第1章 Philosopher's Stone
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1 はじまりの日
キングズ・クロス駅の9と4分の3番線は、新学期を迎える熱気と興奮で満ち返っていた。
蒸気を吹き上げる真紅のホグワーツ特急の傍らでは、大きなトランクを運ぶ上級生や、フクロウのケージを抱えて不安そうにする新入生、そして彼らを見送る親たちの声が交錯している。
「エリー、トランクは自分で積み込めるかい?」
「うん、大丈夫だよ、パパ。これでも学校の準備は自分でやったんだから」
アリス・ストウナー──幼い頃から父親に「エリー」と呼ばれて育った彼女は、肩までで切りそろえたアッシュブラウンの柔らかなウェーブを揺らし、自分の身長ほどもある重いトランクをしっかりと握りしめた。どこか人好きのする柔和な顔立ちの彼女の瞳は、いまや好奇心と緊張でいっぱいに輝いている。
「いいかい。ホグワーツは素晴らしい場所だ。だけど、あまり危険なことには首を突っ込まないように。真面目に授業を受けて、たくさん友達を作るんだよ」
「わかってる。魔法生物の教科書も、もう3回は読み返しちゃった。……それじゃあ、行ってきます!」
父親の少し心配そうな、けれど温かい抱擁を最後に受け取ると、エリーは意を決して列車に乗り込んだ。
◇
車内はすでに大混雑だった。どのコンパートメントも引き戸の向こうには先客の姿があり、賑やかな笑い声が廊下まで漏れ聞こえている。エリーはトランクを引きずりながら、通路を奥へ奥へと進んだ。
ようやく見つけたのは、列車の終点に近い、まだ少し空きのあるコンパートメントだった。
「あの……すみません。ここ、隣いいですか? 他がどこもいっぱいで」
エリーが控えめに引き戸を開けると、中にいた二人の少年が同時にこちらを振り向いた。
一人は、燃えるような赤髪にそばかすだらけの鼻をした少年。手には半分干からびたサンドイッチを持っている。
そしてもう一人は、サイズの大きなぶかぶかの服を着た、黒髪で痩せた少年だった。その少年は丸いメガネをかけており、エリーと目が合うと、少しきょとんとした表情を浮かべた。
「ああ、どうぞ。ここなら空いてるよ」
黒髪の少年が親切に微笑む。エリーはホッとして胸をなでおろした。
「ありがとう! 私、アリス・ストウナー。エリーって呼んで」
「僕はロン・ウィーズリー」
赤髪の少年がサンドイッチを口に放り込みながら言った。そして、黒髪の少年が少し照れくさそうに自分の前髪をかき上げる。
「僕はハリー。ハリー・ポッター」
エリーは一瞬、目を丸くした。ハリー・ポッター。魔法界でその名を知らない者はいない。あの「生き残った男の子」だ。彼の額には、噂通り、鮮やかな稲妻型の傷跡が刻まれていた。
普通ならここで大騒ぎするか、傷跡を凝視するところだろう。けれど、エリーはすぐにいつもの笑顔を浮かべて、ハリーの目をまっすぐに見つめた。
「よろしくね、ハリー。それとロン。二人とも今年の新入生?」
「うん、そうだよ。君も?」
ハリーは、エリーが自分の名前を聞いても他の人のように奇異の目を向けず、ごく普通の男の子として接してくれたことに、目に見えて安堵したようだった。
「そう、私も一年生。緊張するよね。私、お母さんがマグルだったから、魔法界のことはお父さんから聞いてるだけで、実際に同世代の子と話すのって初めてに近くて」
「へえ、片親がマグルなんだ。僕の家は、パパがマグルの道具に目がなくてさ」
ロンが気さくに話し始め、車内の空気は一気に和んだ。ハリーも自分がマグルに育てられた境遇をぽつりぽつりと話し始め、エリーはそれを熱心に、時折深く同情しながら聞き入った。
