『カイジ』 伊藤開司
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たしか今日は
私の誕生日だったはずでは?
RPG Birthday!
「カイジがいないよぉお!私今日はちゃんと3時に帰るって言ったのにぃい!!」
そう、今日は自分の…youの誕生日を2人で祝おうと思っていたのだ。
朝から少し用事があって出ることにはなったが、きちんと帰宅の時間も告げていた。
それなのに、だ…。
「何でいないのよ、あんのバカイジ!!!」
買い物袋をその場に置いて、床が抜けるのではないかと思うくらい大きく地団駄を踏んだ。
暫くして、ゼーハーと肩で息をし始めた時だった…。
聞き慣れた電話の着信音が部屋に響く。
「カイジ!」
バッ!と後を振り返り、自分の鞄の中を漁る。
サイドポケットから携帯電話を取り出し、通話ボタンを押した。
そして聞こえてくる男の声…。
『おー、you、お前もう家いるのか?』
「いるよ!カイジこそ何処行ってんの!?私3時には帰るって言ってたよ!」
『悪ィ悪ィ…ちょっとヤボ用で、今ちょっと出てんだ。』
「ヤボ用~?何?まさかギャンブ…。」
『イヤイヤイヤ!ない!流石にそれは無いから!』
「本当に?」
『マジ!それは無い!』
微かにホッと溜息を吐いたyou。
少しだけ安心し、少しだけいつもの自分でカイジに問いかける…。
「それで、今何処にいるの?」
『ちょっとな……面倒だけど、頑張ってる最中。そういうワケで今日は遅くなりそうなんだ。』
「はぁっ?!」
『一緒に飯食う時間くらいには間に合うから。』
「ちょっと、カイジ!」
『それまで大分時間があるから、先にプレゼント見とけよ。
そうだな…まずはテーブルの上のラブレターでも読んでくれ!なーんてな。』
「カイジってば!」
『沢山あるから、見つけるのに時間かかるぜ?な、いい暇潰しだろ!じゃ、後でな!』
「ちょっと待て!伊藤開司!!あ…!」
ツーツー…という音だけが残る電話の受話部分。
耳から離して、溜息と共に通話終了ボタンを押した。
「一人でプレゼント見て喜んだって意味ないでしょ!」
プンスカ怒りながらも、テーブルの上を見に行くyou。
何だかんだ言いながらも、カイジの踊らされているようで少し癪に障ったが
他にすることがないこともあって、机に置かれた手紙を手に取った。
ピンクの封筒の中に可愛らしい便箋。
自分の為とはいえ、このメルヘンチックな文具を買うカイジを想像して
youは軽く笑った。
「なになに…『Happy Birthday!! you!!』…えーっと?
『旅の心得その1、まずは装備を整えよ……装備品はタンスの中が基本』
…DQか!」
怒り心頭という感じで、洋服箪笥を開くyou。
それでもちゃんと指示に従っている自分がちょっと悲しかった…。
しかし、開けた箪笥の中に見慣れない包みが置いてある。
youがよく買う洋服の店の包みだ…。
「これ…もしかしてー…。」
開けてみると、you好みの洋服と一枚のメッセージカード。
「やだ…普通に嬉しいんですけど…バカイジめ…///
なになに…『装飾品まで全て整えての【装備】である』…ムカつくなーこの伝説口調的指示…。」
ブツブツ文句を言いながらも、カイジの買った(であろう)プレゼントの服を着るyou。
それから、それに合うアクセサリを付けようと思い、いつもアクセサリを置いている場所へ行くと…
「うそー!あのド貧乏のカイジがアクセサリを!?」
またもや発見したメッセージカードを拾い上げるyou。
『スマン、金が無くてアクセサリと靴はあるもので装備を整えてくれ』
見た瞬間にブハッと吹き出した。
そう、これこそが伊藤開司。
ウンウンと頷いて、youは笑いながらアクセサリを選ぶのだった…。
そしてふと1つの疑問が湧いてきた…
「どうして装備を整えなきゃいけないのかな?
