって思ったからだよ。」
「わ、わたしですかぁ?」
「他に誰がいるの…。」
「アカギさ……。」
「you。」
「じょ、じょうだんです…。」
「逆に本当に似合うと思ったのか聞きたいくらいだよ。」
じと目でアカギに睨まれ、小さく「ごめんなさいってば」と謝罪を入れるyouだったが、
すぐにハッと何かに気付いたようにアカギを見返した。
「アカギさんが女性だったら絶対似合うと思いますッツ!!」
「言うに事欠いてそれ。」
「こう…きっと…とってもスレンダーで、美人さんで…うん、似合う。」
「・・・嬉しくないねェ。」
「そうですか。」
「オレが女だったらyouとxxxもxxxもできないじゃん。絶対嫌。」
「性別関係なくさせませんけど?!!」
すかさずビシッ!とアカギの腹にツッコミを入れるyou。
「あらら。」
「あららじゃない!もう!折角脳内でアカギさん(女)と友達になったらとか考えようとしてたのに…。」
「やめてよキモチワルイ。ていうか器用だね、会話しながら妄想するって。」
「結構得意。」
「ふーん……でもちょっと気になる。女だったら?仲良くなれそうなの?」
「仲良く……したいな。」
「・・・。」
「どんなアカギさんでも、仲良くなりたい。」
「そう…。」
「可愛いより美人さん。」
「もういいって。」
ペチ、とアカギに額を叩かれ、youは両手でそこを押さえた。
そろそろ話題の転換を図ろうかと思ったアカギだったのだが、
ふと思いついたように「もしも」の話を続ける…。
「なぁ、you。」
「はい?」
「もしオレが女だったら、一緒に風呂入れる?」
「え?うーん……うん、入れます。」
「じゃぁ、一緒の布団で寝れる?」
「な、何の質問ですかそれ……。」
「いいから。」
「まぁ、女の子ですし……一緒に寝るのも別に…問題ないかと。」
「身体触っても怒らない?」
「場所によりますけど……怒りはしないかなぁ…。」
「・・・。」
「あ、アカギさん……??」
「いや、女も悪くないね。」
「動機が不純過ぎます!!//」
つい先程まで全力で嫌がっていたはずなのに、
youの許容の言葉を受け、あっと言う間に掌を返したアカギ。
当然、怪訝な視線を彼に向け、呆れたように怒るyou。
と、すぐにその表情は様変わりし、ふいに思いついた考えを口に出した…。
「じゃぁ、反対にわたしが男性だったらどうでしょう?アカギさんとお友達になれますか??」
「youが男ねェ・・・治っぽいな。」
「いや誰。」
「知り合い。」
「わたしと似てるんですか?」
「似てるかも。」
「へぇ!どういう人なんですか?」
「一般人。」
「ああ、そういう……(アンタから見れば誰だって一般人に見えるがな)」
「まぁ、友達と思うかどうかは分からないけど……嫌いにはならねェな、多分。」
「そうですかー…。」
「何?何か不服そうだね。」
「不服というか……仲良くなれないのかなぁって。」
「その定義が謎。でも、一緒に麻雀とかしたら面白いだろうな。」
「えっ!わたし渡り合えそうです?!」
アカギからの言葉が故に、自分に博打の素質があるのかと目を輝かせるyouだったが、
彼はその反応に、吹き出しそうな様子で「NO」と答えた。
「逆、ぎゃく。youはすぐ顔に出て、考えてる事分かるから、見てて絶対楽しい。」
「酷いッ!!」
「そんで全員に毟られる。」
「更に酷いッ!!」
「たまに勝てる相手はカイジさんだけ。」
「カイジくんにも酷い!」
「大丈夫ダイジョウブ、素寒貧になってもオレがトイチで貸してやるから。」
「その金利おかしいから!」
「そうやって首が回らなくなったらオレの奴隷だね、youは…。」
「愉悦に浸った目でわたしを見ないでください!しませんよ身を滅ぼすギャンブルなんて!!」
「あ、そっか……そういう人種だったね、アンタ。」
悦に入った表情は、youの正論によって、そういえばそうでした、という表情へと変化した。
そんなこんなで辿り着いた結論。
「まぁ、結果的に同性同士じゃ嫌って結論かな。」
「そうですか……わたしはアカギさんが女性なのはちょっといいかもって思いました。」
「だからやめて気持ち悪い…。」
「ふふふ…。」
「想像するな。」
「だって、ねぇ!」
「ああそうかい。じゃぁ言わせてもらうが、オレは女でも自分を曲げないと思うから、もし女としてyouを好きになったとしても諦めないよ。ああ、ホラ、障害が大きい程燃え上がるっていうしね。加えて言うなら、女同士でもヤろうと思えばヤれるでしょ。どっちが攻めるか受けるかの違いなだけで。そう思えば、道具使ったりイレギュラーなことができて、普通にするより面白いかもね。だから…。」
「もうやめてーー!!!わたしのライフは0よーー!!」
「…これで懲りた?」
「はい…スミマセンでした…。」
「ならよし。」
アカギの容赦無い言葉責めに、ズゥウウンと意気消沈してしまったyou。
隣でそうやって盛大な溜息を吐いた彼女に、
やれやれと、アカギは言葉を投げ掛けた…。
「だってさ……やっぱ着せたいじゃない?」
「え?」
「ウェディングドレス。」
「さっきの…。」
「そう。オレはやっぱり男として、youに着せたい。」
「ッ…//」
意外にも甲斐性のある台詞を主な収入源が博打である男に吐かれ、戸惑う。
職種云々は置いておいても、結局のところyouもこの赤木しげるという男を憎からず想っている部分が大いに…大いにあるワケで…。
「で、でもアカギさんは……。」
「ん?」
「……燕尾より紋付袴の方が似合うと思います……こ、個人的に…//」
「!」
言って、俯いてしまった隣の赤い顔を見つめ、アカギはふっと笑みを浮かべる。
確かに洋装より和装の方が…などと思いを馳せながら、彼女の艶やかな髪を撫ぜた。
「けどさ……困ったね。じゃぁ……どっちの式にするかで喧嘩しないとだ。」
「け、喧嘩はしたくないです!」
「じゃぁ勝負事だな。じゃんけんかカードか賽か…そんなトコか。」
「それもやだ!絶対アカギさんに勝てないもん!」
「フフ……やってみなきゃ分からないじゃない。」
「うー…!あ!!じゃぁ、あみだくじとか!」
「それでもいいよ。」
「そ、それなら僅かながら望みが……って……何のハナシ…!」
「いつにしようか、結婚式。そういうの柄じゃないけどyouの為なら挙げないとね。」
「そ、そうじゃなくてっ!//」
「あ、その前に籍入れないとだな。」
「違ーーーう!!//」
噛み合っているようで噛み合っていない…。
そんないつも通りの会話を交わしながら、
いつも通り、2人で夕刻には福本荘に帰るのだ。
もう恋人なんて過程
すっ飛ばして
夫婦になってもいいじゃない
(あ、そうだアカギさん、この後本屋さん寄ってもいいですか?)
(ん、いいよ。)
(ありがとうございます!)
(何買うの?)
(いや、ちょっと欲しい本がありまして…。)
(フフ……ブライダル雑誌ならオレが買ってあげる。)
(結構です。)
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*