step3_(日常編:アカギ)
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「うう……久しぶりにこんなに痛いかも…。」
そう唸って呟いて、しゃがみ込んだ。
アカギさんとわたし12
本日は晴天。
いつもならこんな良い天気の休みの日には
どこかしらに出掛けたくなるものだが、今日に限ってはそうできなかった。
出掛けたいけど、出掛けたくない。
この矛盾はそう、彼女の体調が頗(すこぶ)るよくないことを示していた。
「しんどい…。」
風邪でもなければ、頭痛でも熱でもない。
残るは腹痛だが、これはただの腹痛ではない。
ぎゅううっと、腹の内部で下腹部を押さえつけられているような痛み。
軽く痛みを感じたかと思えば、今度は大きな痛みが波のように押し寄せる。
そう、これは……。
「生理痛……久々痛い…。」
薬を服用すれば痛みはある程度和らぐが、食後に飲む必要があるため、
腹痛と、そこからくる倦怠感で食事を摂る気になれずにいるyouは、
未だ薬の恩恵を受けられないでいる。
朝起きて何とか着替えて、軽く化粧をしたまではよかったのだが、
そこで力尽き、再びベッドへよろめきながら戻ってしまったのだ。
「あ・・・いた……痛たたた…ッツ!」
再び襲ってきた腹痛の波に、呻き、ベッドの中で自分を抱きしめるように蹲る…。
どうにも逃れられない、苦しみと痛みから、思わずじわりと涙が浮かんできた。
と、その時…。
「you、いる?」
ガチャリと部屋の扉を空けて、アカギが入ってくる。
玄関は閉まっていたので、恐らくは(大家からカツアゲしたと思われる)いつもの秘密の合鍵を使って入ってきたのだろう。
「なに、まだ寝てるの……珍しい。まぁ、オレもこんな時間から活動するのも珍しいから人の事言えないんだけど…。」
「ぁ……さ…ん…。」
「もうお昼になるよ…いい天気だし、オレとデートでもしようよ。」
バサっと勢いよく布団を捲くり上げたアカギ。
大方、パジャマ姿の彼女をからかおうとでも思ったのだろう…。
しかし、そこにあったのは辛そうに自分で自分を抱きかかえて蹲るyouの姿。
ついでに言うなれば、私服に既に着替えているため、布団の中でスカートがたくし上げられたのか
かなり上の方まで登ってきており、綺麗な太腿が顕になっている。
「わお…。」
「・・・。」
思わず嬉しそうに感嘆する声が漏れてしまったのだが、
それに対して…否、それ以前に布団を取り払われても何の反応もしないyouにアカギは首を傾げた。
ベッドサイドに膝を付き、youの顔を覗きこむ。
「you、どうした…?」
「ぅ…う。」
「!!」
アカギの呼びかけにも答えず、ひたすらに蹲るyou。
苦しそうな表情と、その目に浮かんだ涙から、彼女の体調が芳しくないということに気付いた。
「おい、大丈夫かyou……何処か痛むのか?!」
「っ・・・!」
「腹か?薬は?医者には行ったのか?」
アカギの問い掛けの後、少しの間呻き声を上げてyouはふるふると首を横に振った。
「どうして……そんなに痛むのに何故放っておいたんだ!とりあえず救急車…!」
「!!」
アカギが立ち上がろうとした瞬間、その腕をyouが掴んで引き止める。
「い……いです…。」
「よくない。」
「いい、です……から。」
「よくない。」
「ただの……生理痛だから…。」
「・・・。」
「・・・。」
ストン、と腰を下ろす音がして、youはアカギが傍に腰を下ろしたのをぼんやりとした意識で確認した。
「何で薬飲んでないんだ。」
「ごはん……食べてからと思って…。でも、食べる気にもなれなくて。何かするもの辛くて…。」
「多少胃が荒れても薬が先だろ……。」
「そう、ですよね……分かってたんですけど…。」
「いつもこんな酷いの?」
「いえ……こんなに痛いの久しぶりです。」
