step3_(日常編:アカギ)
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「買い物に付き合ってくれ。」
そう、アカギに言われたのは数時間前のことで。
誘われたyouは正直戸惑っていた。
アカギさんとわたし3
というのも、それは彼の目的地…いわば2人の現在地に違和感を抱いているから…。
何故なら、youのいる場所、アカギに誘われたその場所は
およそ彼のイメージとかけ離れた生活雑貨店だった故、だ。
あまりの疑問に沈黙を保つことができず、youはついに食器を手にとって物色しているアカギに問いかける。
「あ…アカギさん!」
「…なに?」
「えっと、今日は何でまたこんなトコに?」
「別に…ただ買いたい物を思いついたから。」
「思いつきで誘われたんですか、私は…。」
「フフ…いいじゃない「暇してたからいいですよ」って言ったのはyouでしょ。」
「それはそうですけど…。」
そこはかとなく嬉しそうに雑貨を見て回るアカギに、それ以上言及する気にはなれず
youは怒りもそこそこに抑えて、とりあえず自分も買い物を楽しむことにした。
しばらく、色々なカラーや柄で並べられた食器やマグカップを見ていると、
アカギがシンプルなマグカップを手にとってじっとそれを見つめ始める…。
当然不思議に思ったyouは声を掛けた。
「それ、気に入ったんですか?」
「気に入った?……まぁ、そうかもね。」
「シンプルでいいですね!何か「アカギさんの」って感じ。」
「そう見える?」
「ん、何となく。」
「アンタは?」
「え?」
「気に入ったのあった?」
「私ですか?私はピンクが好きなので、こっちかな。」
尋ねられたので、素直に自分の好きなピンク色がベースのマグカップを手に取れば、
するりと、その手からアカギがカップを抜き取る。
「なるほど、youらしい。」
「…そうでしょうか?」
「ああ、何となく。」
「ふふっ…。」
前の話の遣り取りをそのまま持ち越し、軽く2人で笑みを零した。
「で、アカギさん、そのカップ買うんですか?」
「そのつもりだけど。」
「じゃぁ、アカギさんの思いついた「買いたいもの」って…マグカップだったんですか?」
「いや…正確にはそれだけじゃないな。」
「…正確には??」
アカギの言い回しに疑問を抱き、youは恐る恐る尋ねたのだが、案外あっさりと、アカギから答えが返ってきた。
「これだけじゃない。皿とか、箸とかフォークとか…他の食器も。」
「そ、そんなに一気にですか?!」
「ああ。」
「何でまた急に…。」
「言っただろ、急に思いついたんだって。思いついたことに理由は無い。ただ……。」
「ただ?」
何か続きがあるのかと、今の状況にほんの少しだけ困ったような顔でアカギを見上げるyou。
その困った表情が更に困ったものになるとは知らずに…。
「ただ…何ですか?」
「フフ…ただ、買うことに理由はあるよ、ちゃんと。」
「そう…なんですか?」
いつも質問には静かに「ああ」と答えるアカギの…それはとても珍しい言葉と表情。
「うん」と、少年のような言葉で笑みを浮かべてyouに言った。
ただ、気になる点としては、それがまるで純粋に悪戯を考えるような笑みだったということ。
そしてその理由はすぐに明らかになる。
「ど、どうして??」
「いつもyouんとこの食器使わせてもらって悪いなと思ったからさ。」
「え。」
「そろそろ自分のを置いた方がいいかなと。」
「わ、態々家から専用食器を持ってくるんですか?!」
「何でそうなるんだ……youの家に置かせてもらうに決まってるだろ。」
「何堂々と同居発言かましてるんですか!?」
手に持った陶器の皿をパーン!と真っ二つに折りそうなくらいのテンションでアカギに反論するyou。