まぁ、カイジが外に出てるって分かってから、帰ってくるまでにある程度は綺麗にしとこうとかは思った…けどー…。」
そして携帯からメール音が響いた…。
「カイジからだ…『装備は整ったか?やり残したことはないか?…えーと、ホラ、トイレとか。』」
あからさまにトイレに行けという指示…。
そういう知恵の足らないトコロもカイジの魅力なのかも知れない…。
そんな風に考えつつ、youはトイレに入った。
案の定そこにはメッセージカード。
『よくここを見つけたな、勇者よ……だがハズレ~』
クシャッ。
youはなかったことにした!!
物凄く不愉快そうな顔でトイレから出てきたyou。
即座に電話を取り出し、電話を掛ける。
数コールの後、声が聞こえた。
『よぉー、トイレ行ったか?絶対電話掛かってくると思ってたんだよな~!アハハ!』
「い、行ってない!行ってないから!」
『…ふ~ん?じゃぁそこで宝探しは終わりだな~…折角色々用意してたんだけどなー…。』
「だってだってスカだったじゃん……あ…ッ!」
『ブハハ!やっぱ行ってんじゃん、カード破ってない?裏に薄~く書いたから、見てみ?』
「…『よくぞ見破った、体力回復の水を手に入れよ』?」
『おいしい水買っといた。』
「なんで水なのよ…。」
『RPGっぽいだろ。何か…。』
「カイジはゲームのしすぎ!」
ピッといきなり電話を切り、冷蔵庫を開く。
そこにはカイジの言う通りの水が置いてあり、カードがテープで貼り付けられていた。
「何かどんどん指示が粗雑になってってるわねー…なにこれ?住所?」
そこに書いてあったのは指示ではなく、場所。
その、駅からの簡単な地図と住所の書かれているカードを手に持ち、
youは深く溜息を吐いた…。
「つまりやっぱり……『行け』ってことよね?」
とりあえず最後まで付き合おうと、メイクを直して外へ出るのだった…。
*。゜.*。゜.*。゜.*
気付けば時刻は夕方6時、3時間も家で宝探しをしていたのかと思うと驚く。
(その中でも化粧の時間がナカナカに多いことに彼女は気付いていないのだが)
とりあえず、駅からカイジの書いた雑な地図を頼りに歩いていくyou。
途中から分からなくなり、それこそ民家や連なる店の表札を見て目的の場所を探っていく…。
というのも…
「何で肝心な時に電話に出ないの!バカイジの馬鹿~!!W馬鹿~!」
そう『これは試練だ』とばかりに、電話は繋がらないからだ。
そして…7時になろうかというくらいで、youはやっとそこへ辿り着いた…。
「つ……着いた…ここ何?イタリアンレストラン?何かオシャレな感じ…。」
入り口の前でうろうろしていると、暫く役立たずだった電話が鳴り出した。
急いで鞄から取り出し、電話に出ると……予想通りに相手はカイジその人であった…。
『着いたか?』
「ここ?イタリアンの店?」
『そうそう、もっと早く来ると思ってたんだけどなー…。』
「あの地図じゃ無理だよー!」
『まぁまぁ、とりあえず入ってこいよ。』
「何で、家で食べるんじゃなかったの?」
『折角迎えに来てくれたんだし、パフェくらい奢ってやるよ。』
「……じゃぁ、い、行こうかな。」
コホン、と咳払いを一つして電話を切った。
遠慮しがちに店の扉を開くと、小奇麗な店内を係りの女性が丁寧にカイジの元まで案内してくれた。
席に着き、彼女が一礼して厨房に入っていったのを確認してからyouはカイジを睨み上げた。
「ちょっとカイ…!」
「誕生日オメデト、you。」
「………///」
不意打ちで言われた言葉に思わず頬を赤らめるyou。
それと同時に差し出された小さな紙袋。
「なに、これ?」
「何って……プレゼント?」
