step3_(日常編:アカギ)
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「一時の恥」という言葉がある
一時で済まされない場合はどうすればいいのか
アカギさんとわたし4
「あ、アカギさんだ。」
「よぉ。」
「今日は遅かったんですね、でもよかった…今ちょうど一人で食べようと思ってたとこだったから。」
「そうか、じゃあちょうど良かったな。」
「ですね!」
「ところで…。」
「え?」
「貰ったんだ、南郷さんに……一緒に飲まないか?」
そう言ってアカギが差し出した紙袋を受け取り、中身を確認すれば、そこに入っていたのは大量の酒であった。
種類も様々でビールは勿論、梅酒やカシスソーダ、レモン酎ハイ等…色々。
しかしながら、飲めないワケではないにしろ、あまり大量に酒は摂取しないyou。
しかもアカギと2人で飲むと言う事であれば、キャパシティを忘れて暴飲はできない。
(もとよりする気はないのだが…)
「あの…私…お酒はちょっと。」
「1本くらい付き合えよ…酒、大丈夫なんだろ?」
「はぁ…まぁ…飲めないわけではないですが。」
「明日出掛ける?」
「いえ、明日はお休みなので…。」
「じゃ、決まりだな。」
フッと笑みを零すアカギの表情には特に何の裏もなさそうで、
youは安心したのか、フゥ…と軽く息を吐いてアカギの分の食事の用意を始めるのだった。
準備はそう時間はかからず、すぐに箸や皿を用意し終え、
小さなテーブルを前にして座り「いただきます」と手を合わせた。
「you、どれがいい?」
「どれでもいいですけど…。」
「じゃぁ……甘いの処理して。」
アカギはそう言うと、フルーツ系の缶酎ハイを一本youに渡す。
甘いのが苦手というわけではないのだろうが、どちらかといえばビール等甘くないアルコール類が好きなのだろうなと、
youはアカギの考えを予想して、クスっと笑う。
彼女の軽い笑みに一瞬は不思議そうな顔を浮かべたが、
とりあえず早く一緒に飲みたかったので、アカギはプルタブを開けて乾杯を促した。
「乾杯。」
「お疲れ様です。」
缶と缶を合わせてコツンと鳴らし、飲み口に唇を付ける。
youは一口、アカギは三口程喉に流し込み、テーブルに缶を置いた…。
「甘いですね。」
「だろうな。」
「アカギさんは甘いのダメですか?」
「いや…そういうわけじゃないさ……ただ、甘い酒はちょっと。」
「そんな感じですね。」
「ビールとかの方がいい。」
手に持った缶ビールのラベルを見ながら、アカギはそう呟く。
そんな彼をじっと見ながら、youは何の気なしに思ったことを言葉に出した。
「アカギさんはお酒強そうですね。」
「そうか?よく分からないな……気分良くはなるけど、理性失ったことはないから。」
「普段どれくらい飲むんですか?」
「さぁ、日によって違うから。ビール一杯のときもあれば、日本酒一本空けたりの時もあるし…。」
「それでも酔わないんですか?」
「そうみたいだな。」
「ザルですか。」
「フフ……さぁ、どうだろうね。」
不敵に笑いながら、ビールを口に含む。
それからも食事をしながら、会話しながら、アカギは缶を次々に空けていく。
普段飲まないyouも、ペースはアカギ程ではないにしろ、少しずつ飲む量が増えていった。
そして・・・
「アカギさん…眠いんですけど。」
「あらら。」
アルコールには利尿作用があるのは周知の事実で、
youも先程まで食事の片付けの合間を使って頻繁にトイレへ行っていた。
その殆どが抜け切った後、次に彼女を襲ったのは急激な眠気。
テーブルはアカギが飲む酒だけで、食器等は殆ど片付けを済ませている安心感もあるのか、
youはそのまま寝入りそうなほど虚ろな目をしている。
「酒飲むとyouは眠くなるんだな。」
「はい…。」
「笑い上戸や怒り上戸じゃなくてよかったな。」
「はい。」
「でも泣き上戸なら見てみたかったよ。」
「はい。」
「キス魔もいいね。」
「はい。」
「オレと付き合ってよ?」
「あ、それはムリですぅ。」
にへら、と酔った顔で微笑み、ナチュラルにアカギの誘導尋問(?)を断るyou。
アカギが盛大に舌打ちしたのは言うまでもないだろう。
少しだけ嫌な気分になったアカギは残っていたビールを飲み干し、空になった空き缶を手に持って立ち上がった。
