臣下の思い
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「う~ん」
「成実、そこで何をしている」
「梵と美夜ちゃんの観察」
「ただの覗きだろうが」
「うわっ」
小十郎に襟首を掴まれ引きずられながら強制退去。もうちょっと見てたかったのに。
「なぁ、二人から見て梵と美夜ちゃんの様子ってどう思う?」
「どう、とは?」
「前と変わったかどうかだよ」
小十郎と綱元が視線を交わし、もう声も聞こえないほど離れたけど梵達が居る方へと目を向けた。
「そうだな。あまり変わってはいないように見えるが、」
「少しだけ雰囲気が柔らかくなった気がしますね」
「どっちの?」
「どちらも、ですよ。殿が美夜さんを見る目が以前より優しくなっていますし、美夜さんも殿に弄られることは別として、触れられること自体はさほど嫌がっていないように感じましたから」
「でもさー、それだけの変化しかないのって変じゃねぇ? だってこないだなんか美夜ちゃん、梵の腕の中で無防備に寝てたんだぜ?」
「どういうことだ?」
小十郎も綱元もかなり驚いてる。当然だよな。俺もすっげぇ驚いたもん。
「この間梵から元の世界にいる家族の思い出に対してだけ起こる美夜ちゃんの感情の異変の話聞いたろ? 深夜のことと関係があるかもしれないって」
「その話と先程の話とどう繋がるんです?」
「この話を聞いた日の夕方頃に見たんだよ。たまたま美夜ちゃんの部屋の前通ったら梵の腕の中で大人しくしてるからびっくりしてさぁ、具合でも悪いんかと思ったら『寝てるからデケェ声出すな』って梵に睨まれたんだよ。しかも美夜ちゃんのために南蛮の菓子まで作ったみたいだし」
二人の纏う空気が変わった。俺の話を疑ってる風でもないのにどうしたってんだ?
「小十郎、どう思いますか」
「あまり良い事態ではないな。まさかこれほど早く動くとは。やはりこの間のことがきっかけか」
「でしょうね。ですが止めることは容易ではないと思いますよ。なにせお互い無意識のようですからね」
「分かっている。だがこのままにしておくわけにもいかないだろう」
「二人共なんの話してるわけ?」
「殿と美夜さんの心が引かれあってはならないということです」
「なんで? 俺は美夜ちゃんにこそ梵の側に居てほしいんだけど」
「私達も同じですよ。ですが彼女はこの世界の住人ではありません」
「一時の感情に流されれば、お互いに辛い思いをすることになる」
二人が何を心配してるのかは分かった。梵に再び喪失の痛みを負わせたくないんだろう。でも、だからって引き離すのはどうかと思う。美夜ちゃんは俺らが、小十郎にすら出来なかったことをしてのけたのに。
そんな美夜ちゃんが梵の側に居ても、良いことはあっても悪いことにはならないと思う。二人が気にしてることだって美夜ちゃんを言いくるめるなり騙すなりして帰さなきゃいいだけじゃんって思う。
二人とも知性派だからって小難しく考え過ぎじゃねぇの?
続