やがて、ワゴンを引いた魔女から山ほどの魔法お菓子を買い込んだハリーのおかげで、三人の宴会が始まった。
「百味ビーンズ」や「カエルチョコレート」を回しながら、笑い声が絶えない。エリーはカエルチョコレートから出てきたアルバス・ダンブルドアのカードをまじまじと見つめた。
「あ、ダンブルドア校長先生だ。私、この先生の本を読んだことがあるの。すごく頭が良い人なんだよね」
「エリーは真面目なんだな。僕なんてカードの裏の解説を読むのも面倒だよ」
ロンが苦笑いする。その時、コンパートメントの引き戸が勢いよく開いた。
「ねえ、ヒキガエルを見かけなかった? ネビルっていう子が逃がしちゃったのよ」
入ってきたのは、ふさふさした茶色の髪をした、少し前歯の大きな少女だった。彼女の口調はひどく高圧的で、自信に満ちあふれているように聞こえた。ロンはうんざりしたように首を横に振ったが、エリーはすぐに立ち上がった。
「ヒキガエル? 見てないけど……大変だね。何か手伝えることはある?」
「いいえ、結構よ。自分たちで探すから」
少女はつっけんどんに言ったが、エリーの親切な申し出に少しだけ表情を和らげた。その目が、ロンが掲げていた杖に留まる。
「あら、魔法をやるの? 見せてちょうだい」
促されるままにロンが唱えた「デブでマヌケな黄色いネズミを……」というおかしな呪文は当然失敗し、少女はふんと鼻を鳴らした。
「そんなの、本当に呪文かしら? ……私はハーマイオニー・グレンジャー。あなたたちは?」
「ロン・ウィーズリー」
「ハリー・ポッター」
ハリーの名前を聞いた瞬間、ハーマイオニーの目が輝いた。
「まあ! 本当に? あなたのことは本で読んだわ!」と、彼女は一気にまくしたてた。その、少し周りを圧倒するような態度に、ロンとハリーはやや気圧されている。
「私はアリス・ストウナーよ。よろしくね、ハーマイオニー」
エリーが遮るようにして握手を求めると、ハーマイオニーは少し驚いたように、けれど嬉しそうにその手を握り返した。
「よろしく、アリス。あなたたち、もうローブに着替えた方がいいわよ。もうすぐ到着するって、運転士さんが言ってたから」
ハーマイオニーが去った後、ロンは深いため息をついた。
「何なんだよ、あいつ。息が詰まりそうな女の子だな。僕、あいつと同じ寮にだけはなりたくないよ」
「そんなこと言わないの。きっと、初めての学校で緊張して、空回りしちゃってるだけだよ」
エリーはなだめるように微笑みながら、自分のローブを取り出した。ハリーは、そんなエリーの細やかな気遣いや、誰に対しても公平に接する姿を、静かに、しかしどこか眩しそうな目で見つめていた。
やがて列車は速度を落とし、夜の帳が降りたホグズミード駅へと滑り込んだ。
肌寒い空気の中、大男のハグリッドに導かれ、新入生たちは小さなボートへと乗り込む。
エリー、ハリー、ロン、そしていつの間にか近くにいたハーマイオニーの4人は、同じボートに乗り合わせた。
真っ黒な湖を進むボートが岩山の割れ目を抜けたその瞬間、全員が息を呑んだ。
夜空にそびえ立つ、無数の窓に明かりが灯った巨大な古城。
ホグワーツ魔法魔術学校が、彼らの目の前にその全貌を現したのだった。
「すごい……」
ハリーの小さな呟きに、エリーは深く頷いた。隣を見ると、ハーマイオニーが緊張で小さく拳を握りしめているのが見えた。エリーはそっと、彼女のローブの袖を引いた。
「大丈夫だよ、ハーマイオニー。一緒に行こう」
「……ええ。ありがとう、エリー」
ハーマイオニーは少し照れたように、お礼を言った。
大きな城の扉が開き、厳格そうな魔女——マクゴナガル先生が彼らを迎える。
大広間に進んだ新入生たちの前で、古ぼけた「組分け帽子」が歌を歌い、いよいよ組分けが始まった。
