20
夢小説設定
name changeここでの変換で本棚内、全ての小説で名前が任意の物に変わります。
偽名は『この蒼い空の下で』本編内でのみ使用します。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
部屋でジッとしてるのも落ち着かなくて、城内をぶらつくついでに道でも覚えようと歩いていたら数人の兵士さん達が輪になって集まっているのを発見した。
リーゼントだったり目つきが悪かったりと見た目はヤンキーだし座り方もヤンキー座りだから全然兵士に見えない。あれでタバコ吸ってたらある意味完璧だ。彼等は気の良い人達だと分かっててても今はちょっと近寄り難い。
「……姫さん…………」
「ん?」
ちょっと異様な雰囲気もあったから、別の道を行こうとしたら風に乗って声が聞こえてきた。彼等が姫さんと呼ぶ相手は私が知る限り私だけ。ってことは、彼等の話題は私のこと? 何話してるのかちょっと気になってきた。
……ちょっとだけ、ちょっと聞くだけだから。
盗み聞きなんてダメだって分かってるけど誘惑に勝てなくて、彼等に見つからないように気をつけながらそぉっと近くの植え込みの影に潜り込むと慎重に彼等の方へと近付いていく。しゃがんだままの移動はかなり大変だけど、この体勢なら完全に私の姿を隠してくれるはずだ。小さくて良か、じゃなくて立派な植え込みがあって良かった!
「やっぱ恥ずかしがってしない、が一番人気かー」
セルフ落ち込みし掛けながらもバレることなく声がはっきり聞こえる場所まで近付くことが出来た。そのままそこで体育座りして彼等の声に耳を澄ませる。
「しょーがねぇって。朝の姫さん見てたら誰だってこれ選ぶに決まってんじゃん」
朝の私? 私何かしたっけ? むしろしなかったと思うんだけど。
「でもよ、二人きりになったら、ってのも結構人気だぜ?」
二人きり? なんかちょっと嫌な予感がしてきたんだけど。
「はぁ? なんでそんなんまで入ってんだよ。二人きりの時じゃ姫さんが筆頭にちゅうしたかどうか確認出来ねぇだろ」
やっぱり………。ぱた、と立てた膝に頭が落ちた。。そりゃ確かに出陣する政宗にキスしなかったよ? だから政宗に帰ったらしろ的なこと言われちゃったわよ。でもさ、だからってなんでそれを賭けにしてるわけ? そんなに私にキスさせたいの? キスするシーンを見たいの?
だいたい出陣してからまだ半日も経ってないのに賭けが広まるの早過ぎるのよ! あんたたちどんだけ賭けが好きなのよ! ていうかしないから! する必要が分かんないし! そりゃ表向きは婚約してることになってるけど実際は違うんだからね!
「あれ?」
なんか胸の辺りがもやもやした。彼等にほんとのことを言えないもどかしさ?
「しっかし驚いたよなー。まさか筆頭が婚約されるなんて思わなかったぜ」
「だよな。ジジイ連中の娘の売り込みにうんざりしてらしたもんなー」
ジジイって、口悪いなぁ。政宗のことを慕ってる分、政宗を困らす人達が嫌いなんだろうけどもうちょっと言い方を考えた方がいいと思う。
「姫さんもさ、」
また私の話?
「筆頭が選ばれた女性だから素晴らしい人なんだろうとは思ってたけど……」
けど、何? なんで沈黙するの?
「姫さんてさ、」
だから、何! 気になるじゃない!!
なぜか妙に間を開ける彼等にちょっと苛々してくる。男ならズバッと言いなさいよ! 今なら悪口だろうと許してあげるから! などと思っていたら、彼等が口にしたのは予想外な言葉だった。
「良いよな」
「うん、良い」
「ああ、すっげぇ良い」
良い? え? 何が?
「俺らみたいな下っ端にまで優しいしさ、大したことしてなくても絶対にありがとうとかお疲れ様とか言ってくれるよな」
「そうそう。あと何より笑うと可愛い!」
「そうなんだよ、可愛いんだよ! あの笑顔見られるなら俺何でも出来る気がする。つーか姫さんのために何かしてあげたいって気になる」
俺も俺もと言い出す兵士さん達に、盗み聞きなんかするんじゃなかったと激しく後悔。顔が熱い。こんな手放しの好意を寄せられたことなんか無いからすんごい照れる。
嫌われてなくて良かったけど、次から彼等と顔を合わせづらい。賭けのこともどうでもよく思えてくる。
だって、可愛いって。普段政宗に女らしくないって言われまくってるからか余計に嬉しい。
「さすが筆頭が選ばれた女性なだけあるよな」
「女性っつーか女の子だけどな」
ちょっと待って。またなんか嫌な予感するんだけど。
「ずっと婚約の状態なのも姫さんが成長されるのを待ってるからなんかな?」
成長って、これもう絶対アレだよね。成実さんみたいに私の年齢勘違いしてるってことだよね!? 私ってそんなに童顔なの!? そんなに小さく見えるの!? 私だって好きで童顔で小さく生まれたわけじゃないわよ!!
