step3_(日常編:アカギ)
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気付けばもう随分長く
一緒にいるのかもしれない
アカギさんとわたし8
「you、いる?」
「あ…アカギさん……いらっしゃい。珍しいですね、まだ日が昇ってるのに。」
その日、珍しく夜更けでない時間帯にyouの家を訪れたアカギ。
いつものように部屋へ迎えてもらい、定位置に着席する。
そして、ふいに気付いた甘い匂い。
「何か甘い匂いがするね。」
「ん、さっきまでお菓子作ってたんですよ。今はその後片付け中ー。」
「ヘェ…。」
シンクで菓子作りの道具一式を洗っている様子のyouに、
アカギは何気無く「何故?」を尋ねた。
「何でまた急に?菓子作り、youの趣味だっけ?」
「いいえ全然!」
「じゃ、何で?」
「んー、知り合いに頼まれて?」
「…知り合いって?」
「アカギさんは知らないかな、多分……。」
「誰…。」
「・・・。」
「ねぇ、誰?」
「え…えっと…。」
何だか雲行きが怪しくなってきたぞと、youは思う…というより寧ろ確信した。
アカギの表情も声色も最初に着席してから何ら変化は無いのに、纏うオーラが全てを物語っていた。
不機嫌、不愉快という感情を…。
何となく言い辛くなり、言葉を詰まらせると、答えの出ないyouの元へアカギがやって来た。
生の生地に塗れたボウルを洗う最中のyouの背後にピッタリと立ったアカギ…。
そのまま硬直した彼女の腹に腕を伸ばし、後ろから抱き締めるようにして耳元で囁く…否、尋問する。
「ソイツのこと多分知らないけど、知りたい。教えて。」
「っ…!ち、近…//」
「you……言っとくけど誤魔化しや嘘は通用しないから。」
「そ、ソノヨウデスネ。」
それはつまり、あからさまな「女の子の友達だよ」や「お世話になってる方です」という答えでは通用せず、
ハッキリと、個人名で名を告げ、アカギに男か女かを特定させろというもの。
別に言っても構わないが、家族でも恋人でも無い相手にこうもプライベートに干渉されるのはあまり気持ちのいいものではない。
故に、youは抱き締められていることに少し顔を赤らめながらも、不機嫌そうな顔をしてアカギの求める答えを告げた。
「臨時お手伝い先の…村上主任含め、他十名程のスタッフさん達です。」
「村上…知らねぇな……男?」
「男性ですが?」
「・・・ふーーーん。」
「・・・。」
至近距離でバチバチと視線で火花を散らす2人…。
別に食って掛かる気は無かったものの、何故か退けない感じがして、
youは思わずアカギの怒気が上がりそうな言葉を放ってしまう…。
「な、何でわたしのプライベートな交友関係をアカギさんに話さないといけないんですか?」
「!」
「しかもこんな……尋問みたいに…っ!」
「クク…。」
「な、何がおかしいんです?」
「何度言ったら分かるんだ…ってハナシだよ。」
「え…?」
「話さないといけない理由?ねぇな、確かに……だが、オレはいつも言ってるだろ……アンタが好きだって。」
「っ…//」
「アンタが話さないといけない理由はないが……オレが聞きたい理由は…分かれよ、流石に。」
「それは……ひぁっ!//」
先程まで無感情だった声色も、今はすぐに分かるくらいに不機嫌そうなものになっていた。
そんな怒りゲージが上昇したアカギが次に取った行動はというと、
腹の前で組んでいた手を離し、youの着ているインナーの中に手を差し入れるという行為…。
腰から腹へと手を滑らせれば、直に触れている所為でyouから甘い声が飛び出す…。
「ゃ…っ…!//」
「…you…。」
「~~っ!//」
フッと耳に息を吹き掛ければ、とうとう我慢できなくなったyouはその場に崩れ落ちる。
共にしゃがみ込んだアカギは、彼女の反応に機嫌を良くしたのか
口元に笑みを浮かべて未だ、手を差し入れ、動かしていた。
「やめ…っ、あかぎさ……!//」
「youの肌、凄い滑らか。」
「っ……!!!//」
「このまま………全部オレのもんにしたくなる……。」
「!!!」
「けど……。」
そう言って、反意語を付けたかと思うや否やyouの服から離されるアカギの手。
そのまま無理矢理押し倒されたり(あるいは流されたり)するかとばかり思っていたyouは、
驚きと先程の羞恥心から浮かんだ涙目のままで、首だけ横に動かしてアカギの顔を見た。
