一条聖也
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日差しの差し込む広いリビングに、大きなソファが一つ。
開け放たれた窓からは心地よい風が部屋に吹き込み
そこで寝ているyouの頬を撫でた…。
Prince & Princess
「you、起きて。」
「ん……。」
身を捩って目覚めを促す声を拒否するyou。
声の主は諦めずに彼女の名を呼び続け、その身体を揺さぶる…。
「you。」
「んー…あと40分…。」
「中途半端に長いな。……仕方ない、いいよ、you。
一緒に食べようと思ってケーキを買ってきたんだけど…一人で食べようかな。」
そう言って男はyouの前から去ろうと踵を返した。
が、その足は止まったまま。
チラリと後ろを見やれば、しっかりとそのズボンの裾を掴んでいる白く細い手。
「一条くんがミルクティーも淹れてくれるんなら起きる。」
目は閉じたままの台詞で、狸寝入りは確定。
しかし、そんな彼女が可愛くてクスッと微笑んだ一条。
くるっと振り返ってしゃがみ込んだ。
「いいよ、you姫様のお気に召すままに。」
「……恥ずかしくないの?」
「僕よりyouの顔のが赤いのは気のせいかな。」
「………だって、恥ずかしいもん。」
「うん、そういう顔が見たくてやってるとこあるから。」
「性格悪いよ…。」
「嫌われない程度に留めてるつもりだけど、嫌だった?」
「嫌、じゃない……///」
やっと目を開いて一条と視線を合わせたyou。
少し赤い彼女の顔を満足そうに見やり、手で優しくその髪を梳いた。
暫く気持ち良さそうな顔でそれに順じていたが、
一条が手を止め、代わりに手を差し伸べたことで彼女の覚醒が決定付けられた。
「行こう、you。」
「ん。」
手を取ってソファから立ち上がった瞬間、youは言った。
「一条くんは……王子様みたいだ、ね。」
自分で言っておいて、後で恥ずかしくなる台詞の典型的なタイプ。
それはyouが言っても例外ではなかったらしい。
すぐに、顔を赤くして弁解を始めた。
「はわわ……何を言ってるんでしょうかねぇ、私は…。」
「光栄だよ、youにそう言われるなら。」
「また「光栄」とか王子的発言を…!」
「王子的って……。」
「どーせケーキも上に乗ってる苺しか食べないんだ!茹で卵の黄身みたいに!」
「それは王子じゃない、カリオストロ伯爵だよ…。」
彼女のボケに対して、見事なツッコミを返す一条。
(この際何故一条がカリオストロ伯を知っているのかをツッコみたいが、
今回そこは置いておいて…。)
一条はすぐに笑顔を戻して、youの手を引き、ダイニングへと誘った。
「youは座ってていいよ。」
「あ、ケーキを選びたいので食器とケーキを用意しまーす!」
「はいはい。」
一条がキッチンでお茶の準備をしている間にyouは食器を戸棚から、
そして冷蔵庫からケーキの箱を取り出してガラステーブルまで運んだ。
一足先に準備を完了させたyouはケーキの箱を開いた。
「うわぁ……おいしそう…。」
「どれがいい?好きなのを選んでいいよ。」
「この苺の……と、こっちのチョコレートの!!」
「2つも食べるの?」
「………。」
何気ない一条の質問に押し黙るyou。
急に答えが返ってこなくなった為、お茶の準備の合間に一条は彼女のいる方へ目を向ける…。
無言で自分のお腹の肉を摘んでいるyouの姿が目に映った。
思わず噴出して笑い出す一条。
「プッ……ハハハ!!」
「いっ……一条くん!!」
「食べたきゃ食べればいいだろ。」
「切実なの!!とっても真剣に切実なの!!」
「そう?」
「そうなの!!」
お茶の準備を中断し、youのいるガラステーブルまでやってくる一条。
youを前にして、腕を組んで上から下までジッと見つめる…。
難しい顔をする彼に、ハラハラしたような顔で言葉を待つyou…。
1分くらいだろうか…最後に一つ「うーん」と唸って、一条は結論を出した。
「分からないよ。」
「ん?」
「見てみないと…分からないよ。」
「………何を。」
「中身を。」
嫌な予感はしていた…。
しかし、こういう場合の返答は必ず…。
「あのー……それって…。」
質問に対する質問であり。
その答えは決まって…。
「言い方が悪かったかな……太ってるかどうかなんて…。」
「うっ…。」
「食べてみないと分からないよ、君を。」
「やっぱり!!」
逃げ出してトイレに駆け込もうとしたyouの腕を素早く掴む。
更に次のアクションで、身体を抱き上げて完全に逃亡不可能にさせた。
「おっ、おろして~!」
「ああ!御誂え向きにお姫様抱っこだね。」
「嬉しくない。」
「こんないい天気の日にそういうことするのも、何か童話っぽくない?」
「ぽくない!18禁童話なんて童話じゃないでしょ!!」
「あはは!じゃぁ、登場人物をyouと俺仕様に変換しよう?そしたらホラ、18禁童話で大丈夫。」
「そんなメルヘンやだぁ~!」
「やれやれ、you……少し黙ろうか。」
不平不満を抱えた顔と声のyouを黙らせる為に、一条は噛み付くように口付ける。
次第に隙間なく、深く舌を追っていくとyouの表情が緩んでくる。
ある程度時間をキスで費やすと、
大人しくなった姫は王子の胸に頭を預けた…。
完璧過ぎて勝てない!
(あ!ケーキ!冷蔵庫入れなきゃ!)
(保冷剤がまだ入ってたから、大丈夫だよ)
(一条くんが淹れたお茶も!)
(ギリギリお湯を注ぐ前だったから、大丈夫だよ)
(……確信犯…?)
(ふふふ…どうでしょう。)
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