怒鳴り込んで言ってやろうと動きかけたら、一人の兵士さんが「なぁ」と声を上げた。
「俺、成実様に聞いたんだけどさ、姫さんもうすぐ、十八らしいぜ?」
「……………………」
「……………………」
チチ、と鳥らしき鳴き声が聞こえたほど束の間しぃーんと静かになった。
「……お前さ、それ成実様に騙されたんじゃねーの?」
「そ、そーだよ。ぜってぇ騙されたんだって。姫さんが十八なわけねーだろ?」
「あんなに小さくて乳も無い十八なんか居るわけねぇって」
「見てもいないくせになんで胸が無いなんて分かるのよ!!」
「うわぁっ!? ひ、姫さん!?」
がさがさと植え込みを掻き分けながらなんで姫さんの声が!? とか、いったいどこから!? とか慌てふためく兵士さん達の前に姿を現してやる。
「な、なんでそんなとこに……」
「そんなのどうだっていいでしょ! それよりさっきから聞いてれば何!? 私の何が小さくて何が無いですって!?」
お前が言ったんだろと一人の兵士さんが他の兵士さん達に小突かれて飛び出して来る。
「あんたが言ったの?」
「え!? いや、その、」
「ちょっとそこに座って。あんた達もよ! 今から私の胸が本当に無いかどうか見せてあげるから!」
「ひ、姫さーん!!?」
大人しくその場に正座しかけた兵士さん達が驚くのを無視して服に手を掛ける。確かに政宗にはいっつも小さいって言われるし他のとこが痩せるのに合わせて胸まで痩せちゃったわよ! でもね、無い、なんて言われるほどちっちゃくないんだから!!
「ひ、姫さん待ってくだせぇ!!」
「何よ! まだなんか言う気!?」
「ち、違うっす! あの、姫さんはちっさくないっす! 俺らが悪かったっす!」
「すいやせんしたぁっ!!」
全員で土下座されて、その光景に既視感を覚えた。初めて兵士さん達と話した時と同じだと思い出したら勘違いから一人の兵士さんに怪我までさせちゃったことを思い出して我を取り戻す。
怒りのままにストリップやっちゃうとこだったわ。危ない危ない。
「ほんとに反省してる?」
「してるっす!」
「私がもうすぐ十八歳になることも信じる?」
「…………………」
「……角材で股間殴るわよ」
「信じるっす!!」
低めの声を出して言ったら全員が真っ青になってガタガタ奮えて股間を両手で押さえながらも叫んだ。なんでどいつもこいつも疑うのよ!
ちょっぴり脅しも交えつつ、他の兵士さん達にも私が十八だと言っておくよう伝えたし、部屋に戻ろうかと思ったけどふと気になったから聞いてみた。
「ねぇ、男の人ってやっぱり胸の大きい女性が好みなの?」
「そ、そんなことないっす!」
「怒らないから正直に答えて。お願いだから」
ジッと見つめたらなぜか頬を赤らめだした。なんで?
でも知りたい気持ちを分かってくれたみたいでみんな正直に答えてくれた。
「俺はおっきい方が好きっす」
「俺もできれば大きい方が」
「俺は大き過ぎず小さすぎずが良いです」
「俺ぺったんこが最高だと思うっす!」
「………………」
暴露した一人の兵士さんに全員の視線が集中。見た目は、三十手前…もうちょい若いかな? でもぺったんこって、下手したらそれロリコ………。
ま、まあ実際に手を出したりしなきゃ問題無いし! 好みなんか人それぞれだしね! うん!
「えーと、ちなみにどれくらい大きかったら巨乳になるの?」
「う~ん、やっぱり手で掴めないくらいっすかね」
「着物の合わせが開いてくるぐらいの大きさだと思うっす」
「顔埋めた時に窒息しそうなくらい迫力ある胸が巨乳だと思うっす!」
「俺はナニが挟めげべふっ!」
また別の兵士さんがニタニタしながら言おうとしたのを両隣にいた兵士さんが殴って止めた。下ネタになるから止めてくれたってのは分かるし私を女の子扱いしてくれたってことだから嬉しいけど、もうちょっと穏便に止めようよ。鼻血出しちゃってるじゃん。
「ありがとう。参考になったよ」
「あ! でもこれ俺らの好みっすから筆頭の好みは、」
「ああ、それなら大丈夫。政宗は巨乳好きだって知ってるから」
「へ? そうなんすか?」
「しょっちゅう私の胸が小さいって言いやがるんだから間違いないでしょ。育てる楽しみがあるとまで言いやがったしね!」
思い出したらムカついてきたから思わず目の前に居た兵士さんを睨んじゃった。そんな真っ青になって股間押さえなくても殴らないわよ。
しまったわー。みんなに私が暴力女って印象持たれちゃったかも。せっかく良く思ってもらえてたのに。
イメージを戻すのってどうすればいいんだろ。
続