寒い日には
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寒ぃ
今夜は特に冷え込むせいか布団を引き寄せても寒さを感じて中々寝付けない。
何か温けぇもの、と考えて美夜が浮かんだ。あいつを抱き締めるとそれだけで温かい。何にも優る温もりだ。思い出せば出すほどその温もりが腕の中に居ないことに苛立ってくる。
「寒ぃ時は温め合うモンだしな」
誰に向けてなのかも分からない言い訳を呟くと起き上がり羽織に袖を通すと足早に部屋を出る。
冷えきった廊下が素足から体温を奪っていく。
こういう時のためにも隣に移らせるか、などと考えながら辿り着いた部屋の戸を、外の冷たい風が入り込まないよう細く開け体を滑り込ませる。
じっと眼を凝らし、闇に慣れて来た眼が気持ちよさげに眠る姿を捉える。
特別布団を厚くしているわけでも無いのに温かそうに眠る姿に八つ当たり染みた軽い苛立ちを覚えるも、まるで俺が来たことに気づいたかのように寝返りを打って布団の半分を空けたのを見ればすぐに機嫌が直る。
我ながら単純だ。
せっかく空けてくれたのだから遠慮する必要も無いと、最初からするつもりなど無かったことを棚に上げ空けられたスペースに潜り込み温かい体を腕の中に抱き込む。
「んー」
短い距離とはいえ外気に当たって体が冷えていたのだろう。嫌そうに離れようとするが少しすると大人しくなった。抱く腕に無意識に添えてきた手にたまらなく愛おしい気持ちになる。
侍女によってだろう、足許に仕込まれた湯湯婆よりもなお温かく心地良い温もりと存在に遠退いていた眠気がゆるりとやってくる。
やっぱり寒ぃ時はこれに限るな。
そんなことを思いながら眼を閉じた。
「美夜様、おはようございます」
「ん……おはよぉ」
ふぁあ、とあくびをしながらもそもそと起き上がる。いつも必ず起きた時にはもう火鉢の熱で部屋の中は温められていて侍女さん達にはほんと感謝しか無い。
「なんか、夢を見た気がする」
「良い夢ですか?」
「うん。どんな内容だったかは覚えてないんだけど、すっごく幸せな気持ちになったのは覚えてる」
「まあ、ふふ。美夜様は本当にお可愛らしい」
微笑ましげにくすくすと笑う侍女さん達に首を傾げる。なんで私が可愛いってことに繋がるんだろう。
「ん?」
ふわり、と。一瞬だけ政宗の匂いがした気がした。
「まさか、ね。うん。気のせいだ、気のせい」
なんだか背中に自分のじゃない熱を感じながら寝ていたような気もするけど、これもきっと気のせいだ。
気のせいってことにする!!
終