04
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政宗の手から逃れたくて頑張っていたら一瞬政宗が勝ち誇ったような表情を浮かべたのが見えた。え? と想ったのも束の間、直ぐに政宗は私にとっては凶器に等しい色気をまたもやダダ漏れにさせたかと思うとぐいっと顔を近付けてきた。風は無いはずなのに私の前髪がふわ、と揺れる。
「なんで邪魔する。見たかったんだろ? 遠慮するな。ほら」
「え、遠慮なんかしてないし! 見たいとも思ってないし! むしろ離れろ! 色気しまえ! 出すな! しまえ!」
「くっ……はははははは」
「…………へ?」
堪えきれないというように突然笑いだした政宗にぽかんとなる。こっちは半泣きになってしまうほどいっぱいいっぱいだというのに何が面白いのか。ダダ漏れだった色気の放出が止まったのは嬉しいけど!
笑ってる理由は謎だけど、とにかく今のうちに出来る限り離れる、いやいや逃げよう。逃げないと。なんか政宗に聞きたいことあった気がするけどもうそんなことどうでもいい。どうせ何を聞こうとしてたのか思い出せないし。
今はもう逃げることしか頭に無くて、何とかして政宗の手を外そうと奮闘していたら暴れていた時にずり下がった身体を捕まれた手ごとぐっと持ち上げられ、後ろから抱き締められるような体勢にされた。
持ち上げられた時に胸が少しだけ圧迫されたけど、顔が見えなくなったことの方が有り難くてホッとする。
「お前、本当に面白ぇな」
「はあ? どこがよ」
「ンなもん決まって、っ、」
政宗の手が頬に添えられ、後ろを向かされそうになった。またあのダダ漏れ色気で攻撃される! と、焦り、咄嗟に口の近くにあった政宗の親指に噛み付いた。
ガジガジと小刻みに歯を動かすと噛んでる方の手にくっと力が籠るのが分かった。痛かったのかな? ちょっと強く噛みすぎた?
でも悪いのは政宗だし、と思いつつもさすがにちょっと罪悪感を感じて噛むの止めて顔を離すと政宗は手をひらひらと振った。やっぱり痛かったらしい。
「信じらんねぇ。噛むか、普通?」
「あんたが意地悪するからじゃん」
「ちぃとばかしからかっただけだろ」
「やっぱりからかってたんだ! 最低!」
首をぐりんと後ろに回して政宗を睨む。だけどやつには効果なしで、それどころか「面白ぇ方が悪い」などとむかつくことを言ってきた。
なんとかしてこいつをこらしめられないだろうかとギリギリ睨んでいたら、にやにやと質の悪い笑みを浮かべていた政宗が突然眉を潜めた。
捕まれたままの手も解放され、それまでの言動が嘘のように気遣いに満ちた手付きで喉の辺りに触れられる。落差についていけず一人まごついてしまうのがなんか悔しい。
「腫れは引いてるみてぇだが、湿布はどうした。痛みはもう無いのか?」
「痛み? なんの……あ、ああ、昨日打ったやつね。それならもう平気。痛くないよ」
優しい手付きで触れられて、くすぐったくて身を捩ると今度はすんなりと離れてくれた。昨日もだけど、からかってくる時と態度が違いすぎて反応に困る。
「思ってたよりは強く打ってなかったってことか? まあ治ったんならそれで良いが、傷の方はどうだ。快庵の薬は良く効く………お前、顔の傷はどうした。なんで消えてる!」
強い驚愕も露わに引っ掻き傷があったはずの頬を覗き込まれたかと思うと性急な仕草で腕を取られ袖を捲られた。腕の傷も頬同様に無くて、それにも政宗は驚いていた。
「なんでそんなに驚くの? めっちゃ良く効く薬じゃなかったの?」
