step1_(ご挨拶編)
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「昨日、お隣の202号に越してきました、これからよろしくお願いします。」
「はあ…。」
こうして
男ばっかりでざわざわしていた福本荘に
初めての女性がやってきた。
201号の赤木しげるさん。
「えーと、あ、私…youって言います!」
「……アカギ…赤木しげる。」
もう昼に差しかかろうとする時刻だというのに、
アカギは眠そうな表情でポリポリと頭を掻いた。
プロ雀士顔負けの、闇の麻雀王…天才赤木しげる…。
彼は今日の午前5時過ぎまで博打をしており、先ほど帰宅して床に就いたところだったのだ。
youはその表情に戸惑いつつも、とりあえず自己紹介を始める…。
「アカギさんですか……あ、これお近づきのしるし……大した物じゃないですけど…。」
「何…?」
「えと……お菓子、シュークリームです…もしかして甘いものNGですか?」
「いや…別に大丈夫だけど……。」
「それはよかったです!」
自分のチョイスした土産が受け入れてもらえたことに対し、嬉しそうに微笑むyou。
アカギは一瞬鳩が豆鉄砲を食らったような顔で彼女を見たが、次の瞬間には…
「(……ヘェ、これはこれは…うん、甘そうだ。)」
土産の菓子ではなくyouを味定めしていた…。
そしてそれと同時にアカギの眠気は吹き飛んだよう…。
後ろを向いて、一度ニヤリと口角を上げてyouを勧誘する…。
「オレ、今から暇なんだよね……暇ならつきあってよ。」
「え?」
「ホラ、何してんの…早く。」
youの返事を聞かないままに、自分の部屋にスタスタ戻っていくアカギ…。
天上天下唯我独尊男。
何様俺様赤木様。
youは彼をその類の人間だと認識した。
「you。」
「はっ、はひっ!!……(って、もう呼び捨てかい!!)
と、とりあえず……お邪魔します…。」
呼ばれるままに靴を脱いで、アカギの部屋に上がるyou。
以外にも部屋は片付けられており(というか物が無い)
その殺風景とも言える部屋をキョロキョロと見回していると、
アカギが話しかけてきた。
「何か飲むか?」
「あ、いえ!!お構いなく!!」
「って言っても何も置いてないんだよな……日本酒でいいか?」
「謹んで遠慮させていただきます。」
サッと手を顔の前に出し、NOサインを出すyou。
「だよな」と笑いつつ、アカギは何やら戸棚からポットや茶葉をガサガサと漁っている様子。
どうにも馴れていないようなその姿にyouは黙っていられずアカギの横に立つ…。
「…どうした?座ってろよ。」
「私、やってもいいですか?」
「………たのむ。」
お茶の用意をyouに任せ、アカギは居間に座って待っていることにした。
数分後、どこを探して見つけたのか…ちゃんとした御盆の上に
お茶と、持参したお菓子を乗せてyouがやって来て、
テーブル越にアカギの向かいに座る…。
「ハイ」と言ってお茶をアカギに手渡す。
「……悪いな、アンタが客なのに。」
「別にいいですよ、自分で買ったシュークリームも食べれますし!」
「ハハ……。」
微かに笑って、お茶を一口飲んだ。
久しぶりに飲んだ緑茶の、どこか懐かしいような柔らかな渋みが口に広がって
アカギは思わず感嘆の声を漏らした。
「美味い…。」
「ん?」
「いや、お茶が……美味かった。」
「ふふ…それは良かったです。でも、洋菓子に合うかな…。」
「腹に収まれば全部同じだろ。」
「そ…そうですけど…やっぱり洋菓子には紅茶とか珈琲がですね…。」
「合うってか?」
「そりゃ…まぁ……。」
「そうか。」
素直に頷き、アカギはyouの目をじっと見つめる。
始めは気にしないでいたが、あまりにも見られている為、
シュークリームを食べるのを一端止めて、アカギに問いかけてみた…。
「あの……私、何か変ですか?」
「いや、甘くて美味そうだなぁと思って…(youが。)」
「はい!勿論甘くて美味しいですよ!!」
「フフ…アンタ甘いものいっぱい食ってそうだもんな……(そうか……だろうな…。)」
「はい?」
「あ、しまった…つい本音と建前が逆になってしまった…。」
「・・・。」
アカギの台詞に身の危険を感じたyou。
無言でお茶を啜り、残りのシュークリームを猛スピードで食べ終えて自分の分の食器を片付ける…。
食器をシンクで洗い終わったら、そのまま玄関へ向かい……靴を履いた。
「何、もう帰んの?これからじゃないの?」
「おじゃましましたっ!!!」
バターーン!と勢い良くドアが閉まり、バタバタと廊下を駆ける足音が聞こえた。
アカギはというと、その場にゴロリと寝転がり煙草に手を伸ばす。
火を点けて一息吐いて、一瞬前のyouの姿を思い出し……
笑った。
「ククク……耳まで真っ赤なんて、本当、悦ばせてくれそうだよな。」
言い知れぬ嫌な予感に、自室でゾクリと身震いするyouなのであった…。
201号は狼の巣!
(よ、you。)
(あああアカギさんっ?!!今何時だと思ってるんですか!)
(2時だな。夜の。)
(ていうか、何で私の部屋にいるんですか!!)
(窓、開いてたから。ちょっと夜這いでもと思って。)
(ちょっとで済ますな!ていうか不法侵入ですよ!)
(ん…?本当は来てほしかったから開けてたんだろ?)
(ちがーーーうっ!!)
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