緊張が最高潮に達する中、名前が呼ばれていく。
「グレンジャー、ハーマイオニー!」
ハーマイオニーは小走りで椅子へ向かい、帽子を深く被った。しばらくの沈黙の後、帽子が叫んだ。
『グリフィンドール!』
ハーマイオニーがホッとした顔で拍手の中を歩いていく。次に呼ばれたのはエリーだった。
「ストウナー、アリス!」
エリーは深く息を吸い、椅子に座った。目の前が帽子の内側で真っ暗になる。
『ふむ……なるほど。好奇心が旺盛、知識への探求心もある。それ以上に、一度決めたことをやり抜く強い意志と、友を思いやる温かい心がある。どこが良いか……そうだな、お前のその勇気はここでこそ花開く。……グリフィンドール!』
盛大な拍手が湧き起こり、エリーは笑顔でグリフィンドールのテーブルへと向かった。ハーマイオニーの隣に座ると、彼女が嬉しそうに席を詰めてくれた。
「よかったわ、エリー! 同じ寮ね!」
「うん! よろしくね、ハーマイオニー」
その後、ロンの兄たちであるウィーズリー家の双子──フレッドとジョージが騒ぐ中、「ポッター、ハリー!」の名前が呼ばれた。
大広間がにわかにざわつき、全員がハリーを注視する。ハリーは緊張した面持ちで椅子に座り、帽子を被った。
帽子は長いこと考えていたが、最後に力強く叫んだ。
『グリフィンドール!』
その瞬間、グリフィンドールのテーブルは割れんばかりの歓声に包まれた。フレッドとジョージが「ポッターが仲間になった!」と歌うように叫んでいる。
ハリーはホッとした顔でこちらへ歩いてきて、エリーとロンの向かい側の席に滑り込んだ。
「やったね、ハリー! これでみんな一緒だよ」
エリーが満面の笑みで迎えると、ハリーはメガネの奥の緑色の瞳を和らげ、嬉しそうに頷いた。
「うん。これからよろしくね、エリー」
豪華なごちそうがテーブルに現れ、4人の賑やかな食事が始まる。
これが、後に魔法界の運命を大きく揺るがすことになる、4人の長い旅路の、本当の始まりだった。
キングズ・クロス駅の9と4分の3番線は、新学期を迎える熱気と興奮で満ち返っていた。
蒸気を吹き上げる真紅のホグワーツ特急の傍らでは、大きなトランクを運ぶ上級生や、フクロウのケージを抱えて不安そうにする新入生、そして彼らを見送る親たちの声が交錯している。
「エリー、トランクは自分で積み込めるかい?」
「うん、大丈夫だよ、パパ。これでも学校の準備は自分でやったんだから」
アリス・ストウナー──幼い頃から父親に「エリー」と呼ばれて育った彼女は、肩までで切りそろえたアッシュブラウンの柔らかなウェーブを揺らし、自分の身長ほどもある重いトランクをしっかりと握りしめた。どこか人好きのする柔和な顔立ちの彼女の瞳は、いまや好奇心と緊張でいっぱいに輝いている。
「いいかい。ホグワーツは素晴らしい場所だ。だけど、あまり危険なことには首を突っ込まないように。真面目に授業を受けて、たくさん友達を作るんだよ」
「わかってる。魔法生物の教科書も、もう3回は読み返しちゃった。……それじゃあ、行ってきます!」
父親の少し心配そうな、けれど温かい抱擁を最後に受け取ると、エリーは意を決して列車に乗り込んだ。
◇
車内はすでに大混雑だった。どのコンパートメントも引き戸の向こうには先客の姿があり、賑やかな笑い声が廊下まで漏れ聞こえている。エリーはトランクを引きずりながら、通路を奥へ奥へと進んだ。
ようやく見つけたのは、列車の終点に近い、まだ少し空きのあるコンパートメントだった。
「あの……すみません。ここ、隣いいですか? 他がどこもいっぱいで」
エリーが控えめに引き戸を開けると、中にいた二人の少年が同時にこちらを振り向いた。
一人は、燃えるような赤髪にそばかすだらけの鼻をした少年。手には半分干からびたサンドイッチを持っている。
