step3_(日常編:アカギ)
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「アカギさん、こんなトコで寝たら風邪引きますよ。」
思えばそれがきっかけだった。
アカギさんとわたし10
今日も今日とて、夕刻過ぎにyouの家に上がり込み、
夕飯を共にして、TVを見て、居間で寛いでいたアカギ。
youが食器を洗い、片付けている間
ヒマだったのか、うとうとしていたらしい。
片付けを終えて戻ってきたyouに揺り動かされる…。
「ん…。」
「ご自宅のお布団でさっさと寝やがれ、です。」
「you…冷たい。」
「だってウチには来客用のお布団セット無いんですもん…。」
「youのベッドでいいじゃん。」
「わたしが寝れなくなります!」
「一緒に寝ればいい…。」
「よくない。」
スパッとそう言い放ち、youは「もー!」と、未だ覚醒しないアカギに膨れっ面を向ける。
「う…ん、タオルケットとかでいいよ……10分くらいしたら目ぇ覚めるだろうし…。」
「そんなんじゃ風邪引きますって…。」
「大丈夫ダイジョウブ…。」
「もーー!!分かりました!10分ですよ?10分経ったら起こしますからね?」
「ああ。」
「じゃぁ、風邪引かないように…10分だけベッド貸しますから…ほら、立ってください!」
「んー…。」
youに腕を持ち上げられ、目をしぱしぱさせながら起き上がるアカギ…。
youは仕方なさそうに溜息を吐いて、自室のドアを開けると
アカギを部屋の中に入れ、ベッドで寝るようにとその背中を押した。
「悪い…借りる。」
「悪いと思ってないくせに……はいはい、おやすみなさい。」
「……いい匂い。youの匂いがする。」
「へ、変なこと言わないでください!//」
「勃ちそう。」
「・・・。」
「冗談だよ……その逆。よく眠れそう。」
「今度変な事言ったら追い出しますからね。」
「ゴメンごめん、おやすみ。」
「おやすみなさい。」
youの言葉で眠りに誘われたのか、すっと目を閉じたアカギ。
そのまま返事は無くなり、本気で寝に入ったのだと分かった。
youはふぅ、と息を吐いて部屋を出て
この時間に風呂にでも入ろうと、バスルームへと向かった。
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そして、入浴を終えて居間に戻ってきた頃にはアカギが寝入って30分近くが経過していた。
「もう、流石に起こしてもいいよね。」
それだけ寝れば十分目覚められるだろう、と…youは自室へ入り、
未だ自分のベッドで気持ち良さそうに眠るアカギを揺り起こす。
「アカギさん、もう30分です。」
「ぅ…。」
「起きてください。」
「ん…。」
「わたし、もう寝るんでベッド空けてください。」
「……はよ。」
「はい、おはようございます。」
「もうあと5分…。」
「何ベタな台詞言ってるんですか…約束の時間20分オーバーですよ。」
「ん…もうそんな経ったんだ…。」
「はい、わたしお風呂入ってきたんで…。」
「そうなの?」
「ええ。」
「・・・どれどれ。」
「え……な…わっ?!//」
腕をぐいっと掴まれたかと思えば、
屈んでアカギを見下ろしていたyouの身体がぐらりと傾いて、ベッドの中に引きずり込まれる。
長身のアカギにぎゅっと抱きしめられ、youの体はすっぽりと腕の中に収まった。
そのまま顔を近付けられると、くんくんと匂いを嗅がれ…。
「ホント、風呂上りのいいにおい。」
「か、嗅がないでください…//」
「あー…また眠くなった。」
「ちょっと!約束が違…っ!」
「今日だけ、ね?」
「だって、そうやっていっつも…!!」
「いつもは確信犯だけど、今日は本当に眠い。」
「え…今何か凄い暴露が聞こえた…。」
「おやすみ…you。」
「ちょっとー!」
「youの匂い、凄く眠くなるから仕方ない。」
「うぅー!//」
本心かどうかは分からないが、心地好い匂いだと言われて悪い気はしないワケで…。
結局、youはそのまま寝入るアカギをそれ以上拒否することができず、
今日も今日とて許容してしまうのであった…。
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それから数日が過ぎ…。
「買い物ですか?」
「ああ。ちょっと付き合ってくれない?」
「いいですよ、今日は特に何の用事もないですし。何買いに行くんですか?」
「ちょっと、な。」
フフ…と、含み笑いをして先を歩き出すアカギ。
youは「何なの??」と、頭に疑問符を浮かべながら、彼の後を追った。
そして、辿り着いたのは…。
「お布団…ですか……???」
「ああ。」
「何でまた…。」
「youんトコ、まだ収納スペースある?」
「嫌な予感。一応聞きますが何を収納するスペースですか?」
「布団。」
「・・・何故。」
買いに来たのはアナタでしょう…と、呆れ顔で細めた目をアカギに向けるyou。
するとアカギは、その「何故」を解き始める…。
