寒い日には
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「それでは美夜様、おやすみなさいませ」
「おやすみなさい」
侍女さん達と挨拶を交わし、退室する皆を見送ると布団を捲り中へと入る。お風呂に入っている間に足下に入れておいてもらえる湯タンポのおかげで布団の中はいつも温かい。
「ん?」
口許まで布団を引き上げぬくぬくと温かさを堪能していたらおでこを冷たい風が撫でた。扉が少し開いてるのかなと思って見ればそこには人影。一瞬ビクッとしたけどシルエットで政宗だと分かってホッとする。
「どしたの?」
「起きなくていい。そのまま寝てろ」
「え、でも」
肘を突いて体を起こした所で止められて、寝たまま用を聞くのもどうかと思うしと迷っていたら政宗は私を横切るとなんと後ろへと潜り込んできた。
「ちょっと!?」
「夜にでけぇ声出すな」
「政宗が変なことするからでしょ! なんで入ってくるの!? 自分の布団で寝てよ!」
「ここが一番温けぇんだよ」
「わっ」
うるさいとばかりに伸びてきた腕に抱き寄せられて一瞬にして顔が熱くなる。
「ま、政宗!」
「静かに寝ろ」
「寝れるわけないでしょ! 寒いなら湯タンポ用意してもらえばいいじゃない!」
「俺が欲しいのはそういう温もりじゃねぇんだよ」
ぎゅっと腕に力が籠って、政宗が欲しい温もりって……、なんて思ってしまったからさらに顔は熱くなって心臓がうるさいほどに暴れだす。
「ね、寝不足になるんだけど!」
「ならねぇよ」
「なんでよ! こんなんで寝れるわけないじゃん!」
「大丈夫だ。もし寝れやかったとしても、まあそんなことにはならねぇだろうがもしもの時は添い寝してやるから安心しろ」
「そ、添い寝なんていらないし!」
政宗が近くにいるってだけでドキドキしちゃうんだから安眠出来ないのは同じなのに。だいたいなんでそんなにはっきりと寝れる、なんて断言できるのか全然分かんない。こんなにもドキドキしてて眠れるわけないのに。
ぐいぐい胸を押してもびくともしない。それどころか早く寝ろとおでこにちゅーされた。ますます寝れなくなったじゃないか!
明日になったら絶対に小十郎さんに言ってやる! 政宗のせいで寝不足ですって。いーっぱい叱ってもらうんだから!
「うーー」
「熟睡だったな」
クックッと笑う政宗が憎らしい。でもそれ以上に朝まで、というか起こされるまでぐっすり寝ちゃってたのが悔しい。
内容は全然覚えてないけどなんだか幸せな気持ちになる夢を見てた気がするのも何となく悔しい。
「だから言っただろ。寝不足になんざならねぇって」
「ぅぐ……た、たまたまかもしれないでしょ!」
「なら試すか? 今夜は寝不足になるようだったらたまたまだったと認めてお前の願いを何でも聞いてやるよ」
「ほんとに!? 何でも?」
「ああ、菓子が欲しいなら作ってやるしせくはらってのを止めてほしいなら、仕方ねぇから止めてやる」
「絶対だからね! 今の侍女さん達も聞いてるんだから取り消しとか無しだからね!」
「ンなセコいことしねぇよ」
むぎゅっと軽く私の鼻を摘まんで、じゃあなと政宗は出ていった。
「美夜様、お布団はどういたしましょう。掛布だけでも大きめのものに変えられますか?」
「え、なんで?」
「くっついて眠られれば寒さはあまり感じないとは思いますが、それでも一人寝用の布団では少々小さいかと思います」
くっつい、て……。
「ま、政宗ストップー! さっきのやっぱり無しー!」
慌てて政宗を追いかけて、夜着のまま部屋を飛び出したことを政宗と侍女さんに怒られた。
勝負がどうなったかなんて言いたくない!