「まぁいい……風邪や病気とかじゃないなら…安心した。」
「ごめんなさい…。」
「いや、いい。とりあえず飯用意するから待ってろ。その間に寝れるなら寝てろ。」
「え……用意って…。」
「台所借りるぞ。」
「あ……はい…。」
youが許可を出すより先に、アカギは立ち上がっており、
再びyouに布団を被せると、そのまま部屋から出て行ってしまった。
アカギの叱咤や気配りが有難いやら申し訳ないやら…。
おまけに腹痛の波も相まって、youは布団の中で盛大に涙が零れてしまう…。
何はなくとも、アカギがその場にいなくてホッとするyouだった。
それから三十分弱…。
痛みの波が弱くなり、やっと眠れそうだと、うとうとし始めた頃…。
「you、起きてるか?」
「ふぁっ!?」
アカギが再び部屋へ戻ってきた。
手に持った盆の上にはyouの家にある一人用の土鍋と、小さな茶碗。
「病人ってワケじゃないが……とりあえず粥作ったから食え。」
「お粥……アカギさんが作ったの…?」
「ああ。冷蔵庫ん中のもの勝手に使わせてもらった……悪いな。」
「いえ、全然……。」
「食えるか?」
「は、はい……やっと痛みの波がおさまってきたし…。」
「そうか……。」
ほっと安堵したような表情をして、アカギは持ってきた土鍋の蓋を取った。
湯気に包まれた鍋の中には美味しそうな卵粥が入っており、
ある程度混ぜて、それを茶碗によそってyouに手渡した。
「熱いから気を付けろよ。」
「わー……美味しそう…。」
「普通の粥だよ。」
「でも、アカギさんが作ってくれたんですよね…。」
「そうだけど?」
「それだけで嬉しいですし、特別です。」
「・・・。」
「いただきます。」
ふーっと、何度か息を吹きかけて冷まし、粥を口にする…。
自分の作ったものとは違う、少し濃い目の味付けで、
何となくだが男性が作ったもの、という感じがした。
それでもとても美味しく、思わず顔が綻ぶ…。
「おいしい。」
「そりゃよかった。」
「意外です……アカギさん、お料理上手だったんですね。」
「上手くはない……勘。」
「か、勘?!」
「適当に作った。」
「て、適当でこれって……わたし、泣いていい?」
「好みの問題でしょ。オレはyouの作る飯の方が自分のより好きだし。」
「うう……ちくしょう、ナイスフォローありがとうございます。」
「本心だって。」
「あむ……悔しい。けど、美味しいです。」
「ハイハイ……あ、薬何処?水も持って来る。」
「あ、リビングの飾り棚の引き出しです。二番目。」
「分かった。」
また、アカギが立ち上がり、部屋を出て行く。
薬の用意だけなので、薬と水を持って今度はすぐに戻ってきた。
腹八分前で、食べるのを控え、youはやっと薬を飲むこととなった。
「アカギさん。」
「ん?」
「何から何までありがとうございます。」
「いや、飯と薬持ってきただけだし。」
「本当にありがとうございます。」
「・・・どういたしまして。」
「残ったお粥は後で食べたいと思います。」
「そう、じゃぁとりあえず捨てずに台所に置いとくよ。」
「あ、わたし持って行きます!」
「いいから、youは寝とけ。」
「ふぐっ!?」
ぐい、と頭を押されて布団へ押し込まれるyou。
またすぐに盆を置いたアカギが部屋へ戻ってきて、
youの傍に腰を下ろす…かと思いきや、ごくごく普通に同じ布団の中に入ってきた。
「はぁあッ?!な、何してんですかアカギさん!!?」
「何って……添い寝?」
「い、要りません!所望しません!」
「いや、オレがしたいだけだから…。」
「意味が分からない!!」
「youが心配だからだよ……凄く痛そうだったしな…。」
「そ、それは……痛かったけど。」
「心配しなくても何もしないよ……ていうか生理中だし。」
「・・・変態。」
「あらら。」
