俺と彼女の願い【キャプ翼・日向夢】

その後、部室にてミーティングが行われた。当然俺も参加する。
「サッカー選手権地区予選最初の相手が決まった、○○高校だ」
「○○高校…確かそこもサッカー強豪校でしたよね」
「うむ」
マネージャーに聞かれて監督はそう答える。
「それと…地区予選は日向抜きで戦ってもらう!」
「えっ!?」
それを聞いて監督以外の全員が驚く。
「キャプテン抜きで戦うのか?」
「なんか不安だな…」
他の奴らががやがやとし始める、しかし監督は話を続けた。
「代理キャプテンは若島津、副キャプテンは反町、お前達に任せた」
「俺達ですか?」
「日向にはリハビリに専念してもらいたい、今日から地区予選の間はマネージャーに同行してもらう」
反町がきょとんとしながら監督に聞くと、監督はそう答えた。
「私が?」
「時間は今までと同じだ、終わったらそのまま二人共寮に帰ってくれ」
「分かりました」
監督がマネージャーに説明すると、マネージャーはそう返事を返す。
俺無しでの地区予選…自分も少し不安だった。

ミーティングが終わり、俺達は練習場にいた。マネージャーは難しそうな顔をしている。
「さてと…、日向くん抜きで地区予選を戦うとなると厳しくなりそうね…」
「それでどうするんだ?」
「練習量を倍に増やすか、毎日夜まで練習するかのどちらかになるわね」
「マネージャー、正気か!?」
マネージャーの提案を聞いた他の部員が驚いていた。どうやらその提案には反対らしい。
「そんな事してもし俺達までケガしたらどうするんだ!人数が足りなくなったら選手権どころじゃないぞ!」
「仕方ないでしょ!こうでもしないと…!」
別の奴も反対らしく、それに対してマネージャーも反論する。この二人は今にも揉めそうな雰囲気となっていた。
「皆さん落ち着いてください!喧嘩してる場合じゃありませんよ!」
「う…悪い…」
タケシが仲裁に入り、その場はなんとか収まる。
「…沢田くんの言う通りね。ここは日向くんの意見も聞かないと」
マネージャーも落ち着きを取り戻したらしく、すぐに俺の方を向いた。
「日向くんは練習量を倍にするか、毎日夜まで練習するかのどっちが良いと思う?」
「そうだな…、どっちも必要ないと思うな」
「えっ、どうして?」
「今のチームは俺抜きでも十分な強さだ、それに他の奴が言った通り練習量や時間を倍にしてもし怪我したらその分人数も減っちまう」
意見を聞かれた俺はそう答える、俺が抜けた分戦力は下がるがそれでも十分な強さを持っている。他の奴らが怪我をするくらいなら方針は変えない方が良いと思ったからだった。
「予選までに人数が足りなくなったら元も子もないからな、俺も同意だ」
「確かに…先走りすぎていたかもしれないわ。じゃあ方針変更はなしで、それでいいわね?」
「ああ」
若島津も俺の意見に賛同して、最終的に変更なしに決まり俺はマネージャーの確認に返事を返した。

「相手が来ているぞ!」
「ここはもらったぞ、若島津!」
俺とマネージャーは練習の様子を見ていた。若島津はキャプテンとしての責務を果たしており、チームを纏めていた。
(これなら大丈夫だが…)
安心していたが、同時に不安もあった。
(やっぱり俺がいないとなると不安だ…、もし負けたりしたら…)
V3を逃してしまう、そんな事を考えるだけで気分が晴れずにいた。
思わず左手で顔を覆う、手を顔から離すと視界が滲んでいた。瞬きをしてはっきり見えるようになると手のひらがわずかに濡れていて水滴もあった。
(これは、涙…?俺、泣いてたのか…)
泣くつもりなんてなかったのに、何故か涙を流していた。
何故だか分からない…、どうして俺は涙を……?
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