「え!でももう服、コレ、もらったよ?!」
そう言って、自分の着ている服を指差すyou。
カイジは「あぁ」と笑って言った。
「ん、やっぱ似合ってるな。それとこれ、買うの恥ずかしかったんだからなー。ありがたく思えよ?」
「う、うん!ありがとう!!」
「開けてみ?」
「うん!!」
ついさっきまでの怒りは何処へやら…。
目をキラキラ輝かせて、youは紙袋の中身を確認する…。
中から出てきた小さな箱を開くと、可愛らしいデザインリングが現れた。
「かわいい…。」
「youに似合うと思ったのを選んだ!…つもり。一応。
あー…やっぱでもそういう店に居づらかったから、結構適当かも…。」
「ありがとう、カイジ!凄く嬉しい!」
本当に嬉しそうな満面の笑みでカイジに礼を言うyou。
今度はカイジが頬を赤らめる番だった。
「そ、そか…よかった…///」
「カイジがこんなことしてくれるなんて思ってもみなかったから……ちょ…うれし…。」
「な、泣くことないだろ!?」
「だって~!本当に嬉しいんだもんん~ッ!」
「それ程喜んでくれれば、俺も頑張った甲斐があるよ。」
「ふふ…ホントにね。」
「今までyouには心配ばっか掛けてたから、な。」
「うん、借金とかね。+αで美心さんのこととかね。」
「はーい、美味しい料理が来ますからねー。」
パンパン、と手を叩いて会話を強制終了させるカイジであった…。
一方、夜は当初からの予定通り家で食べると思っていたyouが、疑問の声をあげる。
「あれ、パフェじゃなかったの?」
「you、お前鈍過ぎ……普通ココまで来させるつったら、料理も予約しとくだろ。」
「貴方だれ?!」
「伊藤開司ですけど、何か問題でも!?」
「私の知ってるカイジはもっとショボいダメニートなバカイジよ!!」
「……そんなに帰りたい?じゃぁ今作ってるの止め…」
「うそです!」
「なら素直に受け取っとけ。」
「………うん///」
その日何もかもが完璧なカイジを前にして、
改めて嬉しさと愛しさを認識したyou。
ただ、その場でその気持ちを伝えるのは流石に抵抗があるため、
youはそっと携帯電話を取り出した。
「カイジごめん、料理来る前にちょっと手洗い行って来る。」
「おう。」
席を立って化粧室に向かったyou。
それからすぐにカイジの電話が鳴り出した。
「you」と表示された着信画面を見て、すぐに電話に出るカイジ。
「もしもし?お前トイレで何やってんの?」
『だって…その場でお礼言うの恥ずかしくなって…。』
「そうか?」
『うん……本当に感動したんだもん……嬉しくて。』
「ま、喜んでいたたけたのなら…光栄の至り…ってな。」
『ありがと、カイジ……。』
「あぁ、誕生日おめでとう……you。」
お互いに受話器越しに、ふっと笑っている。
それはまるでテレパシーのように伝わっていた……。
『あのねー、カイジ…。』
「ん?」
『……だいすき///』
「ばっ…///」
『えへへー、もしかしてカイジ…照れてる?』
「ねぇよ!ホラ、料理来るぞ……早く戻って来い///」
『はーーい!』
そう、元気よく返事を返して、
youはカイジの待つ席へと向かった…。
次はキミの番!
(ただいま、カイジの家!)
(今回の誕生日は我ながら大成功だったなぁ…)
(うん!今度はカイジの誕生日だね、何が欲しい?)
(んなもんyou自身に決まってんじゃん。)
(そ……そんなの別に誕生日じゃなくてもいいでしょ///)
(そか?じゃ、お言葉に甘えて…合掌。)
(ちょ、待ちなさい、カイじ…っ~~///)
*。゜.*。゜.*。゜.*
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