キッチンにある缶専用のゴミ袋にそれを捨てようと思ったがために。
しかしながら、一歩踏み出したところで、自分の足が動きにくいことに気付く。
不思議に思って足元を見れば、youが自分の服の下部を引っ張っていた。
「どうした、you…?」
「アカギさん…。」
「?」
何か言いたげに自分を見上げてくる彼女を見て、アカギは缶を捨てに行くのを中断。
元あったテーブルに缶を置き、その場にしゃがみ込んだ。
その瞬間、アカギの瞳は大きく見開く。
理由としてはいきなり伸びてきた細い両腕が自分の首根っこにしがみついてきたから。
*。゜.*。゜.*。゜.*
「え…you?」
「アカギさん~…。」
「どうしたんだ、いきなり…。」
「アカギさんー!!」
「??!!」
ちょっとやそっとのことでは彼は驚嘆の顔を浮かべない。
しかしながら、この状況には流石に目を丸くして状況をすんなり理解できずに困惑の色を浮かべていた。
そんなアカギの心境を知ってか知らずか、youは更に身体を密着させ、アカギの胸に顔を埋める…。
「(おいおい…。)」
「アカギさん…あったかい…。」
「そうか。」
「とても眠いんです…。」
「はぁ…。」
「おやすみなさいです。」
「おい、コラ!寝るな!」
抱きついたまま眠りに就こうとするyouにひとまずストップを掛け、
嬉しくは思えど、色々と状況的に困るのでアカギは彼女の身体を引き剥がしにかかる。
が。
「おい、you、ベッドまで運んでやるから…腕離せ。」
「や!!」
「…や…て…あのな…流石のオレにも理性の限界はあるんだぞ。」
「ぃゃだぁ~!」
「だから離……ぐっ…か…固えェ!」
彼女のどこに一体こんな力が宿っているのかと思うほどの力。
大の男のアカギの力でもっても、youの腕は解けなかった。
諦めて溜息を吐き、アカギは「分かった」と彼女に告げる。
「you、解かなくていいから……とりあえず移動しよう、ここで寝ると風邪を引くかもしれないだろ?」
「…ん。」
強制的に引き剥がされることがなくなったのに安心したのか、
youはゆっくり頷いてアカギの首に回した腕を解いた。
そして、解きはしたがすぐにアカギの腰に腕を回してぴたりとくっつく。
「you……お前…。」
「んー。」
「(抱きつき魔だったのか…。)」
「んー??」
腰にしがみ付くyouを見下ろし、はぁっと大きな溜息を吐くアカギ…。
それから彼女の腕に手を添えて再び身体から離した。
不満そうな表情を浮かべ、抱きつこうとするyouを制してアカギはすこし屈む。
何事かとyouが首を傾げれば、ふわりと身体が浮く感覚。
「わ、ぁっ!」
「こうでもしないと…動けねぇだろ。」
「ん…。」
所謂…お姫様抱っこで横抱きにされ、アカギと同じくらいの位置に頭が並ぶ。
youはアカギをじーっと見つめた後、やっぱりその首根っこに腕を絡ませた。
「普段こんなに甘えられたら……ヤバいだろうな。」
「んー。」
「・・・絶対ないか。」
「ん。」
フフ…と含み笑いをして、アカギはyouの寝室のドアを開ける。
ベッドに歩いて行き、その上に彼女の身体を降ろした。
「ほら、ここで寝るんだ。」
「んー。」
「・・・離せ、you…。」
「ゃ。」
小さく否定の意を示し、youは一層強くアカギにしがみ付く。
小さな子どもに駄々をこねられ、困っているようなこの状況。
アカギは複雑そうな顔で溜息混じりに言葉を漏らす。
「離れないと襲うぞ。」
「いや。」
「だったら離せ。」
「いやっ!」
「you…。」
「んー!!アカギさんんぅーっ!!」
「おい…コラ、何して…!!」
アカギの首根っこに抱きついたまま、youがジタバタ暴れ始める…。
屈んだままの体勢の足にyouの脚が当たり、アカギはバランスを崩した。
重心がグラついた身体を支えきれず、アカギはyouのベッドに倒れこむ…。
「!!」
「グフッ!」
「あ……悪い。」
「~~!!」
自業自得とはいえ、アカギのボディプレスを食らう羽目になったyou。
アカギはすぐに横に退いたものの、一瞬息が止まったのは間違いないだろう。
「は…ぁっ!」
「大丈夫か?」
「はー…ふー………はい。」
「そうか…。」
「アカギさん。」
「ん?」
「抱っこ。」
「は…?」
「ぎゅーってして。」
「オレが?」
「ん。」
「いいのか?」
「んぅ~!して!」
