07
夢小説設定
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「やった! 消えてる!」
朝起きて鏡見たらセクハラ野郎(政宗のことね)が付けやがったキスマークが綺麗さっぱり消えていた。ざまあみろ! セクハラで付けても長々と残らないのよ!
「なんか今日は良いことがありそうな気がする」
例えば政宗が今までのセクハラを土下座で謝ってくるとか政宗がドSからドMに変わる……は気持ち悪いから無し。ドMな政宗ってやだよ。「美夜、俺を虐めてくれ!」とか言い出したら引くね。ドン引きだよ。確実に。
「やっぱ政宗はドSだよ、ドS。それ以外有り得ないって。虐められるよりも自分が虐めて楽しむ方が奴には似合ってる」
「よく分かってるじゃねえか」
「そりゃあ毎日虐められ、て……」
はっはっはー、虐められ過ぎて幻聴がきちゃったよ。ここは気分転換が必要だね。例えばマラソンなんてどうだろう。汗をかけば気分もスッキリだ!
「って追ってくんなぁーっ!!」
「追われたくねえならさっさとこっちに来な!」
「虐められると分かってるのに誰が行くか!」
廊下をバタバタと追いかけっこする私達を見ても助けてくれる人はいません。みんな微笑ましそうに見てるだけ。きっとみんなの眼に私たちははあははうふふと砂浜で追いかけっこするバカップルみたいに見えてるんだよ!
だって政宗の野郎はわざと速度落として追ってくるんだもん! 私は着物だからそんなに早く走れないのに政宗は袴穿いてるんだよ? 狡いよね! 脱げよ! 脱いでも私の方が走るの遅いの分かってるけどさ!! ちくしょう!
「ちょ、ちょっと…ス、ストップ」
「ンだよ。もう息切れかよ」
もう、じゃないわよ! 性別とか体力差とか着てるものとか考えろっての! これでも頑張ったんだからね!
「その程度で息切れしるようじゃ一晩もたねえぞ」
「一晩てなんだ一晩て!」
「ンなもんセ…」
「わーっ! わぁーっ!! ちょっとなに口に出して言おうとしてんのよ!」
「聞いたのはそっちだろ」
「だからって普通は言わないわよ! ていうか女の子に向かって言おうとすんな!!」
「Ha! お前は規格外なんだよ」
規格外だと!? どういう意味よ! 女の子は女の子でしょうが! っていうか規格外でもヤりたいの!? どんだけ節操無しなのよ!
ああもう良いことなんか何にも無いじゃん。むしろ女として規格外なんて言われたし疲れたし。
全力疾走に疲れて逃げ続けることなんか無理で、政宗に担がれて運ばれ中です。なんかもう疲れてどうでもよくなってきた。今ならセクハラされても海のような広い心で許せそうな気がします。
「ってなんで押し倒すわけ!?」
「ンなもん消えちまってるからに決まってるだろうが」
「決まってないから! 全然決まってないから! っていうかなんでそんなにキスマーク付けたがるのよ!」
「所有物にはMarkingするもんだろ」
「私はあんたの所有物じゃないわよ!! つーかマーキングって犬か!」
「だれがDogだ!!」
ギャイギャイ騒いでもやっぱり誰も来ない。ほんと皆さん勘違いし過ぎですって! 必死こいて政宗を押し返す私とアホみたいにムキになってキスマーク付けようとしてる政宗の姿のどこがいちゃついてるのか私に説明して!
あと誰か私の味方をしてください! 政宗をぶん殴ったり蹴っ飛ばしてでも私を助けてくれる方いませんかね? こいつのこと殿様なんて思わなくていいから。ただのセクハラ馬鹿野郎って思えばいいから。だから誰かこの馬鹿力野郎を今すぐ殴ってぇっ!
「ひにゃあぁーっ!!」
「暴れんじゃねえ! 脱がすぞ!」
いったいどれだけ付ける気だよ! もう四つも付けたじゃない!! お願いだからもう勘弁して! 消えたぜイェイなんて言わないから!!
「付け過ぎだバカぁー!!」
あんたの彼氏って独占欲強すぎじゃない? って言われそうなくらい付けられました。首筋も鎖骨も真っ赤です。にやにや笑う政宗の顔を釘バットで殴りたいです。角材でもいいです。どこかにありませんかねえっ!?
ちくしょう! 絶対に小十郎さんに言い付けてやる!! また説教されるがいい!!
◆ ◆ ◆
「小十郎さーん!」
帰ってきた小十郎さんに(ほんと毎朝どこに出掛けてるんだろう)チクりました。んで首筋と鎖骨見せたら即政宗のとこに。やったぜ! 政宗ざまあみろ! って思ってたのに……。
「政宗様、あれでは何かの病かと勘違いする者もいるやもしれません。ほどほどになさってください」
小十郎さーん!?
「それもそうか」
それもそうか、じゃないわよ!! なにこの主従!! 主が主なら部下も部下ってか!? 小十郎さんはいつでも私の味方だと思ってたのに!
なんで、ってそういえばこのままいちゃつけみたいなこと言われてたっけ。え、あれ、ちょっと待って。この城に私の味方はゼロですか? 泣いてもいいですか?
キスマークは一晩寝たらまた綺麗さっぱり消えてた。でもそれを見た政宗にまた付けられた。一応五つに控えてくれたけどどうせなら付けるのやめてほしい。
はぁ。早く帰りたい。早く政宗のセクハラから解放されたい。だってこのままじゃいつかマジで食われる気がするもん。
続