そしてもう一人は、サイズの大きなぶかぶかの服を着た、黒髪で痩せた少年だった。その少年は丸いメガネをかけており、エリーと目が合うと、少しきょとんとした表情を浮かべた。
「ああ、どうぞ。ここなら空いてるよ」
黒髪の少年が親切に微笑む。エリーはホッとして胸をなでおろした。
「ありがとう! 私、アリス・ストウナー。エリーって呼んで」
「僕はロン・ウィーズリー」
赤髪の少年がサンドイッチを口に放り込みながら言った。そして、黒髪の少年が少し照れくさそうに自分の前髪をかき上げる。
「僕はハリー。ハリー・ポッター」
エリーは一瞬、目を丸くした。ハリー・ポッター。魔法界でその名を知らない者はいない。あの「生き残った男の子」だ。彼の額には、噂通り、鮮やかな稲妻型の傷跡が刻まれていた。
普通ならここで大騒ぎするか、傷跡を凝視するところだろう。けれど、エリーはすぐにいつもの笑顔を浮かべて、ハリーの目をまっすぐに見つめた。
「よろしくね、ハリー。それとロン。二人とも今年の新入生?」
「うん、そうだよ。君も?」
ハリーは、エリーが自分の名前を聞いても他の人のように奇異の目を向けず、ごく普通の男の子として接してくれたことに、目に見えて安堵したようだった。
「そう、私も一年生。緊張するよね。私、お母さんがマグルだったから、魔法界のことはお父さんから聞いてるだけで、実際に同世代の子と話すのって初めてに近くて」
「へえ、片親がマグルなんだ。僕の家は、パパがマグルの道具に目がなくてさ」
ロンが気さくに話し始め、車内の空気は一気に和んだ。ハリーも自分がマグルに育てられた境遇をぽつりぽつりと話し始め、エリーはそれを熱心に、時折深く同情しながら聞き入った。
やがて、ワゴンを引いた魔女から山ほどの魔法お菓子を買い込んだハリーのおかげで、三人の宴会が始まった。
「百味ビーンズ」や「カエルチョコレート」を回しながら、笑い声が絶えない。エリーはカエルチョコレートから出てきたアルバス・ダンブルドアのカードをまじまじと見つめた。
「あ、ダンブルドア校長先生だ。私、この先生の本を読んだことがあるの。すごく頭が良い人なんだよね」
「エリーは真面目なんだな。僕なんてカードの裏の解説を読むのも面倒だよ」
ロンが苦笑いする。その時、コンパートメントの引き戸が勢いよく開いた。
「ねえ、ヒキガエルを見かけなかった? ネビルっていう子が逃がしちゃったのよ」
入ってきたのは、ふさふさした茶色の髪をした、少し前歯の大きな少女だった。彼女の口調はひどく高圧的で、自信に満ちあふれているように聞こえた。ロンはうんざりしたように首を横に振ったが、エリーはすぐに立ち上がった。
「ヒキガエル? 見てないけど……大変だね。何か手伝えることはある?」
「いいえ、結構よ。自分たちで探すから」
少女はつっけんどんに言ったが、エリーの親切な申し出に少しだけ表情を和らげた。その目が、ロンが掲げていた杖に留まる。
「あら、魔法をやるの? 見せてちょうだい」
促されるままにロンが唱えた「デブでマヌケな黄色いネズミを……」というおかしな呪文は当然失敗し、少女はふんと鼻を鳴らした。
「そんなの、本当に呪文かしら? ……私はハーマイオニー・グレンジャー。あなたたちは?」
「ロン・ウィーズリー」
「ハリー・ポッター」
ハリーの名前を聞いた瞬間、ハーマイオニーの目が輝いた。
「まあ! 本当に? あなたのことは本で読んだわ!」と、彼女は一気にまくしたてた。その、少し周りを圧倒するような態度に、ロンとハリーはやや気圧されている。
「私はアリス・ストウナーよ。よろしくね、ハーマイオニー」
エリーが遮るようにして握手を求めると、ハーマイオニーは少し驚いたように、けれど嬉しそうにその手を握り返した。