「どうせオレの分も、他の福本荘の奴らの分も作ってんだろ?」
「え・・・。」
「違うのか?」
「う…ううん……作ってる…。」
「そんな事だろうと思った。」
「何で…?」
「何で?野暮な事聞くなよ……オレがどんだけお前と一緒にいると思ってんだ。すぐに分かる……アンタの考えてる事なんて。」
「アカギさ…。」
「悪かったな………怖がらせて。」
「っ~~!!!//」
今までの怒気は何処へやら…。
嫉妬心を見せるところからずっと演技だったのだと示す言葉に、
気付けばyouは安堵とアカギからの思い掛けない心拍数の上がるような言葉に困惑してしまい、ボロボロと涙を零していた。
「あらら…。」
「すご……こっ、怖かっ……!//」
「ごめん。」
「でも、嬉し……アカギさん…が、想ってくれる言葉、が…嬉しくて…。」
「・・・ごめん。」
「ごめんなさ…いっ!//」
「何でyouが謝るんだ……怖がらせたのはオレだろ?」
「違う…っ!」
いつの間にか向き合っていた2人。
youの涙を拭おうと手を伸ばしたアカギだったが、突然、正面から抱きつかれて目を丸くする…。
未だザァザァと流れる水の音が、正面に見える手拭用のタオルの上から聞こえる。
首根っこに抱きつかれ、顔は見えないままだが、youの震えた声が未だ泣いていることを示唆していた。
「アカギさん、本気で怒ってた。冗談じゃなくて…っ…。」
「・・・。」
「止めなかったら…わたしが…泣くからっ……そしたらアカギさん、何処か行っちゃうでしょ…?!」
「おいおい、支離滅裂だぞ…。」
「っく…。」
「…つまり、オレがあそこで自分を制さずお前を抱いてたら、お前が泣いて、自責の念に耐えかねてオレが姿を消すと。」
「っ・・。」
コクンと、腕の中で小さく頷いたyou。
それを見たアカギはやれやれと…軽く息を吐き「半分正解、半分不正解」と彼女の頭を撫でた。
「一つ違う。オレは自責の念に耐えかねる…なんてヤワな人間じゃぁねぇ。」
「・・・。」
「そこは……「アンタに嫌われるのが怖くて、逃げる」んだ。我ながら、どんだけ惚れてんだって感じだけどよ。」
「・・///」
「でも……そこまででもよく分かったな……割と、冗談ぽくできたかと思ってたんだけどな。」
「分かるよ……。」
そっと、シャツに埋めていた顔を少しだけ横に向けてアカギに伝わるようにyouは声を出す。
「アカギさんのこと……少しだけど分かるよ……。」
「!」
「どっ……どれだけアカギさんと一緒にいると思って……る、の…っ!//」
「・・・(やっぱ襲っとくべきだったか…。)」
「だから……ごめんなさい……わたし…す、素直に言えばよかった。」
「・・・。」
「アカギさんと喧嘩、したくない………。」
「…you…。」
「…………負けるし。」
「・・・。」
「……いなくならないで…。」
「……you……顔見て言ってよ。」
「・・・ムリです…。」
声を通すために横に向けていた顔を再び戻し、アカギの胸に埋める。
youの顔が今赤いのか、ただ涙で酷いだけなのかは分からない。
そして、それを心から見たいはずなのに、そうしない理由…。
「・・・分かったよ。」
まだまだ、答えは出さずに傍にいたいのだと、
互いにこの駆け引きを続行させることを選んだ…。
次はオレだけのために
何か作って と
悪漢は笑った
(で、何を作ったの?)
(クッキーです、量あった方がいいかなって。)
(ふーん。)
(はい、これはアカギさんの分です。)
(ありがと。)
(今食べるなら、紅茶かコーヒーでも淹れましょうか?)
(・・・。)
(じゃぁ、コーヒーもらっていい?)
(はい!)
(出来たて食べれるのって、割とオレだけの特権な気がしない?)
(そう…かもですね?)
(何で?何その反応。)
(いや、その…甘い匂いが外まで漏れていたようで…先程カイジくんと零くんがですね…。)
(・・・。)
(その時はまだ作りかけだったので、出来上がってすぐ持って行ってあげたんです…。)
(・・・。)
(あの…アカギさん?)
(you、はい。あーん。)
(え?あ、ありがとうございます。あー。)
(食ったな…。)
(ん?)
(じゃぁ、悪いがソイツをもらおうか…!!)
(~~~!!?!!?//)
(それならアイツらにできないことを、オレはやるだけだッ…!!)
words from:yu-a
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