「youが来客用の布団が無いって言ってたから。今更な気もするけど。」
「だからって何で買わすんですかッツ!!要りませんよ!買いませんよ!!」
「ふーん……じゃぁ、友達…美心とか泊まりに来た時、近所だからって追い返すのか?」
「ぐっはぁ!!」
「だろ?好きなの選んでよ。金はオレが払うから。」
「だ、だったら何でアカギさんがお金払うんですか!?」
「え、だってオレが一番使うじゃん。」
「そうなんですけど!そうじゃないッ…!」
つまるところ、(主に)アカギの為に来客用の布団を用意しろ…ということで…。
理不尽な依頼に当然だが怒るyou。
「どうしてわたしが主にアカギさんの為にお布団一式買い揃えなきゃいけないんですかってコトですよ!」
「じゃぁ同じベッドで寝ていい?」
「ダメですけど?!」
「じゃぁ、布団置いといてよ。」
「うー……でも、やっぱ置きません!」
「そう……そんなにオレに来てほしくないんだ…?」
「え…それ大分前から訴えて…。」
「あ"?」
「い、いえ……何でもないです…。」
ドスの利いた声で聞き返され、思わず口篭ったのは一瞬のことで…。
何故か次の瞬間、急にアカギはらしくないくらい、しおらしく呟く。
打って変わって真逆の態度に、youの目は思わず丸くなった。
「そうか……youはオレの事が嫌いなんだな…。」
「えぇっ?!」
「中々御互い時間が合わないから、唯一youに会える、オレにとって大事な時間だったんだけど…。」
「っ…!」
「youには迷惑だったんだな。」
「あ、アカギさ…。」
「悪かったな、もう二度と来ない。」
「そ、そんなこと……ないですっ!!」
普段、自分に見せる甘い態度とは全く別の…。
冷めた言葉と、少しの憂いを含んだ冷たい瞳にyouは動揺し、
困ったように眉を寄せてアカギの服の裾を掴んだ…。
「こ、困るけど……確かに困るけど……っ、でも迷惑なんかじゃ…。」
「…でも、困るんだろ。」
「けど、わたしも……アカギさんとお話するの、好きです…!」
「・・・。」
「いつもわたしばっかり話すから……あ、アカギさんがどう思ってるか分からないけど……何でもない話も、わたしは楽しいです…。」
「…オレもだよ。」
「アカギさんといる時間、わたしも……すごく大事、です…。」
「……じゃぁ、youはオレにどうしてほしいの。」
「あ……遊びに来て……ほしい、です……//」
「…分かった。」
「ごめんなさい…。」
「…泣くなよ……こんなコトで、こんなトコロで…。」
「な、泣いてないです…っ!」
とは言うものの、アカギの纏う冷ややかな温度が中和されたことで安心したのか、
はたまた、アカギが自分との時間をそんなにも大事に思っていてくれたことが嬉しかったのか…。
あるいはその両方なのか、自分でも分からない困惑した感情に酷く動揺したyou。
じわりと目頭が熱くなってしまったのは事実。
ブンブンと首を横に振って、気を取り直す…。
「アカギさん、今日は夜は出掛けられますか?」
「いや、今日はyouと出掛けるって決めてたから、何処へも行かない。」
「じゃぁ、ウチでご飯食べますよね…何か食べたいものありますか?」
「ない。任せる。」
「じゃぁ、この後スーパー行っていいです?」
「ああ。」
傍から見るとどこからどう見ても馬鹿ップルの痴話喧嘩→仲直りという図式にしか見えないのだが、
気付かぬのは当事者達のみ、という状況…。
周囲の何とも言えない嫉妬のような、微笑ましいものを見るような視線にはまるで気付かず、
youはアカギに背を向けて「行きましょう!」と爽やかに言い放った。
のだが…。
「何処行くの。」
「す……………スーパー…。」
「その前に、買うものあるでしょ。」
「・・・ナイ。」
「ある。来てほしいんだろ、オレに。」
「ぅ……う…。」
「じゃぁ……買わなきゃだろ……布団をさ。」
「わぁあああん!!!」
服の首根っこ部分を捕まれ、そのまま布団のセットのある場所へと引き摺られて行くyou。
結局、しおらしい言葉も、冷たい態度も罠だったと…。
もう二度と騙されるものかと、半泣きで一人一日が終わるまで恨みがましくアカギを見つめ続けたyouであった…。
でも「大事な時間」ってのは
本当なんだが…。
まぁ、言わないけど。
(この色で良かったの?…もっと可愛い色で良かったんじゃない?黄色とかピンクとか。)
(うーん…でも、わたしが使う分じゃないし…それに…。)
(それに…?)
(ピンクの布団で寝てるアカギさんは何かちょっと…。)
(ああ、ね……。)
(冬場は寒いかもしれないですが、そこまで流石に揃えませんから、自分の家から毛布持って来てくださいよ。)
(ああ、分かった…youと一緒に寝る。)
(何が分かったのか分からない!!!)
(暖を取るハナシ?)
(うん、だから毛布を持ってきて。)
(……あ、今日カレー食いたい。)
(誤魔化すなーー!!)
words from:yu-a
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