「よろしく、アリス。あなたたち、もうローブに着替えた方がいいわよ。もうすぐ到着するって、運転士さんが言ってたから」
ハーマイオニーが去った後、ロンは深いため息をついた。
「何なんだよ、あいつ。息が詰まりそうな女の子だな。僕、あいつと同じ寮にだけはなりたくないよ」
「そんなこと言わないの。きっと、初めての学校で緊張して、空回りしちゃってるだけだよ」
エリーはなだめるように微笑みながら、自分のローブを取り出した。ハリーは、そんなエリーの細やかな気遣いや、誰に対しても公平に接する姿を、静かに、しかしどこか眩しそうな目で見つめていた。
やがて列車は速度を落とし、夜の帳が降りたホグズミード駅へと滑り込んだ。
肌寒い空気の中、大男のハグリッドに導かれ、新入生たちは小さなボートへと乗り込む。
エリー、ハリー、ロン、そしていつの間にか近くにいたハーマイオニーの4人は、同じボートに乗り合わせた。
真っ黒な湖を進むボートが岩山の割れ目を抜けたその瞬間、全員が息を呑んだ。
夜空にそびえ立つ、無数の窓に明かりが灯った巨大な古城。
ホグワーツ魔法魔術学校が、彼らの目の前にその全貌を現したのだった。
「すごい……」
ハリーの小さな呟きに、エリーは深く頷いた。隣を見ると、ハーマイオニーが緊張で小さく拳を握りしめているのが見えた。エリーはそっと、彼女のローブの袖を引いた。
「大丈夫だよ、ハーマイオニー。一緒に行こう」
「……ええ。ありがとう、エリー」
ハーマイオニーは少し照れたように、お礼を言った。
大きな城の扉が開き、厳格そうな魔女——マクゴナガル先生が彼らを迎える。
大広間に進んだ新入生たちの前で、古ぼけた「組分け帽子」が歌を歌い、いよいよ組分けが始まった。
緊張が最高潮に達する中、名前が呼ばれていく。
「グレンジャー、ハーマイオニー!」
ハーマイオニーは小走りで椅子へ向かい、帽子を深く被った。しばらくの沈黙の後、帽子が叫んだ。
『グリフィンドール!』
ハーマイオニーがホッとした顔で拍手の中を歩いていく。次に呼ばれたのはエリーだった。
「ストウナー、アリス!」
エリーは深く息を吸い、椅子に座った。目の前が帽子の内側で真っ暗になる。
『ふむ……なるほど。好奇心が旺盛、知識への探求心もある。それ以上に、一度決めたことをやり抜く強い意志と、友を思いやる温かい心がある。どこが良いか……そうだな、お前のその勇気はここでこそ花開く。……グリフィンドール!』
盛大な拍手が湧き起こり、エリーは笑顔でグリフィンドールのテーブルへと向かった。ハーマイオニーの隣に座ると、彼女が嬉しそうに席を詰めてくれた。
「よかったわ、エリー! 同じ寮ね!」
「うん! よろしくね、ハーマイオニー」
その後、ロンの兄たちであるウィーズリー家の双子──フレッドとジョージが騒ぐ中、「ポッター、ハリー!」の名前が呼ばれた。
大広間がにわかにざわつき、全員がハリーを注視する。ハリーは緊張した面持ちで椅子に座り、帽子を被った。
帽子は長いこと考えていたが、最後に力強く叫んだ。
『グリフィンドール!』
その瞬間、グリフィンドールのテーブルは割れんばかりの歓声に包まれた。フレッドとジョージが「ポッターが仲間になった!」と歌うように叫んでいる。
ハリーはホッとした顔でこちらへ歩いてきて、エリーとロンの向かい側の席に滑り込んだ。
「やったね、ハリー! これでみんな一緒だよ」
エリーが満面の笑みで迎えると、ハリーはメガネの奥の緑色の瞳を和らげ、嬉しそうに頷いた。
「うん。これからよろしくね、エリー」
豪華なごちそうがテーブルに現れ、4人の賑やかな食事が始まる。
これが、後に魔法界の運命を大きく揺るがすことになる、4人の長い旅路の、本当の始まりだった。