「ンなわけあるか! 快庵の作った薬は確かに良く効く。けどな、だからと言って一晩でかさぶたすら残さず治す薬なんざ作れるわけねぇ。そんなもんがあったらそれこそ奇跡だ」
「そんなこと言われても…」
治ったならそれで良いと思う。なんでこんなに気にするのか分からない。
例えば骨折したとかたくさん出血しちゃうくらいザックリ切ってたとか重症の部類に入る傷が一晩で完治しちゃったなら私だって驚く。というか不気味に思う。
でも実際は枝で作ったちょっとした引っ掻き傷だ。血がちょっと滲んだくらいの軽い傷。私が異世界人だから効果が通常よりも強く出たとかそいうことかもしれないのだし、そんなに騒ぐほどのことでも無いと思う。
「まさかとは思うが火傷もか?」
「え? あ、うん。治ってるよ」
「見せろ」
「は? ちょっ、待っ!」
止める間もなく襟を掴まれがばりと大きく広げられた。コンプレックスの胸が外気に曝される。
「火傷も無ぇ。マジで治ったのか?」
「治ったわよ! 見りゃ分かるんだから触るなバカ! 変態! セクハラ! スケベジジイ!」
手付きは優しいながらも遠慮無しに胸元まで触られて、恥ずかしいやらむかつくやらでもう泣きそうだ。
「お前なぁ」
政宗の腕を掴み足で腹をゲシゲシ蹴っていたら腕と蹴っていた足をガシッと掴まれた。悪いことをしていたのは政宗なのになぜかちょっとイラついた眼を向けて来るのが腹が立つ。
「自分の身体のことだって分かってんのか?」
「分かってるわよばーか! 別に悪化したわけじゃないしだいたい異世界来るって時点でオカシイこと起きてんだからなんだって起きるわよ!」
手足を掴む手を外そうともがきながら叫ぶ。爪を立ててもなんで力が緩まないんだ。こいつには痛覚ってものが無いのか?
「なるほど、一理はある、か」
ぽつりと呟いたかと思うと足が解放された。唐突過ぎるそれに驚いて反応出来ないうちに両手首を片手で一纏めにされ頭上に押さえ付けられた。
ハッと見上げれば人を苛めるのがとにかく楽しくて堪らないと言わんばかりに質の悪い笑みを浮かべて私を見下ろす政宗が居て―――。
何か分かんないけどヤバいっぽい。でも私何も悪いことしてないよね!?
「てめぇ、さっき俺に向かってなんつった?」
「な、なんのこと?」
何か言ったっけ!? 何言っちゃったっけ!?
本気で思い出せなくて頭をフル回転させて思い出そうとしていたらガッと片方の足首を掴まれた。何か分かんないけど危機が迫ってる気がする!
「まずは馬鹿、だったな」
足首を掴む手が少しだけ動いて軽く膝が曲がる。
「次は変態」
さらに大きく曲げられ着物の裾が割れそうになる。
「ちょ、ま、待って!」
「せくはら、ってのは聞いたことはねぇが、良い意味じゃねぇのは確かだよなぁ?」
とうとう裾が割れて太股の半ばまでが露わにされた。これ以上はダメだ。ヤバい。だって、だって、今日はノーパンだ!
買い物行くのに下着の変えなんて持っていくわけないし侍女さんに下着無いですかって聞いたら不思議そうな顔されたんだもん! 仕方無かったんだもん!
「あとは、ああそうだ。スケ…」
「ごめん! ほんとごめん! 謝るからそれ以上はダメ!!」
彼氏にすら見せたことの無い場所(そもそも彼氏が居たことも無いけど!)を見られるくらいなら悪くなくても謝るってものだ。
「これに懲りたら言動には注意するんだな」
まるで自分に非は全く無かったと謂わんばかりの台詞にカチンときて、自由になったばかりの足で股間を狙ってあげました。
………小十郎さんが来なかったら、お嫁にいけない身体になっていたかもしれません。
政宗のバーーカ!
続