「…ッ…お前な……。」
酒が入っているとはいえ、好きな相手に抱きつかれるわ、ベッドに倒れこむわ
あまつさえ、いつもはこちらが言っても拒否されるような言葉を逆に言われるわ…もう散々だ。
いつ理性が切れて襲い掛かってしまうかも分からない状況であるにも関わらず、
youは無防備にもアカギにぎゅうっと抱きつくのだった…。
「何考えてんだか……。」
「あったかーい…。」
「期待したくなるだろ……。」
「ん…-。」
「生殺しってヤツか………狂気の沙汰だな。」
『据え膳食わぬは男の恥』という言葉ふ不意に思い出すが、
「好き」故に敢えて恥を甘んじて受けようとする、らしくない自分が滑稽で、思わず笑いが込み上げた。
「おやすみ。」
そう呟いた言葉は彼女が寝入ってしまった部屋の静寂さに溶けた。
そして次の日…。
アカギには一日を耐え忍んだ褒美が。
youには後悔と羞恥という名の地獄がもたらされる…。
先に目を覚ましたのはyou。
うっすら目を開ければ、目の前には見知ったシャツの色が広がっていた。
動こうと思い、足や手に力を入れれば、足は動かず、手は抱きとめている物の間を滑った。
否、物ではない。
者だ。
そう思った瞬間、youはサーっと血の気が引くのを感じた。
自分が今何処にどういう状態でいるのか、悟ったのだ。
正式には思い出した。
「(あ……わ、わたし…昨日…アカギさんとお酒飲んで…。)」
いつもより飲みすぎたことは分かっていた。
だからこそ頻繁にトイレに行く羽目になっていたし、眠たくなったので早く食器などを片付けていた。
アカギが帰ってからすぐ眠りに就けるように。
しかし、それは失敗したのだ。
なぜならばここにアカギに抱きついて眠っているのだから。
じわりと、嫌な汗が額に浮かび、もう1つ嫌なことを思い出す。
酔った自分がアカギに何度も抱きついた事実を。
思い出した瞬間に泣きそうになったが、そういうわけにもいかず、
どうすべきかアカギに抱きつかれたまま、一人思考に耽っていると、急に背中に回された腕に力が込められた。
隙間無くぎゅっと抱きしめられ、慌てるyouの頭上からアカギの声が響く。
「おはよう、you。」
「お……おはようございま…す。」
「最高の寝覚めだな。」
「さ…左様でございますか…。」
「その様子だと……しっかり記憶は残ってるみたいだな。」
「あ……う…。」
ある意味で墓穴というのだろうか…。
もし記憶が無ければ、アカギが抱きついている時点で何らかの抵抗を見せるはずだからだろう。
アカギは抱きしめている腕をゆるりと離し、横になったままyouと向かい合い、ニヤリと妖艶な笑みを浮かべる…。
真っ赤になって俯きがかるyouの頬を両手でがっちり包み込み、強制的に視線を合わせた。
「何度もオレの身体に縋り付いてくるyou……かなりヨかったよ。」
「ちょっと!変な言い方しないで下さい!//」
「どうして?本当のことだろう。」
「ニュアンスが全然違いますっ!//」
「そう?いいじゃない、別に……それにもう遅いだろ?」
「うわぁああ!後悔先に立たずって本当ですね!凄い言だなぁ、もうっ!泣くぞ!//」
「フフ・・・。」
半泣きでアカギを見つめていたyouだったが、
アカギが何か思いついたような顔で「あ!」と声を漏らしたので、思わず驚きの目を向けた。
「そうだ・・・you。」
「は、い?」
「オレ以外と酒、飲んじゃダメだから。」
「もう誰とも飲むかー!!バカーーッツ!!//」
羞恥心で泣き出したyouを包み込むように抱きしめたアカギの表情はそれはそれは嬉しそうなものだった。
独り占め
したくなるだろ?
(you、今日は休みだよな?)
(え…あ、はい…。)
(予定は?)
(特にはないですけど…。)
(じゃぁ、このままベッドでゴロゴロする?)
(しませんよ、ちゃんと起きます!)
(じゃぁさ、デートしようよ。)
(でっ……デート?!)
(そ。デート。)
(ど…何処にですか?)
(何処に行きたい?)
(う~ん…急に言われてもなぁ……アカギさんは?)
(……雀荘…?)
(お一人でどうぞ。)
(つれないな、you……昨日はあんなにオレに甘えてきたのに…。)
(うわぁああん!もう許してくださいぃい!!///)
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*