とりあえず商品を割らせないように彼女の手から皿を抜き取り、陳列された場所へと戻し
「まぁまぁ」とyouの肩に手を置き、宥め始める。
「ま、まぁまぁじゃないですよ!」
「べつに居候するわけじゃないだろ、今まで通り風呂は自分のとこで入るし、youが出てる昼は一緒にいないし。あ、それ以外は一緒にいるのか……ハハ、ほぼ同棲だな。」
「笑うなぁ!//」
似合わない爽やかな笑みを浮かべるアカギだったが、
その裏にyouを困らせる気満々なオーラが洩れていることに彼女が気付かないわけが無く…。
いち早くそれを察したyouは、その話題を続けさせまいとして
先程から手ぶらになった手で遠慮なくアカギのシャツを掴んで彼を見上げて睨み、他の購入雑貨への注意を促した。
結局、本当に予告通りにマグカップ以外の食器類を買い込み(しかもyouの分も)、
アカギは珍しく満足そうな顔をして店を出たのだが…。
それに相反してyouは引き続き不機嫌そうな顔を浮かべて隣を歩いているので、フォローついでに声を掛ける。
「折角のデートじゃない、そう怒らないでよ。」
「デッ!っていうかですね!わっ…私は全部認可したわけじゃないんですよ?!」
「全部って?」
「ご飯はまだいいとして、朝起きて勝手に布団に入られてるのはひっ、非常に…困るのですよ!?//」
「あー…あれね、オレもきつい。」
「だったら自分の家で寝てください!そりゃキツいですよ、シングルに無理矢理2人並んでるんですから!」
「いや、そういう意味じゃなくて。」
「?」
「あれだけ密着してると、ね。」
「・・・?」
「オレだって一応男だし。」
「そ・・・。」
「しかも横には好きな女。」
「・・・。」
アカギの服に掴みかかろうとしていたyouの手の先がストン…と地面を向き、彼女はにっこりと綺麗な笑顔を向けた。
「アカギさん。」
「ん?」
「警察いこっか。」
「ヤダ。」
ベッと軽く舌を出して当然ながら、youの提案を却下するアカギ。
更には、不法侵入に関しては触れず、ただ状況に関しての話で弁解をする。
「まだ未遂じゃん。」
「「まだ」ってどーいうことですかっ!それにアカギさんの無罪より私の貞操が大事です!」
「じゃぁ好きになってよオレのこと。気持ちよくさせてあげる。」
「シャラーーーップ!!///」
アカギの口元に手を伸ばし、言葉を遮る行為に出たyou。
真っ赤な顔で見上げてくる姿が可愛くて、もっと意地悪なことをしてやりたい衝動に駆られたが
喧嘩になり、嫌われるのも癪だったので、それ以降は何も言わないよと…彼は両手を上げて降参の意を示す。
「そう怒らないでよ、何て表現したらいいかオレにも分からないんだ。」
「表現…。」
「アンタが好きだってさ。」
「い…言ってる!言ってるから!十分表現してるっ!///」
「そ?」
「どこまで本気か分からないですけど…。」
「そこが問題なんだよな、どうやったら本気だって信じてもらえるんだ?」
「っ……そんな、無茶苦茶な…//」
帰り道、福本荘に近づいた民家の並ぶ人通りの少ない道でアカギは立ち止まり、
いつになく真剣な眼差しでyouに言葉を放つ。
「アンタの欲しいものは何でもあげられるし、言われれば現金だって積むよ、オレは。」
「アカギさん…。」
「オレ自身…何でこんなことになってるのか分からない。だけど…ただ、欲しいと思うんだ。」
「・・・。」
上手な愛情表現が見つからないと、そう言っているのだと…。
恋愛関係にはあまり鋭くないyouさえもそう感じてしまうほど、アカギの表情は歪なものだった。
ただ、彼らしくないその姿が見れたことは、今まで不透明だった「赤木しげる」という存在に
何となく近づけた気がしてyouはふっと、嬉しそうに笑った。
「じゃぁ、私が禁煙してって言ったら?」
「う…。」