向かい合わせだった身体を、くるんと反転させてアカギに背を向けたyou。
「you…。」
「・・・。」
「とりあえずオレの腕、枕にしていいよ。」
「結構です。」
「そう怒るなよ……こっちは柄にもなく本気で心配したんだぞ…。」
「うっ……す、すみませんでした…。」
アカギの溜息交じりの言葉に、罪悪感がズシリと圧し掛かり、
youはその申し訳なさから、大人しく彼の言う言葉に従う事にする…。
そうやって渋々だが、頭上に伸びている腕の上に首の隙間をぴたりと嵌めこんだ。
「こっち向かないの?」
「向かない…。」
「まぁいいけど……ある意味こっちの方がいいかもしれないし…。」
「ひぁっ!?」
背を向けるyouを包むようにして、アカギがyouの腹へと腕を伸ばす。
一体何をするのかと焦るyouを尻目に、
「痛いのこのへん?」と、彼女の腹部を優しい手つきで擦るアカギ…。
「生理痛ってお腹暖める方がいいって聞いたことある。」
「うん…いや、そうなんだけど…。」
「擦らなくても当てておけばあったかいんじゃない?」
「いや、でもいいですよ…それに…。」
「それに…?」
言うべきかどうか悩んだが、正しい知識として軽く伝える程度であれば
問題はないだろうと、youはポツリと言葉を漏らした。
「本当に暖めるべきは子宮あたりなんだそうですよ…。」
「・・・。」
「だから、もうちょっと下。」
「you……。」
「はい…?」
「もしかして……誘ってる…?」
「ほらもー!こうなる!!」
正しい知識だろうが何だろうが、問題あったようだ。
「手、動かしたら後頭部ヘディングですからね。」
「…それって動かさなかったらこのままでも良いってコト?」
「・・・。」
「沈黙は肯定、ってことか。」
「だって…正直、自分の手で押さえるより……あったかいんだもん…//」
「あらら。」
「アカギさん…。」
「ん?」
「こ……このまま寝ても怒らない…?」
「いいよ、寝てる間に薬効くんじゃない?」
「うう、ごめんなさい…。」
「ごめんじゃなくて?」
「あ…ありがとう…。」
「どういたしまして。じゃ、おやすみ。」
「おやすみなさい…。」
そう伝えて、目を閉じたものの、
何もかも世話になってしまい、どうにかしてアカギに感謝を伝えておきたかったyou。
うとうとと眠気が襲い来る最中、ただ唯一できたこと…。
腹に手を当てているアカギの手に、そっと自分の手を重ねてみる…。
「…また、可愛い事をする…。」
そう呟いて、ふっと愛おしそうに目を細めると、
アカギはyouの後頭部に口付けを落とすのだった。
勿論、心配するけど
弱っている姿は
嫌いじゃない(寧ろ好き)
(ん……爆睡したかも。)
(・・・。)
(アカギさん…は、まだ寝てる。)
(・・・。)
(ありがとう、アカギさん…本当に辛かったから、すごく嬉しかった。)
(・・・。)
(今度何かお礼しないとね……アカギさんの好きなものでも作ろうかな。それとも何か買ってこようか…。)
(……お礼なんて要らない。ただ、心配だったから心配しただけだし。)
(うわぁ!?お、起きてたんですかっ?!!)
(今起きた。)
(そ、そうですか…。)
(まぁ、そういうことだから。youが早く辛いのから解放されれば、それでいいと思ってる。)
(アカギさん…。)
(まぁ、それでも何かお礼してくれるっていうなら、youからキスでもしてもらおうかな。)
(しっ、しません!//)
(ケチ。)
(け…ケチって…。)
(まぁ、いいけど(さっき寝てる間にしたし))
(・・・?)
(……ふぁ、眠い。もうちょっと寝ようよ。)
(わっ!?)
(おやすみ。)
(もう……勝手なんだから…。)
(フフ…。)
words from:yu-a
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