「禁煙してくれる?超ヘビースモーカーなアカギさん?」
「いきなり…手厳しいな…。」
「じゃぁ……危ないコトやめて、ギャンブルしないで~ってお願いしたら?」
「・・・・むり。」
一言、出したアカギの結論に対して、その場で「あはは!」と爆笑するyou。
自分は真剣な話をしていたはずなのだが…と、アカギは腹を押さえて笑う彼女を黙して見下ろす。
「あはは!あーーーもう、予想通り過ぎて面白い。」
「・・・悪かったな、期待に応えられなくて。」
「ううん、アカギさんなら、私はその方がいいの。」
「???」
「だってアカギさんが無理してる姿なんて想像できないもん、ううん、想像したから笑ったんだけど…ブフッ。」
「お前も中々言うようになったな…。」
「ごめんなさい、ただ……何もしなくていいよってことかなぁ。ていうか何もしないでください??」
「はぁ?」
しっくりくる言葉が思いつかないのか、youは暫し「う~ん」と悩んで言葉を紡いだ。
「私は…アカギさんと、こうやって笑っていられるのがいい。」
「・・・。」
「欲しいものはいっぱいあるし、その為のお金があったらとても嬉しいけど…。」
「うん。」
「その代償でいつものアカギさんがいないのは嫌だから。」
「は…?」
「えっと…何て言ったらいいのかな……。」
困ったような表情で、しかし一生懸命に言葉を選び、アカギに伝えようとするyou。
「例えば禁煙したり、ギャンブル自重したり、爽やかに笑ったり、私に意地悪しないアカギさんじゃ、嫌だなって。」
「・・・。」
「私が好きなのはいつものアカギさんだから…。」
「!」
「って、べ、別にそういう意味ではないのですよ!?その…まだ、そういう気持ち分からないからですね…あの…///」
「you。」
「はひ…ッツ?!!」
俯いてゴチャゴチャ弁解をしている最中、呼びかけられて顔を上げれば、
その瞬間、youはアカギに抱きすくめられる。
目を大きく見開いて、動揺はするものの、如何せんここは道端。
アカギの肩越しに通行人がいないかどうかちゃっかり確認してしまうyou。
そんな現実的な彼女とは裏腹に、アカギはほんのり嬉しそうな笑みを浮かべた。
「ありがとう、you。」
「ど…どういたしまし、て??//」
ゆっくり身体が離されて、綺麗に微笑んだアカギがyouを見下ろす…。
youはというと、その綺麗な笑みに中てられて一瞬クラリと眩暈を覚えたのだが、
それは一瞬にして現実に引き戻されることとなる…。
「それにしても…意外だっだな。」
「え…?///」
「you、そんなにオレに意地悪されたい願望あったんだ?」
「ねぇよ。」
即行でツッコミを入れるが、アカギには全く効いていない様子。
ただただ、嬉しそうに意地悪く笑いながら前を歩き出すアカギの背中を見つめ
youは今までのしおらしかったアカギの姿は全てこの為の計画だったのではないかと思うのだった…。
さぁ
どっちだろうね?
(you、今日の飯、何?)
(今日は鯖です。)
(いいね、和食。)
(アカギさんは和食好きなんですか?)
(ふぐ。)
(はい?)
(河豚が好き。)
(フグですか…私も好きかも。ハリセンボンとか、ぷくーって膨らんだとこ可愛い。)
(・・・。)
(え?何?なに?その反応は…。)
(いや…そういうことならオレはフグよりyouが好きだなぁと思って。)
(な…何かアカギさん慣れてきてませんか?!///)
(何が?)
(す、す……好きとか!言うの!///)
(さぁ…どうだろうね?)
(い、意地悪!//)
(好きなんでしょ、こういうの。)
(だ、断固として違ーーうっ!